IS/Drinker   作:rainバレルーk

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第164話

 

 

 

「今すぐ君に会いたーい♪ 君に会って確かめてみたい♪ 世界の理♪ 愛の定義♪ 幸せのカテゴリー♪」

 

打ち上げ二次会のカラオケ会場で、我らが刃が自分の十八番である『アニソン界のおしゃべりクソ眼鏡』の楽曲を皆の前で熱唱し、大盛り上がりを博している頃・・・・・

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

「ふぇっふぇっふぇ・・・じゃじゃーん♪」

 

此処ではない何処かにあるラボで、特徴的な紫色の毛色にこれまた特徴的な長いウサ耳カチューシャを付けた人物が掛け声と共に花嫁が被る様なベールを脱ぐ。

其のベールの下には、漆塗りをした様な黒を身に纏った機体が威風堂々とした風格を漂わせていた。

 

「これが君の新しい機体・・・その名も『黒騎士』でっすぅ☆」

 

そんな美しさと強さを兼ね備えた様な機体をウキウキ気分で紹介するのは、世界の軍事力バランスを狂わせたISを発明した天才科学者『篠ノ之 束』、其の人である。

 

「ふふーん! どうどう? あんな極西の島国が作ったISをよりパワーアップ♪させたからとってもすごいんだよね☆ ぶいぶい☆」

 

「・・・・・ッチ」

 

一々言葉の語尾を煩くしながらも束は此のISを纏うであろう人物に機体の説明を行う。其れがあんまりにも見るに堪えなかったのか。肝心の当人は無表情・・・いや、酷くぶっきらぼうで忌々しそうな態度だ。

 

「ちょっと・・・もーッ! 束さんのありがたーいお話を聞いてるのかな~?」

 

其の態度を見透かされたか、束からの注意が飛んで来るが、其れを彼女は肉に集る蠅でも見るかの様な視線で返す。

 

「ふーん、その目・・・ちーちゃんにそっくり! やっぱり”姉妹”だね☆」

 

束の言葉に黒騎士の纏い手・・・ファントムタスクはモノクロームアバター所属のISパイロット、『M』は少し恥ずかしそうに鋭利なナイフの様な眼を俯かせる。其の表情は何処か嬉しそうで、思わず束はニマニマしてしまう。

 

「気を取り直して! 君の要望通り、シールドビットとかライフルの類はとっぱらってちゃってインファイター専用にしたよ☆ 着心地はどうかなぁ~? 君は、ちーちゃんよりもちょっとだけお胸が控えめだから―――――」

 

「・・・うるさい」とばかりにMは彼女へ向けて腕部の7.62㎜マシンガンに火を噴かせるが、束は其れを驚異的な反射神経と身体能力で難なく回避し、新しく手に入れた玩具でも見る無邪気な表情を晒した。

其の表情に対してMは顔をしかめるが、束の造り上げた”新しい力”には満足している様で、掌でグーとパーを繰り返す。

 

「あー、その癖! いっくんも同じ―――――」

「ッ、黙れ!」

 

言い掛けた所で今度はランサービットの穂先から殺意の籠った熱線が放たれた。

 

「その名前を口にするな・・・!」

 

「もう、まったく困った子なんだから☆ だったらどうかな? 最初のターゲットはいっくんにしたら?」

 

束からの提案にMは「いや・・・」と短く呟いた後、スタビライザーとしても機能する大剣、フェンリル・ブロウの切先を照明へ当たらせながら・・・彼女は”想い人”の名を口にする。

 

「その前にヤツを・・・ギデオンを・・・・・キヨセ・ハルキッ、ヤツを私の手で必ず・・・!!」

 

Mはギリリッ奥歯を噛み締めて宿敵にして怨敵の名を口にした。

先の戦で彼は自分を討ち取れるにも関わらず、手加減をしてみすみす戦場から追い出した・・・・・と、Mは勝手に思っている。

 

「あの屈辱、必ず晴らしてくれる・・・ッ!」

 

Mの脳内に浮かぶのは、あの奇天烈な「阿破破ノ破!」と云った自分を嘲笑う声。思い出しただけでも腹が立つ。

・・・しかし、何故だろう。彼女は沸々と怒りの感情を湧き上がらせているにも関わらず、其の口端は吊り上がっていたのである。

其れもただ単に吊り上がらせているのではない。何処か其れは遠距離恋愛で遠方に居る恋人に此れから会える様な微笑であったのだ。

 

「・・・うわー、歪んでるー。ヤンデレってやつだー」

 

「貴様、殺すぞ・・・!」

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

んッ・・・あ~~~ッ♥♥

 

煌びやかな美しい夜景が見える大きな一枚板の窓ガラスを有するホテルのスイートルームに木魂する情欲掻き立てる喘ぎ声とちゅぷちゅぷちゃぷりの生々しい熱の籠った粘着質な水音。

 

スコールッ・・・んン・・・スコぉおルぅ・・・きもち、いい♥

 

真っ新だったシーツの上で、ファントムタスクは実動部隊モノクロームアバターに属する構成員であるオータムは、普段では考えられない艶やかで可愛らしい声と共に其の長い髪と手足を相手へ絡ませながら愛を囁く。

 

うッ、んん♥♥ 素敵よ。愛しているわ、オータム」

 

そんな呂律の回らない愛を囁くオータムへ艶めかしい愛撫で返すのは、モノクロームアバターを率いるファントムタスクの女幹部であるスコール・ミューゼルだ。

彼女は何度も何度もオータムの耳元で愛を呟きながら手を絡ませ、足を組ませ、何度も何度も「ちゅッ♥ ちゅるり・・・♥♥」とキスを落とす。

・・・火傷によって出来た痛々しいケロイドが浮かび上がる彼女の肌へ何度も何度も。

 

 

 

 

「んッ・・・ん~」

 

情事が終わった後、大きく伸びをしたスコールは白いシャツを一枚羽織ると通信用端末を起動させる。

だが、待ち人からの連絡は未だ来ていなかったのか。彼女は「はぁ・・・ッ」と大きく溜息を漏らす。

 

「・・・オレとのセックスの後で溜息を吐かないでくれよ」

 

そんな溜息を吐くものだから情事相手であるオータムは何処か悲し気な表情をシーツの下から彼女へ差し向けた。

 

「ううん、違うわ。あの子からの連絡がまだ来なくてね」

 

「アイツからの定期連絡か? 大丈夫だろ。前にも遅れただろ?」

 

オータムの言う「アイツ」とは、IS学園へ潜り込んで鼠をやっているスコールの姪の事だ。

其の彼女からの定期連絡がない事が気掛かりなのか。スコールは物憂げな表情で端末の画面を見つめている。

 

「大丈夫だって。今頃アイツ、学園で引っ掛けた女でも抱いてるだろうさ。オレ達みたいによ」

 

シーツ一枚を纏ったオータムはスコールへ枝垂れかかって腕を回し、吐息を耳へ吹きかけた。

 

「なぁ、スコール・・・もう一回、いいだろ?」

 

「もうッ、オータムったら・・・貴女、まだ病み上がりなのよ?」

 

「リハビリだよ、リハビリ」

 

そんな言い訳と共に口を尖らせた彼女にスコールは呆れた表情を晒した後、「しょうがないわね」とオータムの唇へ甘く噛み付くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度、其の時。ほぼ同時と言っていい位にドッグォオ―――ン!!・・・と部屋の出入り口が木端微塵に四散したのである。

 

「「ッ!?」」

 

勿論、此の突発的な爆発に吃驚仰天する二人であったが、間髪入れず、今度は夜景が見える一枚板の窓ガラスがドガシャーンッ!と蹴破られた。

そして、其処からドカドカと土足で入り込んで来たのは、赤い一つ目を光らせる青銀の武者鎧の集団であった。

 

「テメェらなにもんだ?!!」

 

そんな二人の百合百合しい愛の時間へ無粋にもゾロゾロと入って来た一つ目の武者鎧共に向かってシーツ一枚だけというあられもない姿にも関わらず、オータムはスコールを背にして勇ましく叫ぶ。

ところがどっこい。其の殺気立った叫びに物怖じするどころか。武者鎧共は二人へ大型のアサルトライフルの銃口を差し向けたのだ。

 

「・・・なるほど。まさか、この国の警察機関がここまで優秀だったなんてね」

 

其の銃口を向けられながら、スコールは静かに呟いた。

いつか内通者から送られて来た資料の中に日本の警察組織が新型EOSを入手したとの記述があったのだ。

 

≪国際テロリスト、ファントムタスクのスコール・ミューゼルとオータムだな?≫

≪お前達は不法入国並びに外患誘致罪等で逮捕状が出ている。大人しくしてもらおうか≫

 

ほとんど裸の美女二人に一つ目の鎧武者・・・いや、新型EOS『石英』を身に纏った警察特殊部隊隊員達の機会音声の混じった声が掛けられる。

 

「(こっちに情報が回ってこなかったって事は、潜り込ませてた人間が捕まってるって事ね。まさか、あの子も・・・・・)はぁッ、まったく・・・」

 

スコールは「ヤレヤレ」と大きく溜息を漏らしながら、何処から取り出したか解らぬリモコンのスイッチをカチッと押す。

さすれば、予め部屋全体に仕掛けられていたスタングレネードが強烈な光と爆音を轟かせたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

―――――後日談・・・と云うか、今回のオチ。みてぇな『物語シリーズ』的な感じで言うと、久々の焼肉は美味かったし、久々のカラオケもめっちゃこ楽しかった。

特にヨメナカセが食えたんは嬉しかった。中々、あぁ謂う部位は地元でないと喰えれんけんな。ホルモンはゲテモン等と云う阿呆が居るが、ゲテモンは美味いと相場が決まっとるんじゃ。

酒は飲めれんかったが、腹一杯食えたけん大満足じゃ。

 

其の後のカラオケでも好きな歌が歌えたし、ワルキューレ部隊の皆が部隊名の由来にもなった『マクロスΔ』の劇中歌を歌ってくれたんもでぇーれぇー良かった。

ラウラちゃんとシャルロットがデュエットで『マクロスF』の『ライオン』やら『サヨナラノツバサ』を歌ってくれた時は感動の余り涙が出そうになった。

・・・まぁ、『シェリル』派か『ランカ』派かでもめる事があったけんども。

 

ま、ぼっこう楽しかった事は確かじゃ。

酒は飲めんかったが、テンション上がりまくりで年甲斐もなく・・・いや、今は十五のガキ何じゃけん其れは可笑しいか。

まぁ、はしゃいだハシャいだ。あ~もう、ホントにマジで楽しかった。

・・・じゃけど俺らぁが楽しみょーる其の裏で、けったいな事も起こっとった。

 

俺らぁが留守にしとる間、学園じゃあ一騒動起こっとった。

二年でギリシア代表候補生の専用機持ちじゃったフォルテ・サファイア先輩が、愛という名の下にワルキューレ部隊の面々が必死になって苦労してお縄にかけたテロ組織の諜報員と共に脱走しやがった。

加えて、ありがたい事に・・・いや、忌々しい事に其の諜報員から没収しとったISも強奪しやがった。

此れでテロ組織ファントムタスクの貴重な情報を日本政府は独占できるという訳。

しかもあのISの中には、あの糞垂れ犯罪組織へ資金やら情報を提供をしてあげていた恥知らずのボケカス糞ったれ『放送禁止用語』『放送禁止用語』『放送禁止用語』共である売国奴の名簿が極々一部じゃけど入っとった。

勿論、俺ぁ善良な日本国民。出せる所に出したらアラ不思議。朝から晩まで緊急ニュース放送が流れる日までありやがった。

警視庁公安部や検察庁の人らぁには余計な仕事を押し付けた感じで申し訳ねぇと思っとるが・・・・・心の底から、ザマァ見晒せバ―――――カ!! 阿破破破破破ッ!!!

 

・・・しかし、やっぱり良い事ばっかりじゃない。ウィンウィンの関係なんて極々一部じゃ云う事は今回の一件でよー解った。

 

俺があれだけ『やめろ』『忘れろ』『するんじゃない』って言ったのにも関わらず、愛の為に恋人と共に堕ちる事を選んだサファイア先輩。後で知ったんじゃが、此の人の実家はギリシア・・・いや、ヨーロッパでも有数な資産家の名家じゃったそうな。

無論、娘さんの闇墜ちに抗議にIS学園へ厳ついSP連れた弁護士やら何やらかんやらヘチマやらの連中が乗り込んで来やがった。

加えて、国家代表専用ISも持ち逃げしてるけん、国としてギリシアからも苦情が来た。

後はひっちゃかめっちゃか責任の押し付け合いじゃ。

やれアメリカが悪いじゃ、ギリシアが悪いじゃ、其の日の警備担当者が悪いじゃ、何じゃーかんじゃーヘチマのクソッタレ。

結局の所、全部が全部あのテロ組織が悪いんじゃろうが。そんなでぇれーシンプルな事が原因なのにお偉いさん方々は醜い争いをしっちゃかめっちゃかやっとる。

 

後、残念な事に新型EOSによる日本史上初の装甲騎兵による捕縛作戦は失敗に終わったらしい。

二対三十でも、やはりIS相手による戦闘経験はまだまだ未熟じゃけんな。エエ経験になったし、極東の島国を舐めんじゃねーぞって云う宣言にもなったじゃろう。

 

・・・まぁ、俺ぁそんな事知ったこっちゃねーがな。

美味い焼肉食わしてもろうたし、”お小遣い”ももろうたし、皆の結束も強うなったし、万歳万歳万々歳じゃ。

責任問題云々は・・・学園長先生やら長谷川さん辺りが何とかしてくれるじゃろ。

 

〈うっわ、無責任ね。まぁいいわ。私も”強く”なったしね〉

 

おっと、琥珀ちゃん。其れはまだ企業秘密よ、秘密。

ま、兎にも角にも俺達らぁに非は全然なかった訳じゃ。

・・・ん? ブリュンヒルデ? 織斑 千冬?・・・・・知らない人ですね。

 

〈惚けるな〉

 

・・・・・俺、知らんもん。あの人の場合は自業自得じゃがん。

 

〈聞く所によると山田教諭が気を利かせたらしい。後、学園長殿が取り持ってくれた御蔭で謹慎処分ぐらいで済むだろう〉

 

警備の不手際で教え子をテロリストにしても、世界最強ブリュンヒルデはブリュンヒルデか。

・・・一応は原作主人公の姉じゃけんな。世界の修正力ってやつか?

 

〈・・・・・クククッ〉

 

何じゃあな、レクター博士?

 

〈修正力があると言うならば、君はとっくの昔に消されているさ。前にも言われただろう。此処は、似て非なる世界だとね。・・・まだ不安が残るかい?〉

 

ッチ・・・あぁ、糞垂れめ。図星じゃ、図星。やっぱり心のどっかで不安が蠢いとるんじゃ。

はぁ~ッ・・・俺って超面倒臭いわ。

 

〈今に始まった事じゃない〉

 

喧しい。

 

〈しかし・・・今はそれよりも大事な事がある〉

 

何がぁ?

 

〈次のテストだ。このままだと確実に赤点だぞ。進級も危うい〉

 

・・・・・もうヤダ。テスト嫌い。

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆
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