IS/Drinker   作:rainバレルーk

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第177話

 

 

 

「ッ・・・・・遅い! 一体何やってんだよッ、あのヤロウはよぉお?!!」

 

京都の夜景が望めるホテルの高級スイートルーム。

落ち着いた暖色系の明かりが部屋を照らす中、焦燥感と隠す事のない苛立ちと共に砂金の様な美しい髪を揺らしつつ叫ぶ者が一人。

彼女はガジガジと人差し指の爪を噛みながらゴンゴンと拳を壁に打ち付ける。

 

「ちょッ、ちょっと! やめるっス! また手から血が出てしまうっスよ!!」

 

そんな荒ぶりを同世代と思われる猫背気味な小柄な少女が止めようとするが、彼女は「うるせぇッ!!」と自分を抑えようとしてくれた少女の頬を引っ叩く。其のせいで少女は「あぅッ・・・!」と短い悲痛な声と共に床へ倒れてしまう。

叩いた手がフルスイングであった為か。少女の頬は若干赤色に変色してしまうが、そんな彼女に対し、金髪の美少女は更に殴打を繰り返そうと今度は固く握った拳を振り上げた。

 

「・・・やめなさい『レイン』」

「ッ・・・!」

 

其の此れから振り下ろさんとした拳骨を止めたのは、長身で豊かで美しい金髪とバストを併せ持ったセレブ然とした抜群の美貌を誇る美女であった。

彼女・・・『スコール・ミューゼル』は抑えられない感情を露わにする自身の部下にして姪である『レイン・ミューゼル』を諫めると床へ打ちひしがれた新入隊員である『フォルテ・サファイア』へ手を差し伸べる。

 

「大丈夫かしらフォルテ?」

 

「だ、大丈夫っス! それよりも・・・!」

 

差し伸べられたスコールの手を掴んで立ち上がったフォルテだが、彼女は少し腫れた自分の頬よりも別の事を心配した。

 

「あッ・・・あぁあッ!!? お・・・お、オレ・・・オレってば、オレってばまたフォルテを・・・ッ! あ・・・あァ”ア”ア”ア”ア”ア”ッ!!?」

「レイン!!」

 

其れは自分を力一杯ビンタしたレインの事である。しかし、青筋浮かべて歯をギリギリ鳴らしていた彼女はもう其処にはいなかった。

先程とは違い、人が変わったかの様にレインは大粒の涙をボロボロ流しながらへたり込んでしまったのである。

そんな放り投げた赤ん坊の様に泣き喚く彼女をフォルテは「おー、よしよし」とまるで母親の如くあやす。

するとあっと言う間にレインの表情が優しくほころんだ。

 

「え・・・えへへ・・・フォルテ、フォルテ、ぶってごめんなー?」

「うん。もういいっス。私は大丈夫っスから・・・」

「そうかぁ? オレ、フォルテのこと大好きだぜー! だから・・・だからオレのこと、嫌いにならないでくれよぉ」

 

フォルテを引掻く様にしがみ付くレインを静観しつつスコールは小さく溜息を吐いた。

 

IS学園で開催された体育祭。

其の裏で行われたスパイ捕縛作戦により逮捕されたアメリカ代表候補生であった『ダリル・ケイシー』。然して彼女の正体は、国際的過激派テロ組織ファントム・タスクの実働部隊モノクロームアバターに所属するテロリスト、『レイン・ミューゼル』であったのだ。

だが、そんな絶体絶命のピンチに陥った彼女を助けたのは、学園へ潜入する為の道具の一つに過ぎなかったギリシャ代表候補生のフォルテ・サファイアであった。

彼女は自分が利用された事を自覚しながらも”ある男”の助言により、『愛』の為に全てを捨ててレインと共に世界の反逆者へと其の身を堕としたのだ。

しかし、意識を失った彼女と共にレインの叔母であり部隊の長であるスコールと合流するまでは良かったのだが・・・拘留中、よほど”酷い目”にあったのか。渾沌から目覚めたレインは精神に異常をきたしていたのである。

情緒不安定に時折りみられる幼児退行。加えて、何かの拷問がなされた跡が見られたのだ。

 

「・・・・・『織斑 千冬』」

「ッ、ヒィ・・・!!?」

 

スコールが呟いた言葉にレインの表情が一気にサァ―――――ッと蒼白になり、ガタガタガタガタ肩を震わせて怯えたのである。

其の様子は、いつも勝ち気でISを纏って空を駆け抜けていた姿とは余りにもかけ離れていた。

 

「ッ、レイン!? ちょっと隊長、ヒドいじゃないっスか!! レインッ、大丈夫っスよ! 此処にレインを傷付ける人間はいないっスから!!」

「ふぉ・・・ふぉるて・・・ふぉるてぇえ・・・!」

 

顔面蒼白で脂汗を流すレインを庇いながらフォルテはスコールに向かって怒鳴り上げる。

そんな真っ赤な顔で怒りの表情を露わにする彼女に対し、スコールは目を背けて訝し気に眉をひそめた。

 

「(レインがあそこまで怯えるなんて・・・・・まさか、本当にあの『ブリュンヒルデ』が?)」

 

レインの尋常ではない脅え方にスコールは彼女が手酷い拷問を受けたのではないかと勘繰る。

フォルテの話によると、かのブリュンヒルデには学園内で職権乱用や支配的威圧が見られたと云う。

世間が持っているイメージとは近いようで遠い織斑 千冬と云う人物の気質にスコールは自分の”甘さ”に対して歯噛みした。

サディスティックな狂暴性を持つ彼女の本質を見抜けず、可愛い姪っ子を記憶の一部が欠落するまで甚振られた事に酷く憤ったのだ。

・・・・・しかし、ご存じの方もいるだろうが・・・レインを徹底的に痛め付けたのは―――――

 

ピンポーン♪

「!」

 

親指の爪を噛みつつ物思いに耽っている中で聞こえて来たのは、部屋のインターホン。

フォルテは幼児退行中のレインの相手をしている為、対応する事が出来ない。別に居留守を使っても良いのだが、自分達は世界各国で指名手配となっている凶状持ちである。少しの違和感も周囲に抱かせてならない。

 

「ふぅー・・・はぁーい、ちょっとお待ちになって!」

 

スコールは持ち前のスキルでキャラを作るや否や。ドアの前へと駆け寄る。此の際、ISのハイパーセンサーで警戒する事を忘れずに。

 

「どうかなされましたの?」

 

「夜分に失礼いたします、アンデルセン様。私、当ホテルの従業員でございます。今回は長くご滞在なさって頂いているアンデルセン様御一行様へ当ホテルよりサービスの品のワインをと思いまして」

 

「あー・・・大変ありがたいのだけれど・・・・・今夜はもう休みたいわ。また後日になさってくださる?」

 

「そうなのですか。失礼ですが、何かお加減が優れないので?」

 

「ただの疲れよ、ありがとう」

 

「ご迷惑でなければ、何か私達に出来る事がございますでしょうか?」

 

・・・此のホテルマン、しつこい。

偶に居るのだ。こういう従業員が。

スコールはちょっと面倒になってきたのか、少々声を張って此のありがた迷惑な従業員を退かせる事にした。

 

「ッ・・・申し訳ないけれど、私達もう疲れてるの! もう放っておいて頂戴!」

 

彼女は無意識ながらも少し焦っていたのかも知れない。

レインの逮捕から数日も経たぬ内に次々と日本各地に置かれていた支部が潰されて行き、東西から追い込まれる形で此の京都に押し込まれたのだ。

そんな監獄と化した古都から脱出する為、部隊の構成員にして彼女の恋人でもあるオータムが陽動作戦の陽動を行う事を任された。

けれども、陽動を任された筈のオータムからの連絡が一向に来ない。

叔母の恋人をあまり良く思っていないレインからは「オレ達を裏切って逃げた!」と言われる始末だ。

「そんな事はありえない!」・・・と思いつつも徐々に徐々にであろうが、スコールは疑心暗鬼に侵されていたのであろうか?

 

そんな時に・・・よりによって、よりにもよってそんな時に”此れ”だ!

いや、此の瞬間を待って居たのかもしれない。罠を張り巡らせ、相手を陥れ、更に”次”の為に画策する蛇の様な男は此れを待って居たのかもしれない。

 

「―――――そう遠慮しなさんなよ・・・スコール・ミューゼルさんよぉ?」

「ッ、な・・・!?」

 

従業員の口調が変わると共にスコールのISハイパーセンサーが警告音を発する。目の前に、超至近距離に所属不明IS機体が居るのだと警告したのだ。

 

「ちょっくら押し通ります、よと!」

「くッ!!」

 

其の瞬間、固く閉じられていた筈の扉がガコンッと音を点てて蝶番から外れ、スコールの方へ倒れて来た。

彼女は其れを難なく避けるが、少し緊張した様に構えて眼前の敵対者を睨む。金眼四ツ目の白銀の鎧兜と朱の陣羽織を纏った甲冑武者へ三角にした目線を突き刺す。

 

「隊長ッ、どうかされたん―――――・・・って、えぇ!!?」

 

異変を察知して奥の間から駆けこんで来たフォルテの目が真ん丸にする。

そんな彼女に対してスコールは片掌を見せて警戒態勢をとるように促すのだが、其の前に鎧武者は一杯に口端を引き上げて奇天烈な笑い声を上げたのだ。

 

「阿破破破破破ッ! お久しぶりでござんすね・・・サファイア先輩?」

 

「き・・・『清瀬』ッ、後輩・・・!!」

 

フォルテの口から出た驚嘆符にスコールは「何ですって・・・ッ?」と一瞬眉をひそめるが、彼女はすぐに思い出した。

キャノンボール・ファスト襲撃事件で其の名を一気に轟かせた金眼四ツ目の銀飛竜の事を。

 

「あなたが・・・あなたが、二人目の・・・!」

 

「どうもお初にお目にかかります。ファントム・タスクは実動部隊、モノクロームアバターのスコール・ミューゼル殿?」

 

一方、表情を七変化させる二人を余所に金眼四ツ目の鎧武者・・・いや、二人目の男性IS適正者である『清瀬 春樹』は丁寧にお辞儀をする。だが、其の綺麗な所作が余計に彼の不気味さを際立たせた。

 

「どうかしたのかー?」

 

「ッ・・・レイン!」

 

くつろぎの空間とは似ても似つかぬ臨戦態勢の緊張感が一気に増したスイートルームへ響く間の抜けた声。幼児退行状態のレインが恋人の後を追ってとてとてと来たのだ。

戦力処か足手纏いになるであろう彼女の登場にスコールの表情が更に怪訝なものとなる。

しかし・・・

 

「ッ、清瀬・・・!!」

「レイン?」

 

先程までポケーッとマヌケ面を晒していた彼女の表情が春樹の顔を見た瞬間に引き締まっては目を三角にしたのだ。

けれども、其の表情には少しの恐れと脅えの感情が垣間見える。

 

「よぉよぉ、ケーシーパイセン! いや・・・今は、レイン・ミューゼルだっけか?」

 

「ッ、テメェ・・・!!」

 

「おいおいおいおいおい・・・そう殺気立てんで下さいよ」

 

そんな自らのISを展開しようとするレインへ片掌を見せた春樹は、自分の背後にある台車へ手を伸ばすと一本のボトルとグラスを彼女等へ見せた。

 

「俺は話し合いに来ただけです。ちょっとお話しません?」

「・・・何ですって?」

 

異様な姿に尋常ではない雰囲気の中、豪く腰の低い低姿勢で飲みに誘われた事に対し、スコールは自分がどういった表情をしているのか解らなかった。

ただ解っている事と言えば・・・・・

 

「阿破破ノ破!」

 

此の目の前にいる男が、決して一筋縄ではいかぬ面倒臭い輩であるという事実である。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

京都へ潜伏するテロリストであるファントム・タスクの殲滅の為、子供ながらに矢面に立たされる事となったIS学園専用機所有者一年生各員。

彼等は京都の環状線モノレールでレールジャックを行おうとしていたファントム・タスク構成員であるオータムをズッタズタのメッタメタのボッコンボコンにした後、ある特殊な方法によって残りのファントム・タスク構成メンバーが何処に潜伏しているかの情報を入手した。

情報解析に因れば、オータムがレールジャックを起こす事で自分達を血眼になって探しているであろう警察の目を集めている間、他のメンバーが安全圏へ。其の後、オータムは警察の包囲網を無理矢理突破してメンバーと合流する予定であったのだ。

しかし、事を起こす前に再起不能され、しかも他メンバーとの連絡を断たれた為、オータムが起こすであろう騒動待ちの其の他メンバーは待機せざるを得なくなったのである。

其のファントム・タスク待機メンバーの待機場所は大まかに二つの場所で待機していた。

一つは、街から脱出する為の逃走車両が隠されていると思われる大型倉庫。もう一つは、其処から其れ程離れていないホテル。

其処からIS学園勢は二手に別れる事となったのだが・・・・・

 

「なんで私がこんな場所にいなければならんのだ・・・!」

 

班割に不満があるのか、ISスーツの上にコートを纏った状態で待機所に居る篠ノ之 箒は酷く不愛想な表情で憤っていた。

組み分けを明かせば、突発的に作戦へ組み込まれる事となったアリーシャを含む箒・鈴・ラウラ・春樹はホテルへ。残りのセシリア・一夏・シャルロット・簪は倉庫へ向かう事となったのである。

因みに楯無は、捜査本部へ向かう千冬や山田教諭の護衛と云う面目で作戦には組み込まれてはいない。

 

「箒、アンタまだ言ってんの? いい加減、文句言うのやめたら?」

 

「鈴か・・・」

 

想い人と行動を共に出来ない事に腹を立てる彼女に対し、同じホテル班である鈴は呆れた様な表情を晒す。

 

「ふんッ・・・私の紅椿と一夏の白式は相性が良いのだ。一緒に居た方がヤツらに対して優位に立てると言うのに・・・あのバカ、清瀬は何もわかっていない!」

 

メンバーの組み分けを行った春樹に対し、箒は苛立ちを露わにする。

確かに彼女の専用機である紅椿と一夏の白式は相性が良い。白式の一撃必殺にしてエネルギー消費の激しい単一能力『零落白夜』を紅椿はエネルギー増幅を有する単一能力『絢爛舞踏』でカバー出来るのだ。

しかし・・・

 

「ふーん・・・私は春樹の組み分けは適格だと思うけどね」

 

「・・・なに?」

 

機体の相性が良くとも其れを扱うパイロットがあまりにも未熟だ。

箒は専用機所有者であると言っても、其れは彼女の姉であるISの発明者にして自らを”天災”と称する篠ノ之 束に機体を譲渡されただけに過ぎない。

IS適正が『S』ランクまで跳ね上がったと言っても其れが実力と見合う訳ではない。此れは一夏にも該当する事柄だ。

 

「パワーバランスが偏らない配分にしたんじゃない? アンタは嫌ってるようだけど・・・アイツ、春樹そういう事に関しては優秀よ」

 

今までの春樹の尽力を知っている鈴は素直に彼を評価するが、其れが面白くない箒は露骨に表情を曇らせる。

 

「鈴・・・お前は随分とヤツをかってるようだな? なんだ? 一夏から鞍替えするつもりか?」

 

不機嫌な箒はそう憎まれ口を呟く。

此れに以前の鈴ならムキーッと顔を真っ赤にして怒っていただろう。

だが・・・

 

「箒・・・いつまでも子供みたいなこと言わないでよ。こっちが恥ずかしくなるわ」

 

「なッ、なんだと!?」

 

鈴の冷笑にムッとして立ち上がる箒だが、そんなピリついた雰囲気の中へ間の抜けた声が響いた。

 

「ん? 二人ともどうかしたサ?」

 

振り向くと隻眼隻手が目立つが、其れ以上の美貌を持つ赤髪の戦乙女が二人を覗いているではないか。

 

「ッ、ジョセスターフさん。どうかされたんですか?」

 

「ん。いやね、彼が先行している間は暇だから色々見て回ってるのサ。それに私の事はアーリィでいいよ。それよりも・・・二人は千冬の弟くんの事が好きなノ?」

「「なッ・・・!?」」

 

突然のアリーシャの言葉に先程まで険悪な雰囲気を出していた箒と鈴はギョッとしてしまう。

 

「ど・・・どうしてそんな事を?」

 

「そうサネ。千冬と私が一緒になれば、どっちかが私の”義妹”になるからサ。今の内に中を深めとこうと思ってネ」

 

「「い、義妹・・・ッ!」」

 

余りにも急転直下の出来事が続く為に忘れていたが、此のアリーシャ・ジョセスターフと云う御人は世界最強のブリュンヒルデの名を冠する織斑 千冬に惚れているのだ。

 

本筋とは違うが、ISの普及と共にLGBTの認識も世間へ広まり、同性での事実上の婚姻関係も政府が認めてないだけで珍しくもなくなったが、未だそう云う関係を稀有な目で見る者は多い。

まぁ、そんな小難しい話は置いておいて、『義妹』等と云うパワーワードに二人があらぬ妄想に陥っているとドタドタと誰かが駆け込んで来る。

 

「二人とも! こっちにジョセスターフ代表が来なかったかッ?」

 

其の人物とは、此れまたISスーツにコートと云う姿で銀髪を振り乱して来たラウラであった。

そんな彼女に対してアリーシャは「ん? どうかしたのサ?」ととぼけた表情を晒す。

 

「どうかしたではありません。勝手にあっちこっちしないでもらいたい」

 

「そんなカタい事いわないでもいいのにサ」

 

テロリスト退治のシリアスな状況下にも関わらず緊張感のないアリーシャにラウラは眉をひそめて眼帯で隠されていない灼眼を三角にする。

 

「そう怖い顔しなくてもいいじゃないのサ。ちょっとした緊張をほぐしサネ。それよりも・・・ボーデヴィッヒさん。君、二人目の彼と随分と仲がいいように見えたけど・・・二人は恋人同士?」

 

「いえ、違います」

 

「「え!?」」

 

まさかの返答にアリーシャは予想が外れたかと思って目をパチクリさせ、箒と鈴は思いもよらぬ表情をした。

 

「あれ? 途中参加の部外者の私から見ても仲が良さそうに見えたんだけどね。だったら、彼は君にとってどういう存在なのサ?」

 

「決まっているでしょう。春樹は私の”夫”です」

 

「「ふぁッ!!?」」

 

またしても平然と衝撃発言をかましたラウラに箒と鈴はギョッとし、アリーシャは再び目をパチクリさせる。

 

「まだ籍は入れておりませんが、春樹が私の夫である事と私は春樹の”妻”である事。此れは確定事項です。そんな当たり前の事聞かないで頂きたい」

 

「そ・・・それは失礼したネ。・・・・・つかぬ事を聞くんだけどネ。君は彼に”抱かれた”という事でよいのサネ?」

「ちょ・・・ちょっとアーリィさん? そ、それは―――――」

 

「”子作り”の事ですか? 励んでおりますよ。それに近いうちに春樹との間に子供を儲けるつもりです」

 

「其れが何か?」と理路整然と答えるラウラに箒と鈴は開いた口が塞がらず、アリーシャに至っては「・・・最近の若い子はスゴいネ」と驚きの余り単調な感想しか思い抱けなかった。

思ったよりも結構深い関係である事が解り、アリーシャ並びに幼馴染ーズは若干鼻息荒くラウラへもっと春樹との事情を聞き出そうとしたのだが―――――

 

ドッグォオオ―――――オオオッン!!

『『『ッ!!?』』』

 

―――――恋バナを咲かせる前に見張っているホテルの一角へ大輪の火花が咲き誇ったのだ。

突然の爆発に監視に当たっていた警官隊に大きな動揺が奔り、国家代表のアリーシャの表情も強張る。

しかし・・・・・

 

「まったく・・・またか!」

 

「アイツが先陣斬るならどうせこうなると思ったわよ!」

 

「フッ、そう言ってやるな。イラ立っているから、あとでタップリ甘えさせてやらんとな!」

 

此れ迄の春樹の所業を良く知る箒と鈴は溜息交じりに声を上げ、ラウラは何故か上機嫌に羽織っていたコートを脱ぐのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆
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