IS/Drinker   作:rainバレルーk

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第193話

 

 

Q.次の単語に共通するものとは何か?

 

『暦の奏』

『豊明節会』

『五節の舞』

『小忌衣』

『日蔭の蔓』

『年越の祓』

『顔見世』

『箕祭』

『髪置』

『袴着』

『年の市』

『羽子板市』

『飾売』

『正月事始』

『松迎え』

『冬至粥』

『柚子湯』

『終天神』

『神楽』

『里神楽』

『夜神楽』

『竈祓』

『年籠』

『鳴滝の大根焚』

『終大師』

『除夜の鐘』

 

A.すべて『十二月』に行われる行事を表す季語である。

 

もっと言えば他にも十二月を表す季語はあるが、上記の単語欄に入っていない十二月を代表する行事ごとと言えば、『クリスマス』であろう。

 

街中はクリスマスカラーに彩られ、駅前や総合複合施設(デパート)では、大きなクリスマスツリーの枝へ色とりどりの火を灯される。

更に言えば、サービス業は此れより行われるであろうクリスマス商戦によって死屍累々の激戦が繰り広げられるのだ。

 

世間はまさに浮足立っていた。

そして、此処にもそんな世間の賑わいに乗せられて浮足立つ男が一人、駅前でソワソワしている。

 

「落ち着け、落ち着くんじゃ・・・波紋の呼吸をして落ち着くんじゃ・・・・・コォォォォォォォッ・・・!

 

冬の装いを身に纏った白髪オッドアイの男、清瀬 春樹は五分間吸って五分間吐き続ける様な特殊な呼吸法をして心を落ち着かせようとしていた。

 

〈クククッ・・・もう少し真面な顔をしたらどうだ? 見るからに緊張して悪目立ちしているぞ?〉

 

「マスク・・・フルフェイスのゼロマスクが欲しいでよ。よー眠れんかったけぇ、顔がひでぇ。もう少し酒を、ウィスキーやウォッカでも飲んで寝るんじゃった。昨日は軽い梅酒じゃったけぇ、軽すぎたでよ」

 

〈馬鹿者。折角の初デートを二日酔い顔を隠して挑むつもりか? ナンセンスにも程がある。其れに彼女に対しても無礼だぞ〉

 

≪大丈夫よ、今の春樹はビシッと決まってかっこいいわ。自信を持ちなさい!≫

 

そんな緊張感丸出しの彼へフォーマルスーツを身に纏った北欧紳士の幻覚、ハンニバル・レクターが面白おかしそうにほくそ笑みながら語り掛け、専用IS機体である琥珀が声援を送る。

 

「大丈夫・・・大丈夫・・・・・大丈夫? ヤベェ、でぇれー不安になって来た」

 

≪もー、また? 大丈夫、大丈夫。あれだけ勉強して、期末テストも赤点ラインは余裕で越える学力は身に着けたし、確定申告も完璧にやったでしょ? 不安がらずに楽しみなさい!≫

 

〈彼女の云う通りだ。忘れ物はしていないし、長谷川代議士から紹介された店も予約確保している。大丈夫だ〉

 

「じゃけど・・・じゃけどさぁ・・・・・こういう時って必ずと言っていい程に邪魔はいるじゃんか。大丈、夫・・・よな?」

 

〈あー・・・其れは・・・・・〉

≪う、うん・・・えーと・・・・・うん・・・≫

 

「何か言ってくれーや!!」

 

春樹はハンニバルと琥珀に向かって叫ぶが、両者とも幻覚と自立AIの特定可視人物である為、大きな独り言を言っている様にしか傍からは見えない。

「ママ、あのしろいひと、ひとりでへんなこといってるー」

「ダメッ、見ちゃいけません!」

・・・等と云った声が聞こえて来るが、春樹としては其れ処ではない。

前の世界から合わせて人生初の”恋人”との初デートなのである。気が気ではない。

 

「ヤバい・・・手が震えて来た。さ、酒が飲みてぇ・・・!」

 

≪だめよ。もうすぐ来るんだから我慢なさい!≫

 

「チキショウ・・・やっぱり、一緒に行った方がエかったんじゃねーか?」

 

〈そう、愚痴るな。おっと・・・噂をすればだ。蟒蛇殿、回れ右〉

 

「阿?」

 

初デートと云う訳で、初々しい恋人らしく待ち合わせを行った事を少々後悔してぶぅを垂れる春樹の顔をハンニバルは右へ逸らせた。

すると其処には―――――

 

「ま・・・待たせたな!」

 

流行りのゆるふわ冬コーデに身を包んだ独逸の銀髪黒兎が、何処か照れ臭そうに、其れでも堂々と佇んで居るではないか。

 

「こういったものを着る事は初めてだったからな。少々手間取ってしまった。遅くなって・・・・・春樹?」

「・・・・・ぢゅるり

 

目の前に現れた冬の妖精に大蟒蛇は、見開いた両眼から金の焔を漏らしながら思わず舌なめずり。

無論、隣にいるハンニバルは〈ハァ・・・まったく君はッ・・・〉と冷たい眼を彼へ向け、琥珀は≪()()早いわよ、バカ≫と悪態を吐いた。

そんな二人の冷淡な態度によって漸く我に返った春樹は、口端から垂れるよだれを袖口で拭って何とか取り繕うとする。

 

「ッ、め・・・めちゃんこでぇーれー似合っとるがん。い、いつの間にそねーな装備品を手に入れたんじゃ、ラウラちゃん?」

 

「・・・・・」

 

「ら、ラウラちゃん?」

 

「ッぷ! くくく・・・クフフッ・・・フハハハ!」

 

取り繕うと狼狽える春樹を余所にラウラ・ボーデヴィッヒは愉快そうに声を上げて笑った。年相応の十五の少女の様に軽やかにだ。

 

「フフフッ、春樹・・・お前というやつは、正直な人間だな。さっきの顔、あからさま過ぎるぞ?」

 

「えッ!? ほ・・・ホントに? うっわ・・・俺ってば、ナンセンスじゃがん」

 

やらかしてしまったかの様に項垂れる春樹に対し、ラウラは上機嫌に鼻を鳴らす。

実は彼女が着ているデート服は、外部の第三者が調達して来たものなのである。

 

当初、ラウラはミリタリージャケットやらなんやらのとてもティーンエイジャーが着る様な物ではない服装で身を固めようと思っていた。しかし、此れに待ったをかけたのは、ワルキューレ部隊の面々とよく彼女とつるんでいる専用機体所有者達。

 

「ラウラさん、あなたは素材がとてもよろしいんですのよ? それをご自覚なさってくださいまし!」

「やっぱり、ラウラにはこういう可愛いのが似合うんじゃないかな?」

「可愛すぎるのも考えものよ。シックなのも捨てがたいわ」

「薄くですけど、お化粧もした方が良いのでは? 真っ赤なルージュが似合うと思います」

「ラウラウ、かわいい~!」

 

ほぼ・・・と云うか、全くと言っていい程までラウラを着せ替え人形にしてしまう周囲へ対し、簪はただただ呆れた表情を向けるばかりであった。

特に恋敵である筈のシャルロットと楯無の熱の入れようは異常とも見てとれた。

 

「そんなあからさまな態度もうれしいが・・・私としては、ちゃんと言葉にして言って欲しくもあるな」

 

ラウラはくるりと其の場で回って見せる。

すると其の愛くるしい姿は、周囲に居た老若男女の視線を奪うには十分すぎるものであった。

 

「あぁ、可愛え。ホントにでぇーれー可愛えでよ、ラウラちゃん。愛い、実に愛い!」

 

「ッ、そ・・・そうか!」

 

そんな贔屓目なしで見ても可愛すぎると言っても過言ではない彼女へ春樹は惜しげもない賞賛の言葉を捧げる。其の想い人からの賞賛の声にラウラは「えへへッ」と口端を緩ませてしまう。

 

「は、春樹も中々に決まっているぞ! いつも以上に魅力的だ!!」

 

「ほうかい? 御褒めに預かり光栄の至りじゃ。いっつも御洒落なんて気にしてねぇけんな。いっつも甚平か作務衣、あとは制服ばっかじゃったけんな。其れに・・・・・ま、()()()のデートじゃけんな。俺も頑張ってみたでよ」

 

「うんうん。フフフッ・・・私もなんだかうれしいぞ!」

 

どう見ても()()()には見えない白髪オッドアイの爬虫類顔の男。

片や此の世の者とは思えぬ程に美しく愛らしい銀髪オッドアイの美少女。

此の相反的なカップルに益々周囲の視線が注がれるが、テンションが現在進行形で上昇している御両人は気にならぬ事。

 

「破ッ破ッ破ッ! そ、そいじゃあ・・・行きますか!!」

「りょ、了解だ! これより我々は、デートを()()する!!」

 

仲良く手を繋いで「おーッ!!」と拳を突き上げた二人は、意気揚々と横浜行きのリニアへと乗り込んで行った。

 

さて・・・そんな上機嫌な二人を後方から後を付ける影がコソコソと居る。

 

「こちら『ミステリアスなお姉さん』。ターゲットが移動を開始したわ」

「こちら『ラファールの麗人』。これより追跡をはじめるよ!」

 

「・・・・・お姉ちゃん、なにやってるの?」

「シャルロットさんまで・・・」

 

物陰から二人を羨ましそうな目で見る水色髪とオレンジブロンド髪・・・楯無とシャルロットへツッコミを入れるのは、簪とセシリア。

 

「朝からコソコソしているシャルロットさんを追ってみれば・・・お二人して、なにをやってるんですの?」

 

「勘違いしないでセシリアちゃん。これは、監視よ。ほら『男は狼』と言うじゃない?」

 

「そ、そうだよセシリア! 春樹は、見境のないとっても狂暴な()()()()だからね。ラウラが襲われないように監視してあげないと!」

 

「いや・・・それ、杞憂だと思う。ラウラが襲われるんじゃなくて、ラウラが()()可能性もあるし。それにあの二人・・・言葉は悪いけど、もう()()()()・・・()()()()な関係だよ? 最後の行き先はホテルだよ、絶対。まさか、だとは思うけど・・・そこまで追うつもり?」

 

冷めた視線の簪の発言に楯無は「ぐ、ぐぅ・・・ッ!」とぐうの音を上げてしまう。

あの()()()()()()()以降、春樹にしてもラウラにしても御互いの見えるか見えないか微妙なラインの肌へキスマークやら噛み跡やらがあからさまに増えたのである。

『鈍感スキル』を持ち合わせていない楯無とシャルロットは、すぐに二人が()()()()()になった事を察知し、大いに苦悩の表情を歪ませた。

 

「か、簪さん・・・あまりにも直球すぎでは?」

 

「ドストレートに言っておかないとダメな時もあるよ」

 

「おー!」と楯無とシャルロットは拳を突き上げる。

二人としては、春樹にはハーレムを築いて欲しい所なのだ。

此れは、彼を想いを寄せている二人の個人的な思惑も含まれているが、フォーカスを離してみれば、其の背景背後には利権を思案する大人達の企みがある事は明白である。

特に其の企みが顕著なのは、シャルロットの実家であるデュノア家だろう。

当初は親子関係修復のキッカケを作り、経営危機にあった会社の状況を好転させてくれた恩人の様な存在だった。だが、デュノア社社長であるアルベール・デュノアは、娘のシャルロットと同じ様に春樹をいたく気に入ってしまったのである。自分の跡目を継がせたいと願う程に。

其れ故にアルベールは、彼へシャルロットとの婚約話を持ち掛けたのだが・・・其れがラウラを一途に想っている春樹の癪に触り、怒らせてしまう。

シャルロットの方も春樹がラウラを愛している事を重々承知だ。承知の筈だが、彼の事をシャルロットは諦めきれていなかった。打ち明けた想いを、内に秘めた願望を拒絶されようとも。

結構重めの想いだ。

 

一方、楯無は純粋な乙女の恋心を春樹へ抱いている。

かなり特殊な家柄である彼女は、年相応の恋愛を諦めかけていたが、これまた特殊な立場に居る春樹にウッカリ惚れてしまった為、諦めようにも踏ん切りがついていなかった。

其の御蔭で少々・・・いや、かなり暴走気味だ。

 

「でも・・・この二人がそれで諦めるとは思わないけどね」

 

「そうよ! その通りよ、簪ちゃん!! 流石は私のかわいいかわいい簪ちゃん!!」

「そう、ボク達はそう簡単にあきらめないからね!!」

「さぁ、行くわよ! 出来る事なら()()()のよ!!」

 

恋を色んな意味で拗らせている二人は、雄叫びにも似た声と共に追跡へと向かう。

そんな二人に対して簪は「まったく、もう・・・!」と片頭痛持ちの様に頭を抑え、セシリアは「ヤレヤレですわ」と大きく溜息を漏らす。

 

「はーい、みんな買って来たよ~・・・って、あれれ? お嬢様としゃるるんは~?」

 

「ハァー・・・本音さんだけが今の癒しですわ」

「セシリアさん・・・めっちゃ同感だよ」

 

セシリアと簪は、とりあえずハリコミの為のアンパンをかって来た本音をハグするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆

































※ネタバレ
???「・・・あなたは、危険な人。ここで排除しなければ・・・いけない」
???「あぁ・・・()()会ったね。今度は・・・()()()()()を調理しようかな?」

大酒飲みの蟒蛇くん……ハーレム沼に引きずり込まれる?

  • 踏み止まる。
  • 渋い顔で入る。
  • 酒を飲まされた上で後ろから刺される。
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