―――――シャルロット・デュノアは、思い出す。
―――――眠る度に夢を見る。
「ふふッ・・・ふふふ♪」
「阿破破ノ破!」
陽だまりが注ぐ窓辺にて食卓を囲んで笑い合う自分と白髪で爬虫類顔の想い人。
そして―――――
「ままー、これおいしー! ぱぱもたべてみてよー!」
「うー、あー」
屈託のない笑顔を自分達に向ける何処となく二人の面影がある年端もゆかぬ幼子と赤ん坊。
其の無邪気な表情を見る度、シャルロットの胸は一杯となって顔が綻んでしまう。
・・・・・しかし、此れは
IS学園で行われた専用機タッグマッチ戦において発生した『ゴーレムⅢ事件』の後、幾何の間を開ける事無く起こった外部ハッキングによるIS学園中央システムシャットダウン。
後に『ワールド・パージ事件』と呼ばれる事件において、シャルロットを始めとする
だが、其れはハッカーが仕掛けた卑劣なる
【ワールド・パージ】
其れは、対象者に幻覚を見せる能力。
此の能力で対象者を外界と遮断し、精神に影響を与え、仮想空間では相手の精神に直接干渉する事で相手に幻覚を見せる事ができるのだ。
其の幻覚能力にまんまと惑わされたシャルロットが見たのが、想い人と其の間に儲けた二人の子供との
そんな幻惑に彼女は・・・ドップリと浸ってしまう。足の指先から頭の天骨まで、どっぽりと。
思考を完全に放棄し、安らかで朗らかな表情で
・・・・・・・・けれども、
「・・・・・あ・・・ッ」
ふと・・・見ていた夢から目が覚めれば、静かな空虚さが全身へ襲って来る。
想い人が自分へ向ける笑顔も無ければ、自分を慕う柔らかく温かな子供達の手の感触もない虚しさが心を締め付ける。
・・・まだ其れだけなら良かった。
夜空に煌めく星を手に入れられない事を知っている様に。画面の中に居るキャラクターへ触れられない事を知っている様に。
・・・・・・・・だが、シャルロットが恋い慕う相手は、手を伸ばせば触れられる位置に居た。何なら、彼と濃密なキスまで交わしていた。
しかし・・・彼が思い慕って恋い慕うのは自分ではない。
其の金色の焔が零れる熱の籠った艶やかな眼を向けられるのは、自分ではない。
其の鍛え上げられた傷だらけの腕で抱き締められるのは、自分ではない。
其の牙の垣間見える口で貪られるのは、自分ではない。
「破破ッ、好きじゃで・・・
「あぁ、私も大好きだぞ春樹! 愛しているぞ!!」
彼が・・・春樹が想い慕い、恋い慕い、愛し慕うのは、流れる様な銀髪とオッドアイを持つ自分の親友・・・ラウラだった。
更に追い打ちをかける様な事を言えば、ラウラも春樹の事を想い慕い、恋い慕い、愛し慕う相思相愛の仲。
共に戦って苦難を乗り越えた二人の間にシャルロットの付け入る隙などない。
「・・・・・知ってる。そんな事・・・知ってるよ」
自分の方が
考えれば考える程に、思えば思う程に・・・・・"口惜しい”。狂おしい程に手に入れたくなる。喉から手が出る程に自分のものにしたくなる。
けれども・・・春樹が顔に見合わず一途な事は知っていたし、シャルロット自身が拒まれている事も事実だった。
「でも・・・・・でも、良いんだ。最後に・・・最後にボクは、"勝ち取れば”良いんだから・・・・・
其れが徐々に徐々に明確に
◆◆◆◆◆
「まだか? まだなのか? まだなのかなぁ~??」
フランスの南部にある国内最大の港湾都市マルセイユ。
其の見晴らしの良い小高い丘の上に位置するマルセイユ・サン・シャルル駅の構内において、黒のブラックスーツを着込んだSPに囲まれた顎髭を生やした厳格な風貌が特徴的な四十代前半男性が、落ち着きのない様子でウロウロしていた。
「・・・落ち着いて下さい、
隣で彼を旦那様と呼んで諫めるのは、傍から見てもベテランだと云える風貌の執事。其の手には大きな花束を抱えている。
そんな執事からの諌言に対し、男はムッと眉間に皺寄せた。
「落ち着いてなどいられるかッ、『ジェイムズ』! あの子が、
「だからと言って・・・組んでいた全ての予定をキャンセルする事はなかったのではありませんか? 其れに・・・出迎えならパリ駅でも出来たでしょうに」
「わかっていない・・・わかっていないなぁジェイムズ! サプライズというものは、いきなり行うからサプライズなのだ!」
いい歳こいてはしゃぐ自分の主人にジェイムズは、頭を抱えて溜息を漏らす。
「なぁ、おい。あれってもしかして・・・」
「ウッソ!? 何で、あの人がここに居る訳?!」
「なんだ、なんだッ?」
一方で、顔の良く知れた有名人の男を見ようと周囲には人だかりが形成され、いつの間にか偶々いたアマチュアカメラマンまで湧いて来る始末。
まるでスターの来訪を待ちわびるかの様な光景だ。
「・・・・・なにあれ?」
此の異様な光景は、此れから駅に停車するであろう列車からも良く見えており、窓辺から外を見ていた水色髪で眼鏡をかけた少女は疑問符を浮かべる。
「誰か、有名人でも来てるのか?」
「そうかもね。もうクリスマスの季節だから」
「ん? 何でクリスマスだと有名人が来るんだ? 何かの撮影か何かでか?」
「それもあるだろうけど・・・フランスのクリスマスは、家族と一緒に過ごすのが伝統だからね。早めに実家に帰るスターもいるんじゃないのかな」
黒髪の少年、織斑 一夏からの疑問符に応えるブロンド髪の少女、シャルロットは自国のクリスマス文化を話す。
「そうか、そう言えば・・・そんな季節だった。十二月に入ってから色々あり過ぎて・・・忘れてた」
水色髪の少女、更識 簪の呟きに「・・・そうだね」とシャルロットは、何処か悲し気な表情となる。
「大丈夫だぜシャル! 俺達でイギリスでの問題を解決したら、みんなでクリスマスを楽しもうぜ!」
力強い声と共に元気のないシャルロットを励まそうとする一夏。
そんな彼の根拠のない言葉にシャルロットは、「う、うん・・・そうだね」と頷くだけだったのだが、其の一夏に対して冷たい視線を送る者が居た。
「馬鹿か。なんともお気楽な事だ」
一夏に似た面影のある黒髪の少女、元ファントム・タスク構成員コードネームMこと、織斑 マドカは辛辣な毒と呆れた溜息を吐く。
「まるで自分が居れば問題が解決できるかの様な口ぶりだな。成した事など一つもないくせに」
「ッ、なんだと!!」
蔑視のマドカに対し、一夏は身を乗り出して彼女に掴み掛ろうとしたのだが・・・・・
「やめんか馬鹿もん」
「痛ッ!!?」
一夏の頭に空手チョップが直撃。其の余りの衝撃に彼は頭を抑えて悶えてしまう。
其のチョップを繰り出した者を確認せんと振り返れば、其処には一夏やマドカと面影を同じとする美女が佇んで居た。
「まったく・・・おい、デュノア。お前の父親からの連絡はまだか?」
「は、はい。マルセイユ駅に向かってるってSMSで連絡したっきり返事はないです、織斑先生」
シャルロットの返答に怪訝な表情で「・・・そうか」と答えるのは、イギリス上陸フランスルート進行隊を指揮する天下に名高いブリュンヒルデの名を冠する織斑 千冬。
彼女は、無事にフランスを中継してイギリスへ入国する為にシャルロットの実家のコネを頼る事にしたのである。
シャルロットの実家は、世界第三位のシェアを誇るIS関連大企業デュノア社。なれば、ヨーロッパ各国に顔が利くだろうと千冬は考えたのだ。
「私は顔がわれている。さっきから乗客にサインやら写真をねだられて適わん。さっさとどこかで一休みしたいものだ」
「そうですね。列車の旅って・・・思ったよりあんまり快適じゃないし」
「
「おい、お前! 気安く千冬姉を呼んでんじゃねーよ!」
再びマドカに突っかかる一夏へ再び千冬の空手チョップが「やめんか!」の声と共に炸裂する。
「それよりも・・・なんだ外の騒ぎは? 私達と同じ列車に有名芸能人でも乗り合わせているのか?」
「さぁ、どうなんでしょう? マルセイユ出身のスターって、誰がいたかな?」
ドンドン近づいて来る歓声に他人行儀だったシャルロットだったが、彼女はふと歓声が上がる人だかりの中心を興味本位で窓から覗いて見た。
すると其処には自分の見知った顔が、ソワソワ落ち着きのない態度で佇んで居るではないか。
思わず「・・・ふぁッ!?」と呆気に取られてしまい、彼女は咄嗟に窓を開けて叫んだ。
「お、
突然、窓を開けて母国語で叫ぶシャルロットにギョッとする皆を余所に停車場で彼女の到着を今か今かと待って居た顎髭を蓄えた人物は、満面の笑顔で手を振ったのである。
「待って居たよッ、私の愛しいシャルロット!!」
大はしゃぎで手を振るのは、世界的大企業を率いるデュノア社社長にしてシャルロットの実父であるアルベール・デュノア其の人。
そんな彼のギャップある行動に対し、カメラマン達は彼等の事を写真に収めんとシャッターをきった。
「な・・・な、なんでお父さんがここにいるのかな?!」
パリに居る筈の父・アルベールの登場に目を白黒させながら降車したシャルロットをアルベールは其の大きな体躯で抱き締める。
「大切な娘が帰国すると聞いて急いで来たんだ! サプライズ大成功だな!!」
「お帰りなさいませ、シャルロット御嬢様。花束をどうぞ」
「あ・・・ありがとうございます、ジェイムズさん・・・・・って、違うよ!! どうしてこんな大騒ぎになってるのさ?!!」
「さぁ? 何でだ、ジェイムズ?」
どうやらアルベールはシャルロットが絡むと一時的にIQが下がる様で、あっけらかんと疑問符を浮かべる自分の主人に対し、ジェイムズは「ハァ・・・ッ」と溜息を吐いた。
「おい、シャル! 一体どうしたって言うんだよ?・・・って、え?」
「ッ・・・まさか、あの人って・・・!?」
「おいおい・・・勘弁してくれ・・・!」
「おや? やぁッ、ようこそフランスへ! ブリュンヒルデとその教え子たちよ!!」
車両から突然飛び出したシャルロットの後を追って来た一夏達一行と目が合ったアルベールは、彼等に歓迎の手招きをする。
其の彼の行動にギョッとしたのは、IS学園一行だけではない。
「まさかッ、あれはブリュンヒルデ!? ブリュンヒルデのチフユ・オリムラだ!! 間違いない!!」
「それに・・・隣に居るのは世界初の男のIS乗りのイチカ・オリムラじゃねーか?!!」
「それだけじゃないわ! デュノア社長が抱き締めた子は、最近になって公表した実娘のシャルロット・デュノアじゃない!!」
「ん? ねぇ、ブリュンヒルデの後ろにいる黒髪の子・・・なんかブリュンヒルデに似てない?」
周囲に集まっていた観衆は更なる歓声を上げながら手に持っていた携帯端末で写真を撮り、カメラマン達はシャッター音を止ませる事はない。
そんなシャッターの光の中、アルベールはシャルロットの肩を抱いたまま千冬に握手を求めた。
「ブリュンヒルデ・・・いや、織斑 千冬先生! 私の娘、シャルロットと共に我が祖国フランスへ来訪してくれた事を感謝します。最高のクリスマスプレゼントだ!!」
「・・・どうもアルベール・デュノア社長。社長自らの出迎え、恐縮の限りです」
満面の笑みのアルベールに対し、少し引き攣った苦笑を浮かべる千冬。
秘密裏に中継地のフランスを通過したかった彼女としては、今の状況は余りに余りにも誤算。
千冬は思わず笑っていない自分の目をシャルロットへ突き刺す。
「(ひ、ひぇえー!? なんで・・・なんで、こーなっちゃったのかなぁ??)」
其の若干殺気立った視線に泣きそうになるシャルロット。
そんな彼女の表情をカメラマン達は父親との再会に感動しているものだと勘違いし、シャルロットへフォーカスした。
此れで新聞の一面は当分の間、彼女の顔が掲載されるだろう。
「(こいつが・・・コイツが、シャルの父親ッ・・・・・シャルを無理矢理、IS学園に送った野郎か!)」
そんな中、唯一人、一夏はマイナス感情が籠った視線をアルベールへ向けているのであった。
◆
マルセイユ駅での珍騒動後、本格的な報道陣が来る前に一行はデュノア家が所有するプライベートジェットでパリのシャルル・ド・ゴール国際空港へと向けて飛ぶ。
其の空港到着後、息も吐かせぬ間も無くこれまたデュノア家所有のリムジンで、一行はデュノア家本宅があるパリ一等地へ向かったのであった。
「おかえりなさい、シャルロット!」
「うわっぷ・・・!?」
見るからに豪邸と言っても差し支えないデュノア家の玄関門前。
オレンジ色のリムジンから降りたシャルロットを精一杯抱き締めるのは、何人もの使用人達を背後へ控えさせた気品に溢れた美貌の持ち主。
「ちょ・・・ちょっと苦しいよ、
彼女の名は、ロゼンダ・デュノア。
アルベールの正妻であり、シャルロットの義母にあたる人物だ。
其のロゼンダが、シャルロットの頭を何度も何度も自分の豊満な胸へと埋めさせ、彼女の頬へ幾度となく唇を落とす。
「あッ、ズルいぞロゼンダ! 私にもハグとビズをさせるんだ!」
「御当主・・・先程、御嬢様にしたのでは?」
「そうよ、だから今度は私の番! さぁシャルロット、私にもっとお顔を見せて頂戴? チュッチュ♥」
「も・・・もう勘弁してよ、二人とも―――――ッ!!」
周囲の目など一切気にしない父・アルベールと継母・ロゼンダの熱いビズに挟まれ、もうモミクチャ状態のシャルロットは顔を真っ赤に染め上げて叫ぶ。
目の前で行われる情熱的な家族の再会に対し、織斑姉弟妹は様々な表情を晒す。
千冬は溜息を漏らし、一夏は複雑に眉間へしわを寄せ、マドカは何処か羨ましそうに一家を見つめている。
そんな三者三様の表情をする隣で、簪はアンニュイな表情で自分の姉の想い人の様に呟いた。
「ヤレヤレ・・・だね」
「ッ、見てないで・・・助けてよ、みんなぁ―――――!!」
羞恥心に堪えられなくなって悲鳴を上げるシャルロット。
其れでも此の後、彼女は少なくとも十分は両親の熱いハグとビズに揉まれた事を追記して置く。
「と・・・とんでもない目にあった。どっと・・・どっと疲れちゃったぁ~!」
熱烈な歓迎から漸く解放されたシャルロットは、豪邸内にある自分の部屋へと逃げる様に駆け込むとベッドへ顔を埋める。
「・・・・・すごい部屋。ベッドの方も・・・まるでお姫様のベッドみたい」
あまりにも豪華な装飾品に家具が並ぶシャルロットの自室に目を丸くするのは、共に同じ部屋に泊まる事が決定した簪。
彼女はキョロキョロ辺りを見回しながら促されてシャルロットが寝転ぶベッドへ腰掛け、高級マットレスの感触を楽しむ。
「ふっかふか・・・・・さすがは、世界シェア第三位の会社社長令嬢・・・とっても豪華」
「もうッ、やめてよ。ボク一人じゃ持て余す部屋の広さなんだよ? 広すぎて、夜寝る時なんて怖い時があるもん。あと・・・ボクの知らない内にものが増えてるし。また勝手におかあさんとお父さんが買って来たんだよ絶対」
「でも・・・なんか、うれしそう」
簪の指摘に対し、シャルロットは「・・・・・そうだね」と眉間にしわを寄せた怪訝な表情から一転して優しそうな笑顔を浮かべる。
実はシャルロットは少し前まで、アルベールとロゼンダ含んだデュノア家とは最悪の関係だった。
しかし、ある
「・・・・・
「・・・たぶん。それでお酒の肴にするよ、絶対。あのヘンテコな笑い声をあげてさ」
「プッ・・・フフフ♪ それでガブガブお酒を飲むんだ。あ、そうそう。お父さんが、ワインをコレクションしてるんだけど・・・それを全部飲んじゃうんだろうな。おいしいおいしいって言って・・・何本も何本もボトルを一瞬で空にしちゃうんだろうなぁ・・・」
あの奇天烈珍妙な「阿破破ノ破ッ!」と云った笑い声を上げる此処にはいない想い人の顔をシャルロットは思い出す。酒の入ったグラスを片手に笑うデュノア家の大恩人、清瀬 春樹の顔を思い出す。
けれども、恋い慕う想い人の顔を思い出すシャルロットの表情は何処か浮かない。
何故なら彼は月初めに
・・・・・しかし、彼女は知らない。
其の重体の春樹は現在―――――
「ッ・・・あ、危ない危ない。思わず暗い気分になる所だったよ。今は・・・今は、そんな場合じゃないもんね!」
シャルロットは眼元をゴシゴシ擦るとカラ元気を思わせる笑顔を振りまく。
其の何処か苦しそうな表情に対し、簪は「・・・無理、しなくてもいいんだよ?」と彼女の手を優しくそっと握ってやる。
簪はシャルロットの気持ちが少し理解できた。
彼女の姉である更識 楯無が、ロシア軍の追撃から皆を逃がす為にたった一人の殿軍となって残ったからだ。
・・・・・しかし、彼女は
其の殿軍を買って出た楯無は現在―――――
「・・・・・ありがと、簪。でも、大丈夫。ボク、大丈夫だから!」
「ッ・・・シャルロットさん・・・!」
「え? ちょ、ちょっと簪!? なんで君が、泣きそうな顔をしているのかな? 意外と感受性豊かだよね、簪って」
だが、シャルロットは自宅でありながら邸宅内の間取りがよく解っておらず、半ば迷子になりつつ広い広い邸宅を彷徨った。
「・・・・・ごめん、簪。ここって、前にも通ったかな?」
「通った様な・・・そうでも、ないような?」
「も、もしかしてボク達・・・迷子になっちゃったのかな!?」
似たり寄ったりな空間を右往左往して申し訳なさそうにするシャルロットだが、漫画やアニメの一コマ様な特殊状況に簪は何処かウキウキする。
・・・・・そんな奇妙な状況の中、偶々通りかかった部屋から―――――
「ふざけるんじゃねぇよッ!!」
「「!?」」
半開きの扉から聞こえて来る若い男の怒鳴り声。
其の怒鳴り声は日本語で発せられており、しかも其の後にはバキィ!と云った打撲音と「あなた!?」と悲鳴の様なフランス語が聞こえて来たではないか。
「ッ・・・おかあさん、どうしたの?!」
継母ロゼンダの悲鳴に尋常ならざる事態を悟ったシャルロットが、部屋に入ると其処には―――――
「しゃ、シャル・・・!?」
「シャルロットッ・・・!」
「あぁッ、まったく・・・!!」
頬を赤くし、身体を仰け反った状態の父・アルベールと彼の胸倉を掴んで拳を振り抜いた状態の一夏が居り、其の真向いには複雑な状況に眉間を寄せる千冬が、奥歯をギリッと噛み締めていたのであった。
・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆
極東は田舎生まれの蟒蛇くんの進化ルート
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