ガンダムSEEDの最新作…良かったわぁ。
キラとラクスの愛の物語だったし、久々の公式のシンルナが見れたし、満足でしたわぁ。
という訳で…何がという訳なのかは不明ですが、今回はちょっとした
―――――〈・・・ククッ・・・ハハハ・・・・・クハハハハハッ!〉
夜道に響く
その小気味の良い嘲笑を発するのは、上等なスーツに身を包んだ壮年の北欧人男性。
まるで
「・・・・・・・・喧しい・・・」
しかし、その一方で、彼のすぐ隣を歩く白髪の男の表情ったらない。
まるで墓場の下から這い出たゾンビ・・・いや、ゾンビの方がまだ血色がいいだろう。
そんな酷い顔をした男は砕けんばかりに奥歯を噛み締めて不機嫌を吐露する。
だが、彼・・・清瀬 春樹の絞り出した声に対し、男・・・ハンニバル・レクターは更に口端を吊り上げた。
〈いや、すまない。
だが・・・おもしろい展開だ。
彼女・・・いや、あの父子があそこまでの”覚悟”を持っているとはね?
腹をくくっていたのは向こうの方だった。
まったく・・・君の
これを愉快と云わずとして何て言えばいいのか!!〉
珍しく感情を表に表すハンニバルが再び愉快に愉快に実に愉快に笑顔を振り撒けば、春樹は更に奥歯を噛み締める。
デュノア親子に招かれた夕食会後の晩酌で、シャルロット・デュノアとアルベール・デュノア父子が示した”覚悟”に春樹は酷く動揺して狼狽えた。
もしそこでアルベールの妻にしてシャルロットの義母たるロゼンダが異を唱えず二人に同調しようものならば、
「―――――二人とも・・・一体何を考えているの!!?」
けれども正妻であり、子供がいない義母と云う立場の彼女だからこそ、自分と自分の愛娘を
彼女のこの憤りにこれ幸いと春樹は態勢を立て直す為、
・・・まぁ、早い話が窓から飛び降りて逃げたのである。
〈春樹、君は完全に墓穴を掘った。
ロゼンダ夫人が間に立ったが・・・彼女はシャルロットに対して
実に・・・愉快だ〉
「喧しい云よーろーがなッ、こん畜生が!!」
くつくつ笑うハンニバルに春樹の鉄拳が襲い掛かるが、彼は
〈・・・春樹、何を戸惑う必要がある?
英雄は色を好む・・・いや、
しかも
「おいおいおいおいおいッ・・・オメェは一般的な倫理観や道徳観念を持ち合わせとらんのか!!
普通に浮気じゃろーがなッ、不倫じゃろーがな!!」
〈勿論、
この疑問符に春樹は何度目かの歯噛みをするが、そんな彼の肩をハンニバルは引き寄せて囁く。
〈それに・・・君だって本当は、そう
「ッ、何を云うて!?
違う!
俺はそんな糞みてぇなッ・・・伊藤 誠みてぇな考えはしとらん!!」
〈考え・・・ではなく、
だったら何故、あれを・・・ワールドパージ・ファンタズムを彼女等に使わなかった?
あの女・・・織斑 千冬の様に手頃な誰かに
ハンニバルからの疑問符に春樹は図星を突かれたかの様に下唇を噛み締めた。
『ワールドパージ・ファンタズマ』
春樹を襲ったクロエ・クロニクルの専用機に搭載されていた能力『ワールドパージ』を流用した新しく琥珀に搭載された異能だ。
能力としては、ワールドパージと同様に対象者に幻覚を見せる事が出来るのだが、その他にも対象者の精神を別界へと引きずり込み
つまりは、この異能を使ってデュノア一家へ春樹にとって不都合な記憶を
〈―――・・・だが、君はそれをしなかった。
それもその筈だ。
シャルロットは、ラウラと
「黙れ!!」
それでも
〈・・・もう君は常人には戻れない。
それを
自分を未だ
口端を上げて言葉を連ねたハンニバルは、まるで砂漠の蜃気楼の様に掻き消える。
あとに残されたのは、空の酒瓶を手に渋い顔をする一人の酔っ払いだけであった。
・・・・・しかし、まだ彼の精神的災難は終わっていなかった様で―――――
―――◆◆◆―――
「今日は散々な一日じゃった。
初めての公式大会で、初っ端から優勝候補筆頭のヤツと当たるなんてツイてないって思っとったのに・・・・・
え?
何なん?
あんなもんなん?
あんなんじゃったらシルバリオ・ゴスペル・・・去年の夏に戦った福音ちゃんの方がまだ強かったでよ。
んでもって、なして勝った俺が負けたやつのフォローなんてせにゃならんのんなん?
そんで試合終わって、何でか知らんが居るシャルロットが夕飯誘ってくれて、美味いフレンチやワインやこー食わしてもろうたり飲ましてもろうたりしたが・・・あいつ、
母ちゃんの粕汁が喰いたいでよ。
ラウラちゃんのむすびが食いたいでよ」
傷心を負った春樹はぶつくさ言いながら帰路を歩む。
しかし、彼が向かっているのは割り振られたホテルの一室ではない。
〈いいの春樹?
ホテルで眠らなくて・・・折角のスイートルームなんでしょ?〉
「ええよ。
どーせ、ホテルの前にゃあパパラッチが張り込んでおるじゃろし・・・気が立って寝られん。
それよか・・・気が置けれん人が居る所でちょっとでも寝れた方がええ」
春樹が向かう場所は、IS統合対策部整備班が使用しているホテルだった。
自分の専用機たる琥珀と談笑しながら歩くと少しばかりではあるが、気が紛れて表情が和らいだ。
・・・ところがどっこい。
「・・・何じゃありゃ?」
整備班の面々が泊っているであろうホテルのラウンジがガヤガヤと騒がしい。
どうしたもんかと春樹は集まった野次馬へ紛れれば、押すな押すなと人混みに押されてしまって騒動の中央へ流されてしまう。
すると―――――
―――「だから清瀬 春樹を出せって私は言ってんのよ!!
アタシの日本語間違ってないでしょ?!
それとも・・・あんた達、日本語がわかんない訳ッ?!」
「ですからッ・・・何度も言っていますが、彼はここにはいないんですってば!」
「嘘おっしゃい!
ホテルがもぬけの殻ぐらいバレてんのよ!!」
見れば、サイドテールの少女がIS対策部の整備班スタッフに詰め寄っているではないか。
何かあったのかと春樹はスタッフに詰め寄る少女の顔を確認してみれば―――――
「ありゃ・・・?」
彼はその少女に見覚えがあった。
同じIS学園に通い、幾度もの事件と修羅場を経験しては収めて来た
「
何しょーるんなん、こねーな所で?
髪型も・・・いつもと違う感じじゃしよぉ!」
春樹は思わぬ場所での戦友との再会にテンションが高くなったのか、彼女へ手を挙げて声をかける。
だが―――――
「はぁッ?
なに・・・誰よ、あんた?」
「・・・阿い?」
少女は怪訝な顔で自分に声をかけて来た春樹に疑問符を投げ掛けて来たのだ。
思いもよらぬこの会話のやり取りに彼はポカーンと口を開けてしまう。
まさか、試合で相手選手に対して容赦のない戦い方をした自分と知り合いだと思われたくなかったのではないかと要らぬ勘繰りをし、春樹の心はキュッと萎縮してしまった。
「ッ、あ!?
わ、我らが刃!
この人、すごく似てますけど
そんな心が萎んだ春樹に気が付いたスタッフが、思わず声を上げる。
この声に「え?どういう事?」と一瞬だけ戸惑ったのだが、よくよく件の少女を
「え・・・あっ・・・あの・・・・・すんません!
間違いましたッ、失礼します!!」
普段の彼ならば、もう少し謙虚で慎重に相手へ声をかけた筈なのだが、今宵の春樹は色々と負担を背負っていた為に事欠いてしまった。
自分から面倒事に首を突っ込んでしまい、「ヤバい!」と春樹は自分が
・・・されども、そうは問屋が卸さない。
「―――待ちなさいよ!」
「ぐぇッ!?」
足早に立ち去ろうとする春樹の首根っこを掴んで引き留める少女。
おかげで春樹は情けない声を上げて転びそうになった。
「何すんじゃッ、ボケぇ!
首が絞まろうがな!!」
「あんた、さっき私の事を誰と間違えたのよ?
聞き間違いじゃなきゃ・・・私の事、「鈴さん」って呼んだわよね?!」
「ッ、さ・・・さてな!
気のせいじゃねぇんか?
知り合いに似とる思うてみたが、よーよー見たら全然似とらんかったわ!
えーけぇー、早う離せや!!」
「・・・ふーん、そういう態度とるんだ。
だったら!!」
「ッ!?」
そう言うと少女は何を思ったのか。春樹から手を離すと同時に自らの手へ青龍刀を
この攻撃にすぐさま反応した春樹は、即座に愛刀の三尺太刀を展開して防御。
そして、キィイッン!と甲高い音が鳴ると共に二人はバックステップで後退した。
「ッ・・・テメェ何考えとるんじゃッ、この馬鹿!!」
「バカとはなによ、バカとは!
あんたが下手にしらを切ろうとするから試してやったのよ!
やっぱり、あんたが清瀬 春樹ね!」
悪びれた様子もない少女に対し、「このガキが!!」と春樹は金眼四ツ目のヴァイザーを瞬時装着して太刀を冠受け構えの形をとる。
現場へ只ならぬ緊張感が一気に奔り、野次馬をやっていた周囲は悲鳴を上げる間もなくゴクリッ生唾を飲む音を静かに響かせた。
「おどりゃテメェ・・・何モンじゃい!?」
「アタシ?
アタシは・・・『凰 乱音』!
台湾の代表候補生よ!!
それでもって・・・あんたの次の対戦相手!
そのアタシが、ワザワザあんたに宣戦布告しに来たってワケ!」
「なッ、何じゃと・・・!?」
名乗りを上げた少女、乱音に春樹はギョッと肩眉を上げる。
顔立ちが似ており、何より苗字が『凰』という事は十中八九、凰 鈴音の親族か何かであろう。
「・・・知らんかったわァ。
鈴さんには、こねーによー似た妹さんが居るとはな。
こねーにとんでもねぇ、脳が足らん
「誰がノータリンよ!
頭っきた!
宣戦布告のつもりで来たけど・・・気が変わったわ!
ここでコテンパンにしてあげる!!」
二人は臨戦態勢で得物を構える。
そして―――――
「―――何やってんだッ、このバカ!!」
「あっでッ!?」
「え・・・ッ?」
コーンッと、春樹の被った銀色の変わり兜に銀色の中身の入った350㎖缶が当たる。
その缶が飛んで来た方向を見ると中身の詰まったクシャクシャのビニール袋を提げた見知った顔の男が一人。
「せ、芹沢さん?
何をやりょーるんですか?」
「じゃんけんに負けて外まで酒買いに行ってたんだよ!
ってか、そりゃこっちの台詞だバカ!!
お前、なにホテルの中でIS展開してんだよ?!
なんだッ、なんだ!?
また、あの頭のイカれたテロリスト連中の襲撃か!?」
芹沢の発言に「て、テロ!?」とザワザワ騒ぎ始める野次馬周囲。
これに気おくれしたのか。乱音は「ッチ!」と舌打ちをすると共に自分の得物を納めれば、ふんぞり返って春樹へ指を差した。
「今日のところは、これぐらいで勘弁してあげる!
明日はこんなもんじゃすまないと思いなさい!!
覚えておきなさいよッ!!」
まるで三下敵役の様な捨て台詞を吐いた乱音は、そのまま足早にさっさとホテルから出て行ってしまう。
「・・・・・・・・もう・・・もうッ、本当に・・・本当に何なんっじゃッ、本当に!!
こん畜生めッ!!」
春樹はキーッと歯軋り・地団駄・掻き毟りを行った後、自分の頭に命中した缶を開けて一気に飲み干したのだった。
「・・・スパァアアッ、ドゥラァアアイ!
・・・・・俺、キリンの方が好き」
「ここはオーストラリアなんだよ、クソガキ。
文句言うなら飲むな。
ってか、飲むな
―――◆◆◆―――
≪ンふ♪
おはよう、こんにちは、こんばんわ!
本日も全世界に衛星生放送で放送している新年を祝うビッグファイト!!
今日はヴァルキリー・アプレンティスの二日目!
昨日の行われた激闘の第一回戦を勝ち残った
≪そうですね、キンブルさん。
でも・・・一つあなたに訂正してもらいたい事があります≫
≪え!?
私、なにか間違ってましたか!?≫
≪栄えある一回戦突破者達です。
キンブルさん、あなたはさっき
だけど・・・本当は
≪え・・・?
あっ・・・あー!
そうでした、そうでした!!
今大会には
今大会の大注目選手!
一回戦で前大会チャンピオンにして今大会優勝候補筆頭を偶然にも?
それともビギナーズラック?
まぁ、なんでも構いませんが・・・
彼が勝ち進んでしまった事により、彼を打倒して名を上げようとみんな目をギラギラさせています!
そんな噂の伊達男の次なる対戦相手!!
それは―――――≫
―――◆◆◆―――
≪青コーナー!
可憐と優美さを併せ持った
されどその可愛らしい姿に騙されちゃいけない!
小さくても虎は虎!
鋭い爪と牙が対戦者を襲う!!
ご紹介いたしましょう・・・台湾から来訪した
『ランイン・ファン』選手!!≫
―――第二アリーナBブロック第二試合。
アナウンサーの御紹介を預かり、大歓声に応える様に手を上げた乱音は
彼女は三国志で最も有名な登場人物であろう関羽雲長が得意としていた武器として御馴染みの青龍偃月刀を握り、自身の専用IS『甲龍・紫煙』を纏う。
その一般的ISに比べて軽装で機械的な容姿の他に黄色いのリボンで自分の髪をサイドテールに纏めた愛らしい姿の乱音が観客達の目を引く。
≪続きまして、赤コーナー!
偶然か、それともはたまた幸運か!
ジャイアントキリングを起こす極東から来た
最強の証明たる白い鎧は彼に相応しいものなのか?!
賛否両論を巻き起こす
『ハルキ・キヨセ』ェエッ!!」
ザンッ・・・と、深紅の鞘に納められた三尺太刀を担いで現れたのは、白雪の如き純白の鎧兜を身に纏う金眼四ツ目の
この鬼の登場にあれだけ大きな歓声が上がっていた客席がシンッと一気に静かになり、誰もかれもの視線が彼へと注がれる。
「逃げずに来た事は褒めてあげるわ!
でも・・・これからアタシにボコボコされるんだから来ない方がよかったのかもね!」
得意げに「フフン♪」と春樹へ青龍刀の切先を向ける乱音。
そんな小生意気な彼女の態度に対し、春樹は担いでいた太刀をおもむろに腰へ佩くとボトムのポケットからビニール袋を取り出し―――――
「―――おっぇえええええ!!」
「ッ、え!?
ちょ、ちょっとアンタ!?」
人目もはばからず盛大に嘔吐する春樹。
まさか、これから試合をする自分の目の前でゲロを吐くとは思ってもみなかった乱音は思わず駆け寄る態勢をとってしまうが、これを彼は片掌を見せる事で制止させた。
「へぇ・・・へぇッ・・・!
だ、大丈夫・・・大丈夫じゃけん。
ちょっと
昨夜の
「ふ、ふーん・・・でも、良かったじゃない?」
「・・・何がぁ?」
「だって万全の状態じゃないんでしょ?
言い訳が立つじゃないの。
「おれ、万全の状態じゃなかったから負けたー」・・・ってね!」
乱音は「やれやれ」と溜息を吐きながら首を振り、「悪い事言わないから棄権したら?」としたり顔をすれば、春樹の異変を察知した観客席からもクツクツと嘲笑がささやかれる。
その一方、この状況に胃の腑の中身を全て文字通りぶちまけた春樹は一つ大きな溜息を吐いた。
「・・・そうかもな。
本来なら棄権した方がええかもしれんが・・・・・あれじゃ、アレ」
「アレ?
アレって・・・なによ?」
「あれ言うたらアレじゃ!
ほれ・・・
ええ
「・・・・・・・・はッ?」
ぜろぜろ肩で息をする春樹が放った言葉にぴきッと乱音は額へ青筋を浮かべるのだが、彼の
「あと・・・君、あれじゃろう?
ちょっと調べてみたら俺よりも
じゃけん・・・ちょっとは
其れに年下の・・・阿呆な
なぁ・・・
春樹が放ったカタコトの台湾語を訳すと「子猫」である。
実を言えば、乱音は自分の二つ名である『小虎』と云う名が気に入らなかった。
本来ならば『虎』の漢字一文字だけで良い筈なのにその前に『小』の字が付く事は自分が舐められていると思っていたからだ。
しかし、目の前の男は自分の事を『小虎』の二つ名よりも
「ふ・・・フフ・・・フフフフフッ!」
「破ッ・・・破破破破破破破!」
乱音は両肩を震わせると共に呵々大笑と声を上げた。
すると春樹の方も釣られてケラケラとあの奇妙な笑い声を上げる。
両者向かい合っての笑い合いに観客席は「一体どうした!?」とざわつき出すが、よくよく見ると乱音の目の奥に
その内、試合開始を告げるけたたましいブザー音がアリーナへ響き渡れば―――――
「アンタ―――」
「テメェ―――」
「「ぶっ飛ばすッ!!」」
―――刃を構えた二人の武人が剥き出しの闘争本能を露わにして地面を蹴り上げたのであった。
・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆
…ワンサマー氏と和解すべきだと思う人ー?
-
はーい!!(^^)/
-
えー!?(・_・;)