IS/Drinker   作:rainバレルーk

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―――223話冒頭において、芹沢 早太はこう発言した。
「あぁッ、ウザったらしい!
惚れさせた責任ぐらいとってみやがれってんだい!!
そんな煮え切れない態度とってるとなぁ・・・その内、()()()()()()()()()()()()()()()()んだからなぁ!!」

・・・という訳で、フラグ回収します。



第225話

 

 

 

U-18指定IS大会、ヴァルキリー・アプレンティス二日目。

Bブロック第二試合終了後、国際IS委員会()()()()()()関係者は、ソーダ味の氷菓よりも真っ青な色をした表情で戦々恐々としていた。

 

なんと優勝候補として出場していた自国代表候補生のロランツィーネ・ローランディフィルネィが、第一アリーナDブロック第二試合出場を控えているにも関わらず、第二アリーナで行われていたBブロック第二試合へ()()したのである。

しかもその乱入理由は、当試合で劣勢を強いられていた台湾代表候補生の凰 乱音を助ける為だと云う。

 

本人としては、中世騎士道精神の核心的教えの一つである「弱者の保護」を全うした訳なのだろうが・・・如何せん状況があまりにも()()である。

更に言えば、彼女が()()をして相対した相手と云うのが、二人目の男性IS適正者の清瀬 春樹だった。

 

ここでロランツィーネは春樹を倒すか、()()でも刺し違えていれば未だ事情は単純であったろうが、あろう事か彼女は助け様とした筈の乱音に()()()()()()()()のである。

『目も当てられない』とはこの事で、一体何の為に試合へ乱入したのか解ったものではない。

 

この彼女の行動に理解を示す者や肯定する者達も居たが、「流石にこれはいかがなものか?」と他の大会出場者並びに各国のIS適正者や視聴者達は思わず()()()()をした。

 

さて、突如としてロランツィーネの引き起こした暴挙の()()()をする羽目になった国際IS委員会オランダ支部の面々は大いに戸惑い、動揺し、慌て、どうにかして事態を収拾せんとした。

 

無論、国家の威信を示す為の大会で他試合への乱入等と云う有り得ない()()()()()()()()()ルール違反をしたロランツィーネは当然の如く失格であり、加えて代表候補生の地位と専用機も剥奪。下手をすれば、IS業界からの追放も有り得る重い処罰が降る事は明白であろう。

 

・・・ところがどっこい。

ここに来て、意外な所から()()が入って来たのだ。

 

―――――「ロランツィーネ・ローランディフィルネィ選手には、平常通り試合へ出場する事を我々・・・いえ、()は希望しております」

『『『・・・・・・・・はい???』』』

 

試合後に緊急で開かれた日本陣営とオランダ陣営並びにヴァルキリー・アプレンティス主催運営陣営で行われた話し合いにおいて、日本側IS統合対策部の代表として赴いた人物、金城 沙也加が以下の様な発言したのである。

このまさかまさかの()()にオランダ陣営並びに大会主催陣営は、開いた口が塞がらなかった。

 

「そ、それは・・・一体どういう意味で仰っているのですか?」

 

「勿論、我々としては遺憾の意を表明したい所ですが・・・彼、清瀬選手から「大した被害はなかったから別に責任なんか問わなくていいよ」等と云ったトチ狂っ・・・・・いえ、寛大なお言葉があった為、今回の一件を大事にする気はなくなりましたので、ご安心ください」

 

「まったく、やれやれ」と溜息を吐き出す金城にオランダ支部の面々は四白眼で思わず口端を緩める。

けれどもこれに大会主催運営が待ったをかけた。

 

「ですが、ローランディフィルネィ選手は、大会出場失格に値するルール違反をしております。

なので、平常通り出場と云うのは・・・」

「―――――・・・あ”ッ?」

 

だが、当然とも言える主催運営の文言に対し、金城はありありと傍からでも理解できる程に不機嫌な表情と共に不愉快な疑問符を発したのである。

 

「ルール違反・・・?

ルール違反ですって?

ハッ・・・!

あなた方の口からルール違反などと云う()()を聞けるとは思いませんでしたよ!」

 

「ッ、何を言って・・・!?」

 

怪訝に眉をひそめた大会主催関係者へ「白々しい!!」と金城は机をたたくや否や、隣に座っていた相棒の浅沼 みどりへ合図を出す。

さすれば彼女は「合点でい!」と二つ返事で手元の資料を彼等に突き付けた。

 

「こ、これは・・・!!」

 

「あなた方が()()()に見逃したルール違反ですよ。

いちいち説明すると、一回戦においてエスコバル選手のフライングスタートを黙認し、何事もないように試合を続行させた事。

二回戦において、ローランディフィルネィ選手が乱入したにも関わらず、試合を中止しなかった事があげられますね」

 

「ですが、それは―――――」

「ですが、それは??

まさか・・・審判が独断で行ったとでも?

はははっ・・・・・ふざけてんじゃねぇぞ?

 

金城はへの字に捻じ曲げた口と共にギロリと()()()()()()()

いくら審判の独断であろうが、その審判の監督する責任は運営側にあると彼女は主張したのだ。

 

「さらに付け加えれば・・・浅沼氏?」

 

「はいな!

これは、若・・・いえ、清瀬選手が出場していた試合中に述べられた解説者からのコメントです」

 

「いくら女尊男卑の世の中と言っても・・・IS大会において公平性に欠けるコメントは如何なものかと思われますがね?

こんなもの・・・出るところに出せば、名誉棄損で訴える事が出来ますね。

世界的にも名のある大会にケチが付きますね」

 

「お・・・脅しているのですか?」

 

「ハァ?

脅す?」

 

「我々に対して、このような事・・・喧嘩を()()()()様なものですよ?」

 

この運営側の発言に対し、金城と浅沼はキョトンとした顔を見合わせた後、二人してニッカリ口端を吊り上げた。

 

「喧嘩を売っている?

違いますよ。

私達は・・・いえ、()()()()はあんたらから()()()()()()()()()んですよ」

 

「私達からの話は以上になります。

どうぞ、色よい返事を期待してますよ。

あぁ、あとオランダ支部の方?」

 

「は、はい?」

 

「清瀬選手からローランディフィルネィ選手への伝言です。

逃げられると思うなよ?』・・・との事。

それと・・・くれぐれも辞退や棄権などと云った()()()()()事は考えませんように。

ローランディフィルネィ選手が乱入した際、プライベートチャンネルで我々のパイロットへ言い放った()()を録音していますので」

 

「それでは」と言いたい事だけ言った日本側は足早に会議室から出て行ってしまい、あとに残されたオランダ支部役員達は不穏な伝言を受け取った事でガリガリと頭を掻き毟り、大会運営役員達はどうしたもんかと首を捻った。

・・・・・しかし、これ以上の苦汁を舐める事は現時点で()()している事を彼等は未だ知らなかった。

 

 

 

―――一方、あの試合で独特な雰囲気を漂わせる清瀬 春樹が()()()荒々しくも雄々しい戦いは、否が応でも世界へ多大なる衝撃をもって迎えられたのである。

 

だが、ISが有する特性のせいで今まで肩身の狭い思いをしていた者達からは拍手と胸襟を開いて招かれたが、I()S()()()()する者達にとっては、()()()()()のなにものでもなかった。

 

信奉者達は大口を開けて叫ぶ。

()()()()にISを纏って、か弱い少女を甚振った」と。「()()()()()ありながら身の程をわきまえない恥知らずだ」と。

ルールに則って相手を打倒した()()を見向きもせずに重箱の隅を楊枝でほじくる様な的外れな文言を垂れる者もいたし、「()()()、自分の名を売り込む為に相手選手に()()()()()()」と。「()()()、相手選手の弱みを握って勝ちを譲らせた」と云ったありもしない捏造を騙る者達もいた。

 

中でも特に多かったのが、「機体性能の御蔭で勝てただけ」と云ったものである。

ところが、この文言に否定的な態度を示した者達がいた。

それは各国のI()S()()()()()達であり、勿論、彼女達の中にもIS大会で男が勝利を収める事実に表情をしかめる者も居たのだが、そんな者でもあの試合で見せた春樹の活躍は()()だと認めたのだ。

 

しかして何故に多くの国家代表者達は彼を肯定的に見たのか。

何故ならそれは春樹が纏う専用機『琥珀』が高スペックであるからこそだったからである。

 

琥珀という第三世代ISは、例えてみれば超強力な機関銃。それも装填された一発一発の弾丸が高威力の大口径だ。

されども強力な銃火器と云うのは、強力であればある程に使い勝手が難しいものである。

それをIS国家代表者達は理解していた。機体性能が高ければ高い程にI()S()()()()()()()()のだと。

 

そんな意外な所で、自分が認められているとは露にも知らない騒動渦中の人物はと云うと―――――

 

 

 

―――◆◆◆―――

 

 

 

 

 

「嗚呼ッなんてー碧い海だぁー♪」

 

何処かの特級呪術師が学生時代に持っていた真っ黒な丸サングラスをかけ、ウルトラマンガイアに登場するウルトラ怪獣ガンQのTシャツを着た白髪の少年が、何とも上機嫌に歌の一つでも口遊みながらまるでステップでも踏むかの様な軽い足取りで厳かな漆黒のハイヤーから飛び出す。

彼こそIS大会ヴァルキリー・アプレンティスの準決勝まで駒を進めた期待のダークホース、清瀬 春樹だ。

しかし、本来ならばこの時間、彼はヴァルキリー・アプレンティスの準決勝戦に出場していなければならない。

・・・にも拘らず、どうして春樹はここにいるのか?

それは準決勝戦の彼の相手が試合を()()したからに他ならない。

 

ヴァルキリー・アプレンティス三日目の準決勝Aブロックが行われる当日の朝、唐突に相手選手が急病によって試合を棄権したとの一報が入って来たのだ。

よって急遽ポッカリとオフの日が出来てしまい、彼はこの急に発生してしまった暇に思い悩んでしまう。

折角、オーストラリアに来ているのだからオーストラリアワインやビールを飲んでみたいし、カンガルー肉のステーキも食べたいし、生のコアラやウォンバットも抱っこしてみたい。

ところが、やりたい事で思い悩む春樹へ一本の電話がかかって来た。

電話の相手は、彼を現在進行形で()()()()()()()()()を引き起こした人物なのだが―――――

 

「パッと光った水平線♪

誰かが散ったあとの存在証明♪」

 

見ての通り今の春樹は傍から見ても酷い浮かれ具合で、下手をすれば違法ドラッグをやっている薬物中毒者ジャンキーに見えても不思議ではない。

今にも職質されるのではないかと彼をここまで運んできたハイヤー運転手は訝し気に口をへの字にしている。

 

そんな能天気に浮かれる春樹がいるのは空港であった。

彼は快活に国際線ターミナルへと足早に急ぐとキョロキョロ辺りを見回して()()()を探す。

 

―――――「春樹!!」

「ッ!!」

 

自分の名前を呼ぶ狂おしい程に()()()()()()()()の声を聴いた彼はピクピク耳を動かした後、その声のする方へ顔を向けた。

真っ黒なサングラスをかけていても尚に解る程、金色の焔が四つの瞳から零れ出している。

 

―――――「()()ラウラちゃん!!」

「うわっぷ!?」

 

春樹は獲物へ狙いを定めた猛獣が襲い掛かる様に跳躍すると愛してやまぬ()()()()()()()()を抱き留めた。

一回りも身長差がある為か。少女の顔は鍛え上げられた彼の柔らかい()()()()に沈む。

 

「ッ、ちょ・・・ちょっと待て!

苦しいぞ、春樹!

それに周りの目が―――」

 

彼女・・・ラウラ・ボーデヴィッヒは恋人からの熱い抱擁に戸惑いつつも顔を上げたのだが、そんな彼女の薄紅色の唇へ春樹は吸い付いた。

 

くちゅ・・・ちゅぱッ・・・りゅちゅ・・・♥

ッん♥♥ンっ~~~♥♥♥

 

ラウラの口腔内へ差し込まれた彼の長い赤舌が歯や歯茎を舐め撫で回し、同じ部位とは思えない程に小さい彼女の舌をこれでもかと()()

そして、しっかりと久方ぶりの恋人とのキスを()()()()()()春樹が口を離せば、ラウラは頬を朱鷺色に染めたうっとり♥した表情を晒す。

 

は・・・はる、き・・・はるきぃイ・・・♥♥♥

 

たった一回のキスですっかり()()()()が入ってしまったラウラは熱の籠った灼眼を彼へ向ける。

春樹は、その蕩け切った()()の彼女の口元を指で軽く拭うと「・・・続きは車ん中でしようか?」と半分冗談半分本気の戯言を呟き微笑んでラウラを担ぎ上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――「このガキがッ、何をやっとるか!!」

 

ゴンッ!!

阿”たらバッ!!?

「は、春樹!?」

 

ところがどっこい。

颯爽と立ち去ろうとした春樹の頭部へ建築レンガの様な拳骨が振り下ろされたではないか。

そのあまりの衝撃にサングラスは落としてもグッと立ち堪えた春樹は、三角にした金眼四ツ目を自分を殴った人物の方へ向けた。

 

「このクソガキが・・・!

白昼堂々、衆人環視の前でなにをやっとるか!!」

 

するとどうだろうか。

春樹の網膜がとらえたのは、恋人がするキスのやり取りに「キャー!」と手に手を取りあって黄色い声を上げる年若い女性達一行を連れた赤い髭を蓄えた自分よりも一回りも二回りも大きい屈強な老紳士。

その時の彼の驚きようったらない。

「ッ、げぇえ!!?」と赤壁の戦いから命辛々逃げ延びた曹操が、その道中で待ち伏せていた関羽に鉢合わせた時の如き滑稽な声と表情を恥ずかしげもなく露わにしたのだ。

 

「さて・・・・・貴様には、色々と聞きたい事があるぞ?

えぇ、婿()殿()や?」

 

 

 

 

 

 

 

―――◆◆◆◆◆―――

 

 

 

あ・・・ありのまま、今起こった事を話すでよ!

今朝方、俺は浅沼さん達から準決勝戦の相手が急病で試合を棄権したじゃあ云うのを聞いて、今日が突然のオフになった事に戸惑っとったんじゃけど・・・そん時、まるで示し合わせて来た様に俺の愛しの()()()()ちゃん、もといラウラ・ボーデヴィッヒ少佐殿から連絡が来た!

しかも俺の応援をする為に試合観戦に来てくれるじゃあ言うて来てくれたんじゃけど・・・それが、もうすぐオーストラリアに入国する言うサプライズ!!

俺ぁホテルのベットから飛び起きて着の身着のままシドニーの空港まで無理を言うて車をかっ飛ばしてもろうた。

そんでもって空港に着いた鼻歌まじりで浮かれていた俺は、ラウラちゃんを見つけ次第、彼女へ一目散に駆け寄って抱きしめつつ濃密な()()()()()をかましてやった。

 

三日ぶりのラウラちゃんとのハグとキスの御蔭で、流石の鋼の理性もポッキリ折れちまって・・・恥ずかしい話、もう()()()()()()()()()()()()()()()()

もう堪えられなくなった俺は、村娘を搔っ攫う賊みてぇにラウラちゃんをお米様抱っこした・・・・・所までは良かった。

 

「我らがラウラ・ボーデヴィッヒ隊長の()()()()清瀬 春樹殿に敬礼!」

『『『ハッ!!』』』

 

絵本から出て来たみた妖精みてぇに可憐なラウラちゃんと一緒に来ていたのは、ラウラちゃんが率いる独軍IS部隊『黒兎シュヴァルツェ・ハーゼ』所属のハルフォーフ大尉達()()()()方・・・・・と―――――

 

「フンッ!」

 

()()()()()()みてぇなデカい図体した()()将軍・・・もとい、ラウラちゃんの()()にあたるクラウス・ミッターマイヤー准将閣下が居った。

 

・・・いや、なんで居るん?

いや、マジで何で居るんよ??

ハルフォーフ大尉らぁが居るんはまだ解るが、なして赤髭旦那まで居るんじゃい!?

 

・・・・・いや、まぁええわ。

ここにクラウスの旦那が居るんはまだ理解できる。

ラウラちゃんの保護者と云うか、後継人と云うか・・・まぁそんな感じじゃけん、まだ解る。飲み込んでやろう・・・・・・・・じゃけども!!

 

「―――・・・どうも初めましてドイツの方々。

私はデュノア・・・アルベール・デュノアと申します。

こちらは()()のロゼンダと()()のシャルロットです。

()()ラウラ・ボーデヴィッヒさんのご家族とお会いできて光栄です」

 

ポッカーンと首根っこ掴まれて阿呆ヅラ晒す俺が連行されたホテルの会議室で待ち構えていたんは、満面の笑みを浮かべたデュノア社社長・・・もとい、シャルロットを真ん中に据えたデュノア家一家一同。

 

・・・・・・・・なんでぇ?

どないしてデュノア夫妻とシャルロットが居るのぉ??

そして、どーして赤髭の旦那やハルフォーフ大尉達と握手してるのぉ???

 

な・・・何を言うとるんか、わからねーと思うが・・・・・俺も何が起こっとるんか理解出来んかった。

頭がどうにかなりそうじゃった・・・催眠術による幻覚じゃとか、昨夜の深酒でまだ夢の中に居る言う方がまだ良かった。

じゃけども・・・今、目の前で起こっている事象は紛れもない()()じゃった・・・!

 

〈・・・・・ック・・・ククク!

こ、これはッ・・・私も予想していなかったよ。

これが、『現実は小説よりも奇なり』・・・という訳か?〉

 

・・・・・ハンニバル・・・テメェ笑い堪えてないでどうにかしろ!!

無理ですよねッ、解ってますよ畜生め!!

誰か酒持ってない?

スピリタスでええけん!!

 

 

 

―――◆◆◆◆◆―――

 

 

 

―――――・・・新進気鋭のワルキューレ達が集うIS大会ヴァルキリー・アプレンティスにおいて今やその()()を轟かせているダークホースにして大会出場者で()()()()()()である清瀬 春樹は絶体絶命の危機的状況に陥っていた。

その状態たるや悲惨なもので、血の気の引いた顔と共に両肩で息をし、だらだらダラリと玉の汗が額から頬を伝っている。

そんなまるで重傷者か重病人の様な彼からフォーカスを遠ざけると退路を阻む様に左右で陣取っている者達が居た。

 

春樹から見て右には、中央に銀髪の美少女を据え、その傍にどう見ても歴戦の兵士にしか見えない厳つい面構えの赤髭老紳士と端正な顔立ちなれどもこれまた周囲を威圧するかの様な厳つい黒々とした眼帯を身に着けた女性兵士達。

その対照となる彼から見て左には、オレンジブロンドのこれまた美少女を中央に据え、傍らには顎髭を生やした厳格な風貌なれども人当たりの良い優し気な微笑みを浮かべた壮年の紳士と気品に溢れた美貌の婦人が坐している。

 

「さて・・・それでは、話を致しましょうか?」

 

脂汗をかく春樹を尻目に赤髭と金髭を蓄えた二人の紳士はグッと固い握手を交わした後、様子を窺う様に金髭・・・デュノア社長、アルベール・デュノアが口を開いた。

するとムスッと口をへの字に曲げた赤髭・・・独軍准将、クラウス・ミッターマイヤーが肩眉を上げる。

 

「話ぃ?

世界的ISの大企業たるデュノア社長が、一介の軍人たる私共を捕まえて・・・いったいなんの話でしょうかな?」

 

「勿論、ここにいる我らが刃Notre lame・・・清瀬 春樹君に関してです。

私の娘からあなた方の御嬢さん、ラウラ・ボーデヴィッヒさんを通じて話が行っていると思いますが・・・私の愛娘、シャルロットを()()()()として春樹君へ嫁がせようかと思っております」

「ッ・・・おい、ちょっと社長!?」

 

「ヒぃー!!?」とこれでもかと歯を食い縛って目をむいた件の春樹に対し、クラウスはギロり鋭角な目を未来の娘婿へやった後、「フンッ」と鼻息を漏らした。

 

「なんとも・・・なんとも我々()()には解り難い冗談を仰られる。

お宅の御息女が、この男の・・・我々の婿()殿()の第二夫人に?

これまたなんとも()()な冗句を言われる!」

 

「ッ、准将閣下!」

 

眉間にしわ寄せて渋い顔を晒すクラウスにラウラが食って掛かる。

これに対して彼は更にますます渋い顔になった。

 

「准将閣下殿!

本国にて、その話は解決に至った筈でしょうに!」

 

「しかしだなおチビちゃ・・・ボーデヴィッヒ少佐!

私は納得ができんのだ!」

 

クラウスの言い分は最もである。

後継人の保護者という立場であれ、義理の娘とは言え、部隊全員・・・いや独軍全員から愛されている自分の愛娘が生涯の伴侶として選んだ男に()()()が出来るなんてとんでもない事態だ。

渋い顔の一つや二つをしてもしょうがない。

 

そんな義理の父をラウラは本国じっかに戻った際に根限り説得したのだろう。

しかし、それでもクラウスは納得しなかっただろうが、そこで彼女は愛しい恋人との生活で付けた()()を使った。

 

「・・・わかりました。

それでは、私は軍を今すぐにでも()()する事にします。

閣下殿ならびに部下達との縁もこれまで限り!!」

 

「しょ、少佐殿!?

それはあんまりです!!」

 

「私は本気だ!

私はシャルロットを春樹の()()に迎えても良いと思っております。

その為なら・・・私は軍を抜けても構いません!!」

 

「お、おチビちゃん・・・!?

し、しかし軍を抜けてどうするつもりだ?!

いったい何処に身を寄せるというのだ!!」

 

「あてならあります!」

 

自分の()()を存分に使い、軍から()()()する事を()()に使うラウラは「そうだろ・・・春樹?」と恋人にウィンクをする。

その彼女の行為にラウラの過去を知る黒兎部隊の面々は驚きのあまり思わず出た黄色いを抑える為に自分達の口元を抑えた。

この自分の武器を存分に使う義娘の行為にクラウスは「っぐ、ゥウ・・・!!」と奥歯が砕ける程に噛み締めた。

 

「ぼ・・・ボク、ボクも・・・ボクもそうです!!」

「ッ、シャルロット?」

 

苦虫を嚙み潰した様な苦悶の表情を浮かべるクラウスに対し、今まで黙りこくっていたシャルロットが意を決した様に立ち上がる。

 

「ボク・・・ボクも春樹の隣に居たい!

たとえ、一番じゃなくってもいい!!

二番でも・・・三番目でも四番目でだって!!」

 

「シャルロット!!

あなた・・・自分が何を言っているのか解っているの?!」

 

とんでもない事を口走るシャルロットに「正気になりなさい!」とロゼンダは彼女の肩を抱いて揺さぶる。

いつかの日にロゼンダはシャルロットを「()()()!」の罵ると共に引っ叩いた事があったが、それは自分に子供が出来ない故の悔しさからであった。

しかし、もうそれも過去の話。

腹を痛めて産んだ子供ではないが、今では彼女の幸せを人一倍思う()()であった。

そんな彼女が、これからドイツ人の妻を娶ろうとしている男の妾になるなんて到底受け入れられる事柄ではなかったのだ。

 

()()()()()ッ、ボクは本気だよ!!

その為だったら・・・ボクはデュノア家と縁を切っても構わない!!」

「ッ、シャルロット・・・!!」

 

ボウッと決意の焔が伺える眼にロゼンダは気圧される。

抑えようとする自分に真っ向から小細工なしで立ち向かってくる娘の気迫にロゼンダは立ち揺らいだ。

・・・その時だった。

 

「・・・・・あの、さ。

白熱しとる所悪いんじゃが・・・俺はッッ、ラウラちゃん()()娶るつもりはないんじゃけど?!!」

 

今まで蚊帳の外で腹を下したみたいな顔をしていた当該人たる春樹が、ここに来て漸く声を上げたのだ。

彼としては最初っから、()()()()()ラウラ・ボーデヴィッヒだけを妻として娶ろうと思っていたのである。

色々と()()()した事はあれども、ハーレムのハの字も眼中になかったのだ。

・・・けれども―――――

 

「春樹、お前にベランダでプロポーズされた時にも言った筈だ。

()()にも()()()()()()()・・・それが私との結婚の条件だと!」

 

「じゃけぇ、それはまかり通らんじゃろうって言よーろーがな!!」

 

「別に問題はない。

私とは法的に籍を入れて、シャルロットとは()()()で良いだろう?」

 

「そうだよ!

ボクは、それで全然構わないんだから!」

 

「構うわ!

二世紀、三世紀前なら兎も角・・・いや、ヨーロッパは昔っから一夫一妻制じゃけん倫理観的におえまー云よーるんじゃ!!」

 

「心配ないぞ、春樹君!

私は君ならシャルロットを任せても構わないと思っている。

なぁ、ロジー?」

「・・・えぇ、そうねアル。

シャルロットの()()・・・認めるわ。

だから春樹君、シャルロット・・・()()()を頼みます」

 

「ちょッ、ロゼンダ夫人!?」

 

()()()()()()()()の地位に就くのラウラが強くハーレムを推奨し、それに()()の地位を望むシャルロットが激しく同調すると云う()()()()()が巻き起こる。

更にこれに娘・シャルロットと同じく()()()()()()()の父・アルベールと先程まで渋い顔をしていた筈の継母・ロゼンダまでもが乗っかって来た。

 

「それに・・・「俺はラウラちゃんを手放すつもりはない!

受け入れるんじゃったらシャルロットは俺の妾にするぞッ!」・・・と、君も言っていたじゃないか春樹君!」

 

「そうなのか、春樹?」

「クソガキ、貴様ッ!」

 

「あ、ありゃあ・・・そねーな酷い事でも言えばシャルロットは兎も角、アルベール社長なら怒って白紙にしてくれるじゃろうと思うて・・・・・」

 

「舐められたものだな。

私は娘と同じく、もう()()()()()()()()よ!」

 

キメ顔をするアルベールに春樹は「テメェッ、この・・・!」とギリギリ奥歯を噛み締める。

とてもハーレムを勧められている男とは思えぬ有様だ。

 

「・・・・・あの、質問よろしいでしょうか?」

 

するとここで、髪が少しはねた赤いミディアムヘアーで明るく活発な印象を与える少女が一人、挙手と共に疑問符を述べた。

彼女は、ラウラが長を務める黒兎部隊に所属するEOS四天王が一角たるネーナ・ミュラーである。

 

「どうした、ミュラー?」

 

「はい。

失礼ですが・・・どうして、ボーデヴィッヒ少佐殿は清瀬氏に他の女性と子供を作る様に迫るのでしょうか?」

 

どうやら部隊各員も詳しく事情を知らされていなかったのか、思わずこの当然の疑問符を発したのだろう。

・・・だが、誰よりも目を見開いたのは春樹だった。

 

「ッ、そうじゃ・・・そうじゃよ、ラウラちゃん!!

なして俺にそねーにシャルロットを・・・いんや、ハーレムを勧めるんじゃ?!」

 

『『『え!?』』』と、「何でお前が知らないんだよ!?」と驚く一同だったが、春樹としてもラウラから「自分以外にも子供を産ませる」等という無茶苦茶な結婚条件の理由を聞かされていなかったのだ。

「ちょっと、ラウラちゃん!」と春樹は彼女に詰め寄れば、ラウラは意を決した様に瞬きをする。

 

「・・・・・この際、みんなにも聞いてほしい。

私が生涯の伴侶と決めた男にこんな事を言った訳を。

・・・春樹?」

 

「はい、どしたん?」

 

「春樹、私は・・・私は、()()()()()が欲しいと思っている!!」

 

恥ずかしげもなく言い放ったラウラに春樹ならびにその場にいた全員が『『『お、おぉ・・・!』』』と感嘆符を述べた。

すると彼女の文言に何かを察する春樹。

 

「ラウラちゃん・・・もしかして君は自分が遺伝子強化素体じゃけん、子供を()()のに苦労する思うてシャルロットを俺に勧めたんか?

それに関してじゃが、心配する事ぁないで?

あのマッドサイエンティスト・・・もとい芹沢博士から、俺もラウラちゃんも問題なく子供が出来る言われたんじゃけん!

あの人、頭ん螺子が何本か飛んでる様に見えるが、腕は確かじゃけん・・・・・多分」

 

ラウラは自身がデザインベビーであり、生まれて来る子供に遺伝的欠陥が出て来ると心配して、シャルロットを自分に勧めたのかと春樹は勘繰る。

しかし、かなり早い段階から春樹は自分を研究対象としている芹沢博士から二人の間に生まれるであろう子供に遺伝的欠陥が出る可能性は低いだろうと聞かされていた。

 

「まぁ、子供が生まれてみにゃあ解らんらしいけど・・・俺はそれでも構わんと思うとるし、別に俺は―――――」

「いや、違うぞ。

そもそも私も春樹も繁殖能力に問題がないのは知っている。

と言うか・・・()()()()()お前の子供を孕んで産んでやるぞ、私は」

 

「お前は何を言っているんだ、春樹?」と首を傾げるラウラに春樹は「・・・阿い?」と頭の上へ疑問符を浮かべる。

そんなポカーンとする彼を余所にラウラはこう続けた。

 

「私は出来る事、出来る事なら百でも二百人でも・・・いや、千人でも二千人でも春樹との子供を孕んで産んでやりたいと思っている。

だが、そんな事は物理的にも私の肉体的にも不可能だ。

出来ても十人そこらが限度だろう」

 

「じゃ、じゃろうな・・・・・って、俺との赤ん坊を十人以上も産んでくれるつもりなの!?」

 

「そこで・・・・・シャルロットにも春樹との子供を孕んで産んでもらおうと思ってな!!」

 

「・・・・・阿ん??

ど、どういう事???」

 

春樹は疑問符を自分の頭の上へ幾つも並べ浮かべた。

自分との子供をラウラは産む気であるにも関わらず、更に他の女にも自分の子供を産ませようとは一体どんな魂胆があるのか。

 

「春樹・・・お前には使()()がある。

()()()()()を生きる()()()()()全ての()()になるという偉大な使命が!

その為に私やシャルロット・・・()()()にも春樹、お前の()を植え付ける必要がある!!

だから()()ッ、()()()()()()!!」

 

「ラウラちゃん、ホントにマジで何言ってんの!!?」

 

春樹はもう訳が分からなかった。

いつかの日・・・彼がラウラと初めて()()()()()日、熱がこもる瞳を潤ませた彼女は春樹に怯える子兎の様に体を強張らせてこう呟いた。

 

―――――「お前をッ・・・春樹、お前を誰にも渡したくない!」

 

・・・しかして、今のラウラにあの日の面影はない。

爛々と目を輝かせ、()()()()()()を語る彼女に春樹は今まで味わった事のない筆舌に尽くしがたい一種の()()を感じた。

 

「ぼ、ボーデヴィッヒ少佐殿・・・?」

 

「春樹君・・・彼女はいったい何を言って・・・?」

 

「ハァ・・・まったく」

 

満面の笑みで論ずるラウラに流石の黒兎部隊各員やデュノア夫妻も顔を強張らせ、クラウスは大きな溜息を吐く。

そんな彼等彼女等を尻目に春樹は戸惑いながらも乱心したとしか思えぬ恋人の肩を掴んだ。

 

「どうしちゃった・・・どうしちゃったんじゃ、ラウラちゃん!!

い、一体・・・一体何があったっていうんよッ?

まえ・・・前は、俺の事を誰にも渡しとうないって言ってくれたが!!」

 

「・・・そうだな。

確かに私は、お前を誰にも渡したくないと言った」

 

「ッ、じゃったら!」

 

「でも・・・それは、私の()()()()()()時の話だ」

 

「け・・・見識が、せ・・・せま・・・・・はッ??」

 

彼女の言い分に益々首を傾げる春樹だったのだが、次のラウラの台詞に察しの良い彼は大きく顔を歪める。

 

「私は理解わかったのだ。

春樹、お前は()()な人間だという事が!

()()の言う事は間違いではなかった!!」

「は、博士・・・?

・・・・・・・・・・・・ッ・・・あンの死にぞこないの老い耄れ()()()()!!」

 

―――・・・昨年のクリスマスが迫ろうかという頃。

暴走した実力行使型衛星エクスカリバーを対処せんと英国に向っていた時、春樹はラウラの故郷であるドイツに立ち寄っていた。

その際、彼は飲み比べで打ち負かした独軍准将たるクラウスのコネを使ってある人物と会合していたのだ。

 

『アダム・シュタイナー』

ラウラを被検体Lb2型と呼ぶ彼は、遺伝子強化素体を生み出した一部軍上層部内で秘密裏に行われた非合法超人生体兵器計画、通称『ワルプルギス計画』の元総責任者である。

 

このVTS事件を切欠に今や繋がれの身となった老衰間近の老人に春樹は()()()として、ラウラを娶る事を報告したのである。

当初、シュタイナーは計画の中で生み出されたラウラを()()()()()出来損ないと罵り、そんな彼女を妻に迎えようとする春樹を正気を欠いた()()()()()と称していたのだが・・・・・

 

―――「子供だ、子供をつくれ!!」

 

春樹が超人兵士の為に開発したオーディンの瞳、越界の瞳ヴォ―ダン・オージェに高水準で適応している事に気付いた彼は、自分の夢を引き継がせる為と半ば譫言の様に春樹へ上記の台詞を言い放った。

 

・・・けれども、この遺言の様な台詞を春樹は自分とラウラに対して言ったのだと思っていたが、その時に現場へ居合わせていたラウラはどうやらこれを()()した様だ。

 

「春樹、お前の様な稀有な男を私だけが独占するというのは、次世代への()()なのだ!

だから春樹・・・お願いだから私以外の女にもお前の子供を産ませてくれ」

 

「・・・・・ラウラちゃん・・・?

さっきの君の台詞じゃと、ラウラちゃんやシャルロット・・・()()()()()()にも俺の()()()()()()()()()って解釈になるんじゃが?」

 

「あぁ、そうだな春樹。

手近なところだと・・・()()()()にそこなクラリッサも誘おうと思っている」

 

『『『え!!?』』』

「ッ、ぼ・・・ボーデヴィッヒ少佐殿!!?」

 

またしても放たれた衝撃的な発言に一同はギョッとし、自分の名前が突然出されたクラリッサ・ハルフォーフ大尉は頬を紅潮させて目を見開き、春樹は開いた口が塞がらくなる。

 

「え、ぇ・・・あぇ・・・・・ァあ・・・阿”い??」

 

「これはシャルロットも承知済みだ。

それとも・・・数えるぐらいしか会っていないクラリッサはお前の好みに合わないか?

だったら・・・セシリアや楯無会長、簪あたりにするか?

全員でもいいぞ!」

 

「もちろん、()()は私だがな!!」と鼻息を漏らすラウラ。

普段ならば、この彼女の態度を愛おしいと春樹は思うだろうが、展開が展開なだけに彼は琥珀色の瞳を泳がせてパニックになりながら後退りし、ぐにゃり表情を歪ませて力なく元居た場所に座った。

 

「しゃ、シャルロット!!

い・・・今のは本当なの?!!」

「うん、本当だよ」

 

「ボーデヴィッヒ少佐殿ッ、私はそのような事は一度も聞いて!!」

「今言ったからな。

無論、無理強いはしないぞ?」

 

ラウラの衝撃的発言に左右に居る陣営にも動揺が奔り、一気にやんややんやと騒然となる。

正しく混沌と言っても差支えがなく、ある程度の混乱を予想していたクラウスは顔を手で覆い、アルベールは関心する様に大きく頷いた。

・・・そんな現場が戦々恐々とする中、青色吐息で憔悴する当事者たる春樹に語り掛ける者が一人。

 

〈―――――・・・後悔しているか?〉

 

項垂れる春樹の横へ寄り添う様に佇む壮年の紳士。

彼の心の宮殿マインド・パレスに住まう猟奇的殺人鬼たるハンニバル・レクターは渦中の少年へ疑問符を投げかける。

 

〈選択を誤ったと、自分は間違えたと思っているか?〉

 

澄ました顔で淡々と述べるハンニバルだが、春樹は突っ伏したまま答える事はない。

そんな彼へハンニバルは更に語り掛ける。

 

〈春樹、君は間違ってはいない。

けじめをつける為に君は、あの男に会った。

だが、ただ結果が思わぬ方向にいっただけの事だ〉

 

「・・・・・・・・じゃったら・・・」

 

〈ん?〉

 

「・・・じゃったら、これからどうすりゃあええんじゃ?」

 

春樹の疑問符に対し、ハンニバルは口端を少し吊り上げると彼の肩へ自分の手を置いて囁いた。

 

〈知っている筈だ、解っている筈だ春樹。

『前門の虎後門の狼』・・・むざむざ食い殺されるのが、お望みか?〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『!』』』

 

奇天烈な笑い声が部屋いっぱいに響き渡る。

その奇妙な笑い声がする方へ視線を向ければ、そこには()()()()()に金色に輝く()()()()を見開いた白髪の金眼四ツ目を有した少年、清瀬 春樹が神妙な面持ちとも微笑みとも見て取れる面持ちを浮かべていた。

そして、金の焔が零れる四ツ目をラウラへ向けて手を差し伸べると共に口を開く。

 

「・・・ラウラ・ボーデヴィッヒ、俺は君以外に()()()()とするならば・・・()()()()手を出すぞ。

それでも構わんか?」

 

「・・・あぁ、もちろんだ。

私は、おいそれと決めた覚悟ではないぞ!」

 

駆け寄ると共に自分が差し伸べた手を握ったラウラの言葉に春樹はゆっくり瞬きをしながら頷けば、今度はシャルロットの方へ異形の眼を向けると共に手を差し伸べた。

 

「シャルロット・デュノア・・・俺は、君を憎からず思っている。

だが、俺は君を()()()()()()()ぞ。

・・・それでも構わんか?」

 

「ッ、シャルロット・・・!」

 

金眼四ツ目の異形に気圧されたか。不安な表情でシャルロットの手を握るロゼンダだったが―――

 

「・・・大丈夫。

大丈夫だよ、おかあさん。

ボク、絶対に幸せになるから!」

 

そう言ってシャルロットは春樹へと駆け寄り、自分に差し伸べられた彼の手をしっかりと掴んだ。

すると春樹は自分の手を掴んだ二人を引き寄せて呟いた。

 

「・・・まだ若気の至りで済ます事が出来るで?

俺ァ嫉妬深いし、独占欲強めじゃし・・・何より面倒くさいぞ?

それに・・・()()()()()()()離さんで?

それでもええんか?」

 

渋い顔で申し訳なさそうにウジウジ言葉を並べた春樹に対し、ラウラとシャルロットは丸い目で互いに互いの顔を見合わせた後、「プッ!」と吹き出せば―――――

 

「春樹が面倒くさいのなんてもう知ってるよ!!」

「食らいついたら離さないだと?

こちらは望むところだ!!」

 

―――・・・と、春樹の肩を一緒に抱き寄せて彼の頬へ唇を落とした。

隣で「年貢の納め時だな」等と嘲笑うハンニバルの声が春樹の耳にやけに残ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 







蟒蛇くん「とりあえず・・・大会終わったらフランス行って、土下座する用事が出来た」

・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆

…ワンサマー氏と和解すべきだと思う人ー?

  • はーい!!(^^)/
  • えー!?(・_・;)
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