IS/Drinker   作:rainバレルーk

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―――――『大いなる力(・)には、大いなる責(・)任(・)が伴う』

・・・この言葉をサム・ライミ版のスパイダーマンで初めて聞いた。
最初、ガキの頃の俺はこの言葉の意味が理(・)不(・)尽(・)に思えて仕方がなかった。




御蔭でピーターは色々で様々な事件に巻き込まれ、そのせいで作(・)品(・)世(・)界(・)によっては育ての親や恋人を失くしとる。
これぽっちも望んでいなかった力の代償を払わされる事のなんと理不尽な事か!!・・・なんて思うとった。

・・・じゃけど、今自分に考えてみると少々納得出来るもんがある。
何かを得る為にゃあ何かを犠牲にせんと、強大な力を振るう者は力の意味を持っとかんとおえん。
『力なき心は無力であるが、心なき力は暴力』って、ウルトラマンストーリー0のレオの父親も言っとったし。

・・・・・しっかし・・・こりゃどうなんよ?
惚れた弱みもあるが・・・このままじゃと俺、ゴールデンカムイの花沢 幸次郎とかスクールデイズの伊藤 誠みたいにならん?
それか、最近はハマッとる悪役令嬢系に出て来る頭御花畑の王子とかトンチキ父親にならん??
俺、絶対に嫌なんじゃけど!!
そねーなもんに絶対になりとうない!!

・・・とりあえず、大会が終わったらフランス行って、墓前で土下座をしよう。そうしよう。
八(・)つ(・)当(・)た(・)り(・)もしよう。そうしよう。
皆々までブチ回しちゃる。



第226話

 

 

 

ヴァルキリー・アプレンティスの二日目は、Bブロック第二試合。

台湾選手の凰 乱音と日本選手の清瀬 春樹の闘いの場へ乱入したロランツィーネは、ある程度のペナルティを覚(・)悟(・)していた。

ところがどっこい。彼女は代表候補生の資格を失うどころか、大会を失格になる事も上役から文句や嫌味の一つも言われる事がなかったのである。

しかもSMSを開いてみれば、自分の行いを称賛する投稿の数々であり、世論もロランツィーネに好意的であったのだ。

この以下の事踏まえ、ロランツィーネ・ローランディフィルネィは確信した。

『自分は何一つ間(・)違(・)っ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)』のだと。

 

そして、何事もなかったように延期される事もなく第一アリーナで行われたDブロック第二試合へ出場。

自らの実力を以て対戦相手から勝利をもぎ取り、その勢いのままにヴァルキリー・アプレンティス三日目に行われた準決勝において開催国オーストラリア選手のケイト・マークソンに勝利したのだった。

 

「――――・・・まず、ありきたりですがローランディフィルネィ選手?

準決勝を勝利で収めた今の率直な気持ちを教えて頂きたい!」

 

強敵とも言える開催国の代表候補生を準決勝で降し、勝利者会見を行うロランツィーネへ記者の一人が当たり障りのない問いかけをする。

さすれば彼女は上機嫌でつらつら返答を返した。

 

「開催国のオーストラリア代表と戦えた事はとても光栄な事でした。

僕としては試合に勝利した事はとてもうれしいし、彼女とはとても良(・)い(・)関(・)係(・)になりそうだったしね」

 

紳士的に受け答えをするロランツィーネであるが、勿論、彼女に対してのヘ(・)イ(・)ト(・)は当然ある。

だが、内外からの圧(・)力(・)によって、それらがを表へ出る事はない。

暗(・)黙(・)の(・)了(・)解(・)の様に喉奥に飲み込んでしまう者が一定数居り、彼等は当たり障りのない質問をする。

 

「ローランディフィルネィ選手、次の対戦相手・・・日本の清瀬選手についてですが、どう思われますか?」

 

けれどもやはり、ありきたりな質問よりも彼女が決勝戦で戦う男(・)についてどう思っているかはスルー出来ないと、堪える事が出来なかった記者が問い掛けた。

するとロランツィーネは誰にも気づかれぬ様に下(・)唇(・)の(・)裏(・)側(・)を噛んだ後、張り付けた笑顔を浮かべたではないか。

 

「キ、ヨセ・・・?

あぁ、彼の事か。

あれ?

彼は準決勝を勝ち進んだのかな?」

 

「いえ。

勝ち進んだという訳ではなく、準決勝戦の相手選手が試合を棄権した為、不(・)戦(・)勝(・)という形で決勝戦へいくとの事です」

 

「不戦勝?

それは・・・実に運(・)が(・)良(・)い(・)!

いや、この僕と戦うのだから運(・)が(・)悪(・)い(・)のかな?

アハハハッ♪」

 

このロランツィーネの発言に吊られたか、記者達は口角を引き上げてドッと湧いた。

そんな自分の目の前で起こる様子に対し、彼女の気分はとても高揚したに違いない。

・・・けれども、ほ(・)ろ(・)酔(・)い(・)にも似たそんな良い気分をぶち壊さんと奇(・)天(・)烈(・)な声が一つ発せられる。

 

「―――・・・阿ッ破ッ破ッ破ッ破ッ破ッ!!」

『『『ッ!!?』』』

 

会場に存在する全ての鼓膜へ響き渡った奇妙奇天烈天衣無縫にして呵々大笑の高笑い。

無論、この得も言われぬ筆舌に尽くし難い大笑いに全員の目が発(・)声(・)源(・)へ向く事は何の不思議でもなかった。

 

「―――愉快愉快ッ!

運(・)が(・)良(・)く(・)て(・)運(・)が(・)悪(・)い(・)とは・・・私(・)は、とても稀有な男(・)の様だ!!」

 

さすれば会場の出入口ドア付近へ佇んで居たのは、儀礼用の白い肋骨服と軍帽を身に纏って拍手する一人の男。

特に目立つのは、顔上半分を覆う金(・)眼(・)四(・)ツ(・)目(・)の面貌であり、その異様な特徴的風貌に記者達の目が釘付けになる事は明白。

 

「ッ、キヨセ・・・ハルキ!!?」

 

記者達に連なり、彼の登場で今まで気取った態度をとっていたロランツィーネは苦虫を嚙み潰した様な表情と共に立ち上がり一言、「一体何をしに来た!?」・・・と声を跳ね上げる。

すると金眼四ツ目の怪人、清瀬 春樹は上下の牙(・)を垣間見せながら口端を吊り上げた。

 

「ローランディフィルネィ、君なら確実に決勝戦へ駒を進めるだろうと思っていた。

だからまぁ、お祝いの言葉一つでもかけるべきだと思って参上した次第だ。

しかし・・・どうやらお呼びじゃなかったようだ。

まるで、あ(・)の(・)時(・)の君(・)の様にね!」

 

揶揄う様に春樹がのたまえば、「なッ!?」とロランツィーネは刹那ばかりだが羞恥に顔を染める。

そんな彼女を余所に会場へ突然現れた噂の男に記者達のは(・)て(・)な(・)が飛び交う。

 

「Mr.オ(・)ー(・)ガ(・)!

一体どうしてここにはあなたが?!」

「もしや、ローランディフィルネィ選手に向けての宣戦布告でしょうか?!」

 

いつのまにやら主役は勝利者会見を行っていたロランツィーネから春樹へ移ってしまっており、先程まで自分へ向けられていたカメラレンズや記者達の視線から外れてしまった事に彼女は表情を歪にして歯噛んだ。

しかして春樹の方は鬱陶しそうに「・・・俺ァ、範馬 勇次郎じゃねんだからよ」とポツリ呟いたのだが、すぐに口を下弦の月にする。

 

「宣戦布告?

いやはやまさか!

私はローランディフィルネィ選手に決勝戦進出へのお祝いの言葉・・・そして、聞(・)き(・)た(・)い(・)事(・)が一つあってここへ赴いた次第です」

 

「聞きたい事?

それは一体・・・??」

 

「えぇ。

ローランディフィルネィ選手、君・・・彼(・)女(・)には謝ったのかい?」

 

春樹の言う彼女とは、二回戦目で自分と戦っていた台湾の代表候補生、凰 乱音の事であった。

だが、ロランツィーネは周囲の記者達と同じ様に「・・・・・は?」と眉間にしわを寄せて疑問符を漏らす。

 

「おいおいおいおいおい・・・覚えていないのかい?

彼女だよ、彼女・・・二回戦目で私と相まみえた凰 乱音選手の事だよ。

本当に覚えていないのかい?」

 

「そ・・・そんな事はわかっているさ!

わからないのは、どうして僕が小(・)虎(・)ちゃん・・・凰選手に謝罪しないといけないという所だよ!」

 

「阿ァ?

そんなの・・・君が試合に乱(・)入(・)したからに決まってるじゃないか!

折角の晴れ舞台にしゃしゃり出てきっちゃて・・・あぁッ、なんて恥(・)ず(・)か(・)し(・)い(・)邪魔者だこと!!」

 

耳まで裂けるが如く口端を吊り上げると共にロランツィーネへ指を差して嘲笑う春樹の姿に対し、「え!?」と記者達は目を見開く。

これは嘲笑われるロランツィーネも同じで、奇しくもあ(・)の(・)時(・)の自分と同じ様に勝利者会見へ乱(・)入(・)して来た春樹へ怒りを露わにする。

 

「ふざけるな!

あれは清瀬 春樹ッ、君が彼女に対して非(・)道(・)な(・)行(・)い(・)をしていたからじゃないか!!」

 

「おやおやおやッ、非道な行い?

私は決められたルールの中で彼女、凰 乱音と真剣に戦っていたに過ぎないんだがね。

それを言うのなら・・・・・おっと、これは野暮だったかな」

 

「ねぇ、記者の皆さん方?」とほくそ笑みながらも暗にロランツィーネがや(・)ら(・)か(・)し(・)た(・)ルール違反を含ませる春樹。

これに記者達は顔見合わせる者も居たし、苦笑いをする者も居た。

ついさっきまで称賛の対象だった自分の存在が、一転して嘲笑の的にされてしまった事にロランツィーネは「ぐぬぬ!」と歯噛みをする。

そんな彼女の姿に対し、春樹は口端を三度緩ませると自分の口端を両手人差し指で更に吊り上げたではないか。

 

「どうしたよ、オランダのローランディフィルネィさんよ?

笑ってよ、笑っておくれよ御嬢さんフロイライン?」

 

「ッ、な・・・なにを言って・・・!!」

 

「そんな渋柿でも食べたみたいな顔は似合わない・・・怨(・)敵(・)を前にするのならば、尚の事よ!」

 

「阿破破ノ破!」と笑う目の前の怪人にロランツィーネは怪訝な顔をする。

当然ながら周囲の記者達も上機嫌で口元を緩ませる春樹にギョッと顔を強張らせた。

 

『異様』、正しく異様である。

決勝戦で戦う相手とは言え、その相手に対してニタニタと笑う彼の様子は彼等彼女等の目にはとても不気味に映った事だろう。

しかし、春樹を良(・)く(・)知(・)る(・)者達からすれば、い(・)つ(・)も(・)の(・)事(・)であり、いつもの手(・)であった。

 

「笑えよ・・・笑え。

”とびっきりの笑顔”で、こうやってさ!」

 

「・・・・・バカバカしい!

気分が悪いッ・・・僕はここで失礼する!!」

 

酷い嫌悪感を含んだ忌々しそうな表情と共にロランツィーネは言葉を吐き捨てると、その場をあとにする。

その姿は傍から見ても足(・)早(・)と言う感じが見受けられ、あのオランダの麗人が、極東から来たどこの馬とも知れぬ輩を恐れている様にも見えた。

 

「あらあらあら・・・試合の疲れが出っちゃのかなぁ?

どう思います?

阿破破破破破!」

 

・・・彼の言葉に応える者は誰も居ない。

 

 

 

 

 

 

 

―――◆◆◆―――

 

 

 

―――――・・・準決勝を勝ち進んだオランダ代表候補生、ロランツィーネ・ローランディフィルネィの勝利者会見へ乱(・)入(・)して来た清瀬 春樹の一件は誰しもが知る事(・)件(・)となり、世間を良くも悪くも賑わせる事となった。

 

『なんて無(・)礼(・)で恥(・)知(・)ら(・)ず(・)で身(・)の(・)程(・)知(・)ら(・)ず(・)な男』・・・と、ロランツィーネを擁護する自称フ(・)ェ(・)ミ(・)ニ(・)ス(・)ト(・)有識者達は勝利者会見に乱入した春樹を軽蔑し、侮蔑し、炎上した。

だが・・・裏を返せば、彼のやった事なんてロランツィーネがやった事に比べれば可(・)愛(・)い(・)も(・)の(・)である。

しかも、その人目を惹く不可思議な格好と他人の勝利者会見へ乱入した堂々たる春樹の姿を「・・・おもしれー男」と好意的に受け取る奇(・)特(・)な人間が一定数居り、彼のファンになる者が出る始末となってしまった。

 

そして・・・大会会場地となっているオーストラリアから遠く離れたここイギリスにも金眼四ツ目の鬼人を好意的に思っている者が―――

 

「―――――・・・ド(・)ク(・)タ(・)ー(・)!

早くしないとはじまっちゃうよ!!」

 

積雪による雪化粧によってより一層荘厳な雰囲気を漂わせる古めかしい邸宅に響き渡る活発な印象が見受けられるころころした声。

見れば長い廊下をぴゃーっと走り抜ける栗毛色と白髪のま(・)だ(・)ら(・)模(・)様(・)の頭髪をした少女が駆け足の格好をしているではないか。

そんな子猫の様な少女を少々困った顔で追いかけるのは、彼女に「ドクター」と呼ばれる息を切らした壮年の東洋人男性。

その東洋人男性に少女は呆れたため息を吐く様に「もー!」と唸っていると「コラッ!」と怒りの声と共に彼女の首根っこを掴む手が一つ。

 

「『エクシア』!

あなたと言う子はッ・・・いったい何をしているのですか!!」

「ッゲ・・・!?

ね(・)え(・)さ(・)ま(・)!?」

 

少女、『エクシア・ブランケット』の首根っこを掴んだのは、似通った部分のある栗毛色の女性にしてエクシアの姉たるチェルシー・ブランケットであった。

普段の落ち着いた雰囲気とは打って変わり、今の彼女は少しの逞しさが垣間見える。

 

「エクシア、あなたの検査結果はまだわからないのですよ?

それなのにそんなにも走り回って・・・何かあったらどうするのです!!」

 

チェルシーはエクシアの両肩をグッと掴んで鬼気迫る表情で りつける。

それもその筈。エクシアはかつて心臓病を患い、昨年まで実力行使型軍事衛星の中核に組み込まれていたのだからチェルシーにとっては心配で仕方がなかった。

 

「ふ、ふぇ・・・ッ。

ご、ごめんなさい姉様・・・!

で・・・でも、でも早くしないと竜(・)騎(・)士(・)さ(・)ま(・)の試合が終わっちゃうかと思って・・・それで、わたし・・・ッ!」

 

「大丈夫。

決勝戦開始時間まで、まだ時間があります。

だからそんなに焦らなくとも大丈夫ですからね」

 

「・・・はい、わかりました。

心配させてごめんなさい、姉様」

 

「えぇ。

それでは、無駄に走らせてしまったドクター芹沢にも謝りましょう」

 

「ごめんなさい、ドクター芹沢」

 

「あ、あぁ・・・だい、大丈夫。

ちょっと、日頃の運動不足がたたっただけだから・・・しかし、足が速いねエクシア嬢は?

楽しみかい?

君(・)達(・)の為に奔走した騎(・)士(・)様(・)の活躍を見るのは?」

 

「はい!

私も姉様も・・・セシリアお嬢様だって、竜騎士さまの事をたのしみにしています!!

そうでしょう、姉様?」

 

「そ、そうですね・・・はい、私も楽しみにしています」

 

エクシアの疑問符に対し、火酒でも一杯ひっかけた様な赤ら顔をしたチェルシーに芹沢は「・・・ほほぅ?」と興味深そうに首を傾げる。

その後、彼は手を繋いで二人の主、セシリア・オルコットが待っているであろうシアター・ルームへ歩く二人を見送るのであった。

 

「・・・まったく、清瀬君も罪作りな男だ。

これで彼がハーレムでも築いてくれる様なものなら万々歳なんだがなぁ・・・?

・・・・・まぁ、いい。

(彼のあとを追って英国に来て、ここで家族と年を越すとは思わなかったが・・・元生体兵器の検査をするとは棚ボタだ。

これも彼の御蔭かな?)」

 

そう言って検査の後片付け作業の為に妻・美位子が待っている検査室と化した一室へ踵を返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

―――――然れども・・・このヴァルキリー・アプレンティス決勝戦が、完治したとは云え心臓病を患っていた子供へ見せるには、とてもオススメ出来ない程に過(・)激(・)になる事をこの時誰も・・・・・いや、一(・)部(・)を(・)除(・)い(・)て(・)誰も知らなかった。

 

〈さぁ、世界へ御(・)披(・)露(・)目(・)の時間だ。

我らが刃・・・いや、我(・)ら(・)が(・)王(・)の御披露目の時間だ。

少々派(・)手(・)でも罰は当たるまい〉

 

・・・・・面(・)倒(・)臭(・)い(・)事になる事は確定だ。

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・・・はい。という訳で、短いですが今回は此処まで◆◆◆◆◆







次回!

『酒好きの蟒蛇殿、舐めプ後にフルスロットでハ(・)ッ(・)ち(・)ゃ(・)っ(・)け(・)る(・)の巻き』

…ワンサマー氏と和解すべきだと思う人ー?

  • はーい!!(^^)/
  • えー!?(・_・;)
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