※1万字超え。
※読み進めるにつれてキャラ崩壊アリ。
特にロランツィーネ・ローランディフィルネィファンの人、本当にすみません。
あと、春樹が性格が悪いヴィランまんまです。
・・・という訳なので、悪しからずで。
≪イッヒ♪
さぁ皆さん、大変長らくお待たせしました!
新年の幕開けを祝うビッグファイト!!
その最終日を全世界の熱いファン達へ向けて衛星生放送で放映しています!!!≫
戦乙女
大会パーソナリティを務める名物アナウンサーたるキンブル・ドゥが毎度おなじみの通る声を響かせる。
そんな丸一日の準備期間を挟んだ
一人は、優勝候補の一人にして『ネーデルランドの麗人』の異名を持つオランダの有力国家代表候補生、ロランツィーネ・ローランディフィルネィ。
そして―――――
≪―――私が・・・いえ、多くの皆様もこう思っている事でしょう。
「どうして、この
それもその筈。
誰もが、彼の登場を
誰しもが、彼の実力を
しかし、彼は・・・この男は、そんな疑心をものともせず、公式大会初出場でありながらも決勝戦へと勝ち進んだのです!
そんな彼の名は、ハルキ・キヨセ・・・いえ、『清瀬・”オーガ”・春樹』!!
今まさに
大多数の思惑や予想を次々と覆した今大会きってのダークホースにして、世界で二人目の男性IS適正者たる春樹を熱く紹介するキンブル・ドゥ。
だが、その隣に居る大会公式解説者を担っている第二回ヴァルキリー・アプレンティス大会チャンピオン、ルーシィ・ハンネスは、どうもいけ好かない表情を晒している。
どうもこの僅かばかりの期間で、キンブルはこの
しかもこれは彼だけではなく、今やこの決勝戦を生観戦しようとバトルフィールドを囲む観客席には、いつもと
≪さぁ、それではヴァルキリー・アプレンティス決勝戦・・・これより開幕です!!!≫
―――◆―――
ざわざわと騒がしい観覧席を見やれば、男も女も、老いも若きも、
それもいつもと違う客層が見受けられる事は明白であり、その彼等彼女等に加えて幾つものカメラレンズが設けられていた。
そんな天気は非の打ちどころのない快晴の中において、檜舞台の幕が上がる宣誓が声高々に響く。
≪会場へ御来場の全ての皆様へお知らせいたします!
これより、ヴァルキリー・アプレンティス決勝戦の開幕を宣言いたします!!≫
宣誓と共にドッと割れんばかりの大歓声が轟き、「待ってました!」と歓迎の拍手が巻き起こる。
その歓声と拍手の中、檜舞台へ上がる者達の名前が読み上げられた。
≪青コーナー!
世界中数多の大会において好成績を修め、今大会の優勝候補でもある遥か欧州はチューリップの国から舞い降りた麗人!
その麗しく優雅な姿は、正に闘いの場に咲いた一輪の花!
けれども・・・古来よりこんな言葉があるのは御存知か?
『綺麗な花には
御紹介いたしましょうッ!
オランダ代表、ロランツィーネ・ローランディフィルネィ選手!!≫
アリーナに響き渡る万来の大歓声に迎えられて舞台に現れたのは、オレンジをパーソナルカラーとしたISスーツに装甲版を備えた専用機体『オーランディ・ブルーム』を身に纏う銀髪鳶瞳の美少女・・・御紹介に預かったロランツィーネ・ローランディフィルネィその人である。
≪ローランディフィルネィ選手、決勝戦開始を前に一言いただけませんでしょうか?≫
肩で風を切って登場したロランツィーネへマイクが搭載されたドローンカメラが近づいてコメントを求めた。
「先日の調整の御蔭で僕もブルームも調子はとても良いよ。
だけど・・・ちょっと一つ心配な事があってね」
≪心配事ですか?
一体・・・それは何でしょう?≫
するとコメントに応えていた彼女は「フフッ♪」と口端を緩ませ、自分の対戦相手が出て来るであろう向かい側の赤コーナーへ指を差し示して一言。
「僕の調子が良いせいで・・・すぐに試合が終わってしまっては、皆を
対戦相手・・・
余裕綽々で相手の健闘を望むと言った傲慢とも受け取れるコメントを述べるロランツィーネに客席からは感嘆符が紡がれた。
この彼女の言葉で、会場の熱気は更に高まる。
≪おーっと!
ローランディフィルネィ選手、試合開始前から勝利を確信している!!
ルーシィさん、これをどう捉えましょうか?≫
≪まぁ、当然でしょう!
ローランディフィルネィ選手、彼女は数多の大会で実績を積み重ねています。
決勝戦まで勝ち進んだからと言って、公式戦初出場がそう簡単に勝てる相手ではありませんからね!≫
ロランツィーネを擁護する様に声高々にコメントを述べるルーシィだが、これまでの試合を見る限り、試合の結果はどう転んでも解らない。
その中で、彼女の対戦相手が遂に紹介される番が来た。
≪そんな勝利者宣言をするローランディフィルネィ選手の対戦相手をご紹介しましょう!
今大会において目を見張るジャイアントキリングを打ち立てて来た大会出場者
世界中にいる男達の期待を一身に背負い、今や地に落ちた男の矜持を取り戻す事が出来るのか!?
それでは、赤コーナーより御登場していただきましょう!!
IS生誕の地、日本から颯爽登場ッ!!
清瀬 春樹選手!!!≫
紹介口上と共に会場中の視線やカメラレンズが赤コーナーへ注がれる。
・・・けれどもロランツィーネとは違い、春樹がすぐに姿を現す事はなかった。
「・・・え?」と、「あ、あれ・・・?」と、皆が首を捻って頭へ疑問符を浮かべた所で漸くその姿を現したのだが―――――
「なッ・・・!?」
最初に春樹の姿を視認したロランツィーネは眉間にしわを寄せて訝し気な表情を晒した。
それはすぐに観客席からも確認する事が出来、ざわざわと現場へ動揺が奔ったのである。
しかし、それもその筈―――――
「・・・阿”ーッ」
赤コーナーからゆっくりと太夫が如く歩んで現れた春樹は、朱色の儀式的紋様が描かれた上半身裸に白の佩楯臑当姿と言う格好。
しかも被った金眼四ツ目の仮面と上半身のボディペイント以上に際立ったのは、その上半身に幾つもの蛇が張っているかの様に発達した筋肉。
その肉体美は、ミケランジェロ作のダビデ像の様であり、実に
されども皆、この何とも言えぬ格好に皆は目を見張り、様々な表情を浮かべた。
「ッ、君・・・な、なんだいその格好は!?
神聖なISバトルの場を何だと思っているんだ!!」
春樹の姿にロランツィーネは慌てた様子で彼を糾弾し、それに連なる様に観客席から彼女へ黄色い声援を投げ掛けていた者達は「Boo!」とブーイングを叫び、ある者は「準決勝相手にいくら
だが、一方の春樹はいけしゃあしゃあとポケットに両手を突っ込んで踏ん反り返ったではないか。
「あらら?
俺ァ、大会
阿破破ノ破ッ!」
「この・・・ッ!」
飄々と煽る春樹に思わずカッとなるロランツィーネだが、それを仲裁するかの様に二人の間へマイク搭載カメラドローンが割って入り、あの疑問符を投げ掛けた。
≪相変わらずの不敵な笑みを浮かべる清瀬選手、試合開始を前にコメントをいただけませんでしょうか?≫
「それじゃあ幾つか・・・」と、いつもの様に奇天烈な笑い声を上げると前傾姿勢でマイクへ語り掛ける。
「まず第一に・・・私を『オーガ』なんて異名で呼ばないで下さい。
その異名は、範馬 勇次郎のもんですから。
私には、とてもとても恐れ多い」
≪ハンマユウジロウ・・・?
それでは、あなたの事をなんて呼べば・・・?≫
「そうですね~・・・・・あぁ、そうそう。
私のバックアップしてくれている方達は、こう私を称してくれます。
・・・『我らが刃』とね」
そう言って春樹が吹き抜けのアリーナ天井へ拳を高らかに挙げれば、観客席の一角から応援団幕を掲げる態々田舎から旅費をはたいてやって来た様な一団が揃って声を上げたではないか。
よくよく確認して見れば、その一団は春樹が所属するIS統合対策部整備班の面々であり、仲間内から
「・・・安い仕込みだ。
よくもこんな恥ずかしい事ができるもんだね?」
「言わんでくれよ、折角やってくれた人達に悪いからさ」
鼻で笑うロランツィーネに対し、春樹は相変わらず飄々と笑う・・・のだが、彼女にはその飄々さが否が応でも
そんなギスギスとした雰囲気は、ドローンカメラを通しても伝わる程だ。
≪と・・・ところで、清瀬選手?
あなたは、試合もその姿のままやられるつもりなので?≫
「まさか!
これは、良く目立つ為にやった事です。
やるのだったら・・・これでやりますよ」
そう言って春樹は上半身へ自身の専用機『琥珀』を展開し、長烏帽子形兜白糸縅二枚胴具足を着込むとあの鬼武者と評される姿へ変貌した。
そして、ケタケタ口元を下弦の月に歪め、ロランツィーネに指を差し示してのたまう。
「おうおうおうッ!
オランダのロランツィーネ・ローランディフィルネィ!
これだけは言うておくぜ!!」
「・・・なにかな?」
「
敵わないと思うが・・・そう簡単に
せめて見せ場は作りんさい。
阿破破破破破!!」
マウントをとる様な勝利宣言をする太々しい態度と発言に対し、ロランツィーネはカチンッと来たに違いない。
公式戦に初めて出場した
「(絶対に・・・・・絶対に潰してやる、徹底的に叩き潰してやる・・・ッ!
僕の事をこんなにも怒らせたバカな男はいないよ・・・!
衆人環視の前で、テレビ中継で全世界に無様な姿を晒すがいいさ!!)」
指定された位置で試合開始の合図を待ちながらロランツィーネはイライラムカムカ胸を悪くした。
自分の
「(たったの一日ぐらいしかなかったけれど・・・清瀬 春樹、君の戦い方はもう
こっちは、近距離接近戦を得意としている相手との戦い方なんて何度もシミュレートしているんだ。
機体性能が良い
ネット上において春樹へ対して書き込まれたヘイトを真に受けたのかどうかは定かではないが、準決勝と決勝と間に挟まれた調整期間と言う名の丸一日オフタイムで、ロランツィーネは彼の以前の試合を映像確認していた。
それも何度も何度もだ。
彼女とて持って生まれた家格やビジュアルの良さ、それにIS適正の高さだけで代表候補生まで成り上がった訳ではない。
その為の努力や鍛錬を怠った事はない故に裏打ちされた大きな自信がロランツィーネにはあった。
・・・・・・・・然れども彼女は知らない。
清瀬 春樹と云う素人に毛が生えただけのISパイロットと認識されているこの男が、今まで
試合開始を告げるブザーが鳴り響くと共にロランツィーネは、オーランディ・ブルームの主要武器である両手持ちの変形機構搭載型多目的突撃銃たるスピーシー・プランターを展開。
バックステップをすると共に空高く舞い上がれば、地上を這う獲物を狙う
「(近接攻撃を得意とする相手には、距離をとって射撃中心の攻撃で畳みかける!!)」
近距離タイプ対抗の常套手段を駆使し、一気に勝負を着けてしまおうかと彼女は考えていた。
幸いにもスピーシー・プランターの有効者手距離は十二分にあり、ロランツィーネの射撃能力もあり、撃てば百発百中の腕前であったろう。
・・・・・けれどもこの男とて、昨日のオフタイムに何もしていない訳ではなかった。
「―――――・・・あらよっと!」
「・・・・・は・・・ッ?」
『『『・・・え??』』』
ライフルの照準器で見定めた対戦相手の春樹が取り出したのは、赤鞘に納められた三尺太刀でもなければ、太刀より刃渡り短いなれども分厚く打撃力のある大振りの鈎鉈でも、ましてやエネルギー体の方天戟でもない。
彼の手に収められていたのは、通常ならば三脚を立ててうつ伏せ又は座って撃つか、戦闘機または戦闘ヘリや巡洋艦へ搭載される様な銃身が幾本も束ねた所謂
≪突然ですが、ここで日本代表の清瀬 春樹選手が所属するIS統合対策部よりのお知らせです。
今春発売予定のIS統合対策部製、五年式六砲身連装機関砲が好評予約受付中との事!
・・・・・えッ、
雲一つもない天候に照らされて黒光りするそれは
「破ッ破阿ッ―――!」
「なぁッ!!?」
セーフティを外して引き金を引けば、バババババババッ!!と小気味良くもけたたましい金属音と共に大口径の弾丸達が、天へ向かって噴き出す間欠泉が如く発射されたではないか。
勿論、これに大観衆のみならずロランツィーネ自身も目を見張ったが、フリーズして攻撃の的になる訳にもいかない。
彼女は瞬時に射撃体勢からオーランディ・ブルームのブースターへ火を灯し、回避行動へ移行した。
≪こ、これはどうした事かァー!?
これまでの試合で一切の銃火器を使用しなかった清瀬選手が、ここに来てまさかの機関砲の使用だぁ!!
観客席からは悲鳴にも似た驚きの声が響いております!≫
≪今の今まで、こんな
「オラオラオラァ!
怯えろ、竦めぇッ!
モビルスー・・・じゃなくてッ、ISの性能を生かせぬまま墜ちてゆけ!!」
目を丸くして叫ぶ解説席を余所に「ヒャッハー!」とトリガーハッピーで御満悦の春樹は、これでもかと対空砲火をぶちまける。
しかし、ロランツィーネとて彼からの銃撃にただ逃げるばかりではない。
「ッチ・・・!
まさか早速これを使う事になるなんてね!」
舌打ちと共に彼女はオーランディ・ブルームへ搭載されていたアンロック浮遊ユニット、ヴァイン・アームズを展開。
そのそれぞれのアームにはビーム砲が内蔵されており、ビットまでとはいかないが、いくらかの範囲攻撃をする事が出来る代物だ。
「さぁッ、今度はこっちの番だ!!」
ズギュゥ―――ンッ!と四機のアームから発射されたショッキングピンクのレーザービームは対空砲と化した春樹へ一直線に発射された。
「―――――・・・じゃが避ける!」
「!」
けれども春樹は琥珀の脚部へ内蔵されたランドスピナーを高速回転させ、これを難無く回避すると氷上を滑走するフィギュアスケーター様にアリーナ内を駆け抜けだした。
しかもこの高速移動に加わえ、ビーム攻撃に曝されているにも関わらず、照準のブレは最小限。
その為に傍からはロランツィーネの状況はあまり変わっていない様に見えるのだが、春樹の扱う五年式六砲身連装機関砲・・・と言うか、機関銃全般において言えるのだが、一秒足らずで最大発射速度に達して尚且つ毎分六千発もの弾丸を発射する事が出来るという事は―――――
「―――あっ、やっべ・・・!」
弾倉が一つしかないにも関わらず、考えなしのトリガーハッピーであった為にガチンと弾切れを知らせる音が聞こえて来た。
「しめた!」・・・と、ロランツィーネは思った事だろう。
最大速力で回避行動をしなければならない程に鬱陶しい事この上ない機銃攻撃が弾切れという形で止まったのだからロランツィーネはこれを好機と捉えた。
彼女は今度こそとばかりに空中で高速反転すると構えたスピーシー・プランターの機能をグレネードランチャーに設定し、ヴァイン・アームズと合わせた一斉斉射をする。
さすればドドグォオ―――ンッ!!と凄まじい爆音とともに噴煙が舞い上がった。
「―――やった!」
確かにグレネードランチャー連射が直撃すれば、相手のシールドエネルギーが大幅に削れる事は間違いない。
・・・ただし、それはあくまで「直撃
―――――バッキン!
「ッ、え・・・!?」
突如としてロランツィーネが展開していたヴァイン・アームズの一機が、一瞬にして
目の前で起こったこの不可解な光景に彼女は思わず呆気にとられてしまうが、追い打ちをかける様に
そして、三つの青白い閃光が舞い上がる粉塵を掻い潜り、ヴァイン・アームズの残り三つのアームを捕らえて先程と同じ様に飴細工が如く
「―――――阿ッ破ッ破ッ破ッ!」
何が何だか解らず戸惑うロランツィーネの鼓膜を振るわせたのは、あの何とも言えぬ
無論、目をやったそこに居たのは、口を下弦の月に歪めたあの
だが、先程までとは違い、彼の手へ握られていたのはあの重々しい機関砲ではなく、ピカピカ白銀に光る
≪ッ、そんなバカな・・・!?
直撃したはずなのに・・・どうして?!≫
≪お・・・驚きの連続であります。
試合開始時の機銃攻撃にも驚きましたが、これもまた圧巻であります!
弾切れの隙を狙ったロランツィーネの爆撃&ビーム攻撃でありましたが・・・清瀬選手、まったくの
シールドエネルギーが、これっぽっちも
それどころか・・・逆にローランディフィルネィ選手のシールドエネルギーを削り、ファースト・ヒットを決めたぞ、この男は!!≫
そんな彼等彼女等を余所に異様な沈黙が、春樹とロランツィーネの間に漂う。
「・・・・・君、
「阿?
何がァ?」
「今の・・・今の攻撃さ。
ワザとやったのかと聞いているんだよ・・・!」
一貫して暖簾に腕押し状態であっけらかんとしているにも関わらず、気を抜けば確実に急所を突いてくる
彼女が乱入したVS凰 乱音戦において、ロランツィーネは春樹に自分の身の丈を優に超える大きな大きなドラゴンの幻影を見た。
この時、彼女はこの幻影を興奮状態による幻覚だと思っていたのだが・・・
先程の銃撃、狙おうと思えば自分の急所を撃ち抜く事ぐらい出来た・・・
「・・・・・はてな?
「「偶然」って・・・!」
「おいおいおいおいおい・・・そう凄むじゃねぇよ。
俺は、公式戦に初めて出場した
ほれ、ネットでも俺が
「阿破破ノ破!」とニタニタ、ニチャリ、ケラケラ奇怪に笑う男にロランツィーネは眉間へ増々しわを寄せる。
そして、増々目の前の男が不気味で不可解で堪らなくなった。
「・・・・・そうかい。
あぁ、そうかい!」
「阿ん?
どしたん?
そんな眉間にしわ寄せてサァ?
折角の容姿端麗さが台無し―――――
「うるさい!!」
―――ッ、あらら??」
ロランツィーネは、
いつもとは違うその様子と声色を気取った観客席に居た彼女を応援するファン達は顔を見合わせ、「聞き間違いではないか?」と訝しんだ。
そんな事を余所にロランツィーネは春樹の氷結弾射撃によって破壊されたヴァイン・アームズをパージするとスピーシー・プランターを構えなおす。
「僕の事を・・・僕の事をここまでコケにしたお馬鹿さんは君が初めてだよ!!」
「おー・・・今の台詞、ドラゴンボールのフリーザっぽい」
「
今から君を徹底的に完膚なきまでに叩きのめしてあげる!!」
「おっと、こりゃマジィ!」
宣誓と共にアサルトライフルに設定したスピーシー・プランターをぶっ放した。
このダダダダダダッ!!と高所から連射される銃撃に対し、春樹は
そのすばしっこさたら『トムとジェリー』のジェリーの様で、一見コミカルなこの光景に観客席からとテレビ中継を見ていた子供達は大いに腹を抱えた事だろう。
しかし、この彼の行動にロランツィーネは更に腹を立てた。
苦虫でも嚙み潰した様にギリギリ奥歯を噛み締めて、その綺麗な顔を酷く歪めたのだ。
確かに自分は大真面目でやっているのに相手が遊び半分でチャラチャラしている様に見えたら腹が立つ。
正しく今の状況がそれだ。
「ッ、この・・・ふざけるな!
もっと真面目に戦ったらどうなんだ、清瀬 春樹!!
ちょこまかちょこまかと逃げ回るばかりで・・・
この
「・・・何じゃと?」
憤った彼女のこの台詞にピクリと反応した春樹。
すると彼はロランツィーネの方へ顔を向けると―――――
「あっかんべーっ、じゃ!
阿破破!」
「ッ、こ・・・
なんと舌を出して彼女を嘲り笑ったのである。
まるで同年代の子供を揶揄う近所の悪ガキの様にだ。
そして、春樹はこう続けて言い放つ。
「何が「男のくせに」じゃ!
何が「卑怯者」じゃ!
都合のええ時だけそねーな事を言う方が、よっぽどの
「な、なにを・・・!?」
「それにな・・・これは
相手の動きを見て、相手の気持ちを汲み取って、どねやって戦場を自分の優位に動くか・・・そういうもんじゃろうがな。
これが卑怯じゃと云うのなら・・・高い所から俺を撃ちまくりょーるお前さんも十分な卑怯者じゃ!!
このおわんごがッ!!」
癪に障る男に嘲り笑われ、小馬鹿され、あまつさえ卑怯者呼ばわりされた時のロランツィーネの表情は、とても彼女のファンへ見せられない程に酷く歪んでいた。
けれども、すぐにロランツィーネは自分が酷い顔をしている事に気付くと笑顔を張り付けた様に取り繕う。
「き・・・清瀬 春樹、君は僕がまるで高みから銃火器を撃つだけのトリガーハッピーだと思っているようだが・・・それは大きな間違いだという事を教えてあげよう!」
そう言うとロランツィーネは、オーランディ・ブルームのスラスターから放出したエネルギーを再び取り込むと一気にそれを解放するIS運用における加速機動技術の一つ、瞬時加速でトップスピードに乗る。
されど、この瞬時加速なるものは、相手との間合いを文字通り「瞬時」に詰めることが可能なのだが、軌道が直線のみと単純なためタイミングを読まれると回避されやすい欠点を持つ。
しかし、そんな事を理解していない彼女ではない。
そこから更にロランツィーネは常人の目には捉えられない程のトップスピードを維持したまま軌道変更を行う事により、相手を目の惑わせる攪乱を行った。
「ほら・・・ほらほらッ・・・ほらほらほらほらほら!
さぁ、捕まえる者なら捕まえてみるといいさ!!」
≪で、出たー!
『
ローランディフィルネィ選手のフィニッシュパターンだぁ!!≫
≪私もこの目で実際に見るのは初めてですが、これは確信出来ます。
清瀬選手もそこそこ頑張りはしましたが・・・これは
加速中に無理な軌道変更を行うと機体や身体に多大な負荷がかかる事で、パイロットへ骨折や筋肉断裂などが起こる可能性があるのだが、決着をつけるには十分過ぎる。
しかもロランツィーネは
普段このレイピア・カウスは、相手の攻撃を受け流す事や牽制にしか使用しないのだが、相手の
「さぁッ・・・これで
常人の目には、まるで忍者漫画の主人公が得意とする多重影分身の術で自信を増やしたかの様に相手を囲んだ
そして、
≪―――――・・・驚いた。
正直な話、びっくりしたと言ってもいいぞ。
まさか・・・・・
琥珀のプライベートチャンネルから聞こえて来た
ダダン!
「えッ・・・?」
ロランツィーネは鳩が豆鉄砲を食った様な呆けた顔をする。
相手には自分の分身が何人にも何十人見えており、尚且つ念には念を入れて相手の死角から突き刺さんと剣を構えて突撃した・・・・・
・・・だが、蓋を開けてみればどうだろうか。
対戦相手たるこの忌々しい飄々とした不気味な男は、何の迷いも躊躇もなく
撃鉄に弾かれた二発の特注氷結弾頭内の一発はオーランディ・ブルームのスラスターへ着弾。
床へ叩き付けた飴細工の様にスラスターを砕けば、これ以上のトップスピードを出す事を阻止した。
そして、残りの一発は慣性の法則でこちらに突っ込んでくるロランツィーネの軌道を変える為、跳弾による横方向の衝撃を行う。
さすれば、バランスを崩して一時的制御不能となった彼女は春樹へ突撃する事なく、代わりに彼のすぐ隣の地面に激突。
そのまま地面を抉りながらアリーナ壁面へと打ち付けられた。
「―――――ぎゃぼん!!?」
ドガ―――ンッ!・・・と、凄まじい衝突音が響き渡ると共に聞こえて来た拍子抜けする悲鳴が、シーンと静まり返ったアリーナに木魂する。
「破ッ・・・破破ッ・・・ぎゃ、「ぎゃぼん」って・・・・・の、のだめカンタービレかよ??
阿破ッ、破破破・・・!!」
そんな木魂した悲鳴に
「―――――・・・・・ろ・・・やる・・・!
こ・・・して・・・・・ッ!」
「・・・・・阿い?」
「こ・・・してやる・・・!
ころ、し・・・てやるッ!
殺してやる!!」
土煙の中から現れたのは、優美で可憐なネーデルランドの麗人と評される品行方正なロランツィーネ・ローランディフィルネィではない。
鮮明なオレンジで彩られた機体表面は土埃で汚れ、その土だらけのISを纏うパイロットは砕けんばかりにギリギリ奥歯を噛み締めて口元をへの字にひん曲げ、目を血眼で三角にした彼女が居たのである。
あまりにも姿に対し、観客席並びに解説席さえも唖然茫然のドン引きである。
・・・
「破破破!
・・・
「ッ、き・・・きよせはるきぃいい!!」
相変わらず春樹はケラケラ、カラカラと口端を緩ませて快活に心底愉快そうに
その彼に対してロランツィーネは目を四白眼に見開き、あまりにもらしくない
然れども激昂する彼女に対して春樹は「まぁ、待て」と言わんばかりに掌を見せる。
「先に喧嘩を
じゃけぇ、その御礼として・・・ちぃとばっかし、
「・・・・・は?」
片口端を釣り上げ、
けれどもそんな彼女を余所に春樹は得意げに語り出す。
「オメェさん・・・さっきドラゴンボールのフリーザみてぇな事言うとったけぇ、俺もそれっぽい事言うわ。
実は
今の状態は、ウルトラマンティガで言う所のマルチタイプ・・・は、違うか。
えーと・・・あぁ、仮面ライダークウガのグローイングフォームって感じじゃな」
「何を言っているんだ、この男?」と、ロランツィーネは思った。
「・・・いつまで突っ立てるつもりだ?」と、二人の会話が聞こえない観客達や解説者達は思った。
「阿ー・・・じゃけどオランダの人にウルトラマンじゃ、仮面ライダーじゃー言うても解らんよなぁ。
まぁ、ええわ。
『百聞は一見に如かず』と云うけぇ、とくと御覧じろってやつじゃわ!」
そう言うと春樹は、今まで使用していたコンバットリボルバーカノンを収納すると右手を前へ上げ、握り込んだ左拳を腰へ据えると云う構えをとる。
そして―――――
掛け声を発せば、春樹の纏う専用ISたる琥珀へ
白を基調としていた鎧の各所各所に紫の焔の様な儀式的紋様が奔った。
特に目立ったのは、コック帽の様に高い長烏帽子形兜が
そんな彼の言う「変身」が終わってみれば、アリーナ中央部へ佇んで居たのは、
この金眼四ツ目の異形の士の登場に皆は様々な百面相の内に様々な思案思考を思い立った筈だろうが、
・・・
「・・・さて、強化状態に変身完了。
今の
ブリーチで言う所の『
呪術界戦で言う所の『
誰も彼もが注目する中、ブツブツと戯言を呟いた春樹は「・・・まぁ、ええわ」と呟きつつ一息入れ、ウルトラマンガイアSVの構えをとった。
「・・・そう言やぁ、オメェさん。
確かこう言ってたよな?
「お遊びの時間は
じゃけん・・・俺は、こう云うわ。
―――――・・・御遊びの時間は
・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆
…ワンサマー氏と和解すべきだと思う人ー?
-
はーい!!(^^)/
-
えー!?(・_・;)