今回で、酔い覚ましと言う名の幕内も終わりとなります。
長々とお付き合いありがとうございました。
・・・と、いう訳で、次回からは拾弐升となります。
またしても長々となりますが、お付き合い頂けると幸いとなります。
それでは―――――
『ブルゴーニュ地方』
フランス東部地方で、かつてはブルゴーニュ公国が存在した地だ。
温暖な気候と平坦で耕作に適した土地を有し、この恵まれた自然条件を活かして古くから農耕が盛んであり、フランス南西部の都市ボルドーと並ぶ
「・・・さっむ」
そんなブルゴーニュ地方はコート=ドール県で、主にシャルドネ種ブドウで白ワインを製造している個人経営醸造所の跡取り娘、マリア・ベルトローはベルトロー家が所有するブドウ畑へ赴いていた。
冬季のブドウ畑は寂しさを思わせる程にスッキリとしていて畑の地質がとても見やすい為、その地質を観察しに来たのだ。
「今年は頼むわよ・・・!」
昨年は異常気象の霜害によって順調に育っていたシャルドネに随分な被害が出てしまった為か、彼女はかなり神経質になっていた。
しかも一月の下旬にはワインの守護聖人とされるサン・ヴァンサンを祝うお祭りもある。
「ハァー・・・ッ」
未だ始まって幾何かの新年にも関わらず、氷点下の中、手に付着した土を払いながらマリーは溜息にも似た白い息を吐いて曇り空を見上げた。
「―――――・・・”マリー”!!」
「・・・え?」
調度そんな時、後方から自分の愛称を呼ぶ
その聞き覚えのある声に彼女が振り返れば、この時期にはめったに見ない一台の高級車から飛び出して来たモコモコの冬の装いを身に纏った自分より一回りは下であろう少女が一目散にこちらへ走って来るではないか。
「ッ、そんな・・・うそ・・・!」
駆け寄って来る覚えのある
そして、そのままの勢いと共に二人は衝突する様にブドウ畑で熱い抱擁を交わしたのであった。
「マリー、久しぶり!
元気にしてた?
おばさん、おじさんは?
それにおじいさん、おばあさんは?」
「あなたっ・・・”ロッティ”!」
駆け寄って自分の両親や祖父母の様子を聞いて来る少女の愛称を呼びながらマリアは「もちろんよ、元気に決まってるじゃない!!」と彼女へ笑顔を見せる。
・・・しかして、この少女の『ロッティ』なる愛称。
愛称の元となった名前は―――――
「―――おいこら、
「え・・・?」
ロッティ・・・シャルロットの名前を呼びながら彼女の後を追って来たのは、見知らぬ白髪の東洋人。
右目を覆う黒々と厳めしい眼帯、ビシッと決め込んだ高級スーツが何とも特徴的で、その怪しい風貌にマリアは思わず眉をひそませた。
「ご、ごめんね。
知ってる顔を見たら・・・つい嬉しくなっちゃってさ。
あぁ、そうだ!
この人は、マリー・・・マリア・ベルトロー。
ボクがこっちに居た時にお世話になってた人なんだよ!」
「ほうかい。
まぁ、
じゃけども急に車から降りんなや。
俺もジェイムズさんも吃驚じゃ!」
久々に顔を合わせた妹分とも言えるシャルロット・デュノアに苦言諫言を呈すこの男にマリアは増々眉間へしわを寄せる。
そんな彼女の表情に気付いたシャルロットは、「こほん!」と一つ咳をして息を整えるとマリアへ向かって少し頬を赤く染めてこの東洋人を紹介した。
「この人は、春樹・・・ハルキ・キヨセ。
ぼ、ボクの・・・ボクの
「・・・・・・・・えッ??」
久方ぶりに故郷へ妹分が帰って来ただけでも驚くべき事なのに・・・その妹分が恋人を連れて来た。それもどう見ても
―――◆◆◆◆◆―――
・・・・・オーストラリアでやった初めての公式大会は思ったよりも
いや、どっちかつーと俺が今まで
一挙手一投足の一つでも間違えちまったら命を奪われんかねん修羅場に比べたら・・・まぁ、
これで賞金が二十万ドルって聞いた時は嘘じゃろって思ったでよ。
福音事件の時に俺、長谷川さんから五百万円ぐらい貰ったけど・・・あんな
えぇぇッ!?・・・って思うたけど、もうええわ。
まぁ、とりあえずその後は表彰式バックレて、晩餐会で
そんなフランスへの渡航目的は一つ・・・
俺ァ、大会期間中に男として
それも
・・・・・今思い出しても俺って最低じゃね?
『スクールデイズ』の伊藤 誠以下じゃね?
・・・そりゃ言い過ぎか??
・・・まぁ、そりゃあ一旦置いておいて。
そんなケジメ・・・
「ほら、若いんだから遠慮しないで!」
「そうよぉ。
どんどん食べなさいねぇ」
「い、いやしかし・・・」
・・・・・なんか目的地に向かってる途中で、シャルロットの知り合いの仲の良かったって言う金髪お姉さんに偶然にも遭遇。
そんでもって三年近くぶりに会ったからか、俺の存在を余所に話に華が咲き、そのまんまお姉さん・・・マリアさん家に連行。
しかも俺が思っている以上にシャルロットとマリアさん達家族は仲が良かったみたいで、突然の来訪にも関わらんと大歓迎で地元の料理が並ぶ並ぶ。
「まさか、ロッティちゃんがこっちに帰って来るなんてねぇ!
それも・・・恋人なんてこさえて連れてきてさ!!」
「おい、兄ちゃん。
お前、どこの国の人よ?
中国人か?
韓国人か?
ニーハオってか?
アニョハセヨってか?」
「いや、俺ァ日本人です」
「そうか、日本人か!
じゃあコンニチワだな!!」
後、なんか知らんがシャルロットが帰って来た云う噂を聞き付けて、近所の人まで集まって来る始末じゃし。
その人達もなんか手土産まで持ってくるしで、あっという間にしっちゃかめっちゃか。
しまいにゃあシャルロットの中学の友達まで来やがった。
「シャルロット、久しぶりね!」
「私のこと覚えてるわよね?!」
「う、うん!
久しぶりだねホント!」
思った以上に所狭しと昔の知り合いが
じゃけどもこれには勿論の訳がある。
去年の暮れにやったドンパチ・・・
そこへ更にトドメとばかり暴走した実力行使型軍事衛星を討伐した事とその討伐メンバーを英国政府が大々的に報道したからシャルロットは今や時の人じゃ。
じゃけん、有名人となったシャルロットと何らかの関係を持ちたい野次馬根性の輩が集まって来るんも無理はない。
ほいじゃけども・・・・・
「・・・でぇれー寄り道しとる気がするでよ。
まぁ・・・ええか。
破破!」
昔の知り合いに囲まれて再会の喜びでコロコロ笑うシャルロットを遠目に俺ァグラスを渡された傾ける。
因みに『ヴァイオレット・ファフニール』のトンチキ異名で呼ばれる俺は、あの
じゃけどもこの寄り道して良かった事は、マリアさんの稼業でやってる白ワインを勧められるまま鱈腹飲める事じゃ。
それも地元の郷土料理を肴によぉ。
ヴァルキリー・アプレンティスの晩餐会よりもずーっと楽しいし、美味い。
「・・・あなた、随分と
「阿ん?」
声んする方へ目をやりゃぁ、金髪美女・・・マリアさんが俺の隣へ来る。
普通に美人でスタイルもモデル並みじゃけん、ちょっとキョドっちまう。
「父さんやおじーちゃん達がごめんなさいね。
あなた、未成年なのにうちのワインを無理矢理勧められちゃって」
「いやいや何の何の。
美ン味いワインが鱈腹飲めて、俺ァ満足でさァ。
後で土産に二、三本土産で包んで貰えません?」
「あら、うれしい。
日本人のあなたに気に入ってもらえて何よりだわ」
さっきおっさん達に勧められるがままに美味いのをガブガブ飲ましてもろうたけぇ満足じゃ。
・・・最後の方、おっさん達めっちゃドン引きしとったけど。
仕方なかろうが、ドライバーのジェイムズさんを飲酒運転させる訳にはいかないけんな。
「・・・・・聞いていいかしら?」
「何をです?」
「腹の探り合いなんて性に合わないから・・・直球で聞くわね。
何しに来たの?
故郷を懐かしんで・・・なんて事じゃないわよね」
ありゃ・・・マリアさんは真っ当に俺とシャルロットの来訪を怪しんどるか。
まぁ、そりゃそうじゃ。
三年近くも一度も帰る事なく生まれ故郷から離れとったんじゃけんな。
じゃけども・・・俺等ァが来た理由はとってもシンプルなんよ。
「俺等は・・・いんや俺は、シャルロットの母親に
「ッ、なんですって・・・?」
マリアさんの目がキツうなった。
こりゃ、どうも言わんほうが良かったか?
「あなた、あの人の・・・シャルロットの母親の事を・・・・・あの親子の事情を知ってるの?
それを知ってて・・・ここに来たのね?」
「えぇ、そうです」
「・・・何の為に?」
「そりゃ当然、俺達の事を彼女に・・・シャルロットの母親に報告する為にですよ」
俺の言う事にマリアさんは「・・・そう」と短く呟いてワイングラスを空にした後、鋭い目を向けて来た。
真っ青な冷たい目をじゃ。
「
・・・俺はマリアさんの文言に「肝に銘じます」としか言えんかった。
実は、ここへ来る前に俺はアルベール社長からとんでもない事を聞いとった。
どうもシャルロットとシャルロットの母親の行方を探し当てるもそん時にゃあシャルロットは天涯孤独の身となっちまっとった。
このシャルロットをアルベール社長は引き取ろうとしたんじゃけど・・・シャルロットの母親と仲の良かった親友云う人が、反対して自分達がシャルロットを引き取るって云うて来たたらしい。
じゃけど・・・どうしてもかつて愛するも引き離された恋人との
・・・糞野郎じゃ。
「唾を吐き付けられても文句は言えれんで」とアルベール社長に文句を言ってやったが・・・そうか。
十中八九、このマリアさんがシャルロットを引き取ろうとしていたシャルロットの母親の親友なんじゃろう。
今思えば、無理にでも日和ったアルベール社長をここに連れて来て、皆で袋叩きにしてやりゃ良かったな。
・・・俺も人の事は言えれんけど。
いや、俺のやろうとしょーる事は
こんな事をマリアさんに馬鹿正直に云うたらトンカチで、頭蓋骨が陥没するくらいに思いっきり殴られるわ。
まぁ、兎にも角にもよ・・・・・腹ァ括れや、清瀬 春樹!!
―――◆◆◆◆◆―――
突然の来訪にも拘らずベルトロー家で多大な歓迎を受けた春樹とシャルロットの二人だったのだが、
その向かった場所というのが―――――
「・・・・・ここか」
意を決した春樹が白い息を吐く場所は、郊外に設けられた集合墓地。
右を見ても左を見ても等間隔に建てられた十字架を模した墓石が並んでいる。
鉛色の雲の下である事と積雪により、現場は何とも言えぬ只ならぬ雰囲気が漂う。
〈春樹・・・ゲゲゲの鬼太郎テーマ曲でもかける?〉
「琥珀ちゃん、ナンセンスにも程がある!」
「どうしたの春樹?」
「・・・何でもない」
ドライバーのデュノア家執事のジェイムズに留守番を任せ、ザクザク雪を掻き分けるのも面倒だと春樹は自身の専用IS琥珀を部分展開してレーザーブレードの熱によって道を融かし作ってはシャルロットの案内に従えば、幾つも並ぶ墓石達の中でも比較的新しい墓へと辿り着いた。
「・・・・・ただいま、
そうやって寂しそうな笑顔を浮かべたシャルロットは、墓石の上に降り積もった雪を払い除ける。
そんな彼女の横で春樹は御辞儀をすると両掌を合わせて「南無阿弥陀仏」と唱えた。
「ちょっと春樹?」
「あっ・・・悪い。
日本式でやってもうた」
場違いな振る舞いをしてしまった彼にシャルロットは「まったく、もう!」と呆れてしまうが、気を取り直して一つ大きな深呼吸をすると白い息を吐きながら
「あのねお母さん。
この人は・・・清瀬 春樹。
今、お付き合いをしている日本で出会ったボクの・・・
「はい!
初めまして、シャルロットの
俺・・・いや私、清瀬 春樹と云います!!
訛っていて聞き取り難いのは御容赦ください!!」
自分の恋人を紹介する事に若干の気恥ずかしさがあるのか。
照れた様に頬を少し赤らめるシャルロットに対し、春樹は緊張している事で少し声が上ずってしまう。
傍から見れば、その光景は奇妙に見えた事だろうが、当の本人達は何処か郷愁に浸る様であった。
「お母さん、今まで帰るのが遅くなってごめんね。
言い訳にはならないと思うけど、お母さんが天国に行ってからあまりにも色々とあり過ぎて・・・・・ごめんなさい」
「お義母さん、帰りが遅くなったのはシャルロットのせいじゃありません。
色々と
「で・・・でも、その勝手のおかげでボクは春樹と出会えたから・・・・・悪くはないかも」
「いや、悪いって!
シャルロット、お前めちゃんこせんでもええ苦労したやんけ!!
それに・・・・・!」
春樹は言い淀んだ。
彼がここに来た目的は一つ。
それは自分がシャルロットの恋人である事を紹介する事なのだが、その恋人関係が
改めて現状説明をすれば、清瀬 春樹にはラウラ・ボーデヴィッヒと云う寵愛を注ぐ
・・・という事は、シャルロットは必然的に彼の
人の親ならば、ある日突然帰って来た自分の娘が、同年代の東洋人男性を恋人と言って連れて来る事も驚きであるが、その男の
そんな事をこの男、春樹は馬鹿正直に説明しようとしたのだ。
ハッキリ言って愚かな行為であるし、しかも事情説明をする相手は墓石の下にいる。
そんな相手だからこそ言えるのであろうか?
いや、きっとこの男は生きていようがいなかろうが、自分がどれ程に最低な行為をしようとしているのかを告白していた事であろう。
だが、もと話と言えば、生涯初の恋人たるラウラ一筋と決め込んでいた春樹にシャルロットがデュノア家を巻き込んで猛アプローチをかけ、それに追い打ちをかける様に恋人である筈のラウラがハーレムのGOサインを出してしまった事が原因だ。
然れどもこれが『手を出すのならば、
正気のまま
「お義母さま・・・わ、私・・・私は、あなたの愛娘であるシャルロットを・・・・・ッ!」
それでもいざこれからと言う時に声が震えて動悸が激しくなる。
頭の中が真っ白になり、もっとベルトロー家でワインを飲んで、酒の力を借りたかったと後悔した。
・・・因みにここに来るまでに彼は樽一杯飲んでいる。
「・・・・・お母さん・・・ボク、今とっても幸せなんだ」
そんな土壇場で尻すぼみをした情けない男に助け船を出したのは、シャルロットであった。
「ッ、シャルロット・・・!」
「お母さんと別れてからとっても辛い事ばかりあったけど・・・そんな辛い中から春樹はボクを救ってくれたんだよ。
それで、春樹のおかげでお父さん達とも仲直りする事が出来たんだ」
彼女はしみじみと今までの事を瞼の裏に思い浮かべた。
口も悪く、性格も悪く、人相も悪く、残虐非道で、冷酷無比な春樹であるが、仲間の為なら肉を斬られようとも骨を砕かれようとも臓物を潰されようとも立ち上がる程に情け深い男であった。
そんな男にシャルロットは
「お母さんが、お父さんと恋をして愛を育んだように・・・ボクも春樹とそうなりたい。
もし・・・彼の
「シャルロット、お前・・・ッ」
シャルロットは春樹の手を力強く握ると一呼吸おいて
「お母さん。
ボク、絶対に幸せになるからね。
だって・・・・・ボク、お母さんの子供だもん!」
―――◆―――
「・・・・・俺ァ・・・俺は、なんて情けないんじゃろうか」
シャルロットの実母との
胡坐をかく彼の目の前の暖炉の中では、愛銃たるリボルバーカノンから抜き取ったドラゴンブレス弾を着火剤にした炎がメラメラパチパチと燃えている。
あの一件の後、二人はジェイムズの運転によって、今日の宿であるシャルロットの生家を訪れていた。
どうも定期的な管理がアルベールによってなされていた為、家の中は当時のまま綺麗に整理整頓されており、ガス水道電気も難無く使用できる状態であった。
因みにここまで二人を送り届けた執事ジェイムズは、
「ちょっと春樹?
いつまでいじけているのかなぁ?」
そんな万全の状態で作られたシャルロットお手製のシチューを夕食に終えた二人は、暖炉のあるリビングでゆっくりとした時間を過ごしているのだが、春樹は未だに昼間の事を引きずっていた。
「じゃけどもさぁ・・・俺ァこの為に日本へ直帰せんとフランスへ来た様なもんじゃで?
それなんに・・・」
「いいんだよ。
それに春樹が言うよりも・・・ボクから言っておきたかったし」
「えッ?」
「春樹・・・ボクは、ボク自身が決めて君と添い遂げたい思ったんだ。
だから・・・ボクの口からお母さんに言いたかったんだよ」
「シャルロット・・・」
「だからさ・・・いつまでもイジケないの!
こっちのソファに来て、一緒にココア飲も!」
シャルロットに励まされた春樹は、一つ溜息を吐くと口端を少し吊り上げるとシャルロットの隣へ座り、ブランデーたっぷりのココアを飲んだ。
「破ァ~~~ッ・・・ありがとうなシャルロット。
ちぃとばっかし心が軽うなったでよ」
「そう、ならよかったよ」
「ッ、お・・・おい・・・!?」
ほっこり一息入れた春樹へシャルロットは自分の頭を預けた。
この行動に春樹は少しの驚きを持ってシャルロットの方へ目を向ければ、彼女は上目遣いと共に「えへへ♪」と微笑みを浮かべたではないか。
いやはやあざとい、実にあざとい。
「二人っきり・・・やっと二人っきりになったね」
「二人っきりって・・・オーストラリアでもあったやんけ、そんな時」
「いや、あれは違うよ!
あの時の春樹は、ボクを受け入れる前だったし・・・お父さんとおかあさんが、覗き見してたし・・・・・あれはノーカンだよ!!
それに・・・表彰式の時にはいなくなっちゃうし、晩餐会の時なんか鈴の
途中でラウラも出て来たから当然そっちに春樹が行っちゃうしさ!!」
「おいおい、モドキって・・・!
それに鼻の下なんぞ伸ばしとらんわ!!
シャルロット、お前もしかしてブランデー飲んで酔ってんな!?」
どうも春樹のココアにブランデーを入れる際、シャルロットは興味本位から少し飲んだらしい。
「ボクが酔ってる酔ってないなんて話してないよね!
春樹がボクの事をほっといたのが悪いんだからね!!」
シャルロットは自分のココアを一気飲みして「うわーんっ!」と泣き上戸になってしまった。
これに春樹は「まったく、やれやれ」と溜息を吐きつつ彼もココアを飲み干せば、彼女の頭を優しく撫でてやる。
「・・・春樹、君は女の子なんて頭を撫でてやればいいなんて思ってるんでしょ?
ボク、そんなにチョロい女じゃないよ!」
「ほうかい?
じゃあ・・・どねーしたら機嫌を直してくれるんなん?」
「・・・・・こうしたら!」
空のコップを隅に置いたシャルロットは一呼吸置いた後、意を決してぐるっと春樹に馬乗りになった。
まさかの彼女の行動に春樹はギョッとするが、自分を見下ろすシャルロットの目にして思わず
「・・・ねぇ、春樹?」
「・・・・・何でせう?」
「キス・・・キス、しよ?」
首へ両腕を回して春樹を見るシャルロットの瞳は熱を帯びて潤んでいた。
よくよく目を凝らして見れば、彼女の瞳の奥に
そんな少々
「なぁ・・・シャルロットさんよ。
オーストラリアで俺がラウラちゃんへ言った事・・・聞こえ取ったか?」
突如として出て来た春樹の
「俺はラウラちゃんにこう言ったんじゃ。
俺は君以外に手を出すとするならば、
この「最後まで手を出す」って意味・・・解るか?」
「ヒャう・・・ッ!?」
春樹が再び目を開けた時、そこにはギョロリと琥珀色の焔が溢れ輝く
自分の
「俺ァ、今から
お前が泣こうが、喚こうが、叫ぼうが、知れた事じゃねぇ。
一夜で
上下に生えた牙を曝しながら金眼四ツ目の怪物は嗤いに笑う。
異形の形相で、こんな事を言われでもしたら普通の人間は恐怖して逃げるであろう。
・・・ところが、目の前のこの怪物に
「・・・んむッ♡」
「ング・・・!?」
シャルロットは躊躇なく自分を見て舌舐めずりをする愛しい人の口を自らの唇で塞ぐ。
そして、その口内にある彼の舌をくちゅくちゅ愛撫したのだ。
最早、前口上など不要と言いたげな覚悟を示す濃密なキスであった。
「ぷファ・・・!
幾ばくかの短いなれども深いキスの後、息継ぎでもする様に春樹の唇から離れたシャルロットは「ふふっ♡」と自分の口に付いた彼の唾液を舐め取る。
その時の笑みのなんと妖しい事、なんと艷やかな事。
男ならば、こんな顔を女に向けられて
「あっ♡」
自分の尻の下で
「うれしいな。
ボクとのキスで、
そうだよね、春樹?」
「このッ・・・・・!
ッチ・・・あぁ、そうじゃ!
そりゃ・・・
「・・・・・え?」
恥ずかしそうに自棄っぱちを言い放った春樹だったのだが、そんな彼のある一言がシャルロットの琴線に触れた。
「は、春樹・・・い、今なんて言ったの?」
「は?
そりゃ、その・・・股座が熱り立つって」
「違うよ!
その前に!!
春樹・・・好きな女って、ボクの事を好きな女って!!」
「・・・阿ッ」と気付いた春樹だったが、もう遅い。
普段から自分ばかり好意を伝えてばかりの相手から好意が伝えられたのだ。
シャルロットの
「もうッ、ガマン・・・もう、がまんできない!!
春樹、はるき、ハルキ!!!」
「ッ、おっ・・・おい、シャルロット!?
って、うわぁああッ!!?」
タガが外れてしまったシャルロットは自分の服を脱いで、そのまま春樹を押し倒す。
そのあまりの勢いに二人はソファから転げ落ちてしまったのだが・・・幸いにもご近所さんまで、だいぶ離れている為に二人の
外は雪の降る昼間と打って変わり、満天の星が綺麗に輝いていた。
・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆
…ワンサマー氏と和解すべきだと思う人ー?
-
はーい!!(^^)/
-
えー!?(・_・;)