・・・昨年の十一月から数えて七か月程度経過しての投稿。
本当は昨年の十二月に投稿しようと思っていたのにデータが消えたり、年末に転勤しろとか言ってきたり、十八年ぶりにモンハンやってたりして・・・・・平謝りするしかねぇですわ。
申し訳ありません。
とりあえずは生存報告と共に話の流れがセカセカとした内容になります。
悪しからず・・・では、どうぞ。
「―――――貴様いったい何をしたぁっ!!?」
ラウラは叫ぶ。
その表情は焦燥感と不安感に染まった険しいものであり、これから自分達へ襲い掛かるであろう脅威に身構える。
だが―――――
「ら、ラウラさん?」
「一体どうしたのよ?」
不安を叫ぶラウラを横目にセシリアと楯無は疑問符を浮かべた。
それもその筈、彼女達の視線の先にいたのは合戦場で言う所の
しかも不安定な精神を更に崩した狂らん状態に陥っているとも言える相手に対して何を殺気立つ必要があろうか。
・・・然れどもその二人の素っ頓狂な反応がラウラに確信を抱かせた。
「やはり貴様は・・・!」
キッと金と緋色の三角にした目を更に鋭角鋭いものへと変化させた彼女へ対し、我が子を慈しむ様に箒を抱く緋衣のワンピースを纏う赤毛の少女・・・『アヴィゲイル』は微笑みかけた。
〈そうよ、ラウラ・ボーデヴィッヒ。
私は
紅椿・・・いえ、アヴィゲイルと言うわ〉
「アヴィゲイル・・・だと?」
〈えぇ、そうよ。
自らの名前を自慢する様に艶やかな笑みを浮かべるアヴィゲイルだったが、一方のラウラは彼女の放った一言一句に考えを巡らせる。
『あの子と同じ存在』
この文章で取り上げる「あの子」と言うのは、ラウラと恋慕い合うヴァイオレット・ファフニールの二つ名を持つ男性IS適正者、春樹が纏うISたる琥珀の事であろう。
琥珀もまたハイパーセンサーや
しかし、問題はそこではない。
アヴィゲイルの言う『あの御方』なる謎の人物が引っ掛かったのだ。
琥珀と同じ様な人格が宿った第四世代型ISたる紅椿ことアヴィゲイルが柔和な表情を晒したという事は、彼女の存在を認識している人物であろう。
そうなれば紅椿を製作した人物たる篠ノ之 束が当てはまる。
しかも彼女は箒の実姉であり、それに紅椿は元はと言えば箒の
けれどもその束は昨年あったエクスカリバー事件の終幕において春樹とラウラを始めとした特殊部隊の作戦によって逮捕されていたのだ。
・・・と、なるとアヴィゲイルの背後にはまた別の
「セシリア!
会長!!
ありったけだ!
ありったけの火力をぶつけろ!!
一気にこいつを再起不能にするぞッ!!」
「もちろんよ!!」
「お任せあれ、ですわ!!」
なれば早急に紅椿のシールドエネルギーをゼロにし、ISコアを解析する他ない。
そして、幸いにも今の紅椿達の状態はラウラのシュバルツェア・レーゲンの十八番たる停止結界によって磔刑同然。
〈・・・・・はぁっ。
判断が早いのはいい事だけれど・・・私がそんな事を許すとでも?〉
そんな跪かせた罪人の如き紅椿に向かってセシリアと楯無は自分達の最大火力を放たんとした刹那、アヴィゲイルが手を振るった。
まるで周囲を飛ぶ煩わしい蝿でも振り払う様にだ。
「「な!?」」
「ッ、な・・・なにぃ!!?」
さすればどうだろうか。
紅椿にかけられた見えぬ鎖が断ち切られるどころか、逆にラウラ達が見えぬ鎖で絡めとられた様に身動きが取れなくなる。
言うなれば、紅椿・・・アヴィゲイルによる停止結界
しかし、精度威力はラウラのものよりかは幾分か劣っており、彼女達を一時停止させたのも
けれどもそんな僅かばかりの時間・・・一秒にも二秒にも満たぬコンマ何秒かの刹那であったが、
「―――――ラウラぁあああああッ!!」
煩わしい停止結界から解放された箒は猪突猛進とばかりにラウラとの距離を一気に瞬時加速で詰める。
勿論、怨念こもった人斬り包丁を振り被っての事だったが、なにぶんとあまりに直情的で直線的な攻撃であった為、すぐさまワイヤーブレードでの防御がなされてしまうのだったが・・・―――
「箒ッ・・・!
や、やめろ・・・!!」
自分を憐れみ蔑んだ目で見たであろうラウラへの憎しみは、箒に想像以上の力を与えていた。
甲高い金属音の後、酷く嫌な軋む音が耳にこべりつく。
「よくも・・・よくもよくも、よくもよくもよくもぉっ!
私を、私をあんな・・・あんな目で私を見たなぁ!!
「っ、うわぁあ!?」
一振り目の斬撃でも威力十分であったのだから二刀流の二振り目の斬撃により、遂にラウラは態勢を崩してしまって押し込まれてしまう。
幸いにも持ち前の器量によって地面への激突は免れるが、それでも箒の反転攻勢を許してしまった事は事実であった。
「ラウラさん!
今、助けに!!」
「ッ、ちょい待ち!!」
思わぬ反撃を喰らったラウラを救援せんとしたセシリアをどういう訳か引き留める楯無。
無論これにセシリアは「どうして!?」と怒気入り混じった疑問符をぶつけるのだが、すぐに彼女は楯無の意図を
「もう、冗談でしょ・・・!?」
けたたましい
〈Aa・・・AA・・・〉
その閃光・・・ビーム攻撃が来たであろう先へ目を向けると彼女達のハイパーセンサーと網膜は、それぞれ違う様々な得物をもってこちらへ突撃を敢行する赤い光を纏った
〈紹介するわ。
私の
その中でも速度に特化した
「第四世代の量産型・・・だと?
ッ、そうか・・・ならアレは春樹が参加したコンペの倉持技研側のものか!」
〈えぇ。
私の遺伝子を勝手に使って、あろう事かそれで作った量産型ISよ。
まぁ、そのおかげで
「ラウラァアアアアアッ!!」
箒による力任せの二刀流がラウラへ襲い掛かる。
しかもただ単純に機体性能に頼ってのパワープレイではない。
箒とて今までイベントという名の
それ故にラウラとしては苦しい展開だ。
こちらとしては殺さぬ程度で再起不能にしなければならないのに対し、相手はこちらを完全に殺しにかかって来るのだ。
縛りプレイも甚だしい。
更にアヴィゲイルの「第一陣」と言う口ぶりから察するに
・・・となればだ。
「箒!
目を・・・目を覚ませ箒!!」
「黙れ黙れ黙れッ!!
やっと・・・やっとあの邪魔者を、
これでやっと・・・やっと私は一夏と、一夏と
まるで酔払いの戯言であるが、的確にこちらの致命傷を狙って来るのだから堪ったものではない。
ラウラ方も負けじと斬撃の合間をかいくぐって攻撃を行うのだが、その度に・・・―――
〈―――――はい、残念!〉
「ッ、この糞ボケが!!」
アヴィゲイルが行う停止結界の遅延行為にラウラは春樹由来の罵詈雑言を放ってしまうが、それどころではない。
反撃の機会を失った途端に鋭い箒の攻撃が飛んで来るのだ。
「ラウラ!
私はお前の事が前から気に入らなかったのだ!!
人目もはばからず・・・あの
不健全とは思わんのか、この不純異性交遊者がぁ!!」
「やかましい!
人の
そんなに悔しかったら・・・箒、貴様もあのグズにさっさと告白すればよかったではないか!
さっさとあのダメバナ野郎と恋人になればよかったではないか!!
そうすれば、こんな事にはならなかったではないか!!」
「そ、それは・・・!!
知ったような口を叩くな!!
私は一夏とは幼馴染で・・・」
「なーにが幼馴染だ、おわんごめ!
貴様はその幼馴染とやらの立場に甘んじてしまっていた事が敗因だ!!
モダモダと足踏みばかりをしていた事が原因じゃ!!
箒、お前は一度でもあの男に自らの身内をさらけ出した事があるのか?
一度でも「好きだ」と、「お前を愛している」と言った事があるのか!?
私はあるぞ!
私はあいつに・・・春樹に言ってやった!!
春樹の事が好きだと、お前の事を愛しているとなッ!!」
「う・・・うるさいっ、うるさいうるさい!!
私達の事を何も知らないくせに!!
この・・・
然して物理攻撃ではリードする箒だったが、
だいたい口喧嘩が得意ではない箒には、一言った事が十も二十も返って来るラウラは不得意な相手である。
「人造人間か・・・あぁ、そうだ!
私は祝福なき子供・・・試験管ベビーだ!!
幼い頃から軍に属した世間知らず!!
だが・・・だがな!!」
「な・・・!?」
〈ッ、ダメ!〉
箒の二刀流から繰り出される剣戟をプラズマ手刀でいなしたラウラはアヴィゲイルの停止結界発動の隙を突き、レールカノンを展開。
照準は前方、感度は良好、有効射程内!
「
「!!?」
バシュゥウッン!!と、カノン砲から打ち出された弾頭は箒の頭部・・・顔面へと直撃。
有効射程距離を優に千m超えるであろう威力を近接格闘武器の刃が届く至近距離で受けた為、その衝撃力は凄まじく、二振りの刀を手放すと同時に箒の体は大きく仰け反る。
・・・いや、仰け反るどころか、そのまま一回転してしまったではないか。
一見してコミカルな状況であるが、攻撃を受けた方は堪ったものではない。
全てのISに標準装備として搭載されている搭乗者の生命を守る絶対防御があろうとも無事では済まないだろう。
しかし、手を抜いて勝てる相手ではない。
それは相対する者が第四世代機である以上に今まで共に強敵を打ち倒して来た
『
「―――――・・・・・この・・・!!」
「ッ・・・!?」
「このクサレちび女がぁあアアアッ!!」
箒は断末魔の如き雄叫びと共に頭部から白煙を上げながらラウラの頸部へ両手を伸ばして迫り来るではないか。
一回転した事で砲撃の衝撃をある程度和らげる事が出来たが、それでも絶対防御から
それでもこの般若を越えた真蛇の如き表情に臆するラウラではない。
すぐさま回避行動を―――――
〈―――・・・させるとでも?〉
「なっ・・・!!?」
ラウラが纏うシュバルツェア・レーゲンの機能が突如としてダウンし、その負荷が彼女のか細い体へかかる。
無論、こんな芸当が出来るのは一人しかいない。
〈流石はあの
お見事よ、ラウラ・ボーデヴィッヒ〉
「アヴィゲイルッ、貴様ぁ!!」
アシストが切れた状態でも無理やり重き鎧を動かすラウラであったが、その動きはお世辞にも俊敏とは言えない。
そんな愚鈍な動きでは箒の攻撃を防ぐ事は出来なかった。
「死ねぇええッ!」
「ぐっ・・・がッ・・・!!」
鋭い鍵爪がシルクの様に滑らかな彼女の肌へ喰い込むと共に気道を圧迫する。
勿論、これに対してラウラは抵抗するのだが、万力の握力に成す術がなく絞められるばかり。
「ッ、ラウラさん!!」
〈!!!〉
「セシリアちゃん、危ない!!」
異変を察知したセシリア達だったが、助けに行こうにも目の前の量産型第四世代機たる緋蜂の編隊が行く手を阻む。
こちらはこちらで七体の緋蜂達はそれぞれ遠・中・近距離の得物を有しており、彼女達へ包囲網を敷いていたのだ。
油断も隙もない。
「このまま・・・このまま首をへし折ってやる!!」
「ぐぁあ・・・ッ!!」
「どいつもこいつも私の邪魔をしよって!!
死ね・・・死ね死ね、死ねぇえっ!!
みんなみんな、死んでしまえぇえええええッ!!」
鼻血に血涙に血涎を垂れ流す箒が更に力を籠めれば、メキメキと嫌な音が鼓膜へ響き渡る。
そんな最悪なBGMにラウラの意識は視界と共に霞んでいった。
―――――ジャラララッン!
「・・・えっ?」
視界が暗く狭まり、抵抗の手の握力が弱まったその時、紅椿の腕部から叩き付ける金属音が聞こえて来たではないか。
そこへ視線をやれば黒光りする鎖状の鞭が絡みついていた。
「ぎゃぁああ!?」「あばばばばッ!!?」
さすればその鎖鞭からバリバリバリバリィッ!!と青白い閃光が奔り、高圧電流が二人の体を駆け巡ったのだ。
この電流攻撃に思わず怯み頸部を掴んだ箒の手が緩んでしまった事で、ラウラは彼女の手を振り払う事に成功する。
・・・けれども、あの
勿論、否である。
「―――――オォォラァッ!!」
「ッ、うぎゃぁあああああああ!!?」
電撃によってシュバルツェア・レーゲンの機能を取り戻したラウラは、箒の手を振り払った後、固く握りこんだプラズマ手刀・・・いや、プラズマ
無論、殴ると同時に親指を目にめり込ませる小細工も弄してだ。
「ら、ラウラッ・・・貴さ―――――ぐぁあッ!!?」
再び血が滲んだ悪鬼の様な顔で迫る箒だったが、突如として彼女は真横へ吹っ飛ばされてしまう。
まるで
「―――――もう・・・もうやめてよ、箒・・・!」
不可視の砲撃が発射されたであろう位置へ目をやってみれば、そこに居たのは涙を流して箒を見る鈴の姿があった。
その表情は怒りと悲しみと憐れみと悔しさが混ざった複雑なもので、噛み締めた下唇からは血が滲んでいる。
「り・・・りん・・・!
「お、お前・・・お前までわた・・・わたしのじゃ、邪魔を・・・!!」
焦点が合っていない真っ赤に色付いた目を向けながら箒はギリギリ歯ぎしりをした。
そこに最早あの篠ノ之 箒の姿はない。
そこに居たのは憎しみと恨み辛みに吞まれてしまい、麗しき容姿を醜く変化させてしまった一人の
そんな彼女を鈴は止めようとしていた。
戦友でもあり、恋敵でもあった・・・
しかし、それは一人では到底なしえぬ事を彼女は理解していた。
「ごめん、ラウラ。
箒ごと攻撃しちゃって・・・」
「私は一向に構わん。
おかげで助かった。
あの女・・・サラは?」
「救護班の先生達に任せたわ。
処置が早かったからたぶん・・・
その「助かる」の一言を鈴がどれだけ渋く絞り出した事だろうか。
長年の想い人をしゃしゃり出て来て横からかっさらった女を助けた事が彼女にとってはどれだけ苦痛であった事であろうか。
血を流し、危篤状態のサラを搬送している時、鈴の脳内では何度も何度も恐ろしく嫌な思考が奔った事だろう。
だが、そんな思考を鈴は押し殺した。
幾度も幾度も波の様に押し寄せる
「そうか・・・鈴、
「フッ・・・あのね私、まだ未成年よ!
カラ元気をまわした鈴は愛刀たる青龍偃月刀を構えれば、負けじとラウラもレールカノンとワイヤーブレードを構えた。
〈・・・お友達が来た所で悪いんだけど・・・不利な事に変わりはないわよ?
いや・・・これからもっと不利ね〉
「!」
≪A・・・AA・・・≫
得物を構えた二人をアヴィゲイルは鼻で笑う。
それもその筈、彼女達の背後に現れたのは
戦場はIS学園側四機に対し、紅椿軍団は十九機。
多勢に無勢である。
「フッ・・・おい、アヴィゲイルよ?
貴様、ここをどこだと思っている?」
〈・・・何ですって?〉
戦況不利な状況にラウラは不敵な笑みを浮かべた。
けれどもここはIS学園・・・それも何度も幾度も襲来してくる外敵を撃退して来た猛者共が集う場所である。
「―――――者どもかかれー!!」
『『『オウッ!!』』』
戦場へ流れ込んだ来たのはシャルロットに率いられたワルキューレ部隊ならびに武装IS教師部隊。
地下に閉じ込められた者達をあらかた救助した彼女達はすぐさまラウラ達の救援に向かって来てくれたのだ。
しかも・・・
「姫様、おさがりを!!」
「構うものか!
良いぞ、者ども!!
このわらわに続くのじゃー!!」
「さぁ、レディ達!
僕の華麗なる戦いに魅せられるがいいさ!!」
「鈴お姉ちゃん!
私が助けに来たわよ!!」
≪!!?≫
新顔の専用機所有者達も奮起し、一気に戦場へと雪崩込む。
この状況は数で優位性を取っていた緋蜂軍団には青天の霹靂であり、一瞬ばかり動揺が走るが、そこはAI。
すぐに態勢を立て直してワルキューレ部隊と教師部隊の連合部隊と衝突した。
〈・・・っち。
そう言えばいるのを忘れていたわ。
でもこっちにはまだ援軍がいるからトントンって訳じゃないのよ?〉
「それがどうした!
このおわんごめ!!
ブチ回してくれるわ、このトッパー!!」
「ラウラ・・・あんた、春樹の国訛りがめっちゃうつってるわよ?
でも・・・おおむね以下同文よ!!」
得物を振り上げると共に二人は瞬時加速で箒との距離を詰める。
この二刀を手放し、二対一の状況ではいくら援軍が来たと言っても箒には不利な状況ではなかろうか。
「・・・アヴィ、他の者達をこちらへ近づけてくれるな」
〈箒?〉
「この二人だけは・・・この二人だけは私が
血涙を流しつつ箒が雄叫びを上げれば、紅椿が光り輝きだす。
紅椿の単一仕様能力たる無尽蔵のエネルギーを生成する事が出来る絢爛舞踏だ。
しかし、今回はどうも様子が違う。
「全員あの世送りだ!!」
箒の手元に顕現したのは光の粒子によって構成された二振りの刃。
本来ならばシールドエネルギーの回復等でしか使えぬ能力を攻撃特化に変幻させたのである。
「死ねぇえ!!」
「「断る!!」」
そこから始まったのは鉄と光による剣戟の嵐。
二対一であろうとも鈴のラウラの攻撃を箒はいなす。
それどころか高熱の光の粒子で構成された箒の刀は、その高熱でもって鈴の刃を徐々に融解させ、ラウラのワイヤーブレードを引き千切った。
しかも事ある毎にアヴィゲイルによる機体停止能力が発動される為、僅かばかり箒に有利な状況となっていく。
「鈴!
ラウラはともかく・・・どうしてお前が私の邪魔をする!?
お前だって・・・お前だってあの女が、サラ・ウェルキンが邪魔なはずだ!!」
「それなのにどうして!?」と自分のが有利になる度に饒舌になる箒。
然してその言葉は自分に同意を求めるかの様だ。
そんな彼女の
「どうして
だれもかれもどうして私から奪う!?
私がいったい何をしたって言うんだ!!?」
・・・確かに箒が何をしたと言うのだろうか。
彼女の姉たる篠ノ之 束がインフィニット・ストラトスなんぞを発明したばっかりに政府からの重要人物保護プログラムにより日本各地を転々と移住させられ、その結果で一家は離散。
さらに四年前に束が失踪してからは政府やIS委員会から執拗な監視と聴取を繰り返され、心身共に多大な負担を受け続けて来た。
多感なハイティーンの少女には余りにも酷。
そうした過酷な生活の影響で、すぐカッとなって暴力的で力に溺れて自分や周りを見失うヒステリックな性格になってもなんら不思議ではない。
・・・それでも箒がこうして生きてこれたのは
それを糧に箒は生きて来た。
そうして生きて来た事で、その苦難が
IS学園に束の妹という理由で政府により入学させられる事が知らされたあの日、何気なくつけたテレビのニュース速報に出た『発見された
・・・
次々と自分を苛む苦痛が止み、やっと自分にも運がめぐって来たと彼女は嬉々として心底打ち震えた事だろう。
そして、IS学園入学後に長年想い続けた相手と再会した時、箒は自分が一夏と
・・・しかし、それは箒による都合のいい
けれどもそれは自分に都合のいい解釈をする事で辛い日々を耐える事が出来る箒なりの処世術だったのかもしれない。
・・・ところがどっこい蓋を開けてみればどうか。
角砂糖に群がる蟻んこか、腐肉に集る蝿の様にイケメンで世界初の男性IS適正者たる
自分だけと思っていた幼馴染
そして、自分がこんなにも恋い慕っているのにも関わらず、自分の想いを一つも理解してくれない・・・
誰もかれも・・・どいつもこいつも自分の邪魔をする事が歯痒くて歯痒くて堪らなかった。
そして・・・挙句の果てが、突如として現れた
これがキッカケで危ういヤジロベー状態であっても均衡を保っていた箒のバランスは遂に崩壊してしまったのである。
「私から奪うなぁああッ!!」
砕けてしまった心から溢れた出た憎しみに呑まれてしまった箒。
何と哀れで愚かな愛おしい―――――
「―――あぁ、もう!!
うるっさいのよッ!!」
「っ、ぷげ・・・!?」
「鈴!?」
もう数える事も忘れた何合かめの鍔迫り合い。
箒が有する高熱の光剣のよって所々が溶けて刀身が三分の一になった偃月刀に苛立った鈴は半ば
まさか頭突きされるとは思ってもみなかった箒は顔を抑えて僅かに後退する。
「り、鈴・・・き、貴様!?」
「ぐちぐち、ゴチャゴチャ・・・うるさいったらありゃしない!
箒、
歯に衣着せぬ鈴の文言に対し、箒は血涙垂らす目を四白眼にした。
良くも悪くも凰 鈴音という者は考えるよりまず行動というサバサバ系女子である。
「ま、負け・・・!
違うッ・・・違う違う違うッ!!
私はっ・・・私は負けてなど・・・負けてなんて!!」
「いや・・・負けたのよ、箒・・・!
悔しいけれど・・・
そんな箒に対して気の利いた言葉などかけられる筈もない彼女は、あまりにもストレートな剥き出しの本心を露にする。
悔しそうに下唇を噛んで目を伏せた後、貫く様なまっすぐな目を箒へ向けてだ。
「箒・・・あんた、今言ったよね?
「私がいったい何をした」のかって、さ?
「ッ!!」
箒と鈴は言うなれば、一夏の
その称号を楯に二人は一夏に近づくミーハー連中をけん制して来た。
然れども彼女達はその立場に
「そんな事・・・そんなことない!
わ、私・・・わたしは一夏のことが!!」
「それをアイツに対して言った事があった?!
一夏を目の前にして、聞こえるような声でハッキリと!!
私は・・・私は
苦虫を嚙み潰した様な顔と共に言い放った鈴の叫びは箒の動きを止めた。
彼女と異口同音な事を言い放ったラウラとは違い、それはスゥっと箒の心に入っていったのである。
それは同じ男に懸想した二人の仲であったから通じるものがあったのだろうか。
「箒、あんたもわかってるだろうけど・・・一夏って、本当に鈍いのよ!!
普通だったら私があんたの事が好きだっていう事がわかる事しても・・・ぜーんぜん気づかないほど鈍感なのよ、あいつってば!!」
織斑 一夏という男は姉譲りの端正な顔立ちに加えて、異性をときめかせる天然ジゴロな言動も相まり、幼少の頃より多くの女子から好意を寄せられていた。
だが、周囲が呆れる程にその好意に見向きもしない鈍感ぶりで、今まで多くの淡い想いを無下にして来た実績がある。
「だけど・・・だけどね箒?
そんな一夏でもいいなって私は思っちゃったの・・・今のままでもいいなって、
だからと言ってそんな鈍感な一夏に対する熱い気持ちを諦められる訳にはいかなかった彼女達が行きついたのが、友達以上で恋人未満という距離であった。
本当は好きで好きでたまらないのに自分の熱い想いが伝えられず、そのくせ一夏が鼻の下でも伸ばそうものならやきもちを妬き、その勢い余ってあろう事か暴力をふるう蛮行をする始末。
次のステージの扉を開きたいが、それでも一度浸かった
「お、おい鈴・・・ッ?」
「だからやられちゃったのよ!
足踏みばっかりで一歩も足を出さなかったからポッと出のあんなのにやられちゃったのよ!!」
「ッう・・・うるさい!」
うるさい、うるさいうるさい・・・うるさーっい!!」
〈箒?〉
図星を突かれ激昂した箒を見た鈴はは振り返らずラウラへ語った。
「悪いけど、箒の相手は任せて!」・・・と。
そして、彼女の答えを聞く事なく鈴は箒へ向けてブースターを一斉噴射させる。
「箒ぃいい!!」
「鈴ンンッ!!」
瞬時加速と共に振り上げた偃月刀で弧を描く鈴だったが、最早すでに偃月刀の耐久力は限界に来ていた。
熱で所々が抉れた刀身は根元からサッパリ箒のビームソードに叩き切られてしまう。
だが―――――
「そこぉ!」
「ッ、げブ!!?」
偃月刀を切られた瞬間、展開した鈴は衝撃砲を発射。
どてっ腹に不可視の砲弾が直撃し、箒は思わず踏み潰された蛙の様な声を吹き出してしまうが、負けじと彼女は手を挙げた。
得意の斬撃ではなく、癇癪を起した子供の様に固く握った拳をぶつけたのである。
「こんのぉッ!!」
「い”ったぁ!?
やったわね、この!!」
そこから始まったのは拳と拳の殴り合い・・・と、言ってもボクシングでやるような荒々しい殴り合いではない。
小さな子供が感情に任せて行う実に幼稚なもので、先程のラウラとの戦闘では雲泥の差があった為、これにはアヴィゲイルも目を細めた。
〈箒!
何をやっているの?
そんな女はさっさと―――――〉
「うるさい!
黙ってろ!!」
アヴィゲイルの諫言を聞く間もなく、箒は鈴とポカポカぽかぽかと泥仕合の様子を呈す。
それでも両者が纏っているものはISである為、一撃一撃は岩をも砕く威力。
そして、僅かであるが着実に互いのシールドエネルギーを削っていった。
「こ、この・・・い、いい加減にしろ・・・!」
「そ、そっちこそ・・・さっさと根を、あげなさいよ!」
肩で息をする二人だったが、扱うISの性能には両者で大きな世代差がある。
鈴の扱う甲龍は第三世代であり、箒の紅椿は第四世代。
更に言えば―――――
「だが・・・もうこれで終わりだ!」
機体表面が金色に輝きだす紅椿。
無尽蔵のエネルギーを供給する事が出来る紅椿の単一仕様能力たる絢爛舞踏だ。
これでは余りにも箒側が有利過ぎる。
「もう・・・もう私は嫌なんだ!
もう
彼女は恐れていた。
あの頃の様な環境に戻ってしまうのではないかと怖くて怖くて仕方がなかった。
そんなあの頃に戻りたくないから箒は殺すのだ。
自分を邪魔するもの全て塵殺すれば、全ては意のままに出来ると信じていた。
「ッ・・・違うでしょ!!」
「え・・・?」
「箒・・・あんたはもう一人じゃないでしょうが!!
私が・・・私たちがいるじゃないの!!」
・・・箒は本当は解っていた筈だ。
うっすらとも理解していた筈だ。
こんな暴挙を行ったとて一夏が自分を愛す事などないと僅かばかりだが理解していた筈だ。
もうあの頃の様に自分はもう孤独じゃない事を理解していた筈だ。
〈―――――ダメよ、箒〉
「ッ・・・!」
だが、引き返そう引き返そうとする度にアヴィゲイルが語り掛けて来た。
自分が本当は孤独であると、奪われる存在だと、搾取される側だと。
〈きっと鈴は自分の株を上げる為にやっているのよ。
もうあの女、サラは再起不能。
そうなれば・・・箒と鈴だけになるから〉
だからこそアヴィゲイルの
・・・
「ち・・・違う・・・!」
〈・・・なんですって?〉
「鈴が・・・鈴が、私にそんな事・・・するはずが!」
箒は恋敵の鈴を・・・いや、恋敵だからこそ鈴を信頼していた。
同じ男に好意を向けた女だからこそ信じあえる事があった。
それは所謂「女の勘」なる確実性に欠けるものであったが、彼女にはそれで十二分であったのだ。
それだけ箒は鈴を信頼を寄せていたのである。
〈違う!
違うわ!!
鈴はあなたを自分の為にあなたを利用しようとしているのよ!!〉
「そ、そんな・・・そんな事は・・・!!」
「ほ・・・箒?」
アヴィゲイルとしても箒の行動はまさかの事態だったようで、彼女は箒を思い通りにしようと心身を支配せんとした。
・・・因みにアヴィゲイルは何の理由があって、どうして箒を
いったい
―――――然して、その理由は
ズブリッッ!!
「・・・・・え・・・?」
問答に苦しみ悶えて頭を抱える箒に奔ったのは背後からの衝撃。
その衝撃の後で目の前へ映ったのは、自分の胸を突き抜ける
そして・・・―――――
「―――――・・・・・頼む、
俺の・・・
耳の鼓膜を震わせる自分の死を乞う
・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆
『マイケル』
主演やったジェファー・ジャクソンがすげぇ。
あと、この先最低でも百年はマイケル・ジャクソンみたいな人は出ないだろうと思いましたわ。
…ワンサマー氏と和解すべきだと思う人ー?
-
はーい!!(^^)/
-
えー!?(・_・;)