IS/Drinker   作:rainバレルーk

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第38話

 

 

 

あの訳の解らん海苔の佃煮みたいなバケモン・・・『VTS』って言うんか?

そいつに飲み込まれた後、なんでか知らんが織斑の野郎をボコボコにして消毒用エタノール飲んでぶっ倒れた事件後の一週間。

俺・・・でぇーれー忙しかった。

 

騒動を聞きつけ、俺が目を覚ましたって言うその日の内に『長谷川さん』が尋ねて来た。

長谷川さんってのは俺がISを動かしたじゃあって時に、この学校へ通えるように取り繕ってくれた人じゃ。

なんでも内閣の官房副長官で、ISなんちゃら本部の人らしい。

 

まぁ、その人にも学園長先生に言った要望を話した。

そん時に長谷川さんが「それを立証してくれるかな?」と言って来よった。

「いいともー!」って返した俺じゃけど、口で説明するのに”アレ”は中々高度じゃ。

じゃけぇ、学園に厳重保管されとった事件当時に使っとったラファールちゃんのメインコンピューターへ記憶されとった情報を取りあえず渡した。

そしたら長谷川さん、「ちょっと、諸外国黙らせてくる」的な感じで出て行った。

 

今思うと、あのメモリーの中には他の情報も入っとったような気もしたが・・・まぁ、ええか!

つーか俺的には長谷川さんのお土産がただの菓子類じゃったけん、秘書官の『高良さん』に「今度のオミヤは酒がええ」って言うたら、「現役の代議士が未成年に酒類を送るんはおえんじゃろう? 許してつかーさい」みたいな事を言われた。・・・解せぬ。

 

その後に学園長先生との悪巧みでデュノアの親父さんを罠にハメてやった。

自分の娘をスパイにやるような人間じゃけん、どんな極悪人なんじゃろうかと思とったんじゃけど・・・なんか、思っとった感じよりも良え人じゃった。・・・娘への愛がめちゃんこ不器用じゃったけど。

・・・つーか、俺がなんかせんでもあん二人の親子仲は解決しとったんじゃなかろうか?

まぁ・・・えろう高いワインと分厚いステーキにウィスキー奢って貰ったけん、良しとしよう! 阿破破ノ破ッ!

 

そして、俺氏ついに退院!

・・・言うても、無断でモルヒネを打ちょうたけんに追い出されたようなもんじゃ。

 

・・・因みに。

退院した後に聞いたんじゃけど、俺ってホントに重傷じゃったんじゃと。

右腕は織斑の打ち込みの衝撃でゴボウみたいにへし折れとって、全身は肉叩きで調理されとるみたいに筋肉がズタズタじゃったそうな。

じゃけんど、一晩寝たら何事もなかったように”治ってた”んじゃって。凄ない?

 

目ん玉は黄色うなったけど、怪我の治りが早うなるんは良え事じゃ。

しかも、あの事件から結構酒を飲んでも酔いにくぅなった。じゃけん、今まで以上によーけぇ酒が飲めるし、楽しめる。

・・・そー考えんとやっとられん。ストレスかどうかは知らんが、髪の毛の一部が筋みたいに白うなった。

ホント、どうやって母ちゃんと父ちゃんに説明しようかのぉ?

 

まぁ、あんましネガティブに考えんとポジティブに考えにゃあな。

そう思うて、自分でこの何か月かで伸びた髪の毛切ったら、左右非対称の変な髪形になってもうた。・・・おっふッ。

 

そんな俺は今現在・・・・・

 

「え~と、皆さん知っとられると思うが・・・一組からこっちに移る事になった清瀬 春樹です。どうぞ、良しなに」

 

これからクラスメイトになる一年”四組”の人らぁに自己紹介をしとった。

 

『『『・・・ッ・・・』』』

 

なんか皆、俺が先生に呼ばれて教室に入って来た辺りからポカーンとなっとるし。

学園長先生にお願いされてコッチのクラスに移ったんじゃけど、やっぱり驚くわなぁ。

・・・来て早々じゃけど、早う帰って買い直したスコッチ飲みたい。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

一組との騒がしさとは対照的な静かなる衝撃的転”組”生発表から一時間目を挟んだ小休憩時間。

 

「やっぱ、烏賊川市シリーズって面白いのぉ・・・」

 

「なんであの問題児がここにッ?」や「というか、なんでサングラスかけてるの?」等と言った聞こえるか聞こえないかの微妙な音量でヒソヒソ周りで噂話が囁かれる中、次の授業の用意した春樹は呑気に図書室から借りて来た小説を読んでいた。

 

何故に彼が一組から四組へ転がり込む事になったのか。それは、やはり彼のあのVTS事件での活躍が主な要因である。

 

ただの『ISが動かせる”だけ”の男子生徒』から『『越界の瞳』に完全適応した凄腕IS男性パイロット』へ進化してしまった為、日本政府としては他国の代表候補生が多くいると一組にはあまり在籍してほしくなかった。

 

その為に日本政府の意向を汲み取った轡木の指示で、春樹は四組に移動したのである。

しかし、何ゆえに三組ではなく四組なのか? それは・・・・・

 

「あの・・・?」

 

「阿?」

 

ある生徒が本を読む春樹へ声をかけて来る。

その生徒は、澄み渡る蒼白のセミロングの癖毛と眼鏡が特徴的であった。

 

「ありゃあ? 君は・・・」

 

その声をかけて来た生徒に春樹は見覚えがあった。

あれはまだシャルロットがシャルルという名前で男に化けていた頃。

千冬から押し付けられるように彼女のルームメイトにさせられた事へ失望した春樹が大事にとっていたスコッチウィスキーでヤケ酒をしていた時、迷い込んだ格納庫兼整備室で―――――

 

「あぁッ! 確か、君はあのスカイブルーヘアー生徒会長の”妹さん”・・・じゃったけか?」

 

「ッ・・・」

 

春樹の言葉に彼女はキリリッと下唇を噛むような仕草をする。

その反応に「ありゃ、なんかマズった?」と春樹は何故か申し訳ない気持ちになった。

 

「ちょっと、今・・・良い?」

 

「え・・・あ、うん。ええけど」

 

そのまま春樹は彼女の言われるがままに四組の教室から連れ出され、人気の少ない廊下まで歩いた。

 

「それで・・・なんかね、『更識』さん?」

 

「・・・・・」

 

春樹は自分に背を向ける生徒に疑問符を投げかけた。

 

彼女の名は『更識 簪』

IS日本代表候補生の一人であり、倉持技研が世界初の男性IS適正者である一夏の専用機開発の為に制作放棄した『打鉄弐式』のパイロットだ。

 

一応、春樹とは格納庫兼整備室での一件で泥酔状態の彼と対面しているものの、お互いにこうしてちゃんと顔を合わせるのは初めてである。

 

「えーと・・・更識さ―――「あなたに聞きたい事がある・・・!」―――お、おう」

 

彼女から伝わって来る内気さとは裏腹に、簪は強い口調で春樹に詰め寄った。

その反応に「あの時、俺なんかしてしもうたんかッ?!」と身に覚えのない焦燥感が春樹の身体を奔る。

 

「あなた・・・倉持技研からの専用機提供を断ったって・・・本当?」

 

「・・・は?」

 

目の前の簪に酔って何か荒事をしてしまったのかと心配して春樹だったが、簪からの今の言葉にキョトンと拍子抜けした。

 

「倉持・・・って、あぁ。あの野郎の欠陥機を作った所か」

 

「け、欠陥・・・って・・・」

 

思い出したように口を開いた春樹へ今度は簪がピクリと眉をひそめた。

彼の言う通り、倉持技研の制作した一夏の専用機である白式は欠陥機ではあるが、倉持技研そのものは日本のISを扱う企業の中でもトップクラスの実績を誇り、世界でも名の知られた会社である。

そんな会社からの専用機を提供されると言う事は、他の代表候補生や候補生を目指す生徒達から見れば羨ましい事なのだが・・・この男は違う。

 

「あの事件の後、その倉持から俺宛に専用機を提供の書状が来たんじゃけどな。今更、俺に専用機を作ってやる言われても・・・掌返しして来たみたいでムカついたけん、丁寧にお断りの書状を送ってやったんじゃ」

 

「・・・その時・・・なにか、した?」

 

「は? なにかって・・・・・あッ」

 

その断りの書状を書いた時に春樹は倉持技研が白式を制作するにあたって、、日本代表候補生の専用機を制作放棄した事を知っていた為、その事を断りの理由の一つに書いたのである。

 

「確か・・・「代表候補生の専用機を作っている途中で止めるとは何事か」みたいな事を書いたのぉ。それが、どーしたんなん?」

 

「その、代表候補生って・・・私の事・・・」

 

「えッ・・・」

 

簪の言葉にゾッと春樹は背中が寒くなった。

「やっぱり、あねーな余計な事をするんじゃなかった」という言葉が彼の頭を駆け抜ける。

 

「VTS事件の後・・・倉持技研の人達が突然やって来て・・・あの子を完成させるって言って来たから」

 

「あぁ、そうなんか・・・なんか、お騒がせしました」

 

「大丈夫・・・私も断ったから」

 

「えッ・・・なんでーな?」

 

「・・・覚えてないの?」

 

「あの時の俺よ、一体なにを言うたんじゃ!?」と、春樹は焦燥感たっぷりに心中で叫んだ。

IS制作の玄人連中がいる倉持技研からの専用機制作再開の打診を断った理由が、自分の言った事にあるという事に焦った。

 

「・・・覚えてないなら、いい」

 

「えッ、教えてよ更識さん!!」

 

「・・・簪」

 

「・・・へ?」

 

「あまり・・・名字で呼ばれるのは・・・好きじゃない。簪でいい・・・」

 

「え・・・でも、そねーに親しゅうもない人を下の名で呼ぶ言うんは、抵抗が・・・」

 

「・・・なら、教えない」

 

「えーッ、なんでじゃー!?」

 

自分が何を言ったのか動揺しまくる春樹に対し、そんな動揺する彼に簪は「やっぱり、変な人」とクスリと微笑んだ。

その微笑みで、更に春樹は混乱してしまう。

 

「あッ・・・もうすぐ授業が始まる。行かないと・・・」

 

「えッ、ホントに教えてくれないの?!」

 

「・・・うん」

 

「え―――ッ?」

 

結局この後、簪から自分が格納庫で何を言ったのか教えてもらえる事はなかった。

「一体何を言うてしもうたんじゃ、俺はぁ?!!」と悩んだ為にこの後、鬼気迫る表情で授業を受けた為に『転属初日にクラスメイトを威嚇していた』という悪評が加えられる事を彼は知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・・・はい。という訳でリハビリ投稿・・・じゃなくても、良いかな?◆◆◆◆◆
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