IS/Drinker   作:rainバレルーk

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第4話

 

 

 

「清瀬、お前あそこまで言われて悔しくないのかよ!?」

 

「オメェに返す言葉はねぇ。・・・つーか、なんでオメェはナチュラルに俺の横に座って飯を食っとんじゃい!!」

 

めんどくさい面倒事に巻き込まれた俺は、この胡散な気持ちを晴らそうと食堂に来たんじゃが・・・

 

「いいじゃないか、俺達クラスメイトだろ」

 

「俺は一人で食いたいんじゃ、ボケ! 隣の子も俺がおったら邪魔じゃろうがな、なぁ篠ノ之さん?」

 

「えッ!? わ・・・私は・・・」

 

面倒事に巻き込んでくれた糞斑・・・改め、織斑とそわそわぎこちない様子のポニーテール娘・・・改め、篠ノ之さんが俺の横に陣取りやがった。

 

「なんでそこで箒が出て来るんだよ?」

 

「・・・誰か、コイツを殴り殺せるマダーライセンスをください」

 

殴りたい、ホントに殴りたい。これだから、鈍感主人公は嫌いなんだよ。

どーみたって、篠ノ之さんお前にホノ字やんけ。なんで気づかんのじゃ、コイツ。

 

「それよりも清瀬、来週の試合どうする?」

 

「知るか。クタバレ、くたばっちまえ。というか、だいたいオメェのせいでこうなったんだろうが」

 

「えッ、でも清瀬だって―――「あ”ぁ”ッ?」―――・・・なんでもないです」

 

でも、しっかしどうしようか。

噛ませっつっても、それはこの鈍感屑主人公だけだろうから・・・俺はマジでやらないと最悪の場合・・・考えるだけでも恐ろしいのぉ・・・。

 

「そ、そうだ、箒! 久し振りに俺に剣道教えてくれないか? 全国でも優勝した腕前、見せてくれよ。清瀬も一緒にどうだ?」

 

「やだ、NO、断る」

 

「そう言うなって」

 

しつけーな・・・ホントにコイツの顔面に拳をめり込ませてやろうか。それか、この熱々の味噌汁をブッカケて、顔面に大火傷を負わせて・・・・・ッう!!?

 

「ん? どうしたんだ、清瀬? 急に手を振り出して?」

 

「・・・用事を思い出した。ごちそうさんッ!」

 

「あッ、おい清瀬!」

 

・・・やばい。

やばいやばい。

『発作』だ。こんな時に来るとは!

俺は急いで器を空にし、食堂を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ッ」

 

春樹はある場所に向かって進行する。と言っても場所はどこでもいい。向かう先は人目に付きにくい場所だ。

 

「ハァ・・・ハァ・・・あぁ、大義ぃなぁ・・・!」

 

その場所に向かう彼の顔は酷く悪い。

今にも倒れそうなほどに青ざめ、左手は痙攣した様に震えている。

 

「ハァッ・・・ハァ・・・オエッ・・・!」

 

漸く人目がない木の木陰に辿り着いた春樹は吐き気を抑えながら制服の内ポケットを探り、銀色の小さい水筒を取り出して一気にそれを呷った。

 

「ング・・・んグッ・・・カッはーッ! 口が燃えるッ、生き返る~♪」

 

ほっと一息落ち着く春樹。

彼の持っている小さい銀色の水筒は『スキットル』と呼ばれる携帯用の小型水筒。用途としては中にウイスキーなどアルコール濃度の高い蒸留酒を入れるものである。

つまりは・・・

 

「やっぱり、発作にはウィスキーが一番だな」

 

清瀬 春樹は『アルコール依存症』である。

彼はこの世界と前の世界とのギャップに耐え切れず、数年前から好物であるアルコールを摂取していた。

されどこの世界での彼の肉体は成人と比べて不完全。すぐに肝機能に障害を受け、一時は重度のアルコール依存症に陥った。

しかし、今はこうして少量のアルコールを摂取する事で発作を抑える事が出来ている。

・・・まぁ、本当は飲酒しないように言われているのだが、彼は内緒で飲酒をしている。

だから、このスキットルとその中身は密輸ものだ。

 

「さて、そろそろ行くか。こんなもん見つかったら、大目玉どころじゃあ済まないしな。後は部屋でゆっくり・・・ウヒヒッ」

 

ニンマリと気持ちの悪い笑みを浮かべ、立ち上がる。

先程とは違い、青ざめた顔は血色の良い表情に変わっている。簡単に言うと軽く酔っている。ほろ酔い気分だ。

 

「ハッ!・・・なんか、織斑先生には気を付けよう。あの人も飲兵衛という気配が・・・『飲兵衛は飲兵衛に引かれる』!?」

 

酔ってる時の彼は、すごくくだらない事を考え着く。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

「く、訓練機ですか?」

 

「おうッ・・・じゃなくて、はい。訓練機です」

 

一週間後のクラス代表決定戦の為、俺は山田先生に会いに行った。ところがどっこい、山田先生は怯えている。

誰に? 勿論、俺に。

 

「・・・先生、そんな脅えんでください。皮をひん剥いて、頭からバリバリ食おうってんじゃないんですから」

 

「ひィッ!!」

 

「・・・」

 

・・・そんなに俺って怖いか?

まぁ、織斑みたいにイケメンじゃないし。どっちかというとフツメンだし。

それにそんな顔されると・・・もっとその可愛い顔を歪めたくなるじゃないか。

 

「(おっと、危ない危ない・・・)申請すれば、貸してくれるんじゃないんですか?」

 

「その・・・す、すみません。訓練機なんですが、一週間は貸し出し出来なくて・・・」

 

「なしてですか?」

 

「ご、ごめんなさい! 早い者勝ちなんです!」

 

「いや、謝らんでもいいですって・・・」

 

なんか周りの目が痛い。

これじゃあ俺が山田先生をいじめている公開プレイみたいじゃん。

いいね、ゾクゾクするよその表情!

 

・・・しかし言われてみれば、この学園にいるのはIS目的で入学しているんだから、皆が皆触ろうとする。即ち、競争倍率は非常に高い。

どうしたもんかいのぉ。

 

「そういやぁ、来週の試合はどうするんですか?」

 

「は、はい。清瀬くんには訓練機が貸し出されます」

 

「え、織斑の野郎には? アイツも訓練機でやるんでは?」

 

「い、いえ。織斑くんには、”専用機”が・・・」

 

「・・・・・あ”ッ?」

 

「ご、ごめんなさいッ!!?」

 

おい、おいおい、おいおいおい。

マジか、マジかよ、マジなのかよ。

俺は訓練機で、あの野郎は専用機・・・だと~ッ??

 

「はぁーーーッ・・・!!」

 

「き・・・清瀬くん?」

 

まぁ、しょうがねぇよなぁ。

俺は一般人のパンピー野郎。向こうは元世界王者ブリュンヒルデの弟。

どう見たって、聞いたって、期待する値が違い過ぎる。

そりゃあ専用機も与えられる訳だ。

 

「しゃーねぇのぉ・・・ん~、山田先生?」

 

「は、はい! なんでしょう・・・?」

 

「俺が勝つにはどうすればいいと思います?」

 

「え・・・」

 

しゃーない、しゃーない。

まぁ、こっちも『ガンダールヴのルーン』があるんだ。五分と五分になる・・・か?

どーなるんだろ。ま、やってみないと分からない・・・か。

 

「あ、先生。さっきの話は忘れてくだせぇ、戯言なんで」

 

「は、はい・・・」

 

どーするかのぉ。

『剣』で戦うか。『銃』で撃ち合うか。

そーいやぁ、訓練機にも剣と銃で違う機体があったような・・・。

 

「き、清瀬くん!」

 

「え、はい?」

 

「わ、私が教師として今は言える事は、ISの仕組みを理解する事。それとイメージトレーニングをするといいです・・・よ」

 

「! 阿ッ破ッ破ッ破!」

 

「え、えぇッ・・・き、清瀬くん?」

 

可愛いなこの人。

前の世界で出会っていたら、恋していたかもしれないな

 

「ありがとうございます、山田先生。あなたはいい先生です。自信を持ってくだせぇよ」

 

「は・・・はい!」

 

取り敢えず、やる事は決まった。

イメージトレーニング・・・ねぇ。なら、いい”作品”があるな。部屋に帰って見よう。

でも、その前に・・・。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

「るーらるらるー♪ るーらるらるー♪」

 

ルンルン気分である施設内を歩く春樹。

そんな彼の手には、一般社会で到底お目に架かれない酷く物騒なものが握られていた。

『AK-47』、通称カラシニコフ。そして、弾丸12カートン。

 

何故に彼がそんなものを持っているかと言うと、答えは簡単。ここが射撃場だからだ。

ISという兵器を教える学校は伊達じゃないようで、IS学園内にはこういった施設があった。

 

「前々からこう云うの撃ってみたかったんだよなぁ・・・やっぱりモノホンは重さが違うね、重さが」

 

春樹は射撃場の1レーンを借り、銃に薬莢を装填する。

そしてトリガーをコッキングし、思いっきり引き金を引いた。

 

ズガンッ!

「おおわッ!!?」

 

だが、銃など撃った事どころか触った事こともない素人である春樹が撃った瞬間。弾丸の発射の反動で彼は後ろにのめってこけた。ゴチンという音と共に。

 

「・・・クク・・・阿破破・・・阿ッ破ッ破ッ破!」

 

けれども、頭を打ったというのに春樹は大笑いをした。腹でも抱えそうなほどの大笑いを。

 

「・・・なにを笑っていますの?」

 

「阿破破ッ・・・え、あれ? 君は・・・?」

 

笑い転げる彼の視線の先にいたのは、試合の対戦相手であるセシリア・オルコット。

彼女は酷く眉間に皺を寄せている。

 

「こりゃぁこりゃあ、オルコット嬢。お恥ずかしい姿を見せちまいましたな。なにぶんと初めて銃を撃ったもんで・・・興奮してしまいましてね」

 

「なんて野蛮な・・・これだから男は!」

 

「野蛮? そういうあんさんも撃ちに来たんじゃねぇの? ここ射撃場だし」

 

「そ、それは・・・ふん!」

 

ぷいっと顔を背け、彼の隣のレーンにうつるセシリア。そんな彼女の手には、見慣れない銃が握られていた。

 

「おいおい、なんだいなんだい。先に声をかけて来たのはそっちだろう? というか、なにその銃? あー、ISの銃か! カックいー!!」

 

「五月蠅いですわよ!! 黙って、自分のライフルでも撃っていなさい!!」

 

鬱陶しそうに叫ぶセシリア。

ほろ酔い気分とは言え、春樹は面倒くさい絡み酒タイプだったようである。

 

「へーへー、わかりましたよーだ」

 

「ふん!」

 

本当にわかっているのか、どうなのかはさて置き。観念した春樹は自分のレーンに戻り、カラシニコフを握る。

そして、再び引き金を引き、弾丸を銃口から放ち続けた。

 

「阿ッ破ッ破ッ破!!」

 

けたたましい笑い声と共に。

 

「・・・あーもうッ、五月蠅いですわね!!」

 

彼の隣のレーンしか借りれなかったセシリアは、隣で乱射しまくる彼の笑い声が癇に障りまくり、あまりいい結果を出せずにいた。

だから、文句でも言ってやろうかと春樹のレーンを見る。その時、チラリと彼が標的にしているポインターが視界に入り・・・二度見した。

 

「え・・・!?」

 

彼が標的にしていたポインターは真ん中が綺麗に撃ち抜かれ、大きな穴ぼこが出来ていたのだ。

銃を扱う者が居るのならば、AK-47の特性は知っている。大口径で威力に申し分はない。だがその反面、反動が大きく照準がぶれやすい。

 

「(この男、使いこなしていますわ・・・本当に初めてッ?)」

 

そのじゃじゃ馬をこの男は完全に使いこなしている。そして、その男の左手の甲が若干光っているように見えた。

 

「ふー・・・撃った撃った。気持ちが良いねぇ。やっぱり、銃にしようそうしよう」

 

「あ、あの・・・!」

 

「あ?」

 

不思議とセシリアは春樹に声をかけていた。

自分でもわからない。無意識だった。

 

「ど、どーしたよ・・・オルコットさん?」

 

まさか、セシリアの方から声を掛けられるとは思ってもみなかった春樹は動揺する。

銃を撃った事でアドレナリンが溢れ、酔いは完全に覚めていた。

 

「え・・・えと、その・・・あの・・・」

 

「お・・・おう・・・」

 

「な・・・なんですの、その構え方は! まったくなっていませんわ!!」

 

「え!?」

 

「いいですか、ライフルはこう構えるんです!」

 

「は、はい!」

 

そこから何故か始まったのは、セシリア・オルコットによる銃の撃ち方講座。

春樹も流されるままに彼女に教えを受けた。

 

「はい、脇はしめる! 銃床はちゃんと構える!」

 

「は、はい!」

 

そこからみっちりとセシリアに教えを受けた春樹。

気がつけば、いつの間にか陽が落ちている時間になっていた。

 

「あッ、もうこんな時間・・・あなたに教えていたら、日が暮れてしまいましたわ!」

 

「・・・阿破破ッ」

 

「な、なにが可笑しいんですの?!」

 

「いや、あんた良い人だなって。ありがとう、オルコットさん」

 

「!」

 

素直な春樹からの感謝の言葉に若干動揺するセシリア。

だが、またぷいっと顔を背けた。

 

「と、当然ですわ! 私と戦うのならば、もっとちゃんとしてくださいまし!」

 

「あーそうだな。・・・悪かったな」

 

「な・・・なにがです?」

 

「その・・・昼間のあれだよ・・・馬鹿にされたからって、あれは言い過ぎた。すまなかった」

 

「それは・・・ふ、ふん!・・・・・わ、私も言い過ぎましたわ・・・」

 

「!」

 

「な、なんですの! その驚いた顔は?!」

 

「いや・・・あんたも謝る事できるんだなって。意外だな」

 

「ッ~~~!!? 馬鹿にして!」

 

「ぶげッ!?」

 

「ふん!」

 

春樹に空のカートン箱をぶつけたセシリアは、ズカズカと射撃場を後にする。

一人残された春樹は一瞬呆けた顔をする。そして、困った様に笑みを溢したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

因みにこの後。射撃場を後にした彼は、用意された一人部屋に安堵の溜息を漏らしながら、イメトレ参考の”作品”を肴に密輸ビールを呷った。

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・・・はい。という訳でリハビリ投稿でした。
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