IS/Drinker   作:rainバレルーk

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第55話

 

 

 

俺達の作戦はこうじゃ。

先ずは射撃を得意とするセシリアさんとオールラウンダータイプのラウラちゃんとデュノアが目標と交戦する。

 

最初はラウラちゃんが目標に向かってグレネードの雨を降らす。

勿論、最初の一発二発は直撃するだろうが、決定打とはならんじゃろう。

 

次にラウラちゃんへターゲットロックをかました野郎のド頭へセシリアさんが拳骨を喰らわす。

 

拳骨を喰らった野郎は、ラウラちゃんからセシリアさんへターゲットを変更。

其処へ下手だが有能なステルス機能で目標へ近づいたデュノアの散弾銃が火を噴く。

 

其処からは撹乱を織り交ぜての射撃包囲網。

意地悪くジワジワHPを減らすつもりなんじゃけど、やっぱり上手い事にはならんじゃろう。

スペックデータじゃと野郎は広範囲に攻撃できるタイプじゃけん、問答無用でレーザービームをバンバン撃つじゃろうな。

 

まぁ、そうなったらそうなったでラウラちゃんらぁ三人は上の方で回避行動やら防御態勢をとってもらう。

きっと野郎はやっきになってラウラちゃんらぁを撃ち落とそうとするじゃろうな。そしたらそしたで、今度は野郎の下に隙が出来る。

 

下に隙が出来たら、海中に潜っとった高い攻撃力を持っとる篠ノ之と凰さんが突撃をかける。

連続で攻撃を仕掛ければ、それだけ攻撃が当たる可能性は跳ね上がる。

 

そして、最後のダメ押しに俺がスツーカの急降下爆撃のようにMVSで野郎の頭をカチ割ってタッチダウンじゃッ!

・・・・・じゃったんじゃけど・・・

 

ガキャアァアアアアアッン!!

「なッ、何じゃとォオオ!!?」

 

福音の野郎はMVSが頭に当たる瞬間。咄嗟に右腕を出し、更に首を傾げて俺の攻撃の直撃を反らしやがった。

俺はそのまんま野郎の頭についている鳥の羽みたいな翼を一枚だけ叩き斬り、勢いのままに海へダイビングする事に成っちまった。

 

「こ、この野郎!!」

 

≪La・・・♪≫

 

福音はそのまま俺にビーム砲の発射口を向ける。

野郎、俺の攻撃が通らなかったからって得意げなロボ声を出しとるが、舐めるなよ。

 

「・・・どこを見ているの?」

 

≪!?≫

 

福音は「しまった」とばかりに振り返るが・・・もう遅いんじゃ、ボケェ!!

 

「援護するぞ、簪!」

「全弾・・・持っていけぇえッ!!」

 

ドカーン!!とばかりに野郎の背中目掛けて、隠し玉として待機して貰っとった簪さんのミサイルパックが出血大サービスで撃ち込まれ、ラウラちゃんのグレネードとデュノアのアサルトカノン、セシリアさんの精密射撃のビームが野郎の背中と関節部を貫く。

 

「一夏の仇ッ、取らせてもらうぞ!!」

「これで終わりよッ!!」

 

≪~~~~~ッ!!≫

 

その滅多打ちになった野郎の身体へ篠ノ之の二刀流の連撃と凰さんの青龍刀の痛烈な攻撃が打ち込まれた。

怪我人へ鞭打つようでちっとばっか心が痛むが・・・・・いや、やっぱし全然平気じゃわ。

 

ガチャリッ

「悪いが・・・このまま撃ち抜かせてもらうでよ!」

 

≪La・・・ッ≫

 

俺はリボルバーカノンの撃鉄を起こし、野郎の電脳が詰まっているであろう頭部へマグナム弾をズガンッ!とぶち込む。

銃口から飛び出した弾丸は福音の頭部へ付いている残った片翼諸共電脳を吹っ飛ばし、顔の上半分がひっぺ替えされたようになくなった。

そして、そのまま俺の真横の海へと落下し、大きな水飛沫を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

「お、終わったの?」

 

「や・・・やったッ、やったぞ!」

 

ついに福音を撃墜した事に作戦参加者たちは安堵の表情を見せる。

・・・だが。

 

「ハァッ・・・ハァ・・・ッ! 全員、迎撃態勢とれや!!」

 

「・・・春樹?」

 

唯一人、春樹だけは声を荒らげて海から飛び出す。

頭部の装甲で表情は解らないが、声色からして血相を変えていた事に間違いはなかった。

 

「此方、サーヴァントリーダー! 聞こえるか、壬生さんッ?」

 

≪あぁッ、バッチリ聞こえてる!≫

 

「なら、単刀直入で頼まぁッ! 俺の”勘違い”か?!!」

 

≪”ところがギッチョン”!≫

 

通信インカムから聞こえて来る壬生の怒声に「糞ッタレのおわんごがッ!!」と春樹は歯を剥き出しで唾を吐きつつ、リボルバーカノンを福音の墜落地点へ向ける。

 

「各員、聞こえたなッ! これより第一フェーズの”α作戦”から第二フェーズの”γ作戦”へ移行! βじゃねぇぞ、γじゃけんなッ!!」

 

「なんですって・・・!?」

「そんな馬鹿なことがあるのかッ?!」

「・・・ッ・・・」

 

「き・・・清瀬?」

 

春樹の大声に皆が顔を青くし、歯をギリギリと喰いしばる。

ただ一人、出撃直前に合流した箒だけが周りから漂う焦燥感へ疑問符を投げかけた。

 

「清瀬、何を言っているんっだ? 福音なら、もう倒して―――「ッ、来るぞッ!!」―――・・・え?」

 

バシャァアアア―――ンッ!!と、間欠泉のような今まで以上に大きな水飛沫が福音墜落地点の海面から立ち上る。

これには、先程まで疑問符を浮かべていた箒も即座に警戒態勢をとった。

 

『『『なッ!!?』』』

 

その水飛沫と共に現れた機体に全員が驚愕の表情を浮かべる。

何故ならば、其処には青い雷を纏ったような福音が自らを抱くかの如くうずくまっていたからだ。

しかし・・・福音の其の姿よりも特出すべき点がある。それは―――――

 

「あぁッもう、最高じゃ・・・なんてスパロボ的な展開・・・ッ!」

 

―――撃ち、斬り、穿った筈の福音の装甲が何事もなかったかのように”修復”されていたからだ。

加えて、先程の戦闘では確認されなかったエネルギーの翼のようなものが全身に這えていた。

 

「この状況下で、『二次形態移行(セカンド・シフト)』・・・だとッ!!? 不味い、全員はなれ―――――」

 

≪La・・・LaaA”A”A”A”A”A”A”A”A”!!≫

 

ラウラが全員へ警告を発しようとした途端、福音は酷いノイズが入った機械音声を轟かせながら彼女へ敵意を見せ、飛びかかって行く。

 

「危ねぇッ!!」

 

ズガン、ガンッ!!

≪A”A”A”ッ!?≫

 

しかし、ラウラへ襲い掛かろうとした福音へ春樹は即座に二発の銃弾を叩き込む。

その威力に体勢を崩した福音は自らの無機質なバイザーを彼へと向かせ、破壊された頭部から先程のモノよりも大きなエネルギー翼を生やした。

 

「阿、阿破破破・・・・・うぉおおおおお!!」

 

≪LA”A”A”A”A”!!≫

 

咄嗟にリボルバーをぶっ放してしまった春樹はバツが悪そうに苦笑いを浮かべ、そのまま更に空高く上昇をする。

一方の福音も頭部の翼をむしり取られた事に激昂しているのか。春樹の後を超高速全開で追跡した。

 

「春樹!!」

 

「待ってください、シャルロットさん!」

 

福音からマークされてしまった彼に加勢しようとデュノアがアサルトカノンを構えたが、何故かセシリアが其れを静止する。

この彼女の行動に箒が「何をしているッ!?」等と声を荒らげたが、すぐに作戦概要の詳細を知らない彼女に簪が説明を始めた。

 

「落ち着いて、篠ノ之さん。説明は省くけど・・・あの機体、銀の福音には人が乗っているの」

 

「なんだと!?」

 

衝撃の事実に箒の表情は驚愕へ染まる。

 

「ゴーレム事件の事があるから皆、無人機だと思ってたんだけど・・・春樹だけが有人の可能性である事を考慮したの。αで様子を見て、無人機ならβ作戦・・・つまりは徹底的な包囲網攻撃で完全破壊を行う。でも・・・・・」

 

「アイツの予想通り、福音にはパイロットが居た・・・冗談でしょ?!」

 

≪残念ながら冗談ではない、凰代表候補生≫

 

『『『!』』』

 

鈴の言葉に通信インカムから旅館にある作戦指令室とは別の場所にいる長谷川の声が聞こえて来た。

 

≪清瀬君が搭乗しているIS、琥珀の頭部パーツには解析装置が内蔵してある。その装置から此方へ送って来た現状映像によると、福音から微弱だが”人間の生体反応”が確認された≫

 

「そ、そんなッ・・・」

 

長谷川からの通信にシャルロットは表情を曇らせる。

当初の目的である福音討伐は、機体の完全破壊も視野に入れていた。もし、機体の完全破壊に成功したとしても、内部にいる操縦者の生命は守られるだろうか。

 

「何故・・・何故そんな事を黙っていたんだ?!」

 

≪仮に君が福音へ意識不明の搭乗者が居ると聞いていれば、その搭乗者を助けようと力加減をしただろう。だが、アレは手加減をして勝てる相手ではない≫

 

「しかし!」

 

「箒さんッ、今は言い争っている場合ではなくてよ! Mr.長谷川、γ作戦の概要は発令時に貴方から聞くよう春樹さんから言われています。作戦概要の説明を求めますわ!!」

 

≪ッ、それは・・・≫

 

セシリアは青筋を立てる箒を抑え、長谷川にγ作戦の説明を乞う。

だが、彼女の言葉に長谷川は口をへの字に曲げながら言い淀んだのである。

 

「どうしたってのよ、長谷川おじさん!」

 

「春樹は身を挺して福音の囮になっているんだよ! 早くしないと、福音にやられちゃうよ!!」

 

≪・・・解りました。作戦概要を説明します・・・・・―――――――全員、”退却”してください≫

 

「・・・えッ」

 

通信ネットワークから聞こえて来た文言にその場にいた全員が言葉を失い、まるで時間が止まってしまったかのような感覚に襲われた。

 

「ッ、ちょっと・・・なにを言っているのか、わかりません」

 

「そ・・・そうですわ、簪さんの言う通りです! それは何かの間違―――≪・・・繰り返します、退却してください≫―――ッ、何故ですか!!?」

 

間違いだと思いたかった指令が再び聞こえて来た事に、セシリアは思わず声を荒らげる。

何故ならその指令に従えば、現在福音に追われている春樹を見捨てる事になるからだ。

 

≪これは清瀬君、彼からの要望です≫

 

「なんですってッ・・・あの馬鹿、私達があんな暴走マシンにやられると思って―――≪それは違います≫―――ッ、何が違うって言うのよ!!?」

 

≪彼は・・・君達に”人殺し”をさせたくはないからです!≫

 

「ッ・・・!」

 

ゴクリと誰かが息を飲んだ。

長谷川の言う通り・・・二次形態移行で暴走状態に陥っている福音を止めるには、機体の完全破壊を行うしかない。

だが、零落白夜のような機体を傷つけずにシールドエネルギーだけを刈り取る方法が現状無い場合。物理的な破壊活動を行うしかない。

ただその様な事を行えば、例え絶対防御があると言え、ISへ搭乗しているパイロットの命の保証は出来ない。

装甲破壊の衝撃にパイロットが耐えられない可能性があるからだ。

 

≪彼の覚悟を無駄にしないでください。それに・・・彼に人殺しなどさせません。我々が責任を持って彼を―――「・・・けるな・・・ッ」―――ボーデヴィッヒ候補生?≫

 

「ふざけるなッ!!」

 

皆が暗い表情でシーンとする雰囲気の中。突如、ラウラが大きく吠えたかと思ったら、レールガンをジャキリと取り出した。

 

「私はドイツ空軍IS部隊所属だ! ついこの間まで一般市民だった春樹に心配されるほどの柔な精神は持ち合わせていないッ! 軍人として成った日から、覚悟は出来ている!!」

 

≪しかし、ボーデヴィッヒ候補せ―――「あとで厳正な処罰ならいくらでも受けてやる。だが、今はその指令は受け付けられない!」あッ、ちょっと―――≫

 

ブチリッ・・・とラウラはそのまま酷く乱暴に通信拒否を行う。

そんな彼女の行動に皆は鳩が豆鉄砲を食ったようにポカーンとなった。

 

「・・・さて、私はやってしまったな」

 

「・・・えぇ、やってしまいましたわね。で、どうしますのラウラさん?」

 

「決まっているだろう・・・だが、皆はどうするッ?」

 

鋭い灼眼を輝かせるラウラに皆は一斉に首を縦に振るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆
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