後日談、というのが今回のオチ・・・になるんかのぉ?
キング・クリムゾンのように過程を吹っ飛ばして結果だけ言うと『俺は負けた』。
まぁ、量産機で専用機に勝てるなんぞ露にも思ってなかったし、勝負する気もなかったんじゃが・・・。
『正直ないわー』とか。
『ダッさ』とか。
『弱~い』とか。
・・・まぁ、そんな嘲笑で叩かれた。
青いガンダムサバーニャにザクで挑んだんじゃけん、ちったぁ褒めてくれてもええやんけ。こちとら二日酔いで目が充血した最悪のコンディションでやったんじゃぞ!
一方でダメな方のバナージ・・・もとい織斑もオルコットさんに負けた”らしい”が、あっちはやれ『頑張った』だの、『かっこよかった』だの、『流石は織斑くん!』だのと称賛拍手喝采。
俺とは、おー違いじゃ。
ちなみに”らしい”ってのは、俺は二人の試合を他の人から聞いたという事。
実は俺、オルコットさんと戦った後にまたゲロッちまい、そのまま気絶したんじゃ。
保険医の先生からは、心労による体調不良とISの過度な重力Gに耐え切れなかったという診断を下された。
二日酔いがバレんかったけん、幸いじゃ。
まぁこれで、当初の予定通りオルコットさんがクラス代表になる予定じゃったんじゃが・・・試合の翌日、実に奇妙で不可思議な事が起こった。
「先ずは皆さま、先週のクラス代表での件について私から謝罪を申し上げます。口が過ぎたとはいえ、皆様の祖国を侮辱した事、大変申し訳ございませんでした」
朝のHRにオルコットさんが教壇に立ち、クラス全員に頭を垂れたんじゃ。
あんだけ踏ん反りかえっとった高飛車さんが、まさか頭を下げるとは皆思っていなかったようじゃけん、一同唖然じゃ。
俺も唖然、目が真ん丸になった。
「つきましては、この様な未熟者の私がクラス代表という荷を背負うには不十分と考え
、ここに辞退を表明致します」
「え・・・という事は・・・?」
皆の視線が一気に織斑に注がれた。
野郎はまだ自分がどーいう状況かわからずに?マークを浮かべておる。
「はい。一年一組代表は織斑一夏君に決定です。あ、一繋がりでいい感じですね!」
「え・・・えぇぇッ!!? ちょっ、待ってくれ俺は―――」
漸く自分の状況が確認できた野郎は反論しようと立ち上がる。
じゃが、言わせる訳にはいかん。また俺に飛び火したら叶わんけんのぉ。
「いやー、えかったえかった!! これでクラスの代表は決まりじゃのぉ!」
「き、清瀬ッ!?」
ワザとらしく手を叩きながら称賛する俺。
ここはクラス全員でコイツを丸め込むに限るとばかりに何人かへ視線を送る。
ま、俺の視線にアーカードの旦那のようなエロ光線があるわけないから、嫌な顔をするヤツがちらほら。
「いやぁ、セシリアわかってるね!」
「そうだよね。せっかく男子がいるんだから、同じクラスになった以上は持ち上げないと!」
「私達は貴重な経験を積める。他のクラスの子に情報が売れる。一粒で二度おいしいね、織斑君は!!」
だが、俺の意図を知ってか知らずか、何人かが口々に声をあげる。いつしかそれは『織斑コール』となり、歓声が舞い上がった。
阿ッ破ッ破ッ破! ざまぁみさらせ、織斑!!
人を面倒事に巻き込むから、こうなるんじゃぁボケェ! 精々、クラスの為に周りから情報を売られて、尻の毛まで毟らりゃあええ!!
「五月蠅いぞ、貴様ら! 静かにしろ!!」
『『『・・・・・』』』
・・・まぁ、すぐに織斑コールは行き遅れ確定理不尽教師に黙らせられる事になったが。
あ~ぁ、なんで俺この人のエロ同人持ってたんだろ。外見タイプで中身なんかガッカリ。
スパァアッン!
「何故ッ!!?」
「騒ぎを起こした罰だ、馬鹿者」
明らかにその他の理由がありましたよね?!
前の世界でこんなのやったら、すぐに懲戒ものだぞ行き遅れ!
「あ”?」
「・・・なんでもないでーす」
・・・読心術使えるのか、この人?
新手のスタンド使いじゃなかろうな・・・。
―――――――
キンコンカンとチャイムが鳴り、一夏から文句を言われる前に急いで春樹は自分の席を後にする。
短い休み時間でも、彼にとっては一人になれる大切な時間だ。誰にも邪魔はされたくない。
教室に居れば、一夏からしつこいくらいに話しかけられ、クラスの女子からは聞こえるか聞こえない位の音量で陰口をたたかれる。
彼にとって休み時間はストレスでしかない。
人気のない場所へと急ぎ、図書室から借りたお気に入りの本を読む。小規模だが、至福の時間だ。
「あ、あの・・・清瀬さん」
「あ?」
ただ、その日はいつもとは違っていた。
木陰近くのベンチに座り込み、栞を挟んだ本の頁を開く直前、彼は背後から声をかけられる。忌々しく振り返れば、其処にいたのは今朝方彼が奇妙だと感じた人物、セシリア・オルコットが佇む。何か言いたげな表情で。
「あぁ、うん・・・なんじゃ、オルコットさん?」
春樹は少し考えた後、開いた本を閉じる。
「え、えと・・・あの・・・その・・・」
対するセシリアは何を言ったらいいのかとオロオロする。
其れは改めて彼にする謝罪の言葉であったかもしれないし、自分が何故に男を見下しているかの理由だったかもしれない。
だが、彼女は彼の顔を見た瞬間、今まで構成していた言葉が頭から吹っ飛んでしまったのである。
「・・・ゆーな、ゆーな、皆までゆーな」
「え・・・」
「今は、なんも言わんでええよ。今朝ので何となく解ったし、無理に言葉にせんでええけん」
「で、でも・・・私は・・・ッ!」
あの試合の対戦後、セシリアは自らの矮小さを感じた。
彼女のこれまでの経験上、『男』という存在はとても卑屈で弱々しい印象でしかなかった。
当初は目の前にいる春樹も、女の顔色ばかりを伺い、隙あらば此方を陥れようとするこの世界の中では極ありふれた男だと思っていた。
だが、そんな感情を抱いていた彼女を彼は真摯に受け止め、評価したのだ。
セシリアにとっては初めて出会うカテゴリーの人間。強さをひけらかす事なく、あくまで弱く振る舞おうとする不思議な人物。気がつけば、自然と彼を目で追う事が多くなっていた。
ただ、それが”恋愛的”な意味を持っている事かどうかは謎であるが。
「えーけんえーけん、気にするな」
「しかし!」
「構んってよーるがな!・・・あぁ、なんかこれじゃあ平行線じゃのぉ」
「ですわね」
「あー・・・なら、妥協案じゃ。君の思いがなんかの形に出来たら、そん時に言ってくれや」
「えぇ・・・そうしますわ」
「なんか・・・しまらねぇな」
「フフフ、そうですわね」
「笑わんでくれよ。さて、そろそろ教室に帰るか。いつまでも二人でいると他の連中に変な誤解をされかねないしな」
「そ、それは一体どういう意味ですの!?」
「さてね。ほれ、行くぞ」
『阿破破破ッ』と顔を若干頬を朱鷺色に染めたセシリアを連れ、春樹は教室へと歩むのだった。
・・・・・はい。という訳でリハビリ投稿でした。