IS/Drinker   作:rainバレルーk

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二升:クラス対抗戦・酒の酔い、本性違わず
第7話


 

 

 

≪その血ィの運命ェエ~~~♪≫

 

「じょ~じょ・・・てか?」カチッ

 

大音量で鳴り響く携帯のアラーム止め、薄らボンヤリとした意識を保つ俺。

 

今日も新しい朝が来た。忌々しい一日の始まりの瞬間だ。

今日も女子共の陰口と喧しい織斑の声をBGMにこの糞ッタレのような一日を過ごして行かなくてはならん。

俺は『死にたい』等とは言った事は勿論、思った事もない。常に『死にたくない、生きていたい』と心がけているような人間じゃ。

でも・・・

 

「あ~・・・やじゃなぁ・・・行きとうねぇなぁ~・・・」

 

『朝が来なけりゃいいな』と思った事なら何度もある。それか、今までの事は全部夢ならばよかったと。

 

「あ~・・・頭痛ぇ・・・」

 

だが、これが現実だ。仮想のような現実だ。

昨日飲んだウィスキーの残り香と気持ちの悪い胸やけと吐き気。

間違いなくのリアル。間違えのないような現実。

 

コンコンッ

 

・・・そして、これもまた然り。

 

『おはようございます、”春樹”さん。勿論、起きていらっしゃるのでしょう?』

 

「あ~、はいはい・・・今行きますよ、行きゃあよろしいんでしょー」

 

ガチャリとドアを開ければ、扉の前には見慣れた御人がニッコリと笑みを浮かべて佇んでいやがる。

 

「まったく、レディを待たせるなんて・・・殿方としての自覚が無くて?」

 

「あ~はいはい・・・悪うござんしたね、”セシリア”さん」

 

『セシリア・オルコット』。この世界の我らがチョロイン様・・・だったのけれども・・・。

どーいう訳か、あの鈍感屑朴念仁系主人公に行かずに何故か俺の方に来た。

因みに俺自身でも勘違いしそうになるんじゃけど、あくまでセシリアさんが俺に対する感情は『LOVE』じゃない。『LOVE』じゃあないッ!!

・・・大事な事などで二回言うた。

因みに何故ファーストネーム呼びなのかは、向こうの要望じゃ。今まで通り名字で呼びょうたら、返事をしてくれんようになったけん、仕方なしじゃ。

 

クラス代表決定後。やはり、織斑の野郎が頼りなさそうに見えた人がチラホラおったらしく、補佐という形でセシリアさんが副代表というポジションに収まりおった。

そこまでは良かった、えかったんじゃけどのぉ・・・

 

「さぁ、早く朝ご飯を食べに行きましょう。皆さんも待っていますわ」

 

「・・・はぁ~・・・やじゃなぁ~・・・」

 

この人はクラスの友好を図ろうと、はみ出し者の俺を事あるごとにクラスの輪の中に居れようとしょーる。

本人は良い事をやってるつもりなんじゃろうが・・・俺にゃあ、ありがた迷惑じゃ。

 

「あぁ~・・・帰りたい」

 

「部屋を出たばかりですわ。文句を言わないで、早く行きますわよ!」

 

「・・・うぇ~い」

 

あ~・・・めんどくせぇ・・・。

処方された精神剤って、まだ残ってあったけな?

 

この後、食堂にはクラスのヤツらとお馴染みのダメな方のバナージ、略してダメバナがおった。

しかも、俺の席は野郎の隣。マジでアイツの頭に味噌汁をぶちまけてやろうと思ったんじゃけど・・・今日の味噌汁は俺の好きなネギの味噌汁じゃったけん、やめた。

ホントに朝から、えろう大義ぃ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

雲一つない真っ青で綺麗な青空の下。

基本的な操作方法を学ぶ為、ISを使った授業が始まろうとしていた。

 

「織斑先生ェ、俺とっても体調がこれと言ってモノすんごく優れんので、休んでも―――「ダメだ」―――・・・ですよねー・・・」

 

「では、これよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑並びに清瀬、オルコット、試しに飛んで見せろ」

 

「「はい」」

「・・・うぇい」

 

指示されたように空高く舞い上がる三人。

しかしその途中、一夏が二人に対して遅れをとった。

 

『何をやっている、織斑。スペック上の出力では白式が一番なんだぞ』

 

「そうは言っても・・・」

 

「ふわぁあ~・・・」

 

『・・・誰がアクビをしていいと言った、清瀬。お前は緊張感が足らん』

 

「はい、すんません」

 

お叱りを受ける男子二人。

そんな二人を見て、セシリアはやれやれと首を横に振る。

 

「なぁ清瀬、前方に角錐を作るイメージなんて分からないよな?」

 

「そりゃあオメェの頭が悪いからだろ」

 

「むッ・・・なら清瀬は出来るのかよ?」

 

「ハんッ! できる訳なかろうがな、なに呆けた事言うとるんじゃ」

 

「なッ!? だったら、清瀬はどう考えて飛んでるんだよッ?」

 

「知るか、自分で考えとけ」

 

「ちょっと、お二人とも!」

 

二人のやり取りを見かねたセシリアが声を上げる。

相変わらず一夏を毛嫌いしている春樹は舌打ちしながらそっぽを向き、一夏は春樹を怪訝な目で見る。

 

「コホンッ・・・一夏さん。イメージは所詮、イメージ。自分がやりやすい方法を模索するのが一番ですわ」

 

「そう言われてもなぁ・・・空を飛ぶ感覚自体が、まだあやふやなんだよ。何で浮いてるんだ、これ?」

 

ここ最近の一夏は、幼馴染である箒との剣道ばかりで、ISを使った飛行訓練をやっていなかった。

そんな一夏にセシリアはISの飛行原理を説明しようとするが、『反重力力翼』やら『流動波干渉』と言った専門的な用語が出て来た為、両手を上げて遠慮した。

 

「・・・俺、もう降りらぁ。きょーとくなった」

 

「京都? なんだよ、清瀬。いきなり京都なんて?」

 

「・・・・・」

 

一夏の疑問文に無言で答えた春樹は、さっさと地面へ帰還せんと高度を下げていく。

 

 

『一夏ッ、いつまでそんなところにいる! 早く降りてこい!!』

 

『・・・なにをやっている、篠ノ之?』

 

地面へ降り始める春樹を余所に、箒が山田教諭から奪ったインカムで一夏に叫ぶ。けれど、すぐに千冬に肩を叩かれ、返す様促される。

その時の彼女の表情には例えられないような『スゴ味』があり、箒も思わず小さな悲鳴を上げてしまう。

 

『清瀬はそのまま降りて来い。織斑、オルコットは急下降と完全停止をやって見せろ。目標は地表から10㎝だ』

 

「「了解」」

 

「はい(危ねぇー・・・もうちょっとあそこにいたら、やらされてたのかよ。あんな高い所から急降下って・・・俺はスツーカじゃねんじゃぞ。ホント、あの先公は初心者のペースを考えないのな)」

 

そんな文句を抱く春樹の横を「お先に」と言いながら通り越すセシリア。

流石は代表候補生。ISに慣れているだけあり、難なく課題をクリア。地面への帰還を果たした。

 

「うまいもんだなぁ・・・んじゃ、俺も!」

 

そう言って、意気揚々と急降下を開始する一夏。

搭乗者は初心者であるが、機体である『白式』は優秀なようですぐにハイスピードに乗る事が出来た。

・・・出来たのだが・・・。

 

「うわ、あぁああッ!?」

 

「・・・あ?」

 

その勢いのままに直進する彼の前方にいたのは、ノロノロと降下する春樹。

 

「き、清瀬ッどいてくれぇえーーーッ!!」

「お、オメェッ、ふざけん―――――」

ドガシャァアーーーッン!!

 

春樹の叫びも虚しく、ハイスピードで衝突する一夏。

生々しい衝突音が地上にいた生徒たちの悲鳴と共にアリーナに響き渡る。

そして、ここからがまた一段とマズかった。

 

ドグォオオッオオオーッン!!!

 

ぶつかるだけならばまだ救いようがあったのだが、彼等はそのまま地面へとハイスピードで激突したのだった。

 

「一夏ッ!!」

 

立ち込める土煙の中、飛び出した箒が二人の墜落地点へ駆け寄ろうと駆け出した・・・その時。

 

「テンメェ、ふざけるじゃあねぇ馬鹿野郎ッ!!!」

 

「うわあぁッ!!」

『『『ッ!!?』』』

 

土煙の中から飛び出したのは酷く低い怒号と宙を舞う白式を纏った一夏。そのまま彼は、地面へ再び打ち付けられる。

 

「一夏ッ!? 清瀬、貴様ッ!!」

 

「喧しいッ、すっこんどけや!!」

 

『『『ッ!!?』』』

 

視界を塞ぐ土煙を掃い現れた春樹の手には、重々しい黒光りするアサルトライフルが握られており、白式からロックオンアラートが唸りを上げた。

撃鉄は振り上げられ、トリガーには指がかけられている。少しでも指を動かせば、薬莢から鉛玉が繰り出される事は、この場にいた全員が理解できた。

 

「この野郎、ふざけやがって・・・この野郎・・・コノヤロウッ・・・!!」

 

激昂する春樹に皆は人ではない何かを見る。青筋を張り巡らせ、歯を剥き出しにしている様は、正しく獣の其れであった。

 

「は、春樹さん、落ち着いてくださいまし!!」

 

「フゥーッ・・・フゥーッ・・・フゥーッ・・・糞ッ・・・!」

 

セシリアの声にライフルを降ろす春樹。そのまま彼は身に纏っていたラファール・リヴァイヴを待機状態に戻す。

 

「フゥッー・・・織斑先生、少し頭を冷やしに行ってもいいっスか?」

 

「・・・あぁ、許可しよう」

 

「ありがとうございます。すまんかったな、皆。・・・あと、織斑」

 

「な・・・なんだよ、清瀬?」

 

「クタばりやがれ」

 

立てた左中指を一夏に向けた後、春樹はアリーナの出口へと向かう。

落ち着きを取り戻したように振る舞ってはいるが、未だわなわなと肩を震わせているのは背後からでも解った。

 

「な、なにアイツ!」

「怖ッ・・・これだから男ってのは・・・」

 

口々に春樹に対する言葉が生徒達から漏れる。そのどれもが、彼に対する軽蔑や畏怖の言葉であった。

 

「大丈夫か一夏!? まったく、なんなんだアイツはッ!!」

 

「あ、あぁ・・・(ほ、本当に殺されるかと思った・・・!)」

 

ISの絶対防御があるとはいえ、一夏は腰を抜かしてしまっていた。籠りに篭った春樹の殺意の眼を本能から恐ろしいと感じていたのだ。

 

「い、いいんですか織斑先生?!」

 

「あぁ、構わん(それにしてもヤツの武装展開・・・0.5秒もかかっていなかった。まぐれか?)」

 

一方で千冬は彼に対する”違和感”に引っ掛かりをみていた。

短時間とはいえ、春樹の動作に一切の無駄は存在しなかった。まるでペンで文字を書くような慣れた手付きで武器を構え、使おうとした。

 

「春樹さん・・・大丈夫でしょうか?」

 

ただ一人、この場で彼を心配しているのはセシリアだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・・・はい。という訳でリハビリ投稿でした。
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