IS/Drinker   作:rainバレルーk

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第70話

 

 

 

「うぉおおおおお―――ッ!!」

 

二学期が始まった九月前半の事。

その日、一夏は二学期に入って初めての実戦訓練を行っていた。

 

「はぁあああああッ!!」

 

その彼の相手となったのは、ある生徒会長の思惑で二組から一組に転属した元二組クラス代表の鈴。

二人の手に握られている得物が、アリーナ中央で苛烈な火花と甲高い金属音をギィンギィンッ!と響き渡る。

 

「ッ、貰ったァアア!!」

 

幾度となく行われた青龍刀と雪片弐型の鍔迫り合いの中、その均衡を打ち崩さんと一夏が刀身に蒼白いエネルギー光を纏わせた。

彼の纏っている専用機、白式は言うなれば短期決戦型。長期戦になればなる程に不利な状況へ立たされる事を一夏自身、認識している。

その為、白式の単一仕様能力『零落白夜』で相手のシールドエネルギーを一気に消滅させてしまうのが、本来の戦い方と言えるだろう。

だが・・・

 

「だから、甘いって言ってんのよ!!」

 

「うわッ!!?」

 

いくら押せ押せムードで相手に仕掛けようが、彼の単調な攻撃パターンはすぐに見切られてしまっている。

その為、今回も必殺の一撃を鈴に容易に躱された。

 

「これで、終わりよッ!!」

 

「ぐふぇッ!!?」

 

躱された事で体勢を崩した一夏の背中目掛け、彼女の衝撃砲がドドッン!!と唸る。

そのまま一夏は地面へ叩きつけられ、更に鈴の衝撃砲の餌食となってしまう。

 

・・・結果、は言わずもがな。

試合終了のアラームが鳴った時、最後まで立っていたのは鈴の方だった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「まったく、たるんでいるぞ一夏! 一体なんだ、あの様は?!」

 

「ぐぅ・・・ッ」

 

実戦訓練終了後。昼食を取りに食堂へ来ていた箒が声を荒らげてテーブルを叩いた。

それに対し、彼女のすぐ隣に座っている一夏が悔しそうに言葉を飲む。

彼はあれから鈴だけでなく、新しく日本代表候補生となった箒とも模擬試合を行ったのだが・・・やはり機体の燃費の悪さとあまりに直線的な戦術の為、彼女とは痛み分けに終わってしまった。

二戦〇勝一敗一引き分け。二学期の始めから、勝ち星なしの負け越しを喰らってしまった事は、一夏にとって大きなショックであろう。

 

「箒、そうカッカしないでよ。でも・・・一夏、大の男がいつまでそうしてるつもり?」

 

しょぼくれている一夏を見かねたのか。彼の隣で食事をしていた鈴が手を止め、ため息混じりに言葉を連ねる。

 

「だって俺、臨海学校で二次移行したって言うのに・・・鈴にも箒にも勝てないなんて・・・・・悔しいじゃねぇかよッ・・・! こんなんじゃあ、”アイツ”にだって・・・」

 

「一夏・・・あんた・・・」

 

ギリギリと歯噛みしそうなほど顔を歪める彼の口から出た「アイツ」という人物。その人物が誰なのか、鈴にはすぐに理解できた。

その人物とはやはり同じ男性IS適正者であり、銀の福音事件で能力的にも精神的にも大きな差を見せつけられた―――――

 

「し・・・心配するな、一夏! そんな問題、私と組めば万事解決だ!!」

 

「ちょッ、いきなり何言ってるのよ!?」

 

悔しそうな表情を晒す一夏に対し、突如として箒が大きく啖呵を切りながら立ち上がる。

何故に彼女がこの様な自信タップリな態度が撮れるのか。其れは箒の専用機であり、未だ誰も手にした事のない第四世代機である紅椿の単一能力『絢爛舞踏』を持っているからであろう。

 

「勝手なこと言わないでよ、箒! 組むなら、ここは幼馴染な上に白式との相性もバッチリな私でしょ!」

 

「何を言うかッ、私の方が鈴よりも早く一夏と幼馴染だったのだ! それに白式の零落白夜を大きく活かせるのは、私の紅椿において他にない!!」

 

「「ぐぬぬ~!」」

 

「お・・・おい、二人とも・・・」

 

何故か、話は誰とタッグを組むかというものになってしまい、一夏は眉間に皺を大いに寄せた二人に挟まれる形となった。

 

「・・・何をやりょーるんなん、あの三馬鹿は?」

 

「さてな。それよりも・・・このジェラートは美味いぞ、食べて見ろ春樹」

 

「ちょっとラウラ、抜け駆けしないでよ! こっちの方が美味しいよ、春樹!」

 

その背後で、ラウラとシャルロットから苺とブルベリーのジェラートをスプーンで口元に抑えつけられている春樹が怪訝な目で彼等を見ていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

俺とセシリアさんとの模擬戦闘を終えてから数日後。

漸く俺と簪さんが左遷された一年一組に慣れた言う頃合で、一組を含めた全生徒が学園内にあるホールへ集合させられた。

なしてこねーな事になったかと言うと、二学期に行われる学園祭についての説明をするそうじゃ。

ほいじゃけど・・・

 

「ふぁ~あ・・・眠いでよ・・・」

 

朝っぱらから全校集会は大義ぃなぁ。

しかも撮り溜めとったアニメのを昨日の夜遅うまで見よーたけん、眠い。

あと、酒飲みたいでよ。スキットルの中身って、まだあったかのぉ?

 

そねーなボケッとした態度をとっとたら、生徒会役員の一人である布仏さんのお姉さんである布仏先輩が、我が校の生徒会長殿が壇上に上がるのを告げた。

そんでもって俺らぁを見下ろす様に壇上へ現れたんは、あの忌々しい水色髪じゃった。

 

「皆、おはよう。ちゃんとした挨拶がまだだったけど・・・私が君達生徒の長、名前は更識 楯無よ。以後よろしくね」

 

宜しくしたくねーよ、このシスコン会長。

アンタぁ、臨海学校に行っとった簪さんの生写真を一枚五千円のルートで買い占めた事を本人へチクってやろうか?

 

とりあえず俺を一組に左遷しやがった会長に向けて中指を立てて見せとったら、隣に居った簪さんに「やめんさい」と手を掴まれた。

・・・なんか、ピクリと会長のこめかみが動いた気がしたでよ。

 

「・・・会長」

 

「ッ、ゴホン・・・さて、今月行われる学園祭の事なのだけど・・・今年に限り、特別ルールを設けさせてもらうわ」

 

特別ルール?

・・・・・なんか嫌な予感しかせんのんじゃけど、気のせいか?

いや、気のせいじゃないな。絶対これ、面倒事の前フリじゃもん! だって、右眼がなんか知らんが痒いんじゃもん!!

 

動揺する俺を尻目にニタニタと顔を綻ばせる会長が自前の扇子を横に振り払うと、空中投影されたディスプレイにデカデカと文字が浮かび上がる。

 

「その名も『織斑 一夏&清瀬 春樹の各部対抗争奪戦!!』ッ!!」

 

ディスプレイに大きく張り出された俺と織斑の野郎の写真に「ふざけんな、このおわんごが!!」と、俺は叫んだんじゃけど・・・あの女郎の宣言によって、ホール内は地鳴りのような雄叫びに包まれてしもうた。

 

「フフンッ♪」

 

「ッ、こんの女郎・・・!!」

 

扇子で口元を隠しながら、俺へ鼻につく視線を落とす会長。

『殴りたい、この笑顔』って言葉をどっかで聞いた事があるんじゃけど、正にこういう時に使う言葉なんじゃろうな。

 

あと・・・今日は寝かさねぇぜ、俺の肝臓ちゃん。

ヤケ酒を鱈腹飲んでやるッ!

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆
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