IS/Drinker   作:rainバレルーk

80 / 250
第80話

 

 

 

・・・其の日、”彼女”はある任務の為にIS学園へ来ていた。

任務の大まかな概要としては、世界で初めて発見された男性IS適正者である織斑 一夏の専用機『白式』の強奪である。

個人的な彼女の目論見としては、白式の強奪並びに一夏の”抹殺”までをも完遂したかったのだが・・・今回の実行犯役には、同僚であるいけ好かないオータムが選任される事となった。

 

何故かというと今から半月前の事、彼女はベルギーの首都ブリュッセルで行われた欧州IS新機体発表会で出展されたデュノア社第三世代型IS『ランスロット・リヴァイヴ』の強奪に失敗し、加えて思わぬ”反撃者”によって心身へかなりのダメージを負ってしまったのだ。

以下の事により、彼女はオータムを外からサポートする役回りを担う事となったのであった。

 

 

 

 

 

 

強奪作戦当日。オータムが先行して学園内に潜入した頃を見計らい、『彼女』は陽動として自身のISを展開した状態で上空から学園へと急降下。

 

BEEPッ、BEEP!!

 

≪高速で学園に接近する武器展開したISを発見! 専用機持ちは直ちにISを展開し、各自状況に備えて下さい!!≫

 

『『『ッ!!?』』』

 

『彼女』が急降下直後に引っ掛かったIS学園のレーダーによって敵機認定をされた為、学園内へけたたましい警報音と山田教諭の校内放送が響き渡る。

之に学園祭というのんびりムードによって結構ノンキしていた生徒たちは度肝を抜かれる事となった。

 

「はぁッ、せっかくの学園祭だというのに・・・春樹の言葉を借りるなら『ヤレヤレじゃ』だぞ、まったく」

 

「えぇ、本当に。少しは空気を読んで欲しいですわ」

 

「・・・台無し」

 

「ちょっとちょっと貴女達ッ、なんでそんな悠長に構えてるのかしら?!」

 

しかし皆が慌てる中、ここ数ヶ月の出来事でこういう事に些か”慣れ”てしまっていたラウラは口へほうばっていたスナック菓子をジュースで流し込みながら溜息を一つ吐き、其れにセシリアと簪が同調する。

このやり取りに楯無のさも当然なツッコミに対し、シャルロットが「最近、こんな事が多かったからかな?」と苦笑した。

 

≪聞こえるか、専用機持ち共!≫

 

『『『ッ、はい!!』』』

 

そうこうしている内に学生主任である千冬から通信が入った事で、漸く彼女たちの表情がキュッと引き締まる。

 

≪篠ノ之とデュノアは生徒達の避難誘導を! 更識姉妹は学園内を索敵ッ、凰とオルコット並びにボーデヴィッヒは上空からの敵機を迎撃しろ!! 以上、散開ッ!!≫

 

『『『了解ッ!!』』』

 

千冬の指示によって彼女達は自らの務めを果たすべく各方面へと出撃していった。

 

「織斑先生、各専用機持ち生徒達は所定位置へと移動しています」

 

「解った。それで山田先生、一夏・・・いや、織斑と清瀬に連絡はまだつかないのか?」

 

「は、はい。そ、それがさっきから何度呼び出しても応答がないんです!」

 

「なんだとッ? この非常時に一体何をやっているんだ、アイツらは?」

 

山田教諭からの返答に彼女は頭を片手で抱えて溜息を大きく漏らす。

まさか、其の二人が侵入者とドンパチやっているとは露も知らず。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「ッ、来たぞ!」

 

一方、所定位置へ待機していたラウラ達は高性能レーダーにて学園へ向かって急降下してくる機影を確認。

敵機の情報を得ようとライフルスコープを覗いたセシリアはギョッと表情をしかめた。

 

「ラウラさん、あの機体は・・・!」

 

「あぁッ、此方でも確認できた。ベルギーでの一件以来だな・・・ッ」

 

「えッ、なに? アンタ達の知り合い?」

 

セシリアと同じようにラウラも機影を確認した後に「ッチ!」と大きく舌打ちをする。

二人が目にしたのはベルギーのブリュッセルで起こった襲撃事件の主犯格―――――

 

「「―――『サイレント・ゼフィルス』!」」

 

「ちょッ、二人とも?!!」

 

「!」

 

敵機の正体を確認した二人はジャキリッと武装を構え、何の躊躇いもなく一斉射撃を行った。

ラウラは砲弾パッケージ『パンツァー・カノニーア』で榴弾の雨をこれでもかと降らせ、セシリアは専用レーザーライフル『スターライトmkⅢ』で的確な射撃をする。

鈴も二人に遅れまいと拡散衝撃砲『崩山』で攻撃を開始。

 

ボシュゥウッ!

「・・・ッ・・・」

 

だが、『彼女』・・・サイレントは三人の攻撃を容易くシールド・ビットで防ぎ、取りこぼした攻撃は難なく回避。更に速度を上げて三人の防護壁を突破しようとする。

 

「やはり・・・あれぐらいでは止まりませんわね」

 

「それは解っていたことだろう。春樹の追撃から逃げ遂せるようなヤツだぞ」

 

「そうでした・・・わね!」

 

すかさずセシリアはライフルビットを展開させ、スターライトとの同時射撃を行う。

勿論、サイレントはこの直線的な攻撃を防ごうと迫りくるレーザーの進行方向にシールドビットを持っていく。

 

ズギャンッ!

「ッ、ぐゥ!!?」

 

しかし、どういう訳かレーザービームはサイレントが展開したシールドビットの前で弧を描いて曲がると黒い装甲板に見事命中した。

まさか彼女が偏光制御射撃をするとは思わなかったサイレントは進行を停止し、後退する。

 

「ビームが曲がった!? セシリア、いつの間にそんな事が出来るようになったのよ?!」

 

「つい最近です。これも春樹さんとの特訓のおかげですわ」

 

驚く鈴にセシリアは得意げな顔をして鼻を鳴らす。

その表情が気に入らなかったのか、攻撃を喰らってしまったサイレントがギロリとバイザー越しに彼女を睨む。

 

「さて・・・観念しろ、サイレント・ゼフィルス。貴様をここで確保する!」

 

「・・・・・フッ」

 

見得を切るラウラにサイレントは不敵な笑みを浮かべる。

之が癪に障ったラウラは「何が可笑しい?!!」と声を張り上げた。

 

「・・・貴様だけが出来ると思うなよ」

 

不敵な笑みと共にサイレントは六基のビットを放出し、三人に目掛けてレーザーをズギャン!と放つ。

彼女のビットから放たれたレーザーは、セシリアの放ったものよりも複雑なまるで空を舞う燕のような曲線美を描きながら彼女を捉えた。

 

「ッ、きゃぁあああああ!!?」

 

「セシリア!?」

 

「アンタよくもッ、このぉ!!」

 

サイレントの射撃によって吹き飛ばされたセシリアをラウラに任せ、鈴は近接戦闘武装である『双天牙月』を展開して瞬時加速で切り込む。

けれど、その攻撃を読んでいたようにサイレントは銃剣『スター・ブレイカー』で容易に受け流す。

 

「くッ・・・アンタ、一体誰なのよ?!」

 

「答えると思うか?」

 

サイレントはそう短く切り上げると銃剣を振り上げては振り下ろす。

その背後からセシリアを安全な場所に移したラウラが奇襲をかけようとしたのだが、サイレントは六基のビットで応戦する。

傍から見ればラウラ達が多勢に無勢でサイレントを推しているかのように見えるが、逆に二人がサイレントに弄ばれていた。

 

「フッ・・・」

 

「何がッ、可笑しい?!!」

 

「あのイギリス人には少々驚かせたが・・・・・拍子抜けだな、ドイツの”遺伝子強化素体(アドヴァンスド)”」

 

「ッ、貴様・・・何故それを?!」

 

容易に二人を捌くサイレントはラウラへバイザーから歪んだ笑みを覗かせる。

自分の文言に動揺したラウラにサイレントはビットの一斉射撃を喰らわせんと狙い澄ました・・・・・その時だった。

 

ドゥグォオオオッオオン!!

 

『『『ッ!!?』』』

 

突如として何とも凄まじい爆発音が轟いたかと思えば、学園の一角から黒煙が立ち込めているではないか。

 

「ッ、しまった! 貴様は陽動―――」

 

「ッ―――――!!」

 

「あッ!? 待て、この!!」

 

サイレントが陽動だという事に気づいたのも束の間。当の本人は一瞬フリーズした後、その黒煙が立ち込めているであろう場所に再び急転直下の速度で突貫するではないか。

彼女を逃がすまいと進行ルートに鈴が立ち塞がるが―――

 

「ッ! 目を閉じろ、鈴!!」

 

サイレントはその彼女の前に掌大のモノを放って投げる。

其れが何なのか逸早く察知したラウラは目を瞑るように促すが、一足遅かった。

 

バキィイイイッイイン!!

『『『ッ!!?』』』

 

辺りを覆い尽す強烈な閃光と鼓膜を破く甲高い爆発音が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 





・・・二回目の爆発オチ。こんな筈じゃなかったのに・・・
・・・・・はい。という訳で今回は此処まで◆◆◆◆◆
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。