東方逆廻語《トウホウサカシマガタリ》   作:八雲藍好き好きチュッチュ

2 / 4
東方星蓮船 Stage1

「さてと・・・たしかこの辺りだったな」

 

図書館を出た魔理沙は、まず始めに、霖之助から聞いた宝塔の落ちていた場所へとやって来た。

 

「・・・これといって手掛かりになりそうな物は無いか」

 

しばらく辺りを調べるも、それらしい物は何も見つからなかった。

諦めて別の場所へと向かおうと、箒に跨り浮いたところで、上空から声を掛けられた。

 

「もし、そこの魔法使い、一寸尋ねたいことがあるのだが」

 

「・・・人にものを聞く時は、先ず名乗ってからだぜ?」

 

見上げた魔理沙の視線の先には、見覚えの無い妖怪が、特徴的なロッドを手にこちらを見ていた。

 

「おっと、失礼。何分、名乗る事が滅多に無くてね・・・私の名前はナズーリン。探し物が得意なネズミの妖怪さ」

 

「霧雨魔理沙、普通の魔法使いだぜ。ちなみに尋ねたいことってのは、宝船の事か? 未確認飛行物体の事か? ・・・それとも、宝塔の事か?」

 

「!! ・・・ふむ、知ってるなら話は早い。宝塔はご主人の大切な物でね、探してはいるんだが・・・どうも、結界か何かで探知を妨害されているみたいでね、能力を使っても探しきれないんだ」

 

「んー、教えても良いんだが・・・」

 

魔理沙はニヤリと笑うと、ナズーリンと同じ程の高さまで浮かぶ。

 

「弾幕ごっこ、分かるか?」

 

「あぁ、八雲紫に教えられた」

 

「OK、取り敢えず、1戦やろうか。スペルカードは2枚、残機は1」

 

魔理沙は八卦炉を取り出し、ナズーリンはロッドを構える。

 

「終わったら、宝塔を買い取った奴の店に案内するぜ」

 

「助かるよ」

 

数秒見つめ合い、どこかで鳴いたカラスの声と同時に、弾幕ごっこが始まった。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「・・・ふぅ、中々、楽しいじゃ、ないか・・・」

 

「そっちこそ、初めての割には中々良かったぜ」

 

息を切らせて、魔理沙の跨った箒に相乗りしているナズーリンは、横座りで前の魔理沙にしがみつき、くたりと体重をかける。

 

「しかし、思った以上に、疲れるものだ・・・」

 

「まぁまだ動きが大き過ぎるな、グレイズは分かるか?」

 

「掠めるように避ける、テクニックの事だったかな・・・」

 

そろそろ息も整ってきた様子で、ナズーリンの喋り方が元に戻り始める。

 

「グレイズに慣れてくると、楽しさとスリルが増すからな、実践有るのみだぜ」

 

「精進するよ・・・ところで、宝塔を買い取ったという店は、あれかい?」

 

ナズーリンの指差す先には、ガラクタに囲まれ、ぽつんと佇む一件の家。

ボロくて雨に滲んでいるものの、表の看板に『香霖堂』と書かれているのは、辛うじて判別出来る。

 

「先に言っとくが、こーりん・・・店主の事だが、気に入ったものは売らないから、多少覚悟しといた方がいいぜ」

 

「・・・身体位なら「いや、そっちじゃない」

 

店の前に降り立つと、魔理沙が先導する。

 

「こーりんはがめついからな、かなり吹っかけられる筈だぜ?」

 

「がめついとは失礼な、適切な価格で取り扱ってると修正してくれ」

 

扉を開けると、カウンターにいる男が魔理沙の発言に訂正を要求する。

 

「いらっしゃい、新入りさん。ここは香霖堂、僕が趣味でやってるガラクタ屋だ・・・あぁ、僕の名前は森近霖之助、よろしく」

 

「私はナズーリンだ、早速で悪いんだが、件の宝塔を確認させてほしい」

 

「勿論、持ってくるから少し待っててくれ。あ、魔理沙は一切商品に触れないように」

 

早速めぼしい商品に手を伸ばそうとしていた魔理沙の動きが止まる。

 

「この前黙って持って帰った商品、完品で返してくれたら買い物禁止は解除しよう」

 

「もう実験で無くなったから無理だな」

 

予想はしていたのか、霖之助は軽く溜め息をつき、改めて奥へと引っ込んだ。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「お、商談成立したみたいだな」

 

一度家に戻っていた魔理沙が再び香霖堂に戻ると、宝塔を手にしたナズーリンが見えたため、声を掛ける。

 

「あぁ、中々に手強い店主殿だったよ」

 

「どの口が言うんだか・・・」

 

疲れた様子の霖之助は、しかし楽しそうにも見えた。

 

「じゃあ、代金と手伝いの方はよろしく頼むよ」

 

「任せたまえ」

 

店を出るナズーリンに合わせ、霖之助に手を振りながら魔理沙も店を後にする。

 

「手伝いって何だ?」

 

「店主殿が無縁塚に向かう時の護衛みたいな物だ。以前1人で行った際に、死にに来たのかと閻魔に説教されたらしい」

 

「げっ、閻魔様行動範囲増えてるな。前は里だけだったのに・・・ちなみに幻想郷の閻魔様は、四季映姫って言ってな、趣味が説教と白黒はっきりつけることの頭の固い緑髪の幼女だぜ」

 

「ほぅ、丁度目の前にそれらしい少女がいるのだが」

 

へ? と魔理沙が前に視線をやると、口の端がヒクついた映姫がプルプルと身体を震わせて魔理沙を見ていた。

 

「随分な物言いですね、霧雨魔理沙・・・」

 

「おっと、用事を思い出したぜ、じゃあな、ナズーリン!」

 

「待ちなさい! 前も逃げられましたが、今度こそ貴女の性根を叩き直します!!」

 

呆気に取られたナズーリンを置き去りに、魔理沙と映姫は飛んでいく。

 

「・・・やれやれ、幻想郷はどうも騒がしいね・・・でも、八雲紫の言うように、退屈することは無さそうで安心したよ」

 

微笑むナズーリンは、手元の宝塔を確認すると、拠点である宝船へと向かい飛び立った。

 

 

 

───Stage1 CLEAR

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。