その日はクリスマス。自身の魔法が解けたアイシアはシャルルと同居していた。
「アイシア、何か欲しいものない?私が魔法で出したげる」
記憶を取り戻し、魔法が使えるようになったシャルルがそう言った。
「欲しいもの、かぁ。それって物でなくてもいいの?」
「ええ、可能な範囲なら、ね」
「よーし、これにしよっと!」
「決まったみたいね。じゃあ、いくよ?強く願って………」
シャルルとアイシアの間から光が生まれる。そして、光が収まってシャルルはこう言った。
「はい、アイシアが望んだもの!………え!?」
本来、魔法を使ったあと、手に相手の望んだものが出てくるはず。現象であればすぐに現れる。
「アイシア?いったい何を望んだの?」
「私が望んだのは―――」
そう言い終わらないうちに外が光り、アイシアとシャルルはそれに飲み込まれた。
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「うーん、ここは…………どこ?」
「あ、おばあちゃん、目が覚めた!」
「るる姉、大丈夫!?」
「全く、何でこんなところにいるのよ、私達」
「それには同意します……」
「以下同文です」
「ったく、布団で寝てたと思ったら外だし、ほんっと嫌になるわ!」
「まあまあ、美琴?一種のサバイバルと思えばいいじゃない」
「美琴さん、こういうのなれてそうですけどねー」
「なんだここ、天国か?」
「愚弟、しばきますよ?」
上からシャルル、アイシア、清隆、立夏、姫乃、さら、美琴、すもも、葵、耕助、四季。
11人まとめて同じとこに飛ばされたみたいだ。
「立夏、ここどこかわかる?」
「それがね、記憶に全くない場所なのよ。初音島ではないみたいだし」
「立夏さん、とりあえず歩いてみませんか?みんなで固まって」
「そうね、それが一番だわ」
……………30分ぐらい歩いた時だろうか。不意に風が急に強くなり、収まったかと思うと一人の少女がいた。
「ようこそ、龍幻郷へ。私は嵐。嵐と書いてラン、と呼びます」
ぺこり、とお辞儀をする羽衣を纏った少女。
「森園立夏よ。ここはいったいどこなの?」
「先程申しあげたとおり、龍幻郷というところです。いわゆる……異世界というやつですかね」
「信じられないけど信じるしかないみたいね。で、私達に何の用かしら」
「人間を見かけたら即刻館へと、と主から言われてますので。まあ、安心してください。衣食住と安全は保証しますよ」
「はあ、良かったです………」
「館へ行くのはいいが移動は移動はどうするんですか?」
「あーそれはですね……」
突然突風が起こり、思わず目を瞑ってしまう。
『私に乗ってください』
目の前にいたのは少女ではなく、宙に浮かぶ白を基調とした和風の龍。
『どうしました?乗ってください』
「皆、しっかりして。どうやらほんとに現実らしい」
「はっ、そうね。で、どこから乗ればいいのかしら?」
『私の前足から乗ってください』
嵐の背中に皆乗る。
『さて、館へ行きますよ!』
「おー!」
元気なアイシアの声だけが空に響いた。