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そして日間ランキング25位。
ありがとうございます!
どれだけ寝ていたのだろうか?
「知らない天井だ……」
1度は使ってみたい台詞ランキング上位の言葉をもらしながら、俺は目覚めたての頭で状況を分析する。
知らない天井だと言ったが、内装から見てここは天下一武道会会場の医務室だろうか。
「あ!起きたのか天津飯!!」
目を覚ました俺に気が付いたのだろう。
金髪で赤いリボンを付けた女性がこちらに近寄ってくる。
彼女は…武天老師さま達と共にカメハウスに住んでいて、くしゃみする度に性格が180度変わり、サイヤ人編から急に出てこなくなった人物…ランチさんか。
なんでかさん付けで呼んでしまうな。
だが、俺に原作知識があるだけで実際は以前ちらっと顔を会わせた程度の間柄なので…ここは無難に…
「あんたは亀仙流の集まりにいた…」
「ら、ランチだ!」
そう言って彼女は俺に握手を求めてきた。
なんでそんなに緊張しているんだ?
……あ!
そーいやランチさんって原作で天津飯に惚れてたな!
俺の場合はどうなるかわからなかったが…これはもしかすると惚れられているのではなかろうか…
しかし…女性に好意を向けられるのは初めてなので、よくわからないな…
…前世や天津飯の過去の記憶が無いので定かではないが、今までの俺に彼女なんて居なかったと思う。
とりあえず、差し出された握手に返そう。
「天津飯だ。それで、なぜあんたがここに?天下一武道会はどうなったんだ?」
「あっ!そうだよ!大変な事になったんだ!!」
ランチさんの話を聞いて、俺は頭を抱えたくなった。
天下一武道会で悟空に敗れたのは良い。
敗れる瞬間も何となく覚えてるし、あれは勝ち負けなんか関係なく素晴らしい戦いだった。
ランチさんも感動してくれたらしく、最後のかめはめ波の押し合いの時やダブルノックダウンでカウントを取っていた時等は、俺と悟空両方を応援していたらしい。
だが、その後が問題だ…
正直…悟空との戦いに意識を全て持っていかれて、天下一武道会直後にやって来るピッコロ大魔王達の事を完全に忘れていた。
既にクリリンは殺され…試合直後のボロボロの身体で敵を追った悟空も帰って来ず、おそらく殺された…らしい。
武天老師さまやヤムチャ達は1度カメハウスに態勢を立て直しに戻ったそうだ。
そして…1人残された俺が目覚めた時に状況説明や今後の話をするため、ランチさんが残って付いていてくれたらしい。
「ありがとうランチさん。とりあえず、俺達もカメハウスに向かった方が良いだろうか」
「お、おう!そうだな…一応ブルマに渡されたジェットフライヤーがあるけど…ここからカメハウスまでは結構かかるな…」
俺は鶴仙流から持ってきていた自分の全財産である荷物を纏めながら、今後の動きを考える。
天下一武道会で俺が悟空に負けたように、この世界が原作通りに進んでいくという保証はどこにもない。
だが…おそらく悟空は生きているだろう。
ヤジロベーと行動を共にしているはずだ。
問題は武天老師さま…1度カメハウスに戻ったということは、たぶん魔封波用の電子ジャーを取りに戻ったということだ。
これからいつピッコロ大魔王と戦うことになるかわからない。
武天老師さまには大きな恩がある。
このままむざむざと死んでしまうのを見過ごすわけにはいかない。
「ランチさん。1度カメハウスに連絡出来ますか?」
「さっきからしてるんだけどよ…あ!繋がった!」
『ランチさん!?天津飯は目が覚めたの!?』
無線の向こうからブルマの焦ったような声が聞こえてきた。
「ああ!それで今からカメハウスに戻ろうかと…」
『待って!亀仙人とヤムチャがドラゴンボールを集めに行ったんだけど、途中で連絡が途絶えちゃったのよ!』
「なに!?」
思わず声が出てしまった。
だが、それが意味する事は…
「ブルマさん!武天老師さま達がどこに向かっていたかわかりますか!?」
『あんた天津飯?えーっと飛行機に付いてる発信器によると…』
その時、明るかった空が突然夜になった。
遅かったか!!
「こ、これは…」
『ドラゴンボールよ!神龍が呼び出されたんだわ!』
ブルマとランチさんが慌てる中、俺は自分を落ち着けるように深呼吸を繰り返す。
神龍が呼び出されたということは、おそらくピッコロ大魔王が願いを叶え若返ったということだ。
そして…残念ながら、武天老師さまはもうこの世にはいないだろう…
一緒に向かったヤムチャの安否がとわれるが、おそらく彼は原作の天津飯のように無事な筈だ…多分…
とにかく、次の行動を決めねば。
原作通り悟空がピッコロ大魔王を倒してくれるにしても、あの戦いで俺は必要になるはずだ。
主に舞空術要員だが…
…大丈夫だとは思うが、1度悟空の無事を確認しなくてはならない。
「俺は、1度カリン塔に向かおうと思う」
『え!?』
「なに!?」
俺の言葉に驚きの声をあげる女性陣。
「カリン塔…どこだ?」
『一緒にカメハウスに来ないの!?』
「カリン塔には、鶴仙人とは別の俺のもう1人の師匠であるカリン様がいらっしゃる。あの方なら、ピッコロ大魔王について何か知っているはずだ…」
そう言って俺は空を見上げる。
既に明るくなった空の向こうで、とてつもなく邪悪なパワーが解放されたのを感じた。
「…お、オレも行くぜ!」
『え!?』
ランチさんの提案にブルマが驚く。
当然オレも驚いた。
「いや、何を言ってるんだ!?」
「そのナントカって所にオレも付いて行くって言ってんだよ!お前、移動はどうするつもりなんだ?それに連絡手段は必要だろ?」
「移動は舞空術でなんとかする!連絡手段は無線機だけ渡して貰えれば大丈夫だ!」
「天津飯。お前、自分がさっきまでぶっ倒れてたの忘れてんのか?それに無線機の使い方わかんのかよ?さっきもオレに聞いてたしよ」
「ぐっ…」
確かに、俺はこのドラゴンボール世界の機械については無知にも等しい。
前世の知識も天津飯の知識も機械について全然詳しくなかったし、三年間僻地で修行していたので詳しくなる機会もなかった。
無線機もケータイみたいなワンタッチで出来るものなら使えるかもしれないが、周波数を合わせるとかは理解不能だ。
ジェットフライヤーの操縦なんて不可能すぎる。
…体力については荷物の中にある仙豆を使えば問題ないが…長距離長時間の飛行はまだ舞空術よりジェットフライヤー等の飛行機の方が早い。
くそ、言い負かせない…おのれランチ。
「ぬぐぐ…」
「よし!話はついたな!」
『え?え?』
困惑するブルマを他所に、ランチはホイポイカプセルからジェットフライヤーを出現させる。
ホントどういう技術なんだコレ。
「ほらさっさと行くぞ!どこに向かえばいい?」
こうして俺は、ランチと共にカリン塔に向かった。
本作のヒロイン候補、ランチさん本格始動。
まぁ天津飯と言えば切り離せない人だからね。
原作ではチャオズより扱い悪いのでこの作品の中ではヒロインとして扱ってやりたいけど…どうかなぁ。
悟空が優勝したのは、この作品を書くにあたり最初から決めていた事でした。
まぁたった三年の修行で原作主人公を超えれたら苦労はないということで。