ダンジョンに欲望を求めるのは間違っているだろうか   作:REDBOX

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プロローグ

 僕ことベル・クラネルは、亡くなったおじいちゃんが熱く語ったハーレム(男の浪漫)とよく読んでもらった英雄譚に出てくるような英雄に憧れ、故郷である村を離れ、広大な地下迷宮、通称「ダンジョン」を中心に栄える迷宮都市オラリオに向かって旅をしているのですが

 

 えっ! 着いてからの話じゃないのかって?でも、これは僕の旅の中でもかなり大事な話だから...。

 

 えーと、続けますね。旅をしていたある日、僕はとても困っていた。

 

 

 

「申し訳ございません、本日は宿泊されている方が多く満室となっておりまして、他の宿を探していただいてもよろしいでしょうか?」

 

 泊まる宿がなくなりました。

 

「でも、この町の宿はどこも満室で、ここが最後なんです。ロビーでもかまわないので泊めてもらえませんか?」

 

「そういわれましても」

 

 この町から次の町までは歩いて半日はかかる。しかも、今は夜だ。暗い上にモンスターに襲われたら一溜りもないだろう...。でも、そうするしかないと思っていた時

 

「すいません、そこの君。僕と同じ部屋でいいなら泊まらないかい?」

 

 声のする方を見ると、僕より少し背が高くて紫色の髪に紅い目をした青年がいた。

 

「お客様!ですが、もしもということがあれば」

 

「構いませんよ。その時はあなたがたにどうこう言うつもりはありませんから」

 

 おじいちゃん、僕にはこの人が神様に見えます。

 

「でも、もし僕のものを盗ったりしたらどうなるか分かるよね?」

 

 前言撤回します。この人は悪魔かもしれません、見たことない位悪い顔してる

 

「というわけで、僕の泊まってる部屋に来ても問題ないよ。その前に名前を聞いてもいいかな?」

 

「はっい、ベル・クラネルといいます。」

 

「はじめまして、クラネル君。僕の名前はギル、しがない探検家さ。」

 

「この度はなんとお礼をしたらいいか。ギルさん、ホントにありがとうございます。」

 

「なに、気にする事はないよ。昔から目の前で困ってる人は見過ごせないたちでね。ところで、君は1人でどこに向かって旅をしているんだい?」

 

「僕は、冒険者になるために、オラリオを目指して旅をしているんです。」

 

「冒険者ねぇ」

 

 そう言って、ギルさんは目を細める。おそらく、僕の見た目だからやめた方がいいって思うんだろうな。

 

「それで、君は冒険者になって何がしたい?」

 

「何がしたいかですか?」

 

「そう、僕の知る冒険者にはねいろんな人がいたよ。冒険者になって莫大な富と名声が欲しいって人もいれば、一族の再興のためになっている人もいる。更に言えば、強くなって憧れの人の横に立ち守りたいって人もいた。これを聞いたうえで、もう一度聞こう。君は冒険者になって何がしたいんだい?」

 

 僕が冒険者になってやりたいこと。男の浪漫(ハーレム)を作って、英雄譚に出てくる英雄のようになること...違う、僕が本当にやりたいことは

 

 

「英雄になりたいです」

 

「英雄?」

 

「目の前で助けを求める人を救える英雄になるために、僕は冒険者になります。」

 

 ギルさんは、それを聞いて少し黙った後。細めていた目を元に戻した。

 

「少し意地悪なことを言ってごめんね。君がなりたい英雄はとてつもなく厳しい道だ。冒険者になったばかりの頃は、嗤われるしバカにもされるだろう。それでもそんな英雄になりたいのかい?」

 

「はい、僕はそんな英雄に憧れたバカな人間ですから。」

 

 それを聞き、またギルさんは黙った。僕は思わず聞いた。

 

「ギルさんは、いまのを聞いても笑わないですか?」

 

「嗤う?そんなことはしないさ。僕は他人の夢を嗤わないよ。寧ろ、君を応援したくなる位さ。...クラネル君、さっき言ったように、君はオラリオに着いたら最初は嗤われるだろう、バカにもされるだろう。それでも、英雄になりたいと思うなら。最後にものすごく意地悪な質問だ。」

 

「英雄になった君は、自分を嗤いバカにした人でも助けることができるかい?」

 

 ギルさんのその言葉は、とても重く感じられた。まるでそのようなことを経験したかのように、嘘をつくことは許さないと言わんばかりの迫力もあった。それでも僕は

 

「助けますよ。目の前で助けを求める人が例え僕を嗤いバカにした人でも、僕は絶対に見捨てません。」

 

「そうか、その言葉を信じるとするかな。」

 

「信じてくれるんですか?」

 

「勿論だとも、僕は旅の中でいろんな人を見てきた。その中でも君は嘘をつくような人じゃないこと位は分かるよ。それと、何度も意地悪なことをいって、ゴメンね。そのお詫びと言ってはなんだけど、これを君にあげよう。」

 

 そう言って、ギルさんは自分の小さな鞄から四角い何かを取り出した。

 

「これは、先日、訪れた遺跡で発掘されたとある英雄の防具の1つだ。これを君にあげるよ。」

 

 そう言って、僕にその防具を渡してきた。その防具は少し古くなっていて3箇所何が入るような窪みができていることを除けば防具として使えるであろうものだった。

 

「それは、ベルトのバックルのようなものだと思えばいい。試しにつけてごらん。」

 

 そう言われて、僕はこれをベルトの上に重ねることにした。すると、その防具の左側からベルトのようなものが伸び、僕の腰を1周して右側に刺さった。

 

「カッコいいですね、これ。」

 

「そう思うかい?ならよかった。僕もその防具にどんな力を秘めているか分からないけど、冒険者じゃない僕が持つより君が持っていた方が良いだろう。」

 

「でも、良いんですか?宿の部屋を提供してくれただけでも感謝しているのに」

 

「僕がやりたいからやっていることだよ。どうしてもって言うなら、必ず英雄になってきなさい。その時にお礼をしてくれればいいから」

 

 ホントにこの人は狡いなと思う。僕が英雄になる理由が増えたじゃないか...でも

 

「はい、その時に盛大にお礼をしますね」

 

 その後、僕はギルさんと英雄譚の話や生きていく上では、少しのお金と明日のパンツさえあれば大丈夫というたわいもない話をしていた。そして、夜が明け

 

「本当にありがとうございました。このことは忘れません。また、会えた時には少しでも英雄に近くなってみせますね。」

 

「あぁ、昨日は久しぶりに楽しい話ができた。君こそ、体に気をつけて冒険者になるんだよ。」

 

「はい、では」

 

 そう言って、僕は明日のパンツを吊るした木の棒を持って、宿を出てオラリオに向けて旅を続けた。

 

 

 side out

 

 

 

 ギルside

 

 

 クラネル君が宿を出た後、僕は荷物を整理して出発する用意をし、部屋を出る。そして、ロビーまで行くと行くと1人の女性が僕を待っていた。

 

「女性を待たせるのはいただけないぞ、ギル。」

 

 その女性は、腰くらいまでの長さの金髪に白く綺麗な肌、そして大き過ぎず小さ過ぎない胸を張り、僕に文句を零す。

 

「ごめんごめん、少し荷物の整理に時間がかかってね。」

 

「それで、彼に例のアレは渡せたのかい?」

 

「うん、きちんと渡せたよ。アレを使うためには、残りは彼の欲望しだいかな。」

 

 僕がそう言うと、彼女は腕を組みながら話を続けた。

 

「心配かい?」

 

「してないと言えば嘘になるかな。でもね、僕の感だけど、彼は呑み込まれそうになっても大丈夫だと思うんだ。」

 

「それは、英雄としての感かい、ギル。」

 

「いいや、1人の人間としての感だよ。それに英雄なんてやめてくれ、僕はそれを名乗れるような人じゃない」

 

「....そうか。」

 

「ゴメンね」

 

「いや、私の方こそゴメン。」

 

 少しの間沈黙だけが残る。それを壊したのは

 

「じゃあ、旅を再開しようか。次に向かうのはどこ?」

 

「次の向かうのは、とある男神のところです。」

 

「あんまり、信用できないけどあいつのとこにいる彼女の力は僕らの目的のためには必須だから仕方ないか...」

 

「えぇ、今の僕にとっては彼女の協力を得るためになら、あの男神のもとにでも向かいますよ。」

 

 口ではそう言っているが、ギルの顔は全く逆の表情だった。

 

「君がそこまで嫌がるとは、あいつとの間に何があったのやら」

 

 彼女が何か呟いているが、僕は気にせず宿から外に出て彼女に呼びかける。

 

 

 

 

「さて、この世界を救う英雄を救ける冒険を再開しようか、“クロノス”」

 

 

 

 





次回の物語は、ベル、ファミリアに入れない。

紐神様、新たな欲を見つける。

ベル、冒険者になる。

の3本です。
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