ダンジョンに欲望を求めるのは間違っているだろうか 作:REDBOX
前回の3つの出来事。
1つ、ベル・クラネルは冒険者登録をしてダンジョンに潜るが、モンスターから逃げられる。
2つ、ダンジョンでベルは、ミノタウロスと遭遇する。
3つ、突然の胸の痛みで蹲り、絶体絶命のピンチを迎える。
一閃により、動きを止め、大きな牛型モンスターが地に伏せ消滅する。
今、私は同じ【ファミリア】のベートさんと一緒に、私たちが取り逃したミノタウロスを追いかけるために5階層に来ている。先ほど倒した分を除いて残りのミノタウロスはあと1体だけど、この階層に来てから感じるこの違和感はなんだろう?
そんなことを頭の片隅に置きながら、最後のミノタウロスを探していると、急に私の体の動きが遅くなった。振り返るとベートさんも同じく動きが遅くなっていた。
なぜ、こうなったのかは分からないけれど、動きが遅くなったのはほんの数秒だけだったので、すぐに捜索を再開すると、運よく遠目ではあるけれど、追いかけていた最後のミノタウロスが冒険者を追いかけているのを確認し、冒険者が曲がった角を向かって走ったら、胸を抑えて蹲る
ベルside
ミノタウロスに追い込まれ、胸が急に痛くなり蹲った僕は、数秒程意識がなかった。なぜ、それがわかるのかといわれると、僕がさっきまでいた場所から動いているの加えてなぜか頭が濡れていたからだ。
カャンっと、武器を仕舞う音が聞こえたので、音のした方を向くと女神様と見紛うような少女がいた。
「大丈夫ですか?」
心配する声が聞こえるが、相手に失礼ながら僕は彼女に見惚れいた。彼女は、オラリアで有名な【ロキ·ファミリア】の【剣姫】アイズ·ヴァレンタインだ。
「あの.....大丈夫、ですか?」
2度目の心配する声で、ようやく我に返った僕は大丈夫じゃなかった。今にも彼女への思いが爆発しそうだった僕は、返事もせずに走り去ってしまった。
走っている最中、僕は彼女への申し訳なさに加えて、初対面のはずの彼女に懐かしい感じがしたのだった。
その後、僕は走ってギルドの自分のアドバイザーの元に向かった。その道中に頭が濡れていたのを思い出し、いつもズボンのポケットに常備している
「エイナさぁあああああああんっ!」
「ん?」
「アイズ・ヴァレンシュタインさんの情報を教えてくださぁぁぁぁい!!」
僕の呼び声と、思いのままに口走ったその言葉で振り向いたエイナさんが、僕の現在の格好を見て悲鳴をあげ、僕を怒るのを想像するのは容易いだった。
あの後幾分か冷静になった僕は、シャワーを浴びてサッパリしたあと、エイナさんと向かい合ってい、血で真っ赤に染まったパンツを振り回しながら街中を突っ切ってきたことについて少々小言を言われている。
「だいたい、パ、パンツで血を拭いて、しかもそれを振り回しながら走ってくるかなって言いたいのもあるけど、なんで
下着をポケットに入れてダンジョンに潜ってるのかな?」
あ、途中で、パンツから下着に言い換えてる。やっぱり恥ずかしいのか?それよりも、質問に答えてないと
「それは、僕を育ててくれた亡き祖父の影響です。」
「えっ?」
「おじいちゃんが言っていました。『ベルよ、男はいつヤられるのか分からないからせめてパンツは一張羅を穿いておけ』って。だから僕はいつでも綺麗なパンツを履き替えれるように予備のパンツを持っているんです。」
「.........(ドン引き)」
あれ? なんだか、呆れられてる? そういえば、村にいた頃にこの話したら、村の人が20人連続でおじいちゃんをドロップキックしてったっけ、懐かしいなぁ
その後、エイナさんは落ち着いてから本題について聞かれた。
「それで、アイズ・ヴァレンシュタイン氏の情報だっけ? 何でまた?」
僕はちょっと言い辛かったけど、
「え~~~っと…………ちょっと言いにくいんですけど、今日は5階層まで足を伸ばしまして………」
そこまで言うと、エイナさんのこめかみがピクリとする。
「それで5階層に降りて最初に遭遇したモンスターが、何故かミノタウロスでして………」
今度はエイナさんのこめかみがピクピクっと2回動く。
「それで逃げてる時に、アイズ・ヴァレンシュタインさんが現れてミノタウロスを倒しちゃったんです」
その後一目惚れして、恥ずかしくなって逃げてきちゃったと伝えると、遂にエイナさんが爆発した。
「………もぉっ! どうして君は私の言いつけを守らないの!? 唯でさえ君はソロで潜ってるんだし、そうホイホイと下層に行っちゃダメじゃない! 冒険者は冒険しちゃダメって、いつも言ってるでしょ!?」
エイナさんは身を乗り出しながら僕を叱る。
「すみませんすみません! でも、浅い階層のモンスターじゃなんでか怯えて逃げちゃうんで、つい………」
「“つい”じゃない! その“つい”が冒険者の命を落とす最大の原因なんだからね! そりゃ、今まで君が殆ど怪我をせずに帰ってきたことだけは認めてあげるけど………」
「すみませんすみません! でも、『オラリオ』に来る前にも、ゴブリンやコボルトなら討伐経験があるのと、さっきも言ったようにどうしてもモンスターが怯えて逃げちゃうので………」
「討伐経験があるって言っても、所詮1匹や2匹でしょう!? ダンジョンの『中』と『外』を同列に考えないで!」
エイナさんの言葉は、全て僕を心配してくれているから出てくる言葉だ。
本気で心配してくれているから、僕は頷くことしかできないんだけど…………
一通り説教して気が済んだのか、エイナさんは気を取り直して椅子に腰掛ける。
「それで、アイズ・ヴァレンシュタイン氏の情報だっけ?」
「は、はい………!」
「う~ん………ギルドとしては冒険者の情報を漏らすのは御法度なんだけど………」
「そ、そこを何とか………」
僕は手を合わせながらお願いする。
「………教えられるのは公然となってることぐらいだよ?」
エイナさんは、そう前置きしながらも情報を教えてくれる。
やっぱりこの人は親切だ。
エイナさんが語った情報は、
アイズ・ヴァレンシュタイン。
大手【ファミリア】である【ロキ・ファミリア】の幹部。
剣の腕前は冒険者の中でもトップクラス。
Lv.5相当のモンスターの大群をたった一人で殲滅したこともあるらしく、二つ名の【剣姫】の他に【戦姫】とも呼ばれる。
下心を持って近寄ってくる異性は全て撃沈。
ついには千人切りを達成したとか………
あと一番大事な情報として、付き合ってる異性がいるとは聞いたことがない、ということだった。
エイナさんもこれ以上は職務に関係ないとかで教えてくれなかった。
趣味とか好きな物とかも聞ければ良かったんだけど、僕としては最後の情報が聞ければ十分だった。
すると、エイナさんが話の最後に、
「君はもう神ヘスティアから恩恵を授かったんでしょう? 【ロキ・ファミリア】で幹部も務めるヴァレンシュタイン氏にお近付きになるのは、私は難しいと思う」
確かにエイナさんの言うとおりだ。
「………想いを諦めろとは言わないけど、現実をしっかり見なきゃ、ベル君の為にはならない」
「………はい」
わかってたつもりだったけど、こうやって現実を突きつけられると、苦しいものがある。
そんな僕を見て、エイナさんは困った顔をしながら、ギルド職員としての対応をした。
「換金はしていくの?」
「あ………はい。 ミノタウロスと出会うまでは、普通にモンスターを倒していたのと、あのドロップアイテムのこと分かりました?」
「そのことなんだけど、ギルドの職員でも詳しくことが分からなくて..........しかも、あれに詳しくかもしれない神が、今はオラリオを離れているらしいから、もう少しだけ待っててもらえるかな?」
「そうですか、分かりました」
「じゃあ、換金所まで行こう。 私も付いて行くから」
気を使わせちゃったみたいだ。
ギルド本部内にある換金所で、今日の報酬を受け取ったあと、ギルドを出ようとしたところで、
「………ベル君」
突然エイナさんに呼び止められた。
「あっ、はい。 何ですか?」
僕は振り向いて要件を尋ねると、エイナさんは少し躊躇するような仕草をしてから口を開いた。
「あのね、女性はやっぱり強くて頼りがいのある男の人に魅力を感じるから………えっと、めげずに頑張っていれば、その、ね……………ヴァレンシュタイン氏も、強くなった君に振り向いてくれるかもよ?」
一人の知人として、励ましてくれるエイナさんの姿に、僕は自然と笑みを浮かべる。
そして、また心のままに口走った。
「エイナさん、大好きです!!」
「えうっ!?」
「ありがとぉー!!」
そのまま踵を返し、軽くなった足取りで駆け出した。
ヘスティアside
ボクの【ファミリア】を立ち上げてから半月。
相変わらず新規入団者は現れてないけど、1人だけいる団員のベル君。
彼の非常識さに頭を悩ませていた。
いや、ベル君はいい子だし、むしろ好感がもてる子なんだけど、如何せん彼はある点に関して非常識すぎる。
それは、パンツだ‼︎.......やっぱり言い直そう、彼が
まあ、それでもベル君の非常識ぶりも新人冒険者の中ではの話だし、何事も無くあと数ヶ月もすれば、特に騒ぎ立てるようなものでもない。
他の神々にも、興味を持たれることは無いだろう……………何事もなければ。
例えば、街中でパンツを振り回しながら走ってしまったり、明日のパンツを他人に布教してしまいだししったり……………
どっちもベル君なら出来てしまいそうなので不安だ。
そんな事を考えていると、
「神様! ただいまー!」
いつもより早く、ベル君が帰ってきた。
「おかえり、ベル君。 今日は早かったね」
「ええ。 ちょっとダンジョンでトラブルがありまして」
「トラブルー? でも、君が怪我しているようなには見えないと思うんだけど……」
「トラブルといいますか、運命的な出会いといいますか…………」
そこでボクはさっきまで考えていたことを思い出した。
「もしかして…………パンツの同志かい?」
「それなら、もうオラリオにきた初日にできました」
「えっ?……いろいろと聞きたいことはあるけど、今はいいや。それでなにがあったんだい?」
思わず低い声になったボクにベル君は説明を始めた。
第5階層に進んだら、何故かミノタウロスと遭遇したこと。
ベル君は、ミノタウロスから逃げていたけど、追い詰められてしまったこと。
その直後で、第一級冒険者のヴァレン某という女剣士が横槍をいれて、ミノタウロスを瞬殺したこと。
そのヴァレン某に、ベル君が一目惚れしてしまったことを聞いた。
「ベル君、アイズ・ヴァレンシュタインだっけ? そんなに美しくてべらぼうに強いんだったら、他の男共がほっとかないよ。 その娘だって、お気に入りの男の一人や二人囲ってるに決まってるさ」
「そ、そんなぁ………」
ベル君は情けない声を上げる。
けれど、ボクは続ける。
ベル君を出会ってすぐの女に渡すもんか!(ベル君の非常識さを感染させないために)
「いいかい? そんな一時の気の迷いなんて捨てて、もっと(自分の)身の回りを注意してよく確かめてみるんだ。」
ボクはそう言うけど、ベル君は少し考える仕草をした後、複雑な表情をする。
むむっ、これはもうひと押し必要だな。
「ま、ロキの【ファミリア】に入っている時点で、ヴァレン某とかいう女とは婚約できっこないんだけどね?」
そう言うと、ベル君は項垂れる。
よし、ここからボクが気を引けば………
「そうだベル君。 【ステイタス】の更新をしてみようか」
ボクの言葉を聞いて、ベル君は顔を上げないが、話には食いついた。
だが、ボクも【ステイタス】の更新は、不安に思っている。なにせ、スキルの名称にコンボが入っていて、しかもボクら神々も知らないコンボ名だからだ。
でも、なんとかベル君の気をヴァレン某からボクに逸らさないと。
「今日の出来事が影響して、【ステイタス】に変化がおきてるかもしれないから、一度は更新してみようと思うんだ」
「あっ、なるほど。 その可能性も捨てきれませんね」
「じゃあベル君。上着を脱いで、ベッドに横になるんだ」
「分かりました」
そう言って、上着を脱いでいき、ベッドにうつ伏せに横になった。
「じゃ、ちょっと失礼するよ」
ボクはベル君の背中に馬乗りになり、ボクはベル君の【ステイタス】を更新する。
やがて更新が終わり、【ステイタス】を確認した。
そこでボクは溜め息を吐く。
やっぱり変わってな………………
ベル・クラネル
Lv.1
力 :I 77→I82
耐久 :I 13
器用 :I 93→I96
俊敏 :I G209→G210
魔力 :I 0→⚫️⚫️
《魔法》
【⚫️⚫️ー⬛️・ボ⚫️⚫️】
【】
《スキル》
成長に必要な経験値が激増。
欲望を摩耗させて、太古の力を得る。
器が危険な時、太古の力が暴走。暴走後ステイタスがダウンする。
早熟する。
懸想が続く限り効果持続。
懸想の丈により効果向上。
見知らぬスキルが生まれてるし、魔法と魔力の項目がおかしくなっている。
side out
昨日【ステータス】を更新してから、いつものように部屋にパンツを干そうとして、神様に怒られたけど、僕は今日も朝早くから、ダンジョンに向かっていた。
突然胸がざわつき、誰かの視線を感じた。
敵意でも悪意でもなく、まるで心の中を覗かれるかのようなその視線に僕は思わず視線を感じた方を向く。
その方向は、バベルの塔。
確か、バベルの塔には神様達が住んでるんだよね。
じゃあ、神様の誰かが僕を見てたってことなのかな?
とりあえず視線を感じたのは今だけだったので、ダンジョンに向かおうとすると
「あの」
「わっ!?」
突然後ろに居た人物の声に驚いた僕は声を上げて、すぐに振り返った。
そこにいたのは、薄鈍色の髪と瞳をして何かの本を持ったヒューマンの少女だった。
服装は、ウエイトレスのような格好をしているから、どこかの店の店員さんかな?
「あっと………すみません。 驚かせてしまいましたね」
「いえ、気にしないでください。それで、僕に何か?」
「あ………はい。 これ、落としましたよ」
そう言って差し出された彼女の手の平に乗っていたのは魔石の欠片。
「えっ? あれ………?」
僕は魔石を入れてある腰巾着に手をやる。
手に入れた魔石は、全部この腰巾着に入れてるけど、魔石は全部換金したはずだけど……残ってたものがあったのかな?
でも、一般人が魔石を持ってるなんて考えにくいし………
とりあえず、彼女からは嫌な雰囲気はしなかったので、受け取っておくことにした。
「すいません。 ありがとうございます」
「いえ、お気になさらないでください」
柔らかい微笑みが返ってきて、僕は少し見惚れる。
「こんな朝早くから、ダンジョンへ行かれるんですか?」
「ええ。 まだ低階層しかアドバイザーの人から許されていないので、少しでも収入を良くする為に………」
と、そこまで言ったところで、僕のお腹がグウっと鳴った。
「………………」
「………………」
あまりの気恥ずかしさに沈黙する僕と、きょとんと目を丸くする彼女。
そういえば、まだ朝ごはん食べてなかった。
すると、彼女はぷっと笑みを零し、
「うふふ、お腹空いてらっしゃるんですか?」
「……………はい」
「もしかして、朝食を取られていないとか?」
本当の事なので、僕は頷く。
すると、彼女は少しの間僕を見つめた後、「とても、興味深いですね」と小さな声で呟いた後、パタパタと駆けてカフェテラスを超えて店の中へ入り、少しすると再び出てきた。
その手に小さなバスケットを持って。
「これ、よかったらどうぞ………まだお店がやってなくて、賄いじゃあないんですけど」
「ええっ⁈ そんな、悪いですよ! それにこれ、あなたの朝ごはんじゃ………!」
「このまま見過ごしてしまうと、私の良心が痛んでしまいそうです。だから冒険者さん、どうか受け取ってもらえませんか?」
「ず、ずるいですよ、その言い方………」
そんな言い方されたら、断れないですよ。
僕が受け取るかどうかで悩んでいると、彼女が顔を近づけてきて、
「冒険者さん。それに、これは利害の一致です。私もちょっと損をしますけど、冒険者さんはここで腹ごしらえができる代わりに………」
「代わりに?」
「今日の夜、私が働くあの酒場で、晩御飯を召し上がっていただかなければなりません」
その言葉の意味を完全に理解すると、僕は思わず苦笑いしてしまった。
「もう、本当にずるいなあ………」
「うふふ、ささっ、貰ってください。 今日の私のお給金が、高くなるだけでなく、興味深いことが起こりそうですから」
「………それじゃあ、いただきます。容器を返すためにも今日の夜に伺わせてもらいます」
「はい。 お待ちしています。あと、できれば今日の冒険のことを聞かせてもらっていいですか?」
「いいですけど、新人冒険者なので、とても面白い話はできないですよ」
「いえいえ、なんだか久しぶりに冒険者さんの話を聞きたくなったんですから」
バスケットを受け取りながら、彼女と言葉を交わす。少し変わった人の感じがするけど、なんだか好奇心旺盛な人のようにも思えてきた。それに、なんだか彼女とは、どこかで接点があったような気もした。でも、彼女の名前も知らない…って、夜のためにも聞いておかないと
「僕はベル・クラネルといいます。 あなたのお名前は?」
「シル・フローヴァです。ベルさん」
そう名乗った彼女をこの世の全てをシル存在だと僕が知ったのは、まだ先の話だ。
現在、???が使用できるメダル。
???×1 ????×1 ????×1
次回の物語は、
「ようこそ、いらしゃいませ。ベルさん」
シルの働く酒場に来たベルが、そこで出会ったのは⁈
「昨日、5階層で起きた不思議なこと?」
「俺に質問をするな」
オラリオで有名なロキファミリア
「人は一人では強くなれません」
「だから、人は」
討論の末にその場を去る者は
酒と思い人と弱者の涙
「僕は強くなりたいです。神様」
次回もお楽しみに
ここからは今後の注意事項です。この物語の設定はこのシリーズの初投稿の時点での内容で構成されていることがおおいです。そのため、現在判明している内容とは、違ってきます。その一例としてシルが挙げられます。今後も、初期に作ったプロットで書いていきたいので、改変についてはご了承ください。