今回は、主人公のタクミがほとんど出てきません。
その日の夜は、今までにないくらいぐっすり眠れた。
次の日の朝、鳥の鳴き声で目を覚ました。
誰かいないのかと下へ降りると、店内にはカネキと懐かしい顔ぶれが開店の準備をしていた。
タクミ「古間さん‼︎カヤさん‼︎」
そこにいたのは、『古間円児』と『入見カヤ』だった。
古間「やぁ、タクミくん。おはよう。」
入見「あら、お久し振りね。」
タクミ「おはようございます!そして、お久し振りです!」
古間「今日から、店に戻るのかい?」
タクミ「はい。そうです。」
入見「じゃあ、早く着替えてきなさい。寝癖が付いてるから、寝起きだって一目瞭然よ。」
タクミ「あっ、そうだった。急いで支度してきます!」
タクミは、急いで部屋に戻っていった。
古間「相変わらずだね。あの、明るさと慌てっぷりは。」
入見「あなたと同じ事を考えていたのは癪だけど、そうね。」
テーブルを拭いていたカネキが、古間と入見の側に寄ってきた。
カネキ「タクミくんが、ここで働いていた時の事を教えてくれませんか?昨日、忙しくて聞きそびれちゃって。」
古間「あぁ、良いとも。」
入見「そうね。何から話せば良いかしら…」
古間「初めて、あんていくに来た時の事から話してあげれば良いんじゃないかな?」
入見「そこからぁ?まぁ、でもそうね。」
ー15年前ー
芳村「よし、それじゃあ開けようか。」
古間・入見「はい‼︎店長‼︎」
2人共、顔を見合わせて睨み合っている。
芳村「ほらほら、そんな事をしている時にお客さんが来たらどうするんだい?」
古間と入見は、溜め息をついた後睨み合いをやめた。
古間「そうだな。仲良くしよう。」
入見「そうね。お互い過去の事は水に流しましょう。」
芳村は、そんな光景を見てうんうんと頷いた。
カランカラン
ベルの音が鳴り、ドアが開いた。
古間・入見「いっ、いらっしゃいませ‼︎」
入って来たのは、子連れの若い夫婦だった。
夫「芳村さん。この度は、お招きいただきありがとうございます。」
芳村「太田さん、来てくれてありがとう。君達が、1組目のお客さんだよ。」
「古間君、入見さん。怖がらなくて良いよ。彼らも喰種だから。」
古間「そう、だったんですか。」
入見「なら、良かったです。」
2人は、ホッとした。
入見「お好きなお席にどうぞ。」
夫「どこにする?」
妻「じゃあ、あの窓の外が見える席にしましょう。」
夫「うん。いいね。」
入見「ご注文は何になさいますか?」
夫「じゃあ、ブレンドで。」
妻「それなら、私も。」
入見「かしこまりました。」
「店長、古間。ブレンド2つです。」
芳村「あぁ、分かったよ。」
古間「承知‼︎特製『魔猿』ブレンドを淹れよう。」
夫「いやぁ〜こんな街中に、喰種が経営する喫茶店が出来るなんて思ってませんでしたよ。」
入見「えぇ、私も最初はびっくりしました。」
母親に抱かれていた子供が目を覚ました。
妻「あっ、タクミ。目が覚めた?」
タクミ「あー、あー。」
タクミは、初めて会った入見にかなり反応を見せた。
妻「あら、なぁに?このお姉さんが気になるの?」
タクミ「うー、うー。」
タクミは、入見のいる方向に手を伸ばす。
入見は、それに気づいてタクミに近づく。
入見「タクミくんって、言うんですね。タクミく〜ん、カヤお姉さんだよ〜。」
入見は、タクミの頭を撫でる。その表情は、とても穏やかで優しかった。
タクミ「キャッ、キャッ」
妻「あなたの事が気に入ったみたいね。少し、抱いてみてもらえるかしら?」
入見「えっ⁉︎良いんですか?」
夫「えぇ、もちろんどうぞ。」
そう言われた入見は、母親からタクミを渡された。
入見「意外と、重たいんですね。」
タクミ「キャッキャッ」
タクミは、入見を見て喜んでいる。
そんなタクミを見て入見は、とても幸せそうだった。
古間「入見は、子供にはモテるんだなぁ〜」
と、古間は少し羨ましそうに言った。
入見「うるさいわよ。今、ウトウトしてきてるんだから。」
(ヤバい。私今、急激に母性が目覚めてきてる。子供って可愛い〜)
ー現在ー
古間「それが、タクミくんとの出会いだよ。」
入見「タクミくんの両親は、あんていくをとても気に入ってくれてその後も週に一回は必ず来てくれたわね。」
古間「入見がいない時に来たら、タクミ君はずっと泣いていたんだよ。それに入見も、ものすごく残念がってたなぁ。」
カネキ「へ〜。そうだったんですかぁ。
それで、その後どうなったんですか?」
その瞬間、2人の表情が曇った。
古間「えっと、その後はね…」
ガチャッ
タクミ「みなさん‼︎お待たせしました‼︎」
「あれ?どうしてそんな辛気臭い顔してるんですか?」
古間「何でもないよ。みんな、君が来るのを待っていたのさ。」
タクミ「そうでしたか。それは、ごめんなさい。」
入見「良いのよ。さぁ、仕事に取り掛かりましょう。」
一同「はーい。」
カネキ(一体、何があったんだろう…そういえば、タクミ君は何でここに住んでいるんだろう…家族は、どうしたのかなぁ…)
その日は、タクミ以外少し暗い気持ちであんていくはオープンした。
To be continue