その日の午前中は、雲一つない快晴だった。
だが、午後に入り夕方に近づくにつれ雲が空を覆い尽くしていった。
タクミは、その日一日休みを貰い、朝からずっとパソコンと向き合い格闘していた。
タクミ「え〜っと、CCGの捜査官名簿はっと…」
カタカタカタッ
パッ ガタンッ
タクミ「やっぱ、ロックかかってるかぁ〜。」
タクミは、「はぁ。」とため息をつき立ち上がった。
「一旦、休憩するか。」
そう言ってタクミは、部屋を後にした。
ーあんていく 店内ー
カネキ「それじゃあ、お疲れ様でした。店長。」
芳村「お疲れ様、カネキくん。」
「そうそう。明日からトーカちゃんが戻ってくるから、仕事は少し楽になると思うよ。」
カネキ「あっ…はい…」
カネキは、少し嫌そうに答えた。
カネキ(…またトーカちゃんに怒鳴られる日々が戻ってくるのか…)
ガチャ カランカラン ガチャ
トットットットッ
タクミ「店長〜。ヒナミ達が見当たらないんだけど、知らない?」
芳村「あぁ、笛口さん達はさっきここを出たよ。」
タクミ「えっ⁉︎本当?」
芳村「うん。ヒナミちゃんに心配をかけないために、自分達の力で生きていきたいらしいよ。」
芳村は、タクミに向かって静かに、悟すように言った。
タクミ「そうですか…」
芳村「なに、二度と会えない訳じゃないよ。落ち着いたら、また来てくれるさ。」
タクミ「そうですね。あっ、そういえば店長。」
芳村「どうしたんだい?」
タクミ「この間の20区に配属されてきた白鳩のプロフィールがもうすぐ分かりそうです。」
芳村「おぉ、そうかい。ありがとう。」
タクミ「いえいえ。」
タクミは、ふと窓の外を見て呟いた。
「雨か…」
その時、タクミは自分の体に冷たい何かが入り込んでくる様な感覚になった。
タクミ「店長‼︎嫌な予感がする。」
芳村(この子は、今まで自分が辛い目に遭ってきた分そういう事に敏感になっているのかもしれないな…)
「そうかい。タクミくん。笛口親子を追ってくれ。」
タクミ「ハイ‼︎」
芳村「私は、店を閉めてから行くよ。」
タクミ「分かりました。」
タタタタタッ ガチャッ バタンッ
パシャッ パシャッ パシャッ
タクミは、驟雨の中傘も持たずに飛び出し走った。
タクミ(間に合え‼︎間に合え‼︎間に合え‼︎)
そう心の中で叫びながらタクミは走った。
パシャッ パシャッ パシャッ
(間に合え!間に合え!間に合え!間に合ってくれ‼︎)
キュッ バシャッ
タクミは、角を曲がりきれず転んだ。
その時タクミの頭の中で、昔の記憶がフラッシュバックし、声が聞こえた。
「追え‼︎まだ、近くにガキがいるはずだ‼︎」
「お父さん‼︎お母さん‼︎」
タクミの脳裏には、両親を捜査官に殺され泣いている昔の自分が映っていた。
タクミ(クソッ!あんな思いをヒナミにまでさせる訳にはいかないんだ‼︎)
タクミは力強く立ち上がり、走った。
店が立ち並ぶ商店街をタクミは、走った。
そして、建物の間に隠れていたカネキとヒナミを見つけた。
タクミ「いたっ‼︎」
タクミは、急ブレーキをかけた。
そして、二人の目線の先には四人の捜査官と攻撃を受けボロボロになった笛口リョーコの姿があった。
タクミ(リョーコさんっ‼︎)
戦わなきゃ。タクミはそう思った。
その瞬間、タクミは芳村の言葉を思い出した。
「君の赫子は、特徴的だから捜査官に覚えられやすい。だから、捜査官と出くわした時は赫子は使わないよう
にしてほしい。みんなの安全の為だ。すまないね。」
タクミ(でも!リョーコさんを助けなきゃ‼︎店長…どうしたら良いんだよ…)
その時だった。
真戸「時間切れだッ‼︎」
パァァァァァン ブシュッ
ボタッ ボタッ
タクミ(リョーコ…さん…間に合わなかった…か。こうなったら…ヒナミだけでも…)
カネキ「あぁっ…そんな…」
タタタタタッ
タクミは、カネキのいる場所まで走った。野次馬に紛れて。
タクミ「カネキさんっ‼︎」
タクミは静かに話した。でも、言葉は強くハッキリしていた。
タクミ「早くここから逃げよう‼︎ここにいたら、みんなやられちゃう‼︎」
カネキはまだ、状況を飲み込めていない様子だった。
カネキ「えっ…あっ…うん。」
タクミは、ヒナミをおぶりカネキに後ろを警戒させた。
タクミ「こっちです!」
強い雨が降る中、傘も持たずに走った。
パシャ パシャ パシャ
パシャ パシャ パシャ
パシャ パシャ パシャ
三人がようやくたどり着いたのは[あんていく]だった。
To be continue