うみのイルカを見つけた俺は名案を思い付く。
これも後になって考えてみれば、めちゃくちゃな案だったが、昼夜問わずひたすら走り続け、食料も木の実や小川の水だけと言う栄養下のまま捻り出したと思えば、
まぁ許せないな。もっと他に良い策があった筈だから。
イルカの顔をわざと震えながら見上げた俺は、目に涙を浮かべながら作戦を開始する。
「おっ、お兄ちゃん?」
目の前の忍達は四者四様の反応を見せる。
「はぁ?」
「えっ」
「むっ?」
「…………」
俺に目線を会わせていたイルカはひっくり返りそうな程驚き、他の三人も眼を見張らせている。
「お兄ちゃん、お兄ちゃぁぁあんっ!!!」
更にもう一発。とばかりに次の弾を発射しつつイルカのまだ幼い身体にしがみつく。
ふっふっふ、造作もない。
下忍三人はもうてんやわんやだ。ただ一人上忍だけが俺を警戒しているのか腐ったチャプチェを見るような冷たい目で見てくるが。
はっはっは。驚いただろう。これが忍法・身に覚えのない弟が突然目の前に現れるの術だ。
この術を食らったら、何も自分とは関係無いのに、何故か目の前の人間を強く意識してしまう。そして、もしかして俺には生き別れの弟が居たのか?とか、ひょっとして兄弟と言う意味の兄ではなく、どこかで会って仲良くなったのか?などと勝手に過去を洗い始める。
ふっふっふ、どうだイルカ、参っただろう。
後は何を言われても泣き続けなし崩「イルカ、ちょっとその子を借してくれないか?」
突然ポニーテールの上忍が俺の身体をひょいと掴みイルカから引き離す。
嘘だろ、戦闘民族カグヤ人の中でもエリートの俺様がこんな簡単に。とふざける余裕は無い。
何故ならそのポニーテールは瞬身の術でイルカ達から少し離れた場所に移動すると、俺を地面に置き、端から見れば俺の頭を撫でている様に見せながら、万力のような力で押さえ付けて来たからだ。
「いだだだだ「喋るな、大人しくしていろ」
しゃがみこみ目線を合わせては居るが、その目に先程のイルカの様な慈愛の感情はなく、射殺さんばかりの鋭い目付きで俺を睨む。
そして数分後、周囲には聞こえないよう、小さな声で俺に語りかける。
「失礼だが今、記憶を読ませて貰った。しかし、どうやら大雑把に見てもお前に兄が居た記憶が無い。それどころか戦争で人を殺した記憶まである。このまま変化は解かなくて良いから質問に答えろ。お前は何者だ?」
あ、今思い出した。こいつ山中いのいちだ。
詰んでますやんコレ。