これからもよろしくお願いします。
原付で事故ったせいで足を骨折し、松葉杖をつきながら街を歩いていたら、頭上から看板が落下。死ぬ寸前に「もっと骨が丈夫なら…」と的外れな事を願ったからか、NARUTOの世界で恐らく最も骨が丈夫な、かぐや一族の君麻呂に転生。
再び産まれ落ちてからは、星の数程の児童虐待と、幾多の戦場を乗り越え、目の前の敵をひたすら殺し続け、精神をゴリゴリと削りながら必死に戦い続けてきた。多大なストレスで声を失い、栄養が足りてないせいで頭もろくに働かず、前世の記憶がどんどん薄れていく日々。
しかしそんな悪夢の様な日常は、五歳を過ぎたある日、唐突に終わりを告げる。
ゴロリと地面を転がる族長の首、次々と死に絶えて行く俺を虐げてきた同胞達。霧の忍との戦いで、俺を縛る奴らが目の前で面白いように死んでいった。
あの時ほど神の存在を感じた事は無い。俺は歓喜のあまり五年ぶりに声を取り戻し、転生後初の「ひゃっっっほう!!」を発し、全力でその場から逃亡した。
追ってきた敵と同胞を巻いた後、これからどうするかと思案したが、答えは割とすぐに出た。「よし、火の国に行こう」と。せっかくNARUTOの世界に来たのなら木の葉の里に行ってみたいからな。
そこから木の葉に着くまでに、また色々あった。
着の身着のまま&無一文だったので、森でサバイバルをしたり、街で残飯を漁ったり。
歓楽街で綺麗なお姉さん達に茶化され、顔を真っ赤にしたり。
俺の長い銀髪を見て幼女だと勘違いし襲ってきた変態を撃退したり。
木の葉に着いても、通行証や身分証明書が無くて途方に暮れたり、イルカが奇跡的に接触してきたり、イルカに人情奥義"架空弟"をお見舞いしたり、金髪ポニーテールの上忍に尋問されたり、余りにもトントン拍子に進む展開に訝しんだり。
その結果、かぐや一族として戦争に参加した罪は問われず、金髪ポニーテールが俺の保護者になり、木の葉の里の一員として迎え入れる、その代わりイルカと懇意にして欲しい、と俺にメリットしかない待遇と条件で、木の葉の里に保護される事と相成った。
そんなこんなで木の葉の里の住人になり早一週間、手続きや何やかんやで未だに外出許可がおりず、現在の保護者である金髪ポニーテールの上忍、山中いのいちの自宅(山中花屋)で缶詰め状態(何不自由ない)の俺こと君麻呂は、今ある人物と相対している。
2年前、木の葉の名門たる山中家に待望の第1子が産まれた。父親に似た鮮やかな金髪、母親に似て整った顔付き、釣り上がった目は将来の気の強さを連想させる、原作キャラであり美少女になる事を約束された存在。そう、いのである。
「キミちゃん、キミちゃん」
そんな山中家のお姫様は、ただいま俺の長い髪で遊びながら、しきりに名前を呼んでくる。君麻呂だから、キミちゃんらしい。安直過ぎるぜ、可愛いかよ。
まだ多少丸っこくプニプニしてるのに、目はパッチリとして、鼻筋はスッと通っている。この年で既に美少女とは、流石原作キャラだ。
邪気の無い笑顔で俺の後ろをトテトテと付いてきては、たまに転んだりしている。そして転んでも決して泣かず、俺に心配をかけないようにと、涙目で「えへへっ」と笑い、大丈夫だと全身で訴えてくる。
何てこったい、可愛さが爆発してやがる。
前世を通じても幼児との付き合いが無かった俺だ。免疫ナシでこんな天使の魅力に抗える訳が無い。唯一今の俺に出来る事と言えば、だらしなく頬を緩ませながら「なぁにお姫様?」とキモい台詞を吐く事だけである。誠に残念だ。
「キミちゃん、おんぶ!」
「はぁい、お姫様」
おねだりする姿も微笑ましい。一週間前に初めて会った時は、警戒して全く近付いて来なかったと言うのに凄い変化だ。
まぁ、ママさんの尽力と、いの持ち前のフレンドリーさで、次の日の朝には既に「キミちゃん」とアダ名で呼び、ひっきりなしに遊びに誘ってきたけど。
俺は彼女を傷付け無いよう、細心の注意を払い天使の御身体を背負う。
こんなに可愛い女の子が、10年後に桃色髪の親友とゴリゴリの殴り合いを演じるなどとても想像出来ない。
一通り遊んで満足したのか、俺の側をトテトテと離れる。うむ、後ろ姿も可愛らしい。
艶やかな金髪のポニーテールが、遠くに行ってしまう事に少し寂しさを感じていると、不意に彼女が振り返り、またトテトテと俺の側まで来る。そして一拍置いた後、少し照れながら耳元で囁いた。
「キミちゃん大好きっ」
っっっふぅ~~~~~~~
べっ、べつにロリコンじゃないんだからねっ!!!