「うぉぉおおおっ!!!!」
鬱蒼と生い茂る森の中で、俺の声が木霊する。
俺は、今、熱く燃えているっ!!
心の底から力が溢れてくる。
血湧き肉踊るとはまさにこの事、今ならどんな敵にも勝てる気がするぜ。
「指穿弾っ!」
右手を拳銃の様な形にし、指先から骨の弾丸を連射すると、的にしている木に無数の穴が空く。
「椿の舞っ!!」
左肩から出した骨の剣で、突きの連続を的に浴びせる。木は抉れ、どんどん傷だらけになっていく。
「唐松の舞っ!!!」
骨の剣を木の幹に突き刺した後、両腕と両足から硬化させた骨を出し、渾身の体術を繰り出す。
また一本、的にしていた木が倒れる。
これまで生き残る為に必死に学んで来た技を、一つ一つ確かめるように、しかし燃えるような熱さで繰り返す。
やはりこの身体は凄い。
高い身体能力、膨大なチャクラ量、そして血系限界である屍骨脈とそれによる付随効果。
原作で大蛇丸がサスケ以上に器に欲していたのも頷ける性能だ。
しかし、五歳児と言う事もあり、身体能力もチャクラもまだまだ発展途上。そして原作の技の完全再現には依然届かない。今の所出来る技は3つのみ、加えてどれも不完全だ。
本来全ての指から繰り出される筈の十指穿弾は右手の人差し指のみ、椿の舞は短剣程度の長さで、剣の強度も剣術の練度も改良の余地しかなく、唐松の舞に至っては両手両足にまばらな骨が出るだけだ。
こう言うと非常に貧弱なレパートリーに思えるかも知れないが、そうでもない。現に多くの忍びが入り乱れる戦場で生き残り、無数の忍を葬る事が出来た。最後の霧隠れの忍達には普通に敵わなかったが。
「おぉ~~っ!!青春してるなっ!!!」
もう何本めだろうか、同じく傷だらけになっていく木々に、最後の止めで唐松の舞をしようとした所、隣から声が聞こえ一瞬手が止まる。
この声、この言葉、お気付きの人は多いだろう。そう、ガイである。原作スタートの10年前であり、17歳である事からかその声はまだ若い。
そんな彼は今、俺の隣で大木をフルボッコにしている。流石に八門遁甲までは使ってないようだが、それでもこちらまで攻撃の余波が届く程の連撃を繰り出している。あと、ちょいちょい聞こえる雄叫びが五月蝿い。
何故こんな状況になったかと言うと、山中家から爆走して自由に身体を動かせそうな森に着いた後、先程の流れで身体を動かしていたら、いつの間にか現れて勝手に修行をし始めたのだ。
それはもう対抗するように。
時折「負けんぞ!」や、「おっ、今のは良いパンチだっ!」などと声を掛けてきては俺の注意を引こうとしてくる。
凄いなカカシは、こんな暑苦しいヤツと親友をやってるんだから。激マユおかっぱの構ってちゃんなんてキャラが濃すぎるだろ。
ある程度技の確認が出来、また木の葉の青い珍獣のせいで精神的に疲れた俺は、面倒臭い展開に入る前に帰ろうと、身体の埃を払い帰り道へと足を向ける。もちろん瞬身の術でだ。絡まれたくない。
「っ!?」
突然、何者かに肩を掴まれ、術をキャンセルさせられる。危険を感じた俺は相手の身体を蹴り飛ばし、指穿弾を打ち込もうとするが、
「はっはっは、中々良い蹴りだ!だが俺を倒すにはまだまだだなっ!」
容易く蹴りを弾かれ、眼前に迫った激マユおかっぱ兄さんの顔面力に驚き、尻餅を付いてしまう。
いきなりの展開に呆然とする俺に、ガイはナイスガイな笑みを浮かべ高らかに喋り始めた。
「いやぁ、驚かせてすまない!君が余りに眩しく光っているから、つい話がしたくなってしまった!いつもここで修行をしているのかな?」
声のボリュームと、圧倒的男臭さ&強引さにドン引きし、俺は一の句すら告げない。
いや、何故見知らぬ子供に無理矢理接触した癖に、そんな良い笑顔が出来るんだ?
そもそも自分をずっと無視していた相手に返事を貰えると思って疑わない、そのキラキラ光る目も一体なんだ。
驚きの連続で脳ミソが情報を処理できずショートし、口をあんぐりと開けていると、ガイは突然ハッと何かに気付いたような顔をした。
おぉっ!分かってくれたか!
目の前の男児は怯えているんだ!
あんたの行動やテンションや顔や性格にな!
俺が謝罪の言葉を待ちつつ立ち上がろうとすると、ガイは急に空を見上げ始めた。えっ、なんだ、どした?
「むっ、会話中すまんな、急な任務が入ったようだ。もっと君と青春について語り合いたいのだがそれは次の機会にしよう。はっはっは、楽しい時間とはあっという間だな!また会おう、ギンギラギンに輝く少年よ!!!」
そう言ってキラリと光る歯を見せ、エキセントリックなポーズを取ると、瞬身の術で目の前からいなくなってしまった。
えっ、えぇ~~~……………
流石に予想外を重ねられ過ぎ衝撃には耐えられず、再び俺は尻から崩れ落ちた。
本当に、何だったんだ…………
精神的に疲れ果て、地面に大の字になって空を見上げると、真っ先に目に入った赤く燃える夕焼けが、先程のナウい男を連想させて、俺は今日一番の溜め息をついた。