ヴィジランテ -スクライド ILLEGALS-   作:カズくん

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初投稿です。
スクライドのブルーレイをみつつ書き溜めて行くので亀更新ですがよろしくお願いします。


プロローグ-ヴィジランテ-

ヒーロー飽和社会と呼ばれる昨今、その強い光は一部に濃い闇を残していた。

日本各地に決して広くはないものの、点々とできたスラム街とでも呼ぶべき場所等はその筆頭ともいえるだろう。

スラムの周囲には有力なヒーロー事務所もなく(逆説的に有力なヒーロー事務所がないからこそスラムになっているともいえるが)ヴィランとも呼べない犯罪者予備軍のチンピラの溜り場や、大物ヴィランの隠れ蓑になっていたりと、犯罪の温床ともいえる場所になっていた。

 

そんなスラムのひとつ。

長年手入れされていないと思われる廃ビルの屋上に、深夜にも関わらず10人ほどの男たちの姿があった。

 

屈強な異形型個性の者、手元でナイフを弄っている者、自らの個性を見せつけるように発動している者など様々だが、共通点を上げるとすれば、全員が暴力の臭いを濃く漂わせていること、屋上の中央で椅子に縛られて口にガムテープを張られている唯一身綺麗な男性にニヤニヤとした笑みを見せていることだ。

バタフライナイフを手元で弄っていた細身の男が、キーキーと耳障りな高音で身綺麗な男性に話しかける。

 

「なあ、議員さん。俺達としてもそんなに時間は使いたくないのさ。ここいらのヒーローは腑抜けばかりとはいえ、時間かけて数が集まると面倒だ。だから優しくするつもりもねぇ。」

 

ナイフの腹で男性の頬を叩きながら、男は続ける。

 

「ちょおっとあんたの活動資金ってやつを分けてくれればいいんだよ。そうしたら俺達も何もしないさ。どころか、あんたにちょっかい出そうとした奴はシメてやってもいい。悪い話じゃないだろぉ?うん?」

 

そういうと、男性の口に張られたガムテープを一息に剥がした。

男性は額に青筋を浮かべると怒鳴り散らす。

 

「ッ!ふさげるなッ!貴様らのようなチンピラに誰が!」

 

そこまで口に出したところで、男性の左耳にナイフが振り下ろされた。

半ばほどでナイフがひっかかったため切断されてはいないが、激痛が男性を襲う。

細身の男が絶叫をあげる男性の腹を蹴り飛ばし、椅子ごと地面に倒した。

さらに悶えているところにツバを吐きかける。

 

「だから言っただろ?優しくしねぇってな。おい、金の在処を吐くまでボコれ。吐くまで殺すなよ。」

 

どうやら細身の男が一番立場が上らしい。

男の声に反応して、周囲のチンピラ達がニヤニヤと笑いながら男性ににじり寄る。

男性の目が絶望で暗くなっていく。

その時、地面から見上げるようにチンピラ達を見ていた男性の目に"緑色の光"のようなものが映った。

直後、上空から何かを噴射するような音が響く。

音に反応して細身の男が空を見上げると、驚愕に目を見開いた。

 

「なっ!まさか、シェル・・・!」

 

「衝撃のファーストブリット・・・!」

 

轟音。

頭上から一直線に落下してきた"ナニカ"によって、その廃ビルは一撃で倒壊した。

 

 

 

 

★★★★★

 

 

 

 

市議会議員が誘拐され、その日のうちに誘拐されたはずの議員が気絶したうえに簀巻きの状態でヒーロー事務所の前に投げ捨てられているという事件が発生した翌日。

スラムで発生したビル倒壊事件を地元の警察が調査していた。

 

銜え煙草の中年男性刑事と、若い制服の男性警官が完全に崩れ落ちたビルの前に佇んでいた。

若い警官が粉々になったビルの破片を摘みあげて顔をしかめる。

 

「こりゃ酷いですね・・・。ヴィランの抗争ですかね?」

 

中年刑事は煙を吐くと、違うね、と否定した。

 

「昨日の市議会議員誘拐事件あったろ。あれの現場がここなんだとよ。目撃証言から言って、こりゃあ"奴"の仕業だなぁ。」

 

「奴・・・ですか?」

 

若い警官は不思議そうに首を傾けた。

それを見て、中年刑事はポン、と手を鳴らす。

 

「そういえばお前さんはこっちに来たばっかりだったか。ここらじゃあ知れた名前の奴が居るんだよ。"シェルブリット"。聞いたことないか?」

 

「ええっと・・・ヒーロー、じゃないですよね。ヴィランですか?」

 

「ヴィラン、か。まあ、法に則るならヴィランになるんだろうな。ここいらの奴らにシェルブリットがヴィランだ、なんて言ったら何されるかわかったもんじゃないがな。」

 

中年刑事が苦み走った顔で言うと、若い警官はなお不思議そうにする。

 

「つまるところ、どういう事なんです?」

 

ケッ、と舌打ちをひとつ打った中年刑事が吐き捨てるようにいった。

 

「ヴィジランテって奴だよ。俺ァあいつはそんな良いもんじゃないと思ってるがね。」

 

「ヴィジランテ!超常黎明期に多くいたっていうあの?」

 

ヴィジランテとは、いわばヒーローの源流。

まだ個性に対する法整備ができていなかったころに活動した者たちの総称だ。

激化する個性犯罪に対し、自主的に立ち上がった者たち。

時に行き過ぎる正義でヴィランを殺害することすらある過激な活動を行っていたとされる。

今では、ヴィランの制圧活動は資格を取ったヒーローが行っているので、無資格の者がヴィラン相手に個性を振るえば、基本的には犯罪となる。

ゆえに、ヴィジランテは過去の遺物とされている。

 

が、例外はある。

例えばこのスラム街のように、ヒーローの手が届き難い場所で。

例えば様々な理由でヒーローに依頼ができない者が。

例えばヒーローではできない行き過ぎた正義を求める声が。

ヴィジランテを求めるのだ。

特にこのスラム周辺では、ヴィジランテが多く活動していた。

 

その中でも、1年ほど前から名が売れ出したヴィジランテが、"シェルブリット"。

目撃証言からすると、男性、逆立ったような髪型で、個性は単純な増強系と思われる。

金さえ積めばどんなヴィランとも戦う上に、全戦無敗。

このスラム周辺の住民からはヒーローよりよほど役に立つとまで言われている。

事実、スラム周辺での犯罪件数は彼の台頭から右肩下がりだった。

既にその名は、この一帯のみならず、周囲にも知れ渡り始めている。

ネットを通して全国に名が知られるもの時間の問題と思われた。

 

「なんというか、凄まじい奴ですね。そんなのがこの辺に潜んでいるんですか?」

 

若い警官は恐々と周囲を見渡した。

 

「安心しろ。奴はカタギには手を出さないことでも有名だ。あっちから何かしてくることはねえよ。」

 

手を出さなければな、と付け足された言葉に、若い警官はぶるりと身を震わせた。

 




プロローグなんで短め。
次回からはカズマを中心に進めます。
今のところスクライドから出す予定なのは3人。
クーガーの兄貴を出すかとても悩んでますが・・・。

以下はチラ裏。
今回、カズマをヴィジランテとしたのは、どうもヒーローって感じがしなかったからです。
規則で雁字搦めなヒーローをカズマがやってるのがイメージわかなかった。
頑張っても爆轟みたいな感じになるのかな・・・?
雄英入学で少し書いて、どんどんカズマとかけ離れた主人公になっていったので・・・。
最大の鬼門が雄英の筆記試験。エンピツ転がして受かったことにしようかとも思ったけど、授業についていけずに担任にイレイザーされる未来しかみえぬぇ・・・。
かといって、ヴィランじゃないしなぁ。ということでヴィジランテです。
原作カズマの雰囲気を崩さず書けたらいいなと思っていますので、よろしくお願いします。
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