歓迎会から二週間が経過した。蒼也たちはマクロスエリシオンから切り離されたアイテールに乗り、惑星ランドールに向かうためフォールド航行の準備をしていた。そして蒼也は今、格納庫に来ていた。蒼也はハヤテを見つけると何処か浮かれているような顔をしていたので声を掛けた。
「どうしたんですか?ハヤテくん」
「蒼也か、いや実はな。整備士の皆とマキナとレイナが俺用にジークフリートをチューンアップしてくれたんだよ」
蒼也はハヤテが完全に浮かれていることが分かり注意した。
「はぁ~、ハヤテくん。皆が貴方の機体をチューンアップしてくれて嬉しい気持ちは分かりますけど、あまりパフォーマンスで勝手な行動とかは控えてくださいね。後処理が面倒ですから」
「わかってるって、そう心配しなくても勝手なことはしないよ」
「どうだか」
蒼也はハヤテに素っ気ない返事をした。
《まもなく、フォールド航行に入ります。職員の皆さんは衝撃にご注意ください》
フォールドするアナウンスが流れる。するとフォールドが始まり、しばらく揺れが続いた。揺れが収まり無事フォールド航行することができ、蒼也とハヤテの他に格納庫へ来ていた整備士たちがVF-31をメンテナンスし始めた。
「そう言えば、これがハヤテくんの機体ですか?」
蒼也は青色のVF-31を指差す。
「そうだぜ。VF-31Jジークフリート、管制制御システム標準装備の最新鋭機で識別コードはΔ5だとよ」
「へ~、ハヤテくんには少し勿体ない機体ですね」
「うるせ、それよりも蒼也は何でここに来たんだ?ワルキューレの輸送機なら反対方向だと思ったんだけどよ。」
蒼也がなぜここにいるのか気になったハヤテは本人に聞いてみた。
「いえ、美雲さんを探してたんですけど思い付く場所がこの先にある場所しかなかったんですよ」
「その場所って展望デッキか?」
「そうですよ。それじゃあ僕はこれで」
蒼也はそう言って格納庫の奥へと進んでいった。
しばらくして、蒼也は展望デッキに着き扉を開ける。そこにいたのは星なんて見えるはずもないのに外を見ている美雲がいた。
「やっぱり、ここにいましたか」
蒼也は美雲に声を掛ける。
「蒼也」
美雲は蒼也の声を聞くと蒼也のいる方に振り向き名前を呟く。そして蒼也は美雲に近づき、美雲の隣に立つ。
「ランドールに着いたら、いよいよワクチンライブですね」
「そうね」
美雲は返事のあと蒼也を見て尋ねてきた。
「ねぇ、貴方は私を絶対に守ってくれるのよね?」
蒼也は美雲が少し怯えていることに気付き優しく声を掛けた。
「はい、僕は貴女が危険に晒されそうになったら絶対に守り抜いて見せます」
それは二週間前に蒼也が言ったことと同じだったが美雲は安心したのか。笑顔で、ありがとう。と言った。
《まもなく、惑星ランドールにデフォールドします。Δ小隊及びワルキューレの皆さんは各自の持ち場に着いてください》
デフォールドのアナウンスが流れ、Δ小隊メンバーとワルキューレメンバーに指示が入った。
「行きましょうか。美雲さん」
「えぇ、最高のショーを見して上げる」
蒼也と美雲はワルキューレメンバーが集まる輸送機に向かった。
しばらくしてアイテールはデフォールドし、目の前にはラグナ星には劣るが緑の木々と青の海が美しい星についた。一方、蒼也をワルキューレの乗る輸送機では最後のミーティングが行われていた。
「フレイア」
「はっ、はい!」
美雲はミーティング中フレイアにあることを尋ねてくる。
「貴女はどうして歌を歌うの?」
「私は、美雲さんと蒼也さんの歌を聞いて同じステージに立ちたいと思ったから。歌っているんです」
フレイアは蒼也と美雲を真剣な目で見ながら理由を言った。
「ふふっ、そうだったわね」
余程、フレイアの言ったことが嬉しかったのか。笑いながら納得した。
「さぁ、話はもういい?」
カナメが皆にそう言うと全員頷く。
「それじゃあ!」
カナメが右手でWを作り前に出す。それに続き、フレイア、マキナ、レイナ、蒼也、美雲の順で右手でWを作り前に出し決め言葉を言っていく。
「銀河のために!」
「誰かのために!」
「今、私たち!」
「瞬間完全燃焼!」
「命がけで楽しんで!」
「大空に羽ばたきましょう!」
「「「「「「GO! ワルキューレ!!」」」」」」
上からマキナ、レイナ、フレイア、美雲、カナメ、蒼也の順で喋って言った。
ランドールライブ会場では多くの人々が集まっていた。
『Welcome to Walkure world~~♪』
その言葉と共に人々は声を上げ手に持つ様々な色に発光したペンライトを激しく振った。するとΔ小隊メンバーが乗る5機のVF-31とワルキューレが乗っている輸送機が降りてくる。Δ部隊は機体の後ろからカラースモークを噴出しエアショーを始める。
少しすると、輸送機のハッチが開きレイナ、マキナ、カナメ、美雲の順で降りていく。
「歌は……愛!」
「歌は……希望!」
「歌は……命!」
「歌は……神秘!」
それぞれケイオス社員服がシュトラールに切り替わっていき、決め台詞を言う。続いてフレイア、蒼也の順で降りていく
「行きましょう、フレイアさん!」
「ほいな!ごりごりー!」
蒼也の言葉に頷き、そう叫びながらフレイアは蒼也より先に輸送機から飛び降りる。
「歌は……元気!」
フレイアの服もシュトラールに切り替わり決め台詞を言う。フレイアが無事に会場の屋根に到着を確認した蒼也も輸送機から飛び降りる。
「歌は翼!、行きますよ、センチネル!」
飛び降りた蒼也は左手を前に向け、センチネルの名前を呼ぶ。すると指輪が光りセンチネルが現れ、観客は驚いていた。
「うぉ!?なんだあれ!?」
「バトロイド?でも格好いいじゃない」
「すげーー!」
「格好いいー!」
観客からも大好評だったセンチネルはワルキューレの後ろに降り立つ。
そのあと美雲は軽いお辞儀をして最後の決め台詞を言う。
「聞かせてあげる、女神の歌を!」
「「「「「超時空ヴィーナス ワルキューレ!」」」」」
ワルキューレは片手や両手でWを作りながら言った。観客から惜しみ無い拍手と歓声が聞こえた。
「改めてまして、新メンバーをご紹介します」
カナメはそう言うとフレイアにマイクを渡す。
「ウィンダミアから来ました。リンゴ大好きフレイア・ヴィオンよろしくお願いします!」
フレイアの自己紹介が終わると観客席の方から歓声と拍手が沸く。
「そして後ろにいる彼が、我らワルキューレのバックダンサー」
そこから先はカナメに変わり蒼也が言った。
『音波 蒼也です。皆さん、よろしくお願いします』
フレイアよりも少し大きめな歓声と拍手が響いた。
「まずはこの曲、不確定性☆COSMIC MOVEMENT!」
美雲は曲名を言ったあと、マイクを手で隠しフレイアに言った。
「行くわよ、フレイア」
「はい!」
ワルキューレの衣装がシュトラールからブラウ・ブルーメに切り替わる。
『不確定性☆COSMIC MOVEMENT』
「♪~~」
始めはフレイアが歌い始める。すると蒼也はソードビットをパフォーマンスモードに切り替え展開していく。
「GNソードビットA,B,Cパフォーマンスモード、発動!」
展開されたGNソードビットパフォーマンスモードは蒼也がワルキューレメンバーとの連携を更に高めるために開発した一つ目の新システムだ。ソードビット各基一つずつにあるクリアグリーンの刃がしまい込まれ本体が足場となるシステムだ。
展開されたGNソードビットA,B,Cはワルキューレの元に行き、ワルキューレはビットに乗る。カナメはビットBに乗り、マキナとレイナはそれぞれビットCに乗っていく、フレイアと美雲はビットAに乗り、歌いながら観客席に近づいていく。Δ小隊のエアショーとワルキューレメンバーのホログラム映像も合わせてとても壮大な絵になった。
「♪~~」
「フレイア。フォールドレセプター、active」
最初に元の場所に戻ってきたレイナがそう呟く。やがて各ビットに乗っていたレイナ以外のワルキューレは元の場所に戻ってきて歌いながら踊り出す。そして調子に乗ったハヤテはカナメに名付けられた『インメルマンダンス』を始めた。
「やっぱりやりましたかハヤテくん!」
蒼也はハヤテの元に行き左右対称のインメルマンダンスをする。観客には大絶賛だった。すると、ミラージュから蒼也に通信が入った。
「すみません!蒼也!ハヤテが勝手に」
「これくらいのことは予測してました。それよりもエアショーを続けてください」
蒼也とハヤテはインメルマンダンスをやり続け、1パートが終了した。
「やるじゃねーか、あいつら」
アラドは蒼也とハヤテをエアショーをしながら誉めているとアイテールから通信が入った。
『アイテールからΔ1へアンノンウン大気圏突入し急速接近中、注意してください。』
「来たか!Δ1よりΔ小隊に通達、奴さんのおでましだ!」
アラドは蒼也たちにアンノンウンが現れたことを伝えた。
「Δ2、了解!」
「Δ3、ウーラ・サー!」
「Δ4、了解!」
「Δ5、了解!」
「此方ガーディアン、了解!」
Δ小隊はアンノンウンと戦い、蒼也はワルキューレを守護していた。
アンノンウンから放たれた小型機によって強力なジャミング波をくらいマルチドローンが使えなくなり、ワクチンライブは中止になった。
「強力なジャミング波によってマルチドローンが使えない。敵は私たちのことを熟知してる」
「ミサイル!」
レイナが冷静にしていたときマキナが叫んだ。声の先には大量に放たれたマイクロミサイルがワルキューレに向かってくる。
蒼也は急いでワルキューレの前に立ってGNソードⅡを引き抜きてライフルモードに切り替え、両肩のバインダーに付いているスーパーGNソードⅡをミサイルに向けて
「全弾発射!」
GNソードⅡから大量に放たれるレーザー弾やスーパーGNソードⅡから連続発射される弾がミサイルを破壊していく。
「くっ、数が多すぎる。仕方ない、GNソードビットA,B,Cアタックモード、発動!」
GNソードビットアタックモードは蒼也がパフォーマンスモードと一緒に開発した二つ目の新システム。ソードビット各基一つずつにクリアグリーンの刃が出てきて、敵と認定したものは必ず破壊する恐ろしいシステムだ。尚、保護対象を攻撃するもしくは攻撃しようとする者は破壊対象つまりは敵となる、[α小隊、β小隊、γ小隊、マクロスエリシオン、アイテール、ヘーメラー、Δ小隊、ワルキューレ]以上が蒼也がGNソードビットアタックモードに登録してある保護対象だ。保護対象に新統合軍がないのは蒼也がなぜか毛嫌いしているからである。
「行け!」
GNソードビットは蒼也の指示でまだ残っているマイクロミサイルを全て破壊した。
しばらくすると、新統合軍が現れΔ小隊は一時安心した。
『♪~~』
「何だ?」
「歌?」
突然、歌が聞こえ蒼也と美雲は耳に手を当てて歌を聞く、その直後新統合軍がΔ小隊を攻撃しチャックがすぐさま新統合軍の機体を調べ始めた。すると全員がヴァールであると判明、アラドは苦渋の決断を下し、攻撃開始!市民とワルキューレを守るぞ。と言った。
「何でだよ!?」
「相手は味方じゃん!?」
「正気を失っているだけかも知れません!」
ハヤテ、チャック、ミラージュの順でアラドの意見に反対していく。
「それがどうした!例えそうだとしても、命をかけて戦いのが俺たちの任務、それは新統合軍のパイロットだって同じだ。彼らだって覚悟は出来てる。」
「……………了解」
「蒼也!?」
蒼也はメッサーの言葉を了承しGNソードビットを新統合軍の機体に向け、発射し機体を破壊した。
そしてミラージュは新統合軍の機体を追って翼だけ狙おうとしていた。
「翼だけ、翼だけ」
「Δ4!check 6!」
メッサーの声が聞こえミラージュは後ろを確認する。すると後ろからアンノンウンが追いかけていた、すぐさまメッサーが攻撃しミラージュからアンノンウンは距離を離した。
「Δ2!」
「撃つのを躊躇うから敵に狙われる!」
メッサーの言葉にミラージュは、くっ。と悔しがることしかできなかった。
一方、ワルキューレを守護している蒼也は迫りくる新統合軍の機体を攻撃していた。
「くっ、同じ人なのに何で攻撃しないと行けないんだ」
蒼也は、そうだ。何かを思い付き急ぎ美雲の元に行った。
「美雲さん!」
「蒼也!」
蒼也の声を聞いた美雲はセンチネルに近づく。
「美雲さん、歌えますか?」
「勿論よ!」
「フレイアさんたちも歌えますか?」
「ほいな!」
「勿論!」
「私もやれるよ!」
「私も」
蒼也の質問にフレイア、カナメ、マキナ、レイナの順で答えてくれた。
「今からこいつを使います」
するといつの間にか蒼也の後ろにいたGNソードビットA,B,Cが縦向きになり左右に展開した。
「これは?」
カナメが蒼也にこれは何なのか尋ねた。
「これは僕がまだ開発途中のシステムです。これに一人一基に乗って歌ってください。一か八かやってみます急いで!」
蒼也の言葉にワルキューレメンバーは頷き、美雲とフレイアは展開したビットAにカナメは展開したビットBにマキナとレイナは展開したビットCに乗って空中に浮かんだ。
「それではいきますよ!GNソードビットA,B,Cサウンドモード、発動!」
するとそれぞれのビットが乗っている人の色に光だし歌が流れ始めた。
GNソードビットサウンドモードは今も尚、蒼也が開発し続けている最後の新システムだ。ソードビットが左右に展開し足場となり更には生体フォールド波を増幅させてくれる。その代わり蒼也はビットに集中するため歌うことができず守ることしかできない。
『僕らの戦場』
「♪~~」
始めは美雲が歌い始める。するとヴァール化した新統合軍パイロットたちは動きを止め美雲たちの方を見る。フレイアも歌い出し、歌に力が加わったことによってヴァール化していた新統合軍のパイロットも元に戻り沈静化していった。
「良し!サウンドモード成功!ガーディアンよりΔ1へヴァールの沈静化を確認、彼らは見方です!」
「本当か!流石ワルキューレ!」
アラドは蒼也の報告を聞くとアンノンウンの方に飛んでいった。
「うぉぉぉぉ!!!『アラド少佐!やめるんだ!』何!?まさかアイテールが!?」
『いや、陽動作戦だ。君たちが戦っている間に惑星ヴォルドールの首都が敵軍に陥落された。』
「敵?敵って一体?」
アーネストの言葉にミラージュが質問するとアンノンウンが隊列を組んで飛んだ。飛んでいると真ん中にいる黒の機体は金色のラインが入り、他の黒の機体は銀色のラインは入り、垂直尾翼にある紋章が入った。
「あの紋章は」
「やはり空中騎士団か」
ミラージュには紋章に見覚えがありアラドは全てを察した。
空中騎士団は機体をの後ろからスモークを出し雲の幕を作った。すると大きく王冠を被った4枚の翼を持った鷲が浮かび上がりその幕が映像化し一人の男性が映った。
「ブリージガル球状星団並びに、全銀河に告げる。私はウィンダミア王国宰相 ロイド・ブレーム」
「え?」
フレイアは驚き歌うのをやめてしまう、ワルキューレメンバーも驚きフレイア見て音楽が終了した。
「ウィンダミアって」
「フレイアの」
ハヤテとミラージュが続けて言った。
「うそ、ロイド殿下?」
フレイアはその光景に信じられず後退りをしてしまう。しかし、そんなことを気にすることなく話を続けた。
「全てのプロトカルチャーの子らよ、我がウィンダミア王国は大いなる風とグラミア・ネーリッヒ・ウィンダミアの名の元に、新統合政府に対し宣戦を布告する!」
そう、それはまさにウィンダミア王国との戦争が始まった瞬間であった。
はい!今回はここまでです。やっぱりマクロスΔを書いているととても楽しくて仕方ないです。これからも頑張っていきますので宜しくお願いします!
次回 No.05-1 月光ダンシング