それでは物語へどうぞ。
惑星イオニデスの戦いから三日が経過した。ハヤテが無事に立ち直ったことを知った蒼也たちは心から安心した。そして、レディーMからアーネストへ通達が渡り、惑星ヴォルドールでウィンダミアの不穏な動きあり直ちに調査せよ。とのことでΔ小隊とワルキューレが派遣され、今まさに潜入調査が始まろうとしていた。
「敵艦隊並びに敵衛生、多数展開。」
「敵絶対防衛網を逆手に取って侵入しましょう。」
「相手にとって不足なし。」
カナメが現在の惑星ヴォルドールの周囲の状況を言い、マキナが作戦を考え、レイナがそれを実行しようとしていた。すると、マキナがレイナに声を掛けてきた。
「ふふ、この世に」
「開かないドアはない。」
そしてレイナのハッキングが始まり、しばらくしてから惑星ヴォルドールに進むための抜け道を作り、そこからアラドとチャック以外のΔ小隊メンバーとワルキューレメンバーが潜入に成功した。
「ヴォルドール、陸の62%が湿原で覆われた水と緑の惑星。主な資源は木材、果物、そして天然水。」
「戦略的価値ゼロ」
マキナがヴォルドールの解説をするとレイナが文句を言う。そんな中、カナメは一緒に潜入しているメンバーに指示を送っていた。
「私とマキナ、レイナ、メッサー中尉は南側から首都に潜入。美雲とフレイアは蒼也准尉とハヤテ准尉、ミラージュ少尉と一緒に北側から。」
「了解だ~にゃん!」
「にゃんは要らないですよ」
フレイアがふざけて語尾に、にゃんをつけミラージュが突っ込みを入れる。ヴォルドール人は猫型哺乳類のためカナメたちは猫耳に尻尾をつけて変装していた。
「俺、猫アレルギーなんだけど」
「ヴォルドール人は猫型哺乳類だからね」
「文句があるなら来るな。」
ハヤテは自身が猫アレルギーであることを言うとカナメが慰めるようとするが猫耳に尻尾を着けたメッサーがハヤテを見ながら言った。
「ハヤテも頑張るにゃん!」
ハヤテを心配して来たのか未だに語尾ににゃんを付けたフレイアが近寄ってきた。
「しかし美雲さんは相変わらず勝手な行動をしますが蒼也准尉まで付いていくとは。はぁ~~」
「まぁ、仕方ないわよ蒼也くんだって美雲に何かあったら大変だからね。」
ミラージュが頭を抱えて喋っているとカナメが慰めるような形で言った。
一方、独断行動をしている美雲とそれに付いていく蒼也はもう既に町の中に入っており情報を集めていた。
「美雲さん、勝手に動いちゃって良かったんですか?」
「そんなのいつもの事よ、それよりも貴方こそ勝手に動いていいの?」
「美雲さんに何かあったら大変ですからね。」
「あら、嬉しいことを言ってくれるじゃない。」
蒼也と美雲はそんな会話をしながら町を見渡していた。その後蒼也と美雲は人気のない森に入り、美雲が鞄からあるものを出した。
「美雲さん、それは?」
「センサーカメラ付きツノゼミ型マイクロドローンよ、これを今から至るところに取り付けるわ。蒼也も手伝って。」
「分かりました、それじゃあ始めましょうか。」
それから蒼也と美雲はそれぞれ別れツノゼミ型マイクロドローンを至るところに設置した。設置し終わると二人は最初に入った森に集まりマイクロドローンの確認をした。
「ちゃんと全部作動したわね」
「はい、しばらくは様子見ですかね。…………ん?」
「どうしたの?」
蒼也が何か違和感を感じたのか。森の奥を見ていた。
「いえ、この奥から歌声が聞こえまして。」
「歌声………行ってみましょう。」
蒼也と美雲は森の奥に進み、森を抜けるとそこにいたのは二人の幼い少年と少女がおり、子供の先にはヴァール化したパイロットが乗るバトロイドモードのVF-171の姿があった。少年は必死に、父さん!戻ってきてよ!。と呼び掛け、少女は『GIRAFFE BLUES』を歌っていた。
「あの子達。」
「えぇ、家族を元に戻そうとしてますね。……ちょっと行ってきます」
「駄目よ」
子供たちの元にいこうとした蒼也の袖を掴み美雲は止める。
「今行ったら私たちの潜入が敵にばれてしまう。」
「でも、あの子達には何の罪もないんですよそれなのに家族を引き裂かれて落ち着いていられるわけないじゃないですか。」
「それでもよ、私たちは今何処にいて何をしてるの?もっと周りを見なさい。」
「………………すみません。冷静じゃありませんでした。」
やがてVF-171は少年と少女のもとから離れていき、何も出来なかった少年と少女は泣きながら帰っていくのであった。それをただ見ることしか出来なかった蒼也はとても悔しそうな顔をしながら左手を強く握りしめる、美雲はそれを見て蒼也の左手を両手で優しく包み込む。
「辛いのは私だって同じよ、でも今は……今だけは我慢してちょうだい。」
蒼也はその言葉を聞き美雲に顔を向けると、美雲は今にも泣きそうな顔をしていたのだ。
「分かりました、分かりましたからそんな顔しないで下さい。美雲さん」
蒼也は美雲の頭に手を乗せ優しく撫でた。
「あの~~、お二人さん。こんなところで何しとんかね?」
いきなり声を掛けられた蒼也と美雲は急いで離れて声のする方に顔を向けた。するとそこにいたのは少し顔を赤くしたフレイアがおり、その後からハヤテとミラージュが追ってきた。
「おーい、勝手に行くなっ……て、蒼也と美雲さんじゃねーか。」
「蒼也、美雲さん今まで何処に行ってたんですか!」
ミラージュは大変ご立腹な状態で蒼也と美雲に迫った。
「僕は美雲さんと別々の場所でツノゼミ型マイクロドローンを設置してました。それで二人で集合した時に歌が聞こえて歌声のする方に向かったら此処に着いた訳です。」
「さっきの二人の子供ですか。私たちも見てましたがフレイアが急に走り出して追いかけてきたら貴方たちを見つけたって訳です。」
ミラージュは蒼也の説明を聞くと自分達の説明をした。
「そろそろ確認するわよ」
美雲はそう言うと手に持つリモコンを操作してツノゼミのセンサーカメラを起動させた。すると蒼也と美雲が設置した場所がすべて映し出された。
「丁度始まるみたいね。」
美雲が設置したツノゼミにロイドとヴォルドールの代表が映り、彼らは席に座わると話を始めた。
『統合政府の統治も悪いことばかりじゃ無いんですがね、彼らの基地のお陰で雇用が生まれ技術が移転されたのですからね。』
『そうやって飼い慣らしていくのが彼らのやり方ですよ。』
『だとしても性急過ぎやしませんかね。宣戦布告とは。』
『我々には時間がありませんので。』
ロイドの言葉にヴォルドール代表は不思議に思いロイドに尋ねた。
『ウィンダミア人の平均寿命は、確か……30年ほど』
『えぇ』
ロイドの言葉に納得したヴォルドール代表は静かに目を閉じ話し出した。
『………分かりました。大人しく従うことにしましょう。ウィンダミア人は敵も見方も吹き飛ばすような方々ですからな』
ヴォルドール代表は立ち上がるとそう言いながら窓側に歩き出し窓の前まで立つと続きを話した。
『次元兵器で…』
蒼也はその言葉を聞いた瞬間、とんでもない程の殺気に溢れた目で映像を見ていた。
『まさか』
『では、遺跡に持ち込んだあれは』
『学術調査です。』
『あぁ、そう言えば宰相殿は学者でもあられましたな。プロトカルチャーの論文、拝読致しました。滅亡寸前のプロトカルチャーが最後に創造した人類種がこのブリージガル球状星団の民であり、よって我々こそがプロトカルチャーの正統な後継者であると。そのような話本当に信じておられるのですか?』
『その鍵を握るのがあの遺跡かと。』
「遺跡?」
ミラージュが不思議に思い遺跡について聞こうとしたら画面が一つ増えてカナメが映し出された。
『分かったわ、パラガナール遺跡、プロトカルチャーが残した遺跡のようね』
「カナメさん」
ミラージュは美雲が知らせたことに気付き美雲の方を向く。更にカナメの話が続いた。
『ヴォルドール人が聖地として崇めている場所よ、そこをウィンダミアが封鎖して何か施設を立てたらしいのよ』
「それじゃあもしかして、そこで次元兵器が」
『可能性はゼロじゃないわ』
ミラージュの言葉にカナメは否定しきれなかった。
「了解、また後で合流しましょ。」
美雲はそう言ってリモコンの電源を落とし、画面を閉じた。
「行くわよ皆。」
「はいな!」
「「了解」」
「………了解」
美雲の合図でフレイア、ハヤテ、ミラージュ、蒼也の順で返事をするが蒼也は何処か元気がなく皆の後を追うのだった。
一方、話を終えたロイドはキースが待つ車に向かっていた。車に着くとキースが一歩前に出てロイドにあることを報告した。
「侵入者だ、防空管制がハッキングされた形跡がある。」
「そうか」
ロイドとキースはそんな会話をしながら飛んでいくツノゼミを見るのであった。
はい、今回はここまでです。次回もお楽しみにしててください。
次回 No.07-2 潜入エネミーライン