旋律は風に乗り、翼と共に銀河を翔る   作:新郷遊佐海

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どうもビビビビットンです。今回はいつも通りの文字数でしたがゆっくり読んでくださいね。それと楽しんで頂けたら幸いです。


それでは物語へどうぞ。


No.07-2 潜入エネミーライン

 美雲たちはカナメたちとパラガナール遺跡付近で合流するため車に乗り移動していた。

 

「なぁ、さっき言ってた次元兵器って一体なんね。」

 

フレイアが全員に質問するとミラージュが答えた。

 

「時空間を歪ませて絶大な威力を持つ大量破壊兵器。銀河条約で使用は禁止されてるけど7年前の独立戦争でウィンダミアが使ったと言われているわ。」

 

「7年前……もしかしてあの時の」

 

 フレイアは子供の頃の巨大な爆発風景を思いだしながら、話を続けた。

 

「でもあれは地球人がやったって」

 

 フレイアの言葉にミラージュは首を横に降った。

 

「いいえ、ウィンダミアが新統合軍に対して使ったの数百万人の自国民も巻き込んで。」

 

「でも、村長さんは」

 

「どちらにしよ、いい話ではありません。止めましょうこの話は……」

 

「蒼也?」

 

 フレイアが話を続けようとしたが先程から雰囲気きが暗い蒼也は話を止めた。それが気になったのか隣にいた美雲は右手の上に左手を添えて話しかけた。

 

「どうしたの?」

 

「いえ、何でもありません。少し酔ってしまっただけですから。」

 

蒼也の言葉に笑いながらハヤテは言った。

 

「おいおい、センチネルに乗ってるくせに車酔いかよ」

 

「貴方が猫アレルギーのくせしてラグナ星にいるのと同じですよ」

 

「なっ?!」

 

 煽られたハヤテは言い返そうとするがフレイアが大爆笑しハヤテはそっちに気を取られ怒っていた。しかし美雲は蒼也の物言いに違和感を感じ、目を向けたがすぐに外の景色に戻した。やがて車はパラガナール遺跡付近で止まり、蒼也たちは遺跡付近の森で隠れていたカナメたちと合流した。

 

「クモクモ、ソウソウお疲れ~~」

 

「お疲れ」

 

「お疲れ様です、マキナさん」

 

 そして合流した彼らは変装のために顔に付けたペイントを落とし猫耳と尻尾を外した。

 

「わ~、これがプロトカルチャーが残した遺跡。デッカルチャーやね~」

 

フレイアは初めてプロトカルチャーの遺跡を木々の隙間から見て驚いていた。

 

「何?この風……。蒼也」

 

「はい……」

 

 美雲は遺跡を見て何かを感じたのか蒼也に声を掛ける。蒼也も美雲と同じように何かを感じたのか美雲の声掛けに短い返事をした。

 

「見てて下さい!美雲さん、蒼也さん!今度こそ!!役に立つところ………を?」

 

 両手を強く握り締めて意気込んでいたフレイアは美雲と蒼也のいる方に振り返るとそこには既に二人の姿は無かった。

 

「また先に行ったんじゃね?」

 

「はぅあ!」

 

 苦笑いしているハヤテの言葉にフレイアはショックを受け、そしてまたかとミラージュは頭を抱えた。その後、フレイアたちははマキナとレイナによる抜群のコンビネーションによって遺跡の地下に潜ることができた。

 

「センサーもカメラもバッチリぐっすりお寝んね中」

 

「警備兵、次の巡回まで残り30分」

 

 マキナとレイナがその場にいる全員に伝えた。

 

「何だよ此処、タンクだらけじゃねーか。」

 

 ハヤテの言葉と共に蒼也と美雲を抜いた潜入メンバーが辺りを調べ出す。

 

「中身は………水?」

 

 ハヤテがタンクの蛇口を捻ると中から水が出てきた。

 

「もしかして、次元兵器の冷却水でしょうか。」

 

「いや、違うな」

 

 メッサーはミラージュにそう言いながらペットボトルを投げて話を続けた。

 

「コンテナの中にあった、一般的な飲料水のようだ。軍で見たことがある。」

 

「ハズレレ~、骨折り損の水だらけ~」

 

 マキナはフレイアが座ってる台の隣に座り文句を言った。しかし、何かあると踏んでいたカナメはタンクに手を触れて呟く。

 

「でも、それにしては大掛かり過ぎるわ。」

 

 カナメの言葉にレイナが考える。

 

「軍に納入されてる水…………ん!?」

 

 レイナは何か閃いたのかペットボトルの中にカプセル状の検査装置を入れるとあることが分かり、レイナは口を開く。

 

「これまでのヴァール化の発症、軍関係者が61.4%」

 

 その言葉にメッサーはレイナに振り向き、呑気にその水を口に含んだハヤテは吹き出した。

 

「まさか!」

 

「ウィンダミアがこの聖地の水を使って!?」

 

 驚きのあまり水を吹き出したハヤテはペットボトルを見て、ミラージュはタンクに手を触れながら言った。

 

 

 

 一方、フレイアたちとは別行動をとっていた蒼也と美雲は別ルートから遺跡に潜入していた。

 

「美雲さんも感じましたか?」

 

「えぇ、蒼也も?」

 

「はい、この奥から誰かに呼ばれている感じがしました」

 

「……行きましょう。」

 

 蒼也と美雲はそんな会話をしながら遺跡の奥に進んで行く。すると行き着いたその場所は草木が生え罅割れた祭壇があった。

 

「「プロトカルチャー?」」

 

 蒼也と美雲は疑問を口にしながらその祭壇に足を乗せ並び立った。祭壇にはプロトカルチャーが残した文字が記されており蒼也は膝を着いてそれをなぞった。すると蒼也の頭の中に何が流れ込んでくる。

 

【ねぇ、貴方はあの時の約束のようにこれからも一緒にいてくれて魔の手から私を守ってくれる。そして限りなく続くこの広い世界で私を導いてくれるのよね。⬜⬜⬜⬜⬜】

 

【はい、僕は貴女の翼であり、守護者であり、ライバルであり、貴女の事を心から愛している。だからこれからもずっと一緒ですよ。⬜⬜⬜⬜⬜】

 

【ふふっ、そうね】

 

 これは誰かの記憶。名前だけにノイズが走り聞き取る事ができない。だが、何処かの神殿で二人の男女は手を繋ぎながら寄り添っていた。蒼也には身に覚えのない記憶。

 

(今のは一体……!!)

 

「蒼也!蒼也!!」

 

 蒼也は頭を抑えながら、先ほどの記憶について考えているとすぐ横で美雲が膝を着いて蒼也の顔を覗き込みながら名前で呼び掛けていた。それに蒼也はすぐ気がついた。

 

「すみません、美雲さん」

 

「いきなり頭を抑えて唸りだすから心配したわ」

 

「はい、急に頭痛がして……。でももう平気です!」

 

「……そう、なら良かったわ」

 

 そう言って優しい笑みを浮かべた美雲は立ち上がって遺跡の天井に空いた穴を見つめながら言った。

 

「歌うわよ」

 

 それを聞いた蒼也は目を見開くがすぐに笑みを浮かべて返事をした。

 

「はい!」

 

 

 

 その頃、カナメたちは遺跡にある水を隅々まで調べていた。

 

「どう?」

 

 カナメが水を調べているレイナに聞いた。

 

「ナトリウム1.1%、カリウム0.17%、ヴォルド重炭酸塩0.03%……ただの水。」

 

「そう・・・」

 

 レイナの検査結果にカナメは少し残念がっていた。

 

「あ~った、あった美味しそうなのがこ~んなに。よーいしょっと。」

 

 大声を出して、はしゃいでいたフレイアはケースの中に大量に入っているリンゴを台の上に勢いよく置いた。

 

「銀河リンゴか、それも軍への納入品だ。安いが栄養価が高く重宝されていたはず。」

 

 するとメッサーの言葉に続き、レイナが話した。

 

「銀河リンゴ、正式名称ウィンダミアアップル。あまり知られていないけど。」

 

「へぇ~、知らんかった。けど、皆知らん間にウィンダミアのリンゴを食べてたんよね。」

 

 すると、マキナはフレイアが手に持っていたリンゴに針を指した。

 

「わぁ~!マキナさん何するん!?」

 

「ちょーっとお味見~………あれ?ポリフェノールにビタミンC、ただのリンゴか。」

 

 マキナはリンゴを調べ終わると残念がっていた。

 

「ウィンダミア、一体何を考えているの?」

 

 カナメがその言葉を言った直後、警報が鳴り始めハヤテたちは潜入がばれたことに気付き急いでサンプルであるリンゴと水を回収していた。すると、ハヤテはマキナとレイナにリンゴと水混ぜたらどうなるか頼み、その場にいた全員が集まり検査が始まった。

 

「ポリフェノールとヴォルド重炭酸塩を結合………!?高濃度のフェイズノールを検出」

 

「やってくれるわね」

 

「え?え?」

 

 マキナとカナメの言っていることに理解できなかったフレイアはカナメから説明を受けた。

 

「ここの水とウィンダミアアップルを取り込むと体内で誘発するフェイズノールが合成される。恐らく他の惑星にある遺跡にも同じ成分の水が存在していてウィンダミアはその水とリンゴを使って人為的にヴァール化を促進、風の歌でマインドコントロールしていた」

 

「えっ?ウィンダミアのリンゴをそんなことに……」

 

 カナメの説明で理解したフレイアはショックを受けつつも自我を保ち急いで通路を走り脱出を試みた。

 

 

 

 その頃カナメたちが脱出のために逃げているなか蒼也と美雲は装置の上に立ち、深く息を吸い『GIRAFFE BLUES』を歌い始めた。

 

「♪~~」

 

 逃げているフレイアは蒼也と美雲の歌声が聞こえて立ち止まり後ろを振り向く。

 

「美雲さん、蒼也さん?」

 

「何やってんだ!」

 

「急いで!」

 

 急に立ち止まったフレイアにハヤテとミラージュが声を掛けてくる。すると、シャッターが降りてきて三人の行く道を塞いでしまった。メッサーとミラージュが壁越しから会話をして後で合流する事を約束していると逃げて来た道の奥から足音が聞こえミラージュは銃を構える。

 

「フレイア、ミラージュこっちだ」

 

 ハヤテが地下に通じてるダクトの蓋を開けるとフレイア、ミラージュ、ハヤテの順で入っていった。

 

「行きますよ」

 

 地下に降りたフレイア、ハヤテ、ミラージュは岩に隠れ周りに人がいないことを確認した後ミラージュの合図で出口に駆け出す。しかし地下の中心に到達した所でスポットライトに照らされる

 

「罠に掛かったのは三匹か。統合政府の犬どもと、裏切り者のウィンダミア人」

 

 出口の前で喋りながら立っていたのはボーグだった。ハヤテたちの周りにはテオ、ザオ、カシム立っており、ボーグの後ろからヘルマンも現れ囲まれてしまった。

 

「空中騎士団……」

 

「こいつらが俺たちの敵……」

 

 ミラージュは銃を構えてハヤテはそう言ってからボーグと睨み合っていた。




はい、今回はここまで。さあ、蒼也の身に覚えのないあの記憶、一体なんなのでしょうかね。これからの展開に期待していてください。


次回  No.08-1 脱出レゾナンス
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