旋律は風に乗り、翼と共に銀河を翔る   作:新郷遊佐海

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どうもビビビビットンです。お待たせしました。No.09-1です。いつも読んでくださっている方、本当にありがとうございます。この物語を楽しんでいってください。


それでは物語へどうぞ。





No.09-1 限界アンコントロール

 惑星ヴォルドールでの潜入調査から一日が経過した。Δ小隊男子寮である裸喰娘娘で寝ていたメッサーはある夢を見ていた。

 

 ボロボロになったビルに燃え盛る炎、壊れてもう使い物にならないVF-171大量に崩れ落ちた瓦礫の中には人の形らしき物があるがはっきりしておらずそれが人間かも判断できないぐらい酷いものが大量に埋もれている。

 

 メッサーはそんなひどい状態の道をただ一人歩いていた。自分が、なぜこんな道を歩いているのか分からずにただひたすら歩いていた。歩いているうちに割れたガラスがメッサーを映す。そこに映されていたのは誰のものか分からない血を頭から被っており手にもベットリとその血が付いている。メッサーはそれを見て息を荒くし大きく叫び、夢は終わる。

 

「!!!?……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ」

 

 夢から覚めたメッサーは息も荒く、ひどく汗をかいていた。メッサーは左手につけていた銀色のブレスレットを見て落ち着きを取り戻した。すると、カナメから電話が着てメッサーは落ち着いた様子で通話ボタンを押した。

 

「おはよう、メッサーくん」

 

「おはようございます。カナメさん」

 

「うん、元気で良かった。怪我の具合はどう?」

 

「もう大丈夫です、明日から任務に復帰できます」

 

「良かった。本当にメッサーくんには今まで何度も……」

 

「それが任務ですから」

 

 カナメはその言葉の続きを言おうとしたがメッサーが遮る。

 

「…………メッサーくんは任務ってだけで私を守ってるの?」

 

「いえ、そう言うわけではなくて俺がただ単に貴女を守りたいと思っただけで……」

 

 メッサーはそれ以上続きが言えなかった。自分が何を言っているのか漸く理解したのだ。カナメもメッサーの言葉に黙ってしまった。

 

「…………」

 

「カっ、カナメさん?」

 

 メッサーが勇気を出して話を切り出した。

 

「はっ、はい!」

 

 カナメは今までに無いほど慌てた返事をしメッサーは話を続けた。

 

「すみません。変な話をして」

 

「うんん。こっちこそ変にイタズラしちゃってごめんなさい。それじゃあもうすぐミーティングルームに集まる時間だから切るわね」

 

「はい。今日も仕事、頑張ってください。カナメさん」

 

「うん!またねメッサーくん」

 

 そう言ってカナメはメッサーとの通話を切ってミーティングルームへ歩いていった。

 

 怪我の治療で休んでいるメッサーを抜いたΔ小隊メンバーとワルキューレメンバーが朝一でミーティングルームに集められた。内容はヴォルドールでの調査結果とその後の対応についてアラドからみんなに伝えた。

 

「その後、銀河リンゴつまりウィンダミアアップルと遺跡の水の軍への納入は停止された。卸していた業者を調べてみた結果、実態のないダミー会社に辿り着いたそうだ」

 

「更に先日調査したリンゴと水で合成されたフェイズノールがフォールド細菌の増殖を促し、ヴァール化を促進させることが判明しました。ヴァールシンドロームとは、細胞内に寄生したフォールド細菌が強烈な感情を亜空間を通じて電波、増幅させ人間を凶暴化させる現象だと考えられています。そして私たちワルキューレのメンバーはその細菌の影響をを抑える特別な因子を持つフォールドレセプターの保有者から選出されています」

 

 タブレットを持ちながら説明をしているカナメの言葉にフレイアが驚く。

 

「え?それじゃあ私も?」

 

「えぇ、貴女もそう。私たちはこの因子の力でヴァール化を抑制しているの。ワルキューレオーディションはレセプターの保有者を探すためのものでもあるの」

 

「「へぇ~」」

 

 カナメの言葉にフレイアとハヤテが向き合いながら納得していた。

 

「ハヤテ・インメルマン、お前もその保有者だ」

 

「えっ?」

 

 アラドは腕を組ながらハヤテに言った。

 

「ハヤテも!?」

 

「すまんな、機会を見て言うつもりだったんだがな」

 

 アラドがそう言うとカナメがタブレットを操作して一つの記録を皆に見せた。

 

「ヴォルドールの戦闘中ハヤテくんのレセプター数値は上昇した。どうやら、フレイアと共鳴しているようね」

 

「私が、ハヤテと」

 

 カナメの言葉にフレイアはハヤテの方を向く。

 

「共鳴……」

 

 ハヤテと目があったフレイアは恥ずかしそうに目を逸らす。そんな中チャックが手を挙げてアラドとカナメに質問した。

 

「え~と、レセプターを持ってる人間はヴァールになりににくいなら持ってない俺たちは……」

 

「歌がある」

 

 チャックが話している途中に美雲が会話に入ってきて話を続ける。

 

「私と蒼也の歌を聞いていればヴァールになることはないわ」

 

「確かにそうね。美雲と蒼也くんも共鳴してだけどフレイアたちの比じゃないわ」

 

 そう言ってカナメは蒼也がメッサーとの模擬戦の時の記録を皆に見せハヤテとフレイアが驚愕した。

 

「マジかよ」

 

「美雲さんと蒼也さんはやっぱゴリゴリやね」

 

 そこに映し出されたのは先程のフレイアたちの記録の3倍に値する数値が出されていた。それを見た本人たちは、

 

「私もまだまだね」

 

「それを言ったら僕もですよ。美雲さん」

 

 この時、その場にいた蒼也と美雲を除いた全員が二人の会話を聞いて唖然とした。そこでミラージュが話を戻そうとカナメに質問した。

 

「でっでは、既にヴァールになった人はどうするのですか?」

 

 ミラージュの質問にカナメは、ほんの少し顔をしかめる。

 

「根本的な治療法はまだ、それにウィンダミアの風の歌の影響を受けると思います」

 

 カナメの言葉にミラージュは顔をしかめてからハヤテを見た。すると、ハヤテもミラージュを見て頷いた。

 

「ん?」

 

 フレイアは二人の行動を見て疑問を感じだがそれ以上は何も感じなかった。

 

 

 やがて話し合いは終わり、時間が流れていく。時刻は既に夕方を差していた。現在ハヤテとミラージュはメッサーの部屋に来ており話をしていた。

 

「二年前、ヴァールの暴走によって全滅した惑星アルヴヘイムの都市マリエンブルク。中尉はそこの生き残りで瀕死のところをアラド隊長が救ったとお聞きしていますが。もしかしてこの時既に………」

 

「何なら俺から隊長に直接言ってもいいんだぜ。この間のあんたの事」

 

「確かに俺は一度ヴァールになったその事は隊長も知っている」

 

ハヤテはメッサーの言葉に無性に怒りがわいた。

 

「隊長も?あのスルメオヤジ」

 

「症状が再発していることについては?」

 

ミラージュの言葉にメッサーは沈黙で答えた。

 

「どうすんだ…「成る程そう言うことでしたか」蒼也……?」

 

 ハヤテがメッサーにどうするか尋ねようとしたとき入口が開き蒼也が話し掛けてきて続きを話した。

 

「貴方が皆を避ける理由が漸く分かりました」

 

「蒼也」

 

 メッサーも蒼也が入ってきたことに驚いていた。

 

「勝手に入ってすみません。メッサーさん、でもこれだけは言わせてください。」

 

 蒼也の目が一瞬にして鋭くなり場が凍った。

 

「………バカにするのも大概にしろ、メッサー・イーレフェルト。もし皆と仲良くすれば自分がヴァールになったとき殺すのを躊躇うとでも考えたのか?ふざけるな僕たちは同じ小隊の仲間だ。そう簡単に殺せるわけないだろう。何で僕たちを頼ってくれない、何で一人で抱え込む。僕たちは仲間だ仲間一人支えきれなくて戦いなんてやってられない。それを分かってて、僕たちをバカにしてるんだな」

 

「…………」

 

 メッサーは蒼也の言葉に黙って下を向いてしまう。ハヤテとミラージュも蒼也が始めて怒っている姿を見て怯えながら黙っていた。

 

「沈黙は肯定と見なす。……だったらお酒を酌み交わしたあの夜に言ったことは嘘なんだな」

 

「違う!!」

 

 その言葉にメッサーは顔を上げ否定する。

 

「違う?何が?貴方はあの人に想いを寄せていても自分はいつかヴァールになるからと何処かで諦めていたんだろ?そんなの好きでも何でもない単なる虚言、嘘と変わらない」

 

「だったら俺は……俺はどうすればよかったんだ!!何時ヴァールになるか分からない状態でどう皆と………カナメさんに接すれば良かったんだ!!」

 

 メッサーはそう言いながら涙を流し膝をついて伏せてしまった。それを見たハヤテやミラージュはメッサーがここまで追い込まれていたことを知り静かに涙を流していた。蒼也はメッサーの近くに立ち膝をついてメッサーの肩に手を置いた。

 

「前にも言ったじゃないですか。もっと自分に素直になってくださいって。僕たちは貴方がヴァールになっても絶対貴方を見捨てない。貴方が抱え込んでしまったものの半分を僕たちにも背負わせてください。貴方がヴァールになったら何度だって止めて見せましょう。だから僕たちを信じてくださいメッサーさん」

 

 蒼也の口調も元に戻り、とても優しい笑顔でメッサーに声を掛けた。

 

「蒼也」

 

 メッサーもその言葉に顔を上げるとハヤテとミラージュもメッサーに声をかけた。

 

「そうだぜ、メッサー。あんたがどれだけ苦しんでいたのかが漸く分かった。だから、もっと俺たちを頼れよ」

 

「そうですよ、メッサー中尉。私だってまだまだ未熟者です。これからもご指導していただきたい。中尉も苦しい思いをしてきたのは十分伝わりました。これからも同じ隊の仲間として支え合っていきましょう」

 

「ハヤテ准尉、ミラージュ少尉」

 

「皆、貴方の事を同じ仲間として大切にしてるんですよ。見捨てるわけないじゃないですか。それじゃあ聞きましょう。メッサー・イーレフェルト、貴方は僕たちにどうしてほしいですか?」

 

 蒼也の言葉にメッサーは迷いなく答えた。

 

「もし俺がヴァールになってもお前たちを信じて任せる。必ず止めてくれ」

 

 メッサーはその言葉と共に一礼した。蒼也は笑顔になり、メッサーに向かって言った。

 

「はい、確かに任されました。貴方がヴァールになったとしても僕たちが止めて見せます。どうですか?ハヤテくん、ミラージュさん」

 

「当たり前だ!」

 

「えぇ、やって見せましょう!」

 

 ハヤテとミラージュの言葉にメッサーは笑みを浮かべ感謝を言った。

 

「ありがとう」

 

「さぁ、下で皆が待ってますよ。早くご飯を食べましょう」

 

 蒼也が話を切り替えてハヤテたちに言った。

 

「そうだな、いこうぜ!メッサー」

 

「そうですよ早く行きましょう!メッサー中尉!」

 

「お前たち、腕を引っ張るな」

 

 ハヤテとミラージュは怪我のしてない右腕を持ってメッサーをしたに連れていった。その場に残された蒼也は苦笑いしながら扉を閉めるのであった。その晩、メッサーはアラドたちにヴァールになりかけていることを伝えた。しかしアラドはメッサーに

 

「お前がヴァールになったとしても俺たちが絶対に止めて見せるから信じてろよ」

 

 と言い、隊に残してくれた。チャックやワルキューレメンバーも快く迎えてくれた。その日の裸喰娘娘は少し騒がしかったようだ。

 

 

 

 そして、メッサーの件を済ませた蒼也は美雲も家に帰り自室のベットで座ってあることをしようとしてた。

 

「良し、美雲さんももう寝たね。それじゃあ」

 

 蒼也はそう言うとベットに座りながらある者の名前を頭の中で呼んだ。

 

(サラ様、サラ様。いるなら返事をしてください)

 

 そう蒼也の言っていたあの方とは蒼也を転生させてくれたサラの事だったのだ。しばらくすると、蒼也の呼び掛けにサラが出てきてくれた。

 

(久しぶりですね、蒼也。元気にしてますか?)

 

(はい、貴女のお陰でこっちは楽しく暮らせています)

 

(それは良かったです。それで私を呼んだと言うことは五つ目の特典を決めたと言うことですか?)

 

(いえ、実は僕が全く知らない記憶があって少し見てもらおうと思いまして、迷惑でしたか?)

 

(いいえ、そんなことないですよ。では少し記憶を見せて貰いますね)

 

 そう言ってサラは蒼也の記憶を覗いた。

 

(成る程、この記憶ですか。恐らくですがこれは世界が貴方に付け加えたもう一つの記憶だと思います)

 

(世界が僕に?)

 

(はい、世界が貴方に何をしたのかは分かりませんがこれから起きることに十分注意してください)

 

(分かりました。ありがとうございます、お手数お掛けしました)

 

(いえいえ、私の方こそ何も役に立つことが出来ず申し訳ありません)

 

(そんなことないですよ。ミリーシェ様にもよろしく伝えておいてください)

 

(分かりました。今回みたいにいつでも頼ってくださいね)

 

(ありがとうございます。それじゃあまたいつか)

 

(えぇ、それじゃあ)

 

 サラはそう言うと通信を切った。

 

「ふぅ、サラ様と話すのなんてずっと前だったから緊張したな」

 

 蒼也はそう言うと窓に近付き、輝く星々を見ていた。

 

「世界が僕に………」

 

 蒼也はそう言うとベットに戻り静かに眠るのであった。




はい、今回はここまでです。あの方は最初から読んでいるかたなら知っているサラ様でした。久しぶりに出したからしゃべり方こうで良かったか忘れてました。あとメッサーが素直になるとああなるのかなぁ。ちょっと悩み所でした。

次回  No.09-2 限界アンコントロール
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