旋律は風に乗り、翼と共に銀河を翔る   作:新郷遊佐海

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お久しぶりです。ビビビビットンです。今回はかなり甘くしたつもりです。ブラックコーヒーの準備をしておいてください。

それと、色々と盛り込みすぎて7000字を越えてしまったのでゆっくりと読んでください。目を痛めてしまうと大変ですので。

それと、お気に入りが69件とUAが8104になっていました。本当にありがとうございます。これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。

この物語を楽しめて頂けたら幸いです。

それでは物語へどうぞ。


No.10-1 閃光のAXIA

空中騎士団がラグナ星に侵入した翌朝。蒼也は医務室のベットで夢を見ていた。その夢は妙に現実感があり、まるで()()()()()()()ように思えると蒼也は考えた。

 

【これから貴女には、この遺跡で歌ってもらいます。準備はいいですか?⬜⬜⬜⬜⬜】

 

男性は遺跡の装置の上に立つ女性に尋ねた。

 

【えぇ、何時でもいけるわ】

 

【歌っているときの貴女は無防備なのでその際、僕が全力で守ります。だから、生きて二人で帰りましょう】

 

【ふふっ、嬉しいこと言ってくれるじゃない。えぇ、生きて帰りましょう。⬜⬜⬜⬜⬜】

 

女性は笑顔になり、男性と必ず二人で生きて帰る約束した。

 

「ぅん、……夢」

 

蒼也はそこで目を覚まし、白い天井を見る。

 

「ここは、医務室か。あの夢って、やっぱり……ん?」

 

蒼也は左腕に違和感を感じてそちらに顔を向ける。そこにいたのは同じベットで寝ていた美雲だった。

 

「!?みみみ、美雲さん!?」

 

蒼也は驚いて起き上がろうとするが美雲は両腕でしっかりと蒼也の左腕に絡めて離さないようにしていたため起き上がることができず諦めて美雲の顔に目を向けた。

 

(僕って、初めて美雲さんの寝顔見たかな。可愛いなぁ)

 

美雲の寝顔を見ながら蒼也はそんなことを考えた。

 

「女の子の寝顔はあまりじろじろ見るものではないわよ。蒼也」

 

「!!」

 

美雲は目を開けながら言うと蒼也は肩をびくつかせた。

 

「お、起きてたんですか」

 

「えぇ、貴方が起きて天井を見ているときからよ」

 

「それって最初からじゃないですか。でもどうして僕はここに?」

 

「それはね……」

 

美雲は昨日の格納庫での出来事を蒼也に話した。

 

「そうですか、過労で」

 

蒼也は美雲に昨日の出来事を聞くと美雲に心配をかけてしまって申し訳ない気持ちで一杯になった。

 

「えぇ……………蒼也」

 

「何ですか?」

 

美雲は蒼也の目を見ながら尋ねた。

 

「私がいて、迷惑?」

 

「……何でそう思ったんですか」

 

「私が負担になってて貴方に迷惑を掛けていないのかと思ってしまって。もし迷惑を掛けているのだったら、私は………」

 

美雲はその続きが言えなかった。何故なら、蒼也が美雲を胸に抱き寄せて右手で頭を撫でていたからだ。

 

「そ、蒼也」

 

「………」

 

蒼也は無言で美雲の顔を撫で続ける。暫くすると蒼也は頭を撫でるのをやめて起き上がりベッドに座る。美雲もそれに続いて起き上がりベッドに座る。蒼也は美雲の方に振り向いた後、真剣な目で見る。

 

「美雲さん」

 

「何?」

 

蒼也は美雲の目を見て尋ねた。

 

「僕は一度でも貴女に迷惑だなんて言いましたか?一度でも貴女に出てってほしいなんて言いましたか?」

 

「……」

 

美雲は無言で首を横に振る。

 

「それが答えです。僕は貴女のことを迷惑だなんて思っていませんし、これからも一緒にいてほしいと思っています」

 

「で、でも貴方が倒れた原因は」

 

「恐らくですが、昨日の戦闘で歌と戦いを同時進行したからその疲れが出たんでしょう。僕も久し振りにやってみたのですが、思ってた以上に疲れましたしね。でも、もう大丈夫です。コツは掴みましたから倒れることはありません」

 

「ほ、本当に?」

 

美雲は本当にそうなのか心配で聞いてしまう。

 

「はい」

 

蒼也は迷いなく笑顔で答えた。その言葉を聞いて安心したのか美雲はほんの少しだけ涙を流していた。

 

「美雲さん」

 

それを見兼ねた蒼也は美雲を抱きしめて頭を撫でて慰めていた。

 

(何でだろう、蒼也にこうやって抱き締められながら頭を撫でられるのが凄く落ち着く。それに胸の奥が温かくなっていく)

 

落ち着いた美雲はそんなことを考えていると医務室の扉が開き、そこからカナメとメッサーが入ってきた。

 

「おはよう、蒼也くんが倒れたって医師から聞いたのだけ………ど……」

 

「カナメさん、どうしたん……で…………」

蒼也が美雲を抱きしめている光景を見てしまったカナメとメッサーは呆然と二人を見てしまった。

 

「「「「………………」」」」

 

なんとも言えない空気になってしまった四人は黙ってしまい部屋の中は静寂が続く。しかし、メッサーが謝罪を言いカナメに話し掛ける。

 

「すまない。取り込み中だったようだな、行きましょうカナメさん」

 

「そ、そうね。ごめんね蒼也くん、美雲。また後で来るから」

 

そう言って二人は慌てて部屋から出ていこうとする。

 

「ちょちょちょ、ちょっと待ってください!これには深い訳があるんです!!」

 

「待ちなさい二人とも!これは誤解よ!」

 

蒼也と美雲は必死で部屋から出ていく二人を止めて、何とか部屋に残ってくれた。

 

「それで、蒼也。何故あんなことをしていた」

 

漸く落ち着きを取り戻したメッサーは蒼也に尋ねた。尚、カナメは未だに顔を赤くしている。

 

「それはですね………」

 

蒼也は起きてからの出来事をメッサーとカナメに説明した。

 

「……という訳なんです」

 

「なんほどね~。美雲、今回ばかりは貴女が悪いわよ。」

 

「俺もカナメさんと同意見です」

 

カナメとメッサーは蒼也の話を聞くとそんなことを言った。

 

「分かってるわ、私ももうあんなバカなことは聞かない。ごめんなさい蒼也」

 

「いえいえ、分かってくれて良かったです」

 

美雲も分かってくれたようで蒼也は安心していた。そして蒼也はカナメの方を向き、何のようなのか尋ねた。

 

「そう言えば、カナメさんとメッサーさんはどうしてここに?」

 

「今朝、私とメッサーくんは此処の医師から蒼也くんが倒れて病室で寝てるって聞いて駆け付けたのよ。それともう一つ用事があったからそれを伝えに来たのよ」

 

「用事とは?」

 

カナメの顔が一瞬暗くなったのに気づいた蒼也は真剣な顔になり話を聞いた。

 

「実は、先日の戦闘でメッサーくんがヴァールになりかけてしまったの、それを知ったレディーMがアーネスト艦長を通じてメッサーくんに転属を言い渡したの」

 

カナメの言葉に蒼也と美雲は驚く。蒼也は驚きながらも質問を続けた。

 

「転属先は何処なんですか?」

 

「ララミス星系の部隊に訓練教官として転属する事になったわ」

 

蒼也はカナメからメッサーの転属先のことを聞くと顔を下に向けた。

 

「そう気を落とすな蒼也。これが最後ではないんだ、またいつか会える」

 

メッサーは蒼也に気を使い励ました後、話を続けた。

 

「だが、最後までΔ小隊の皆と飛ぶことが出来ないことを許してほしい」

 

メッサーはそう言うと蒼也に向かって頭を下げた。

 

「頭を上げてください、メッサーさん。貴方は何にも悪くありません。けど、そう思うんだったら早く治して僕たちの元に戻って来てください。僕たちは貴方の帰りを待っています」

 

「!……あぁ、必ず帰って来る」

 

メッサーは蒼也の言葉に笑いながら帰ってくることを約束した。その後カナメとメッサーは医療室から出ていき残ったのは蒼也と美雲だけだった。

 

「それじゃあ美雲さん、僕の体調も元通りになったので一旦家に帰りますか。シャワーも浴びたいでしょう?」

 

「そうね。少しだけ汗を掻いてしまったしその方がいいわ」

 

美雲はそう言って医療室の机の上に医師宛にお礼の手紙を書いて蒼也と一緒に家に帰っていった。

 

 

 

そして、家に着いて順番でシャワーを浴び蒼也と美雲は軽い朝食を取った後、もう一着持っているケイオスの制服に着替え二人はエリシオンへと向かった。

 

「……美雲さん。ワルキューレオーディションの時みたいに少し町が騒がしいですが何かあるんですか?」

 

蒼也はエリシオンに向かうため町を歩いていると町が騒がしく感じ、隣で歩いている美雲に尋ねた。

 

「そう言えば、貴方は知らなかったわね。数日後にクラゲ祭りがあるのよ」

 

「クラゲ祭りって何ですか?」

 

蒼也が内容について質問すると美雲によるクラゲ祭りのレクチャーが始まった。

 

「クラゲ祭りって言うのは、クラゲの海神を称えるお祭りでラグナ星に伝わる伝統行事なの。それにこのお祭りは恋人たちのお祭りとも言われていて、クラゲの下で愛を誓った恋人同士は永遠に結ばれるという伝説があるのよ」

 

「へぇ~、そんなお祭りがあるんですね。でも、クラゲの下と言うのは一体どう言うことですか?」

 

「それは秘密よ。知らないで見た方がなん十倍も楽しいもの」

 

「そうですね、それだったら美雲さん。一緒にクラゲ祭りに行きませんか?」

 

「……いいの?」

 

「はい、その方が僕も嬉しいですし」

 

美雲はその言葉を聞くと笑顔になり了承した。

 

「分かったわ、一緒に行きましょう」

 

「はい!楽しみですね。クラゲ祭り」

 

「そうね、今から待ち遠しいわ」

 

そんな会話をしながら二人はエリシオンへ向かうのであった。

 

 

 

それから数日の時が流れ、時刻は夕方を指していた。お仕事はクラゲ祭りがあるため休みになった。町では今、クラゲ祭りが開催されている。蒼也は何故か家の近くにある公園で美雲を待っていた。何でも美雲が蒼也を驚かせたい言ったのだ。

因みに、蒼也の格好は白の半袖サマーニットの上に黒の七分袖テーラージャケットを着て黒のスニキーパンツを履いており、背中にはショルダーバックを背負っていた。勿論、サラに貰ったイヤリングも身につけている。

 

「美雲さんどうやって僕を驚かせてくれるのかな。楽しみだなぁ」

 

蒼也はとても楽しそうに呟いていた。

 

「蒼也」

 

「あっ!美く……も……さん」

 

蒼也は美雲の声がする方に顔を向けると心を奪われた。美雲の格好は蒼也と一緒買い物へ行ったとき買った白いワンピースを来ていたのだ。

 

「ど、どうかしら?」

 

「……」

 

美雲は蒼也に服の感想を求めるが返事がない。

 

「蒼也?」

 

不思議に思った美雲は名前を呼ぶと蒼也は気がつき服の感想を言い始めた。

 

「!?す、すみません。えっとその、とても似合ってます。綺麗です。」

 

「ふふっ、ありがとう。蒼也も似合ってて格好いいわよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

蒼也は美雲の笑顔を見て更に顔を赤くした。

 

「い、行きましょうか」

 

「えぇ」

 

そう言って、蒼也と美雲は公園を出て屋台が多く並ぶ場所へ歩き出した。

 

 

 

蒼也と美雲は公園から暫く歩いていると人の数も多くなっていきお祭りの会場に到着した。

 

「結構、賑わってますね」

 

「そうね、それに屋台の数も沢山あってどれから行こうか迷ってしまうわ」

 

「だったら、わたあめから食べませんか?手持ちにも困りませんし」

 

「いいわね、そうしましょう」

 

二人はそう言ってわたあめの売っている屋台へ向かった。

 

「美味しいですね」

 

「えぇ、甘くて美味しいわ」

 

わたあめを二つ買った二人はとても嬉しそうに食べ歩き、焼きそばやお好み焼き、りんご飴やいか焼きなどを色々なものを食べながら屋台を見て回った。すると、美雲は射的ができる屋台を見ていた。

 

「どうしたんですか?」

 

「何でもないの、ただあの猫のぬいぐるみが可愛くて見とれてしまったの」

 

美雲が見ていたのは射的の景品でウミ猫のぬいぐるみだったのだ。

 

「欲しいんですか?」

 

「いいえ。見てただけだから、行きましょ」

 

美雲はそう言って早足で歩いていき、蒼也もそれに続いた。

 

「美雲さん、あれ」

 

「?」

 

美雲が顔を向けた先にはカナメとメッサーの姿があり楽しそうに歩いていた。その二人は蒼也と美雲に気づいたのか近づいてきて話し掛けてきた。

 

「はぁーい、蒼也くんと美雲。こんばんわ」

 

「蒼也、やはり美雲さんと来ていたんだな」

 

蒼也を見つけたカナメは二人に挨拶をして、メッサーは予想でもしてたかのような口ぶりで蒼也に話し掛けてきた。

 

「どうも、カナメさんとメッサーさん。お二人もお祭りに?」

 

「えぇ、メッサーくんが誘ってくれたの」

 

「ほほーん、メッサーさんがですか」

 

蒼也はニヤニヤしながらメッサーの方を見る。

 

「な、なんだ」

 

「いえいえ、メッサーさんも素直になりましたね~」

 

「からかうんじゃない、それに素直になれと言ったのはお前じゃないか」

 

「アハハ、そうですね。………メッサーさん」

 

蒼也はおふざけを止めてメッサーの目を見た。

 

「何だ」

 

蒼也は声を掛けると優しく笑い、メッサーの前に手をも出した。

 

「僕は貴方の代わりになることなんて出来ません。だから、早く治して帰ってきてください」

 

「……あぁ、必ず帰ってくる」

 

蒼也とメッサーは互いに握手をして笑い合っていた。その光景を美雲とカナメは暖かい目で見ている。話を終えたあと蒼也はトイレに行ってくると言ってカナメとメッサーに美雲を任せ行ってしまった。

すると、メッサーは気を利かせたのか。カナメと美雲をベンチに座らせて目の前にある屋台に飲み物を買いに行った。

 

「ねぇねぇ、美雲」

 

「何かしら」

 

美雲が返事をするとカナメはニヤニヤしながら話を続けた。

 

「蒼也くんとは最近どうなの?」

 

「どうって、どう言うことかしら?」

 

「蒼也くんとかなり仲良くなってるけどお付き合いでも始めたの?」

 

「いいえ、私たちはそう言う関係ではないわ。………でも」

 

「でも?」

 

美雲は少し頬を赤らめて胸に手を添えながら話を続けた。

 

「医療室で抱き締められたとき、胸の奥が凄く温かくなっていったの。それに数日前から蒼也のことばかり気になって仕方ないの。彼を見ていると胸が苦しくなって頬が熱くなってしまったの、どうしたのかしら、私。」

 

「美雲、それって………」

 

その後も美雲とカナメは話を続けた。メッサーも美雲とカナメのジュースを買い終えて戻ってきた。

 

「お待たせしましたー」

 

暫くしてから蒼也もトイレから戻ってきた。

 

「随分と長かったわね」

 

「すみません、思ってた以上に混んでまして遅れました。ありがとうございます。カナメさん、メッサーさん」

 

「いいわよ、これくらい」

 

「カナメさんの言う通り、問題ない」

 

蒼也はカナメとメッサーにお礼を言った後、二人と別れた。美雲と蒼也はメッサーたちが来た方向に進んで行った。やがて奥に進んでいくと人の数も増えてきた。

 

「このままだとはぐれそうですね。……美雲さん」

 

「え?」

 

蒼也は美雲の手を握りしめ歩き出した。

 

「そ、蒼也?」

 

「はぐれてしまったら大変ですからね。駄目でしたか?」

 

「い、いいえ。少し恥ずかしくて」

 

美雲は頬を赤くしながら言った。

 

「そ、そうですか。すみません」

 

「ふふっ、やっぱり焦ってる蒼也を見るのは面白いわ」

 

「あ!今、からかいましたね。美雲さん」

 

「ふふふっ、ごめんなさい」

 

「全く、今回だけですからね」

 

蒼也はそう言っているが顔は笑っており、冗談で話しているのがお互いに分かった。

 

「それじゃあ、行きましょっか」

 

「えぇ」

 

そう言って二人は手を繋ぎながら歩くのであった。

 

 

 

やがて時刻は八時を過ぎて新月のせいかに辺り一帯真っ暗だったが町の明かりのお陰でなんとか歩けた。

 

「美雲さん、此処でいいんですか?」

 

「えぇ、此処じゃないと綺麗に見れないの」

 

蒼也と美雲は現在、裸喰娘娘が近くにある砂浜に来ていた。勿論カップルや家族も来ていた。更には偶然にもアラドを抜いたΔ小隊メンバーやワルキューレメンバーも来ていた。

 

「ほぼ全員揃っちゃいましたね」

 

「ふふっ、そうね」

 

二人はそんなたわいもない話をしながら海を眺めていた。

 

「美雲さん、海で何か起こるんですか?」

 

「もう少しよ………………………来たわ」

 

美雲の合図と共に町の明かりが一斉に消え、海に所々明るく光だし何かが浮かび上がってきた。

 

「!!」

 

蒼也が見たのは無数のクラゲのが海を出て空へと舞い上がる光景だった。

 

「成る程、クラゲの下ってこう言うことですか」

 

「驚いた?」

 

「はい、こんなにも綺麗なものが存在するなんて知りませんでした」

 

蒼也は目を輝かせながら言った。すると、美雲はクラゲについての説明を始めた。

 

「年に一度、必ずヒカリクラゲは地上に出て卵を生む。生命の神秘ね」

 

「そうですね。あっそうだ、美雲さん」

 

蒼也は美雲の名前を呼ぶとショルダーバックの中を弄り始めた。

 

「はい、これ」

 

「!これって」

 

蒼也が中から出したものは射的の景品にあったウミ猫のぬいぐるみだった。

 

「美雲さんが欲しそうにしてたので取ってきちゃいました」

 

「もしかして、あの時」

 

美雲は蒼也がトイレに行ったときのことを思い出す。その返事に蒼也は無言で頷く。

 

「どうぞ」

 

「ありがとう」

 

美雲はウミ猫のぬいぐるみを受け取ると幸せそうに抱き締める。

 

「それともう一つあります」

 

「?」

 

蒼也は左耳に着けているイヤリングを外すと美雲の手に置いた。

 

「これは……駄目よ、これは大切な友人から貰ったものでしょ?」

 

「はい。ですが先日、()()に聞いてみたら本当に大切にしていて信頼できる人だったら一つ渡してもいいと言われました」

 

実は蒼也はクラゲ祭り前日にサラと通信しており、イヤリングのことを相談していた。すると、蒼也が先ほど言った条件でサラはイヤリングを渡すことを許したのだ。

 

「僕は貴女のことを心から大切にしていて信頼もしている。だから僕はこのイヤリングを渡したんです。それにこの戦争でもしかしたら死ぬ可能性もある。そう考えたときに貴女にこのイヤリングを渡したいと思ったんです」

 

美雲はその言葉に驚きつつも優しく笑い話し始めた。

 

「分かったわ、これはありがたく頂くわ。それと、私からのお願い」

 

「なんですか?」

 

蒼也は美雲の方に向き、そして美雲は蒼也の目を見ながら話す。

 

「必ず、生きて帰ってきて」

 

「はい、ガーディアンの名にかけて必ず生きて帰ります」

 

美雲はその言葉に嬉しくなり声を弾ませながら話しかけた。

 

「蒼也、イヤリングを着けていいかしら」

 

「はい、どうぞ」

 

その言葉に美雲はイヤリングを右耳に着ける。

 

「どうかしら」

 

「とても似合ってます」

 

「ふふっ、ありがとう」

 

そう言って美雲は笑いながら浮かんでいるクラゲを眺める。

 

「ねぇ、蒼也。もうひとつだけいいかしら」

 

「なんですか?」

 

「手をもう一度握ってくれないかしら」

 

「えっ!?」

 

「駄目……かしら」

 

美雲は涙目で上目遣いをしながら言った。

 

「うぐっ、仕方ないですね。どうぞ」

 

蒼也はそう言いながら左手を差し出す。美雲は右手で蒼也の左手を優しく握る。

 

「改めて握ると……恥ずかしいわね」

 

「言い出した本人が言いますか?普通」

 

二人は手を繋ぎながら話しているがお互いの顔は熟れたトマトのように赤くなっている。

 

「美雲さん」

 

「何?」

 

蒼也は近くにいた二匹のクラゲを眺めながら美雲の手を強い意思をもって優しく握る。

 

「必ず、貴女を守ります」

 

「えぇ、頼りにしてるわ」

 

無数のクラゲたちが放つ光に照らされる蒼也と美雲であった。

 

 

 

やがてお祭りは終わり、自分達の家に帰る蒼也と美雲。そして自分の部屋に戻りイヤリングを外し机に置いた後、美雲はベットに横になりカナメとの会話を思い出していた。

 

「美雲、それって恋じゃない?」

 

「……恋?」

 

「うん、近くにいると胸が苦しくなって頬も熱くなっていく。これが恋じゃなかったら何だって言うのよ」

 

「……これが恋」

 

美雲は胸に手を当てながら言う。

 

「頑張りなさいよ。蒼也くんと恋人同士になれるように」

 

美雲はそこで思い出すのを止めて蒼也から貰ったぬいぐるみを抱き寄せた。

 

(これが恋、私は蒼也のことが、好き)

 

美雲はそこで蒼也の顔を思い浮かべると恥ずかしくなりぬいぐるみに顔を埋める。

 

(まだ、私たち二人の夢は叶えられていない。もし、この夢が叶ったら私は貴方に、この思いを……)

 

美雲はその続きを言わず、ぬいぐるみを抱きしめながら静かに眠るのだった。




はい、今回はここまで。以下がでしたでしょうか。楽しんで頂けたら自分も嬉しいです。次回はいよいよ戦闘シーンが入ります。ご期待ください。


次回  No.10-2 閃光のAXIA
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