旋律は風に乗り、翼と共に銀河を翔る   作:新郷遊佐海

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どうも、ビビビビットンです。まず始めに遅くなりました、こんな調子でゆっくりと書いていくつもりですのでよろしくお願いします。

それとマクロスΔの完全新作映画の制作発表がありましたね。嬉しい限りです。ワルキューレ3rdライブのBlu-rayが発売されるしマキナカラーのVF-31Cも発売されるし…………あぁ、お金が、お金がなくなる~とここ最近項垂れている私でございます。まぁ、そんなことはさておき

この物語を楽しんで頂けたら幸いです。

それでは物語へどうぞ。


No.12-2 キング・オブ・ザ・ウィンド

惑星アル・シャハル

 

アル・シャハルがウィンダミアに陥落されてから三十分が経過した。シグルバレンスはアル・シャハルの空からゆっくりと降下し地上に着陸する。

 

アル・シャハルの人々は風の歌よってマインドコントロールを受け茫然と立っているだけだった。その光景を指令室で見ていたロイドは生体フォールド波を調査するための端末を片手に持ちながら驚愕していた。

 

「これ程までとは…………ふっ、プロトカルチャーの力」

 

そうしてロイドは小さく笑みを浮かべて指令室から出ていった。

 

 

 

惑星ラグナ

 

アル・シャハルが陥落してから一日が経過した。ケイオス本部はウィンダミアの動きを見て近いうちにラグナ星に攻めてくることを予想し球状星団中に散らばっているケイオス部隊をラグナ星に集結させた。集結した部隊の隊員たちはエリシオンにある緊急会議室に集められ、再会した友との喜びに浸っている者や美女を見つけ口説こうとする者もいたりする。やがて会議の時間が迫ると皆、順々に席へ座っていく。

 

Δ小隊やワルキューレたちも今回の会議に参加し既に席に座っていた。

 

「うゎ~~。いっぱい、おるね」

 

フレイアは周りを見渡しながらそう言うとマキナが話し掛けてくる。

 

「球状星団中の部隊から集められてるからね」

 

「なるほど……………あれ?」

 

フレイアはマキナの言葉に納得すると蒼也がいないことに気付く。

 

「そういえば、蒼也さんは?」

 

「蒼也なら、アラドに許可を貰って下の入り口付近にいるわ」

 

フレイアの質問に隣に座っている美雲が答え、フレイアも入り口の方を向いて確認する。そこには腕を組んで壁にもたれている蒼也がいた。

 

「なんか考えとるんかね……」

 

「彼の事だから風の歌のことでも考えてるのよ」

 

美雲とフレイアは蒼也を見ながら話していた。一方、発端となる蒼也はと言うと、

 

(風の歌、惑星ウィンダミアに伝わる伝説の歌。今回陥落したアル・シャハルからラグナまで聞こえたと言うことは何らかの装置でフォールド波を増幅させたってことになるけど負荷は相当なはずだ……………)

 

美雲の予想通り風の歌について考えていた。

 

蒼也が風の歌について考えているうちに会議室の照明が暗くなり、アーネスト、アラド、メッサー、カナメが入室してくる。入室すると同時に隊員たちの視線がアーネストたちへ向く。そしてアーネストは会議室に集まった部隊の前に立つと両手を腰に当てて手短な挨拶をする。

 

「諸君!よく集まってくれた。懐かしい顔も多数見受けられるが………昔話をしている暇はない。早速始めさせてもらおう」

 

するとカナメがアーネストの隣に立ち、報告を始める。

 

「まずはこれをご覧ください」

 

カナメがタブレットを操作してある座標を示した星図を出した。

 

「これは一体何ですか?」

 

「現在までにウィンダミアに制圧されたプロトカルチャー遺跡のある惑星の座標です。そしてこれがアル・シャハル陥落時に風の歌が聞こえた惑星の座標です」

 

カナメはそう言いながら遺跡のある惑星に印を付けていく。

 

「遺跡のある全ての惑星に歌が聞こえたって言うのか……」

 

「それだけではありません」

 

カナメはそう言いながら更にタブレットを操作すると遺跡のない惑星にも印が付いていく。

 

「なっ、遺跡のない惑星にも!?」

 

これには隊員たちも驚きざわめき出す。

 

「更に解析の結果、球状星団にある全ての遺跡を繋げると星団の全惑星を覆う巨大なフィールドが形成されることがわかりました」

 

カナメは説明が済むと一歩後ろへ下がり続いてアーネストが隊員たちに向けて減少を説明する。

 

「残るラグナが落とされれば球状星団八十億人のマインドコントロールも可能になってしまう。そうならないためにも君たち他の支部に増援を頼んだのだ」

 

アーネストの言葉に隊員たちは目を閉じた後、覚悟を決め目を開ける。

 

「続いてこちらをご覧ください」

 

カナメがタブレットを操作すると、星団は消えアーネストの後ろからある戦艦が大きく3Dホログラムで映し出される。それはウィンダミアが誇るプロトカルチャーの残した遺産『シグルバレンス』だった。

 

「戦艦か?」

 

「始めてみる型ですね」

 

隊員たちもシグルバレンスを初めて見るので感じたことを次々と口にするがカナメは気にせず報告を続ける。

 

「ウィンダミアの機艦と思えるこの戦艦は、フォールドリアクターの波形からおよそ五十万年前にプロトカルチャーによって建造された物と推測されます」

 

「プロトカルチャー?」

 

「ウィンダミアがなぜそんなものを?」

 

「不明です。ですが以前より強力な生体フォールド波が観測されました。あの中に風の歌い手がいる可能性が高いかと」

 

「風の歌い手……」

 

カナメの話を聞いていたフレイアはそう呟く。続いてアーネストが報告を始める。

 

「先程。ウィンダミア国王、グラミア六世が統合政府からのアル・シャハル解放を宣言した。次の狙いはラグナに間違いない」

 

「王様………」

 

フレイアは悲しげな表情を浮かべながら呟く。

 

「問題はいつ襲撃に来るか……」

 

隊員の一人がそう言うと、

 

「すぐには来ません」

 

蒼也が隊員たちに向かってそう宣言すると、壁から離れて歩き始めてカナメの隣に立つ。

 

「どうしてそんなことがわかる!」

 

「この場合、戦艦を巨大なフォールド波増幅装置と仮定しましょう。星を一つ陥落させるほどの歌声を出せると言うことは歌い手に何らかの負荷が掛かるんです。」

 

他の隊員たちはそれでも蒼也に反論しようとする。しかしメッサーがすかさずフォローする。

 

「確かに、風の歌が二十四時間以内に歌われたことはない」

 

メッサーの言葉に隊員たちはなにも言えず黙ってしまう。アーネストは気にせず大まかな作戦内容を伝える。

 

「そこで先手必勝!歌が聞こえてくる前に此方からアル・シャハルに奇襲をかける!」

 

アーネストの説明を聞いた隊員の一人が作戦内容に疑問を感じ質問する。

 

「アル・シャハル?ウィンダミアに攻めるのでは?」

 

「ウィンダミアは次元断層の影響でウィンダミアに直接フォールドするのは容易ではないそれにアル・シャハルにはグラミア王がいる!」

 

続いてアラドがアーネストの隣に立ち作戦内容の詳細を伝える。

 

「奇襲作戦はΔ小隊とワルキューレを中心としラグナ支部で行う。俺たちはワルキューレの歌を常に身近で聞いているからな、諸君よりは風の歌への免疫が強いはずだ」

 

「他の部隊にはラグナの防衛に当たってもらう。作戦開始は0400、以上。解散!!」

 

アーネストがそう言うと照明がつき座っていた隊員たちは一斉に立ち上がり敬礼をして次々と解散していく。蒼也も美雲の元にいこうとするがアラドに呼び止められる。

 

「待ってくれ、蒼也少尉」

 

蒼也は自分の自分の階級が変わっていることに疑問を感じ口に出す。

 

「少尉?」

 

「昇進だ、この作戦からお前にはメッサーの副官になってもらう」

 

「副官………ですか?」

 

突然のことで蒼也は戸惑いを隠しきれず固まってしまう。

 

「そう固くなるな、俺は総司令官である艦長の補佐として作戦の全体を見なくてはならない。メッサーとお前にΔ小隊を任せる」

 

「………何故僕ですか?僕より長くΔ小隊にいるミラージュさんやチャックさんの方が適任だと思います」

 

「副官の件は二人にもしたが揃いも揃って蒼也の方が安心して背中を預けられるとお前を推薦して断られてしまったんだ」

 

蒼也はしばらく考えると答えを決めた。

 

「…分かりました。引き受けます」

 

「そうこなくっちゃな、頼んだぞ」

 

アラドは蒼也の肩に手を置いてその場から去っていく。蒼也も急いで美雲の元へ向かう。

 

「お待たせしました、美雲さん」

 

「そんなに待ってないわ。それよりもアラドと何を話してたの?」

 

「実は今回の作戦から昇進してΔ小隊の副官を任されることになりました」

 

蒼也の話を聞くと美雲は少しだけ眉をあげる。

 

「すごいじゃない。皆が蒼也に信頼している証拠ね」

 

「信頼…………ですか、それじゃあ僕も頑張らないといけませんね」

 

「えぇ、そうね」

 

二人はそう話したあと蒼也はセンチネルの改修作業へ、美雲はワルキューレと共にダンスレッスンへ向かった。

 

 

 

それから四時間が経過して蒼也はセンチネルの改修作業を一通り終わらせて椅子に腰掛けていた。

 

「蒼也、そろそろ此方も終わるから片付けは俺たちに任せて帰っていいぞ」

 

「あ、ハリーさん。でもこれだけの量を片付けるのは…………」

 

蒼也に話し掛けてきたのはセンチネルの改修作業を手伝ってくれる整備スタッフの一員。ハリー・タカスギだ。彼はケイオス整備スタッフの一人で男前な性格と優しい心を持ち、同じ整備スタッフやパイロットたちからの信頼が厚い。

 

「いいんだよ、こういう作業は俺たちに任せてお前はゆっくり休め」

 

「そうっすよ、蒼也少尉。蒼也少尉はパイロットの他にもワルキューレとしても活動してるんすからこう言うときくらい素直に甘えてほしいっす」

 

「ガイさん……」

 

蒼也とハリーの話に加わってきたのはハリーと同じ整備スタッフの一員。ガイ・ギルグッドだ。彼はハリーの右腕としてセンチネルの改修作業を手伝っている。そして、彼なりの優しさと気遣いが他の整備スタッフたちの信頼を厚くしている。

 

「それに、いつまでも入り口で彼女さんを待たせるわけにはいかないっすからね」

 

「えっ?」

 

ガイにそう言われて蒼也は格納庫の入り口付近にに目を向ける。そこには壁に寄りかかっている美雲がいた。

 

「美雲さん?」

 

蒼也はそう呟くと小走りで壁に寄りかかっている美雲に近づき話しかけた。

 

「美雲さん、どうして此処に?」

 

「最近一人で帰るのが続いてるから。たまには一緒に帰るのもいいんじゃないかと思って貴方を迎えに来たのだけど…………今日も無理そうね。また日を改めるわ」

 

美雲はそう言って一人で還ろうとすると蒼也が呼び止める。

 

「あ~~、ちょっと待ってください。」

 

蒼也は美雲を止めるとそのままハリーの方に向いて少しだけ声を大きくして話し出した。

 

「ハリーさん!今日はこのまま終わらせてもらっていいですか?!」

 

「おう!いいぞー!片付けは俺たちに任せておけー!」

 

「ありがとうございます!お疲れさまでしたー!」

 

「お疲れー!」

 

「お疲れっす!蒼也少尉ーー!」

 

蒼也はハリーやガイとの話を終えると美雲の方に向いてそのまま話しかける。

 

「と言うわけで一緒に帰りましょう。美雲さん」

 

「良かったの?」

 

「いいんです。センチネルは完成した装甲や武器を取り付けていくだけですから一日くらいサボっても問題ありません」

 

蒼也は笑いながらそう言うと美雲は静かに笑い出す

 

「ふふ、全く。とんでもないサボり魔ね」

 

「根を詰めすぎると体に悪いって言いますからね。それに美雲さんが寂しがっているのにそれを放っておく方が僕は嫌ですからね」

 

「わ、私は別に寂しがってなんか………」

 

美雲は恥ずかしくなったのか頬を赤くしながら自分の髪を弄る。蒼也はそれを見て笑みを浮かべながら美雲を落ち着かせる。

 

「じゃ、そう言うことにしておきましょう………帰りましょう、美雲さん」

 

蒼也はそう言って美雲と一緒に格納庫の入り口を出ようとするが艦内全域に放送が流れ出す。

 

《音波 蒼也少尉。至急、艦長室にお越しください。繰り返しますーーーーー》

 

それは蒼也の呼び出しの放送だった。それを聞いた蒼也はため息を吐いて美雲の方に向く。

 

「すみません、美雲さん」

 

「はぁ、こればっかりは仕方ないわ。ロビーで待ってるからいってらっしゃい、蒼也」

 

「……はい、いってきます」

 

蒼也は行きたくない、美雲と一緒に帰えりたいという気持ちを抑えて艦長室に向かった。

 

暫くして蒼也は艦長室に到着し扉をノックする。

 

「音波蒼也少尉、只今到着しました」

 

蒼也がそう言うと部屋の中から、入れ。とアーネストの声が聞こえる。蒼也はそのまま扉を開け部屋の中に入ると応対用のソファーに座っているアーネストとその後ろで立っているアラド、カナメがいた。しかし、アーネストの向かいにはもう一人、軍服を着た男性がいた。

 

「蒼也、此方はラウリ・マラン少佐だ」

 

アラドがそう言うとラウリは立ち上がり蒼也へ近付く。

 

「ご紹介に預かりました、新統合軍参謀局二部所属ラウリ・マラン少佐であります」

 

ラウリは挨拶と共に敬礼をする。蒼也は新統合軍と聞き少しだけ目を細める。

 

「……………Δ小隊、ワルキューレ所属 音波蒼也です」

 

自己紹介が終わるとラウリは敬礼をやめて腰に手を当てると口角を上げて話始める。

 

「いや~、我々新統合軍の中で蒼翼と呼ばれているあの機体のパイロットがこんなに若かったとは驚きですよ。映像で見ましたが空中騎士団が初めて現れたアル・シャハルでの戦い見事なものでした」

 

「それはどうも。それで艦長、呼び出した理由について聞きたいのですか」

 

「あ、あぁ。我々の話のあと、蒼也少尉への用もあったとのことで呼び出した次第だ。」

 

「了解……」

 

いつもの蒼也の雰囲気と違い、あまりにも素っ気なさ過ぎる返事にアーネストは思わず戸惑ってしまう。そして事情を知った蒼也はアラドやカナメと同じアーネストの後ろへ並ぶ。ラウリは蒼也を睨みつつもアーネストの向かいにあるソファーへと座り新統合軍からの通達を言い渡した。

 

「新統合軍総指令部からの通達です。惑星ラグナのプロトカルチャー遺跡を破壊することが決定しました」

 

それを聞いた蒼也は目が鋭くなり殺気のこもった目でラウリを見る。

 

「ウィンダミアは遺跡を利用し球状星団を支配しようとしている。破壊すれば未然に防ぐことができるのでは?」

 

その説明を聞いたアラドは聞こえるようにわざと言う。

 

「援軍も出さずに何を……」

 

アラドの言葉に耳を傾けたラウリは目線をアラドに向ける。

 

「ん?何か?」

 

「いえ、何も」

 

アラドは目を閉じてしらを切る。

 

「あの遺跡からは惑星の中心に向けてエネルギーシャフトが伸びています。下手をすれば地殻変動を起こす可能性が……」

 

「指向性戦術反応弾を使用しますので大気圏内の衝撃は最小限度で済みます。アル・シャハルは十五分で陥落しました。ラグナとて三十分ももたないでしょう。それとも……他に何か手段があるとでも?」

 

「……ッ」

 

カナメはラウリに言い負けてしまい何も言えずにいた。

 

「それでも承服しかねる」

 

アーネストはラウリに向かって言い切る。

 

「ん?」

 

「レディーMも同じ意見だと思うが?」

 

「そのレディーMの顔を立てて報告に来ているのですよ。本来なら了承を得る必要のないこと………既に工作部隊は派遣済みです」

 

「クッ……」

 

「そんな……」

 

「グッ………」

 

ラウリの言葉にアーネスト、アラド、カナメは自分の無力さに悔しがる。

 

「………」

 

蒼也はただ黙って見ていた。しかし自分に何も出来ないことの悔しさで手を思い切り握りしめる。爪が食い込み血が流れようとも蒼也は痛がる素振りを見せない。

 

「さて、本題はこれから………音波蒼也少尉」

 

ラウリは蒼也を呼ぶと足元にあったアルミツールケースを机に置いて鍵を開け蒼也に見せる。中に入っていたのは大量の現金と小切手があった。

 

「アル・シャハルで戦った時の君の機体を我々、新統合軍に提供してもらいたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………………………………………………………………は?」




今回はここまで。今週からテストがあるのでかなり更新が遅くなると思いますが気長に待っててください。いつも読んでくださってくれる方々。本当にありがとうございます。

前回の最後にも追記しましたが評価設定を変えました。ので宜しければ評価や感想などお願いします。

次回  No.12-3 キング・オブ・ザ・ウィンド
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