楽しんで頂けたら幸いです。
それでは物語へどうぞ。
「君の機体を我々、新統合軍に提供してもらいたい」
「…………………………………………………………………………………は?」
ラウリはアルミツールケースの中身を見せながらセンチネルの提供を要求した。それを聞いた蒼也はいまいち理解することができずラウリを見ながら呆然とした。
「即金として四千万ある、小切手も合わせれば億を越えるだろう。如何かな?」
「ちょっと待ってください。何故センチネルをそちらに提供しなければならないのですか?」
蒼也にそう言われてラウリは内ポケットからマイクロプロジェクターを出して一つの資料と幾つかの写真を映し出す。その瞬間、蒼也は大きく目を開く。
「これは……リーオーNPD…………」
蒼也がそう言いながら見たものは全身が黒く、アーマーパーツは灰色、ベッドユニットは青色に輝く一つの大型カメラアイがあり、右手にはマシンガンを持ち、左肩には新統合軍のマークが刻まれた盾が備え付けられたリーオーNPDだった。
「新統合軍の技術者たちが君の機体を模作した物だ。だが遠隔操作でそれを操るため低スペックな上、使い物にならない。そこで我々新統合軍は君の機体を調査し、複製した後部隊を作り惑星ウィンダミアを占領するという寸法だ。音波蒼也少尉、君にも協力を仰ぎたい。私はそのために君を此処へ呼んでもらったのだよ」
「……………呼ばれた理由はわかりました」
それを聞いたラウリは笑みを浮かべ立ち上がる。
「そうかそうか、それは良かっ「けれど、お断りします」…………何?」
ラウリは笑顔から一転し蒼也を睨む。
「それは何故だ?」
そう聞かれた蒼也はラウリの睨みに動じず話始める。
「まず、センチネルは僕しか動かすことが出来ません。もし無理矢理起動させようとすればセンチネルに組み込んである侵入者自動迎撃ウイルスによって貴方たちの使っているシステムを跡形もなく消し去るでしょう」
蒼也は剣幕した表情でラウリを睨む。それにラウリは意義を唱えようとするが蒼也はそれを許さない。
「次に、センチネルは兵器じゃない。センチネルを兵器としか見ない連中に渡すことなんて出来ないし自分の愛機でこれ以上人を殺すなんて事したくない。それを調査して複製する?ウィンダミアを占領する?ふざけるなよ?」
蒼也はその剣幕した表情が一段と強まり徐々に殺気を放ち始める。その際隣にいたアラドとカナメは背筋が凍る様な感覚は襲われ冷や汗が止まらなくなっていた。
「最後に、僕は新統合軍が大嫌いだ。次元兵器?指向性反応弾?ふざけるのも大概にしろよ?何故貴様らの勝手な行動のせいで罪もない人たちが巻き込まれなくちゃいけない」
完全にキレてしまった蒼也は敬語をやめ先程よりも濃厚で凄まじい殺気を放ち始める。その際蒼也の髪は徐々に重力に逆らうように逆立っていき、蒼也の殺気は艦長室全域に広がっていく。アラドとカナメは手足が震えだし立っているのがやっとだった。一方、蒼也に直接睨まれているラウリは新統合軍でも味わったことのない殺気に腰が抜けてソファーへ座り込んでしまう。
「蒼也少尉、落ち着け」
しかしここで顔を下に向けながら腕を組んでいたアーネストが蒼也に顔を向けて声を掛ける。蒼也はアーネストの声を聞くと深呼吸を繰り返して落ち着きを取り戻し艦長室に広がっていた殺気が消えていく。アラドとカナメは手足の震えはなくなり安心したのかため息を吐いた。
「…………ふぅ、すみません。艦長」
「今度からは気を付けてくれよ?」
「はい」
アーネストは蒼也の手短に返事を聞くと顔を前へ向け、蒼也は再びラウリを見る。
「ラウリ・マラン少佐」
「!?」
蒼也はラウリの名前を呼ぶと、本人は体を震わせ蒼也を見た。
「センチネルを新統合軍へは提供しません。いいですね?」
「わ、わかりました」
完全に怯えてしまったラウリは蒼也に反論することなくその首を縦に降る。
「話はそれで終わりですか?」
「は、はい。以上になります」
「そうですか」
蒼也はラウリとの話を終えると目線をアーネストへと移す。
「艦長、自分はもういいとのことなので退室しても宜しいでしょうか」
「あぁ、すまんな呼び出してしまって」
「構いません。失礼しました」
そう言って蒼也は艦長室から出ていく。蒼也が出た後艦長室では暫しの沈黙が続いたと言う。
そうして艦長室から出た蒼也は美雲の待つロビーに急いで向かった。やがて蒼也はロビーに到着すると窓ガラスの内側から外を眺めている美雲を見つける。
「美雲さん」
蒼也が声を掛けると美雲は振り向き蒼也へ近づく。
「蒼也、もう話は終わったの?」
「はい」
「……そう、それじゃあ行きましょう」
美雲と共に蒼也は歩き出し自宅に帰っていった。日も暮れる中、自宅に到着した蒼也は夕食の準備に取りかかり、美雲はソファーに座りテレビを見始める。暫くして蒼也は夕食の準備を終えるとテーブルに次々と料理を並べていく。美雲もそれに気づきテレビを消し椅子へ座る。
「それじゃあ」
「えぇ」
「「いただきます」」
二人はそう言うと食事を始め、戦いの前に英気を養った。それから少しばかり時が流れ食事を終えた蒼也はベランダに出て夕日が完全に沈むのを眺めていると腕に巻き付けているテレフォンに通信が入る。
「はい、蒼也です」
「蒼也、いきなりで悪い」
「アラドさん何か用ですか?」
「レディーMが話をつけてくれた」
蒼也はアラドの言葉を聞くと少しだけ頬を緩ませる。
「と言うことは……」
「あぁ、奇襲作戦の結果が出るまで遺跡の爆破は待つそうだ」
「わかりました、態々連絡してくれてありがとうございます。アラドさん」
「いいってことよ、作戦時間一時間前ぐらいには来いよ」
「分かってます」
そう言って蒼也はアラドとの通信を切ると再び夕日を眺め始めた。
「蒼也……」
「?………美雲さん」
蒼也は後ろを振り向くとそこには美雲がいた。美雲は歩き始めやがては蒼也の隣に立ち一緒に夕日を眺める。
「いよいよね………」
「はい、この戦いで全てを終わらせて自由な空をこの手に掴んでみせます。そしてセンチネルと約束した通り自由な空で沢山飛ばしてやりたい」
蒼也は夕日に向かって左手を伸ばし握りしめる。美雲は蒼也のその姿に思わず笑みを浮かべてしまう
「ふふ、そうね。その時が来たら私も貴方の機体と一緒に飛びたいわ」
「わかりました。その時までに……………頑張りましょう美雲さん」
「えぇ」
二人の誓いと共に夕日はラグナの海へとゆっくり沈んでいく。
時間は刻一刻と流れていき奇襲作戦開始十分前。夜も更けて朝日が登り行く中ケイオスラグナ支部の隊員たちはマクロスエリシオンでそれぞれの持ち場についていた。
《マクロスエリシオン発進スタンバイ。繰り返す。マクロスエリシオン発進スタンバイ》
オペレーターの合図が艦内全域に響く。蒼也はセンチネルが使えない間、代わりとなるVF-31Aカイロスに乗りΔ小隊と共に発進準備をしていた。すると、メッサーから通信が入り蒼也はそれに出る。
「ガーディアン、準備はいいか」
「はい、何時でも出られます」
「分かった。しかしお前はVFでの戦闘は初めてだ。無茶な戦闘は出来るだけ避けろ」
「了解」
メッサーは蒼也に用件を伝えたが通信を切らずにモニターから蒼也を見ていた。
「?……Δ2?」
蒼也は不思議に思いメッサーに話しかけるが返事がなくどうしようかと困り果ててしまう。しかし、
「………必ず……生きて帰ろう」
そう言ってメッサーは通信を切断してモニターから消えていった。蒼也はヘルメット越しだが口元に手を当ててメッサーが本当に素直になったことに思わず笑みを浮かべてしまう。
「えぇ………必ず生きて帰りましょう!!」
そして時刻0400、エリシオン指令室ではアラームが鳴り響きそれを合図にオペレーターたちが次々とデジタル化したキーボードで文字を入力していく。
「メインリアクター出力上昇、重力制御システム起動」
そう言いながらオペレーター ベス・マスカットがキーボードを操作していくとエリシオンのメインリアクターが起動し出力を高めていく。
「渓流システム、ロック解除」
続いてオペレーター ミズキ・ユーリがキーボードを操作しエリシオンの足元に繋がっているホースを次々と切り離していく。
「発進エリア、オールクリア」
更にオペレーター ニナ・オブライエンは立体型航路図を使用してエリシオンの発進エリアの安全を確認してアーネストに伝える。
「マクロス・エリシオン、浮上開始します」
オペレーターの合図と共にマクロス・エリシオンはその場から浮上し海沿いへと進んでいく。
続いてアーネストが艦内全域に放送を繋げて隊員たちに活を入れるため宣誓を始める。
「ケイオスブリージンガル球状星団、連合艦隊総指令マクロス・エリシオン艦長アーネスト・ジョンソンである。これよりオペレーション・アインへリアルを開始する。
本物のヤックデカルチャーって奴を見せつけてやれ!!」
そしてエリシオンは発進目的地に到着しアーネストの合図を待つ。
「マクロス・エリシオン、全速発進!!!」
アーネストの合図と共にエリシオンは出力を最大限まで上げてラグナの空を飛び立っていく。
「トランスフォーメーション開始します」
エリシオンは大気圏を抜けるまでの間に機体を大きく変形させて巨大な空母へと変わっていく。
「メインエンジンブロック大気圏外航行モードへ」
「アイテール、及びヘーメラー後部船体に接合」
アイテールとヘーメラーはエリシオン本体とドッキングすると本来の形に変形していく。
「大気圏離脱しました」
その言葉と共にアラームが鳴り響きニナに知らせる。
「フォールドドライブエネルギー重点完了」
ニナがそう言うとアーネストは深く息を吸って合図を出す。
「全艦、フォールド!!」
アーネストの合図と共に巨大なフォールドゲートが現れエリシオンを飲み込んでいく。やがてエリシオンがその巨体が全て入り終わるとフォールドゲートは閉じて姿を消す。
惑星アル・シャハル シグルバレンス
シグルバレンスにある王室のベッドに横たわるグラミアのルンが何かを感じ光出す。
「近付いている、嵐が。翼を広げよ!!」
グラミアの一言でウィンダミア軍が動き出す。
マクロス・エリシオン指令室
フォールド航行中アーネストは艦内全域に放送を繋げて指示を伝える。
《ワルキューレはデフォールド後、敵艦隊に向け強行ライブを行う!!》
アーネストの放送と共に五人の女神たちが立ち上がり輪となって右手でWを作りワルキューレの誓いを言っていく。
「銀河のために」
「誰かのために」
「今、私たち」
「瞬間完全燃焼」
「命懸けで楽しんじゃえ!」
ワルキューレが誓いを言っている中、Δ小隊を筆頭に次々と発進準備が行われる。その際、蒼也は胸に手を置いて祈るかの様に目を瞑る。メッサーも左手を握りしめてヘルメット越しだが額に置き目を瞑る。蒼也もメッサーも死ぬつもりなど毛頭ない「必ず生きて帰る」と心に誓い目を開ける。
《Δ小隊はワルキューレを援護、蒼也少尉もΔ小隊に加わりワルキューレを援護。他の部隊は敵巨大戦艦に向け集中攻撃を仕掛ける諸君らの健闘を期待する》
そう言ってアーネストは通信を切る。すると、デフォールドするためニナがカウントを始める。
「デフォールド二十秒前、十九、十八、十七」
ニナのカウントが十七までいくと突如、非常警報が鳴り響く。
「!!?デフォールド先に高質量反応……急速接近!!」
「高質量反応だと?…………まさか!奴が!」
アーネストが何かに気づくと同時にエリシオンはアル・シャハルにデフォールドする。しかしデフォールドすると同時に目の前にはシグルバレンスは現れエリシオンとすれ違う。
「敵艦、フォールドします!!」
ニナの報告を聞いたアーネストは完全にやられたと思わず笑いを溢しシグルバレンスを見る。
「ふっ、グラミアめ!!」
アーネストは立ち上がりシグルバレンスを見る。そしてグラミアはアーネストを見るかの様にエリシオンを見ながら呟いた。
「さぁ、始めよう」
そしてシグルバレンスは巨大なフォールドゲートを開き中へと入っていった。
今回はここまで!!いよいよ決戦です。苦手な戦闘シーンが大量に出ますが頑張ります!!それと評価や感想など待ってます!!
それじゃあ久しぶりにやってみますか。
次回 No.13-1 激情ダイビング
~物語は飛翔し加速する~