旋律は風に乗り、翼と共に銀河を翔る   作:新郷遊佐海

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はい、とうとう本編に入りましたね。これから蒼也がどんな物語を繰り広げていくのか、楽しめて頂けたら幸いです。


それでは本編をどうぞ。


No.01-1 戦場のワルキューレ

 人類が種の存続を目的とし宇宙移民を開始して既に半世紀以上。様々な異星人と遭遇し一大星間文明を気付きつつあった。だが宇宙には未知の驚異が数多い。

 

『ヴァールシンドローム』

 

 ある日、精神に変調をきたし暴徒と化す。人々はいつ何処で起こるとも知れない惨劇に怯えることとなった。だが、その驚異に立ち向かう者たちがいた。

 

 戦術音楽ユニット『ワルキューレ』。

 彼女たちの時空を越えた歌声とそれを守る『Δ小隊』。

 

 これは音波蒼也の物語。だが彼はまだ知りもしない。

 これから起こること何もかも。

 

 

 

 惑星アル・シャハル 

 

 音波蒼也(おとはそうや)は夢を見ている。

 

 燃え盛る炎。轟く爆発。恐怖に怯え悲鳴をあげる者。大切な人を目の前で失い呆然と立っている者。その夢はまさに地獄だった。蒼也は今までにないほどの嫌悪感を感じた。

 

「!!?」

 

 蒼也は嫌悪感で夢から覚めると、額から流れる汗を拭い取る。

 

「あの夢は、一体……」

 

 蒼也が周りを見渡すとなんとも殺風景な部屋にいた。部屋には机とベッド、本棚と目覚まし時計ぐらいしかなかったのだ。部屋にはベランダに出るための扉があり、蒼也はベッドから起き上がり扉を開けようとした。

 

「!?」

 

 すると、扉は独りでに開き蒼也は驚きながらもベランダへ出た。

 

 蒼也がベランダから目にしたものに驚愕した。沢山の人が集まっており、その中で蒼也の見たことのない緑の肌で尖った耳を持つ人や猫耳に尻尾と可愛らしい人や巨大な体を持つ人がいたのだ。

 

「凄い………本当にマクロスΔの世界だ…………」

 

 蒼也はそう呟きベランダから自分がいたが部屋に戻ると、机の上に一通の封筒と小さな小包が置かれてあるのを見つけた。蒼也はまずは封筒を確認する。その中にサラからの手紙が入っていた。

 

『蒼也へ  蒼也、元気にしていますか?これを読んでいるということは貴方は転生に成功したと言うことです。この世界の言語はすべて理解できるようにしておいたので、安心してください。次に、貴方が今いる場所ですが、惑星アル・シャハルのシャハルシティという場所のアパートにいます。戸籍情報については2枚目の手紙を読み終えたら頭に自動的に流れる様にしておいたので覚えてください。貴方が良き人生を送ることを祈っていますよ  サラより』

 

 蒼也は、サラに感謝をしながら2枚目の手紙を見た。

 

『P.S  蒼也、封筒の隣にある小包は私からの贈り物と貴方の機体が指輪になって入っているので確認してください。貴方の機体の出し方は指輪に向かって名前を呼べば出てきてくれます。それと通信については頭の中で私の名前を呼べば、必ず繋がりますからいつでも呼んでください』

 

 2枚目の手紙を読み終えるとサラの言った通り蒼也の戸籍情報が一気に流れてきた。

 

「………さてと、小包の中を確認するか」

 

 そう言いながら蒼也は小包に手を伸ばし、箱を開いた。

 

「これは……」

 

 中には青色の装飾が施された指輪と紫の結晶に銀の留め具がついているイヤリングが2つ入っていた。

 

「これって、リン・ミンメイが着けてたフォールドクォーツのイヤリング………ありがとうございます、サラ様」

 

 蒼也はサラに感謝をしつつイヤリングを両耳につけ、指輪を左手の中指に嵌めた。蒼也は室外に出ようと扉の前に立つが開け方が判らず、しばらく足止めを食らった。

 

「へぇ~、此処がシャハルシティなんだ。結構人が多くて道に迷いそうだな」

 

 やっとの思いで外に出ることができた蒼也はシャハルシティを観光していた。

 

「どれもこれも、見慣れてそうで見慣れないものばっかりだなぁ」

 

「おう、(あん)ちゃん!観光客だね、シャハルシティは初めてかい?」

 

 蒼也が物珍しそうに周りを見渡していると、偶々前を通り掛かったおじさんが話しかけてきた。

 

「はい。恥ずかしながら、どこから見ればいいのか分からなくて」

 

「だったら、ここの道をを真っ直ぐ行くと、中心部に出るから。まずはそっちに行ってみな!!品揃えも豊富だし、良いものに出会えるかもしれないぜ!」

 

「分かりました。行ってみます!おじさーん、ありがとうございました!」

 

「良いってことよ!!」

 

 蒼也はおじさんに言われた通りに今いる道を真っ直ぐ進み中心部へと向かった。中心部はかなり賑わっており、食べ物を売っているお店やネックレスやイヤリングなどの装飾品が沢山並べられているお店もあった。

 

「凄い……いろんなものがあるな~………ん?」

 

 活気の良さに当てられていた蒼也は、中心部を散策していると何か見つけたのか、人混みを抜けてその場所に行った。

 

「な、何故にマイクスタンド?」

 

 人混みを抜けた先にあったのは、マイク付きのマイクスタンド。蒼也が近くを通り掛かった人に聞いてみたところ、どうやら無料でできるカラオケシステムのようだ。

 

「…………少し、やってみようかな?」

 

 興味を持った蒼也はそう言ってマイクスタンドに近づいていく。マイクスタンドの前に立つと目の前に一覧表が現れ、どの曲も『Walkure』と書かれていた。蒼也は歌う曲を決めると、それをタップした。

 

 

『僕らの戦場』

 

 前奏が流れ始め、スイッチが入った蒼也はマイクに手を置く。突然音楽が流れだし、観光客たちは蒼也に視線を向ける。大勢の前で歌うことを事態なかった蒼也はこれ以上にない緊張感を味わうが、ゆっくりと息を吸って歌い始めた。

 

 

「例えば途切れた空が、見えたなら~♪震える……僕の声が聞こえたなら~♪」

 

 

 先程までさわめいていた観光客や商売人も皆、蒼也に釘付けである。彼の透き通るような声に誰もが驚き、時間さえ忘れてしまうほど魅了されていく。

 

 

「あの日語り合ったこと~♪いつも笑い合えたこと~♪」

 

 

 蒼也は思った。まだ足りない、もっと歌いたい、駆け抜けていきたいと。歌うためなら何処までも真っ直ぐでいられる蒼也の歌声に魅了されていた人の一人が携帯端末で動画を撮り始める。

 

 

「そこに……そこに君はいますか~♪戦場に咲く命よ~♪燃えろ燃えろ~~♪」

 

 

 蒼也は感じるまま思いを乗せて歌い続ける。その姿はまるで自由に空を飛ぶ鳥のようだった。そして一人の女性が足を止めた。薄茶色の帽子とコートを着た女性は蒼也の事をじっと見つめていた。

 

 

「奇跡を呼び覚ませ~~♪閉ざされた空へ~♪」

 

 

 蒼也は歌い切ると静かに目を閉じて下を向いた。しばらくして伴奏が終了すると、一斉に歓声と拍手が沸き上がった。それに動揺を隠しきれなかった蒼也は、急いでお辞儀をしてその場から逃げるように去っていった。

 

「ふふ、面白い」

 

 先程の女性はそう言うとその場から立ち去っていった。

 

 

 その日、あの場所にいた観光客の一人が銀河ネットワークにアップロードした蒼也が歌っている動画を見た人は全員が口を揃えて言った『伝説の歌姫、再来』と。 

 

 

 

 

 沢山の人から歓声と拍手を受けた蒼也は逃げ出して人気のない道に隠れ、壁に寄りかかっていた。

 

「はぁ…はぁ……大勢の人の前で歌ったの初めてだったから緊張した……」

 

 蒼也は未だ収まらない胸の鼓動に手を当てて感じていると、すでに日が暮れようとしているのに気付き、体を起こして家に帰ろうとした。 

 

しかし、

 

「……ねぇ」

 

 突如、背後から声を掛けられ蒼也は声のする方に振り向き、後ろへ下がった。

 

「ふふっ、そう警戒しないで頂戴」

 

 そこには先程、蒼也の事を熱心に見ていた薄茶色の帽子とコートを着た女性がいた。蒼也は何かあれば迅速に行動出来るよう考えていたが、その考えはすぐに消え失せた。

 

「こんばんは。名も知らない歌姫さん」

 

 そう彼女こそ、蒼也の前世から憧れを抱き、一緒に歌ってみたいと夢見た女性。

 

   戦術音楽ユニットワルキューレ エースボーカル

        『美雲・ギンヌメール』




いかがでしたでしょうか。いや~蒼也、すごいことになってましたね。それに本作品のヒロイン美雲の登場。これから蒼也はどうなって行くのでしょうか。


次回  No.01-2 戦場のワルキューレ
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