旋律は風に乗り、翼と共に銀河を翔る   作:新郷遊佐海

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どうも、ビビビットンです。

かなり遅れてしまいました。すみません。

そしていよいよこの話で第一部が終了です。いつも読んでくださっている方々、本当にありがとうございます。これからも頑張って行きますので何卒、暖かい目で見てくれるとありがたいです。

それと今回の話はかなり読みにくいと思うのでなるべく、テレビシリーズ版マクロスΔ13話を見てからこの二次小説を見てくれると話の流れが分かりやすいと思います。因みに字数は10000字を越えているのでゆっくりゆったりと読んでください。

さぁ、長ったるい話はおしまいにしてこの物語を楽しんで頂けたら幸いです。

それでは物語へどうぞ!


※4/26に一部修正しました。


No.13-2 激情ダイビング

『Walkure attack!』

 

 脱出のため『アイランド・ジャックポット船』通称アイランド船は重力管制システムを起動させラグナの海から浮上する。

 

 

 

「飛び出さなきゃ~♪見えないから、未来は~~♪」

 

 

 

 すると、ワルキューレの歌はアイランド船にいる市民に歌が伝わりヴァール化を沈静化していく。それはアイランド船だけには限らず防衛艦隊でヴァール化しつつあったパイロットたちにも現れ皆正気を取り戻していく。

 

「この歌声……」

 

「ワルキューレ……」

 

 アイランド船に避難した市民は頭に走る痛みがなくなり顔を上げる。それと同時にモニターにワルキューレが映り、アラドからアイランド船全域と各小隊に通信が入る。

 

『皆、よく聞け!銀河の女神ワルキューレの歌が響く限り、我々は決して屈したりしない!』

 

「おおぉぉぉぉーーー!!!」

 

「ワルキューレーーーー!!」

 

 アラドの通信を聞いて市民は声を上げワルキューレを応援する。

 

「ねぇ、彼処にいるのって……」

 

 ラグナ市民の一人がモニターに映る蒼也に注目し他の者も蒼也に目を向ける。

 

「……ぇ、え!?男?!何で男が?!」

 

「でも何処かで見たことあるような…………」

 

「あれよ、銀河ネットに上がって話題になってた伝説の歌姫!あの人だよ!!」

 

「おお!確かにそうだ。頑張れー!伝説の歌姫ーーー!!」

 

「頑張れーーー!!」

 

 市民は皆、蒼也の存在を知ると応援を始めアイランド船の歓声が強くなる。一方、アイテールの特設ステージで歌っている美雲とフレイアは背中合わせで手を握る。蒼也はその後ろで自分の思いを歌声と共に乗せる。

 

 

 

「愛を祈って~♪奏でるメロディー~~♪」

 

 

 

(感じる。美雲さんの歌を、ワルキューレの、皆の歌を。止めたくない、この思い。響かせたい、この銀河に。何処までも、この(ワルキューレ)と一緒にッ!!)

 

 そうしてワルキューレと共に歌って激情した蒼也の体から金色の光が現れワルキューレたちもそれに気付く。彼女たちは蒼也が楽しんでいることに嬉しさを感じ、更に歌へ力を入れる。

 

 

 

「夢を語って~♪消えないでShooting Love~~♪」

 

 

 

その一方でシグルバレンス指令室ではオペレーターの一人が戦況を報告していた。

 

「ラグナ、アイランド船浮上!!撤退を始めています!!」

 

 それを聞いたグラミアは一歩前に出てマントを靡かせた。

 

「敵は既に逃亡を始めた、勝利の風は我が内にあり。だが、後顧の憂いは断たねばならない」

 

 グラミアはそう言ってただ真っ直ぐにワルキューレの乗るアイテール見つめた。

 

「ワルキューレを殲滅する」

 

 キースも各隊に指示を送るとフットペダルを強く踏み込み、機体を加速させる。それに続くかのように他の騎士たちも機体を加速させアイランド船及びアイテールへと向かう。

 

 それはラグナ防衛艦隊も同じく隊列を組んでアイランド船の上空を飛びシグルバレンスへと向かっていた。その際、アラドは再び防衛艦隊全域に渡って通信を入れ指示を送る。

 

「α、β、γ、及び各小隊はアイランド船並びにアイテールを死守。Δ小隊は白騎士共に攻撃を集中させる。避難が完了するまで市民とワルキューレを守り抜け!」

 

「「「了解!!」」」

 

「ウーラ・サー!!」

 

 Δ小隊メンバーはアラドの指示に返事をすると散開して敵の攻撃を器用に躱し戦闘を開始した。防衛艦隊とウィンダミア艦隊の戦闘は熾烈を極めて互いに敵機をを破壊していく。その間白騎士ことキースはドラケンⅢを巧みに操作してVF-171を次々と破壊する。しかし、キースはルンが何かを感じ取り青く輝く。そしてキースはそのまま顔を後ろへ顔を向ける。

 

「…?!、この風……死神」

 

 キースが目にしたのは逃がさんとばかりに全速力で追いかけてくるメッサーの乗るVF-31Fだった。

 

「白騎士!」

 

 メッサーはその名を叫ぶとフットペダルを更に踏み込み機体を加速させながら操縦桿の引き金を引き絞り弾を発射させる。しかし、キースはそれを容易に躱していく。そしてミラージュやハヤテも合流し三方向から弾を発射させキースを仕留めようとするが、キースは機体を大きく上昇させそれを躱していく。

 

「Δ4、Δ5。フォーメーション・アドバンス!!」

 

「了解!」

 

「OK!」

 

 メッサーはミラージュとハヤテに指示を送ると隊列を組んでキースの後を追い掛ける。

 

「掛かった……」

 

 キースはニヤリと笑いながら呟くとフットペダルを踏み込み機体を加速させ雲の中へと向かっていく。

 

「雲の中………」

 

 メッサーはキースの企みに気づいたのか機体を減速させるがミラージュとハヤテは違った。

 

「敵艦の方に逃げるつもりです!」

 

「させるかよ!!」

 

「?!早まるな、Δ4!Δ5!」

 

 メッサーはミラージュとハヤテに警告をするが時は既に遅くハヤテとミラージュは雲の中に入っていく。メッサーは二人の安全を最優先にしその後を追って雲の中へ向かった。

 

 雲の中へ入っていくと同時に乱気流が発生しメッサーやミラージュ、ハヤテの機体の操縦桿が一段と重くなり操作が困難となる。

 

「っ、やはり乱気流か……」

 

 メッサーはそう言って操縦桿を強く握りしめ乱気流に耐えながら飛ぶがミラージュやハヤテは乱気流に対処が遅れ機体を大きく揺らす。しかし、キースはその乱気流を諸ともせず奥へ奥へと雲の中を進んでいく。

 

「ぐっ?!」

 

 ミラージュは乱気流の影響もあってか減速してしまい、更には思うように操縦ができず歯を食い縛って操縦桿を握り乱気流に耐える。

 

「くっそ!彼奴、こんな風の中で!」

 

 そう言ってハヤテは操縦桿を強く握り締める。しかしキースは雲を抜けると同時に機体を大きく上昇させ急旋回していく。

 

「何?!」

 

 ハヤテはキースの急旋回に驚愕して旋回しようとするが間に合わずに後ろを取られロックオンされてしまう。

 

「させん!!」

 

 それを後ろで見ていたメッサーはキースを攻撃するが容易に躱され機体を大きく上昇させ空高く飛翔する。メッサーはそれに続くかのようにキースの後を追い、更なる激闘を繰り広げていく。

 

 

『ザルド・ヴァーザ!~決意の風~』

 

「♪~~」

 

 

 

 ワルキューレに対抗し、時の神殿にいるハインツは増幅装置に向けて歌い始めた。しかし、これまでのモノとは比べ物にならないほどの強大な力になってやって来た。それはアイテールの特設ステージで歌っていたワルキューレの歌を阻んでいく。そして、再び市民にヴァール化の兆候が現れ始める。

 

「くぁっ!」

 

「レイレイ!」

 

 風の歌が作り出した波動によって吹き飛ばされたレイナは、マキナに支えられ何とか持ちこたえる。

 

「頑張ろう……!」

 

「うん!」

 

 マキナはレイナを励ますと歌う姿勢を取ろうとするが波動がそれを阻み立っているのがやっとだった。

 

「この歌…………美雲さん!」

 

「えぇ、命を懸けて歌ってる!」

 

 蒼也と美雲は腕を顔の前まで持ってきて波動に耐えているがその波動を通して二人はハインツの命を懸けた歌を感じ取る。

 

「これじゃ歌が……」

 

「歌が……届けられん!」

 

 カナメとフレイアそう言いながらは蒼也や美雲と同じく腕を顔の前まで持ってきて波動に耐えていた。

 

「腐ったリンゴのような者共よッ!!今日こそ葬り去ってやる!!」

 

 ボーグはそう言ってドラケンⅢの両翼に取り付けられているリル・ドラケンを切り離し自立起動させ共にアイテールへと向かう。近づくと共にボーグは大量のマイクロミサイルを発射し、アイテールはワルキューレを守るためにそれを迎撃した。次々とマイクロミサイルを破壊し爆煙で視界が遮られる。

 

「くらえぇぇーーー!!!!」

 

 爆煙を抜けてきたボーグの乗るドラケンⅢはビームガンボットから高出力のビームを発射させ、それはワルキューレのいる特設ステージのガラスに直撃し徐々にヒビが入っていく。

 

「美雲さん!」

 

 蒼也は咄嗟に前に出て美雲の頭を自身の胸に抑えて庇うようにして特設ステージのガラスに背を向ける。そして特設ステージのガラスは高出力のビームに耐えきれずワルキューレたちの悲鳴と共に粉々に砕け散る。

 

 そしてシグルバレンス指令室ではオペレーターの一人が戦況をグラミアとロイドに報告していた。

 

「敵空母、サウンドフォールド波沈黙。本艦と出現したプロトカルチャーシステム同調安定!!」

 

 それを聞いていたロイドは胸ポケットに入れていた通信端末にメッセージが届きそれを確認するとニヤリと笑いグラミアに近づいた。

 

「陛下、作戦は順調です。本艦の攻撃システムが起動。プロトカルチャーの大いなる力が蘇りつつあります」

 

「うむ、宜しい。全艦砲撃準備、目標、敵空母!!」

 

 グラミアはそう指示をするとシグルバレンスに備わっていた四つの砲撃機が起動してアイテールに照準を合わせてエネルギーを圧縮して溜め込んでいく。

 

「くっ、美雲…さん。大丈夫…ですか……」

 

「私は無事…よ……。ッ!!」

 

 美雲は蒼也の状態を見て動揺していた。その理由は蒼也は自分の身を挺して美雲を飛び散るガラスの破片やビームが持つ熱から守ったため服の背中は焼け焦げ肌が露となり大きな切り傷ができていたからだ。

 

「カナメさんと……フレイアさんは無事……ですか……」

 

「私とフレイアは無事よ!」

 

 蒼也は辿々しくなりながらも咄嗟にフレイアを守ったカナメに無事かどうか確認した後マキナとレイナも目視で無事と確認してそっと息を吐いた。

 

「良かった……。?!」

 

 蒼也は安心すると同時に本能が危険と感じ取って咄嗟にシグルバレンスに振り向いた。攻撃システムが起動したシグルバレンスから四つの巨大なビームが放たれる。

 

 その光芒は四つから一つとなり、更に巨大な光芒と化して、一直線上にアイテールへ向かう。それに巻き込まれた数機のVF-31Aはなす統べもなく蒸発する。蒼也は美雲を抱きしめ、頭を抑える。防衛艦隊の誰もが絶望の表情を浮かべ諦めかけた。

 

 その時、

 

『まだまだーーー!!!』

 

 それは大気圏から摩擦熱の尾を引いて落ちてきたマクロス・エリシオンの艦長であるアーネストの声であった。

 

「止まるな!!進めーーーーー!!!!」

 

 アーネストはオペレーターたちにそう叫びながら指示を送りエリシオンは減速する事なく落ちてくる。そしてエリシオンは船体の左側に高出力のピンポイントバリアを張りアイテールの前を通ると同時に巨大な光芒はピンポイントバリアに直撃しアイテールを守るとエリシオンは海へ不時着し激しい水しぶきを立てる。

 

「艦長!!」

 

 それを上空から見ていたアラドはアーネストを呼ぶが応答がない。一方、特設ステージで見ていたワルキューレたちはエリシオンの安否を心配して胸に手を抑える。

 

「エリシオンが………」

 

「……このままじゃ、ぐっ!」

 

 蒼也は背中の痛みに耐えきれず避けてしまう。

 

「蒼也くん!!……その怪我」

 

 カナメは避けた蒼也を支えるが背中の傷が予想以上に酷いことを知り目を見開く。

 

「大したこと、ありません……」

 

 蒼也はそう言ってカナメの手を離して特設ステージの粉々に砕け散ったガラスの前に立ちもう一度外を見る。すると蒼也はVF-31Fが黄金のラインの入ったドラケンⅢに追われている光景を目にする。

 

「メッサーさん!」

 

 蒼也はメッサーの名を強く叫ぶがその声はメッサーには届かない。メッサーの機体はキースの攻撃を右前進翼に受け、その衝撃で頭を打ったでメッサーは気絶し墜落していく。他にもアラドやチャック、ハヤテにミラージュもドラケンⅢに一対二の形で追われている。

 

 それを見て蒼也は呼吸が荒くなり胸の鼓動が速くなるのを感じ手で抑えた。

 

「届けるんだ……僕の歌をみんなにッ……」

 

 蒼也も目を閉じて顔を下に向けながら呟くと胸に手を抑え段々と胸の鼓動が高鳴っていくのを感じ取る。すると蒼也のインカムにハリーからの通信が入る。

 

「ハリーさん?」

 

 蒼也は通信を繋げてハリーの話を聞くと目を大きく見開いて驚く。だか暫くすると落ち着きを取り戻しハリーに一言二言伝えると通信を切る。そして通信を切った蒼也は美雲の方に向いて近づいていく。

 

「美雲さん……」

 

「……何?」

 

 美雲は蒼也の声の質が変わったことに気付き緊張が走り、真剣な顔つきになる。しかし蒼也はニコリと笑って右手の親指を立てる。

 

「行ってきます」

 

 蒼也はそれだけ言うと割れたガラスの方を振り向き助走をつけて走り出す。

 

「飛べば飛べるーーー!!!」

 

 蒼也はそう叫びながら体から金色の光を放ち特設ステージを飛び出して発進カタパルトに降り立つ。

 

「えぇ?!」

 

「嘘!?」

 

「蒼也さん?!」

 

「蒼也くん!」

 

「蒼也………まさか?!」

 

 これにはワルキューレの面々も驚き手を伸ばして蒼也を掴まえようとするが空をかく。美雲も驚くがすぐに蒼也が次に取る行動を理解した。

 

 

 

『一度だけの恋なら』

 

「一度だけの恋なら~♪君の中で遊ぼう、我が儘なキスをしっよぉお~~♪」

 

 

 

 蒼也はアイテールの発進カタパルトから勢い良く飛び降り、服装が男性用シュトラールに切り替わっていく。

 

 

 

「メッサーさんッ!!、……ヒラヒラと、舞い散るこの花を~~♪」

 

 

 

 蒼也は歌いながら備え付けられている小型ロケットを使用して加速しメッサーの元に行く。

 

「?!……蒼也少尉」

 

 ミラージュは歌いながら落ちていく蒼也に気づく。

 

「飛んでる歌姫……」

 

「命懸けで……」

 

「歌を届けに……!!」

 

 蒼也の行動に火が付いたワルキューレは其々、(美雲は紫、フレイアは黄、カナメは赤、マキナはピンク、レイナは黄緑)光始めシュトラールへ切り替わり歌う姿勢を取る。

そして、蒼也の歌声はアイランド船にいる頭を抑え痛みを訴える市民に届き、痛みがひいた市民は再びモニターを見て驚愕する。

 

 

 

「誰にも、言えない……胸騒ぎ~~♪」

 

 

 

「あれって……」

 

「伝説の……歌姫」

 

「………飛んでる」

 

 そんな飛んでる蒼也を見て唖然としていた市民たちから次々と応援の声が上がり、やがては鳴り止まない歓声が響き渡る。

 

 

 

「「「届け~♪」」」

 

「壊れるまで~~♪」

 

 

 

 美雲たちも蒼也に負けんとばかりに歌に力を入れラグナの空に響かせる。

 

「皆!!……羽ばたくまで~~♪」

 

 蒼也も負けじと歌に力を入れ更に加速する。

 

 

 

「感じるまま……信じるまま……何もかも飛ばせ~♪GYUN! GYUN! GYUN!~~~♪」

 

 

 

「………!!この歌。蒼也?!」

 

「ッ届いた!!」

 

 目が覚めたメッサーはキャノピー越しから歌いながら落ちている蒼也を見て不意に笑みを溢す。

 

「ふっ、届いたぞ。お前の歌!!」

 

 その瞬間、メッサーは体と意識が別れ意識だけが大空を羽ばたくように錯覚する。それはメッサーだけではなくルンを持つウィンダミアの騎士たちも感じ取る。

 

「うぉ?!」

 

「う、うわーーーーーー?!!!」

 

 キースは体から意識が切り離され大空を浮遊し、ハインツは体から意識が切り離されると共に大空から落ちていく。

 

「ハインツ!?」

 

 グラミアはハインツの異変をルンで感じ取り、後ろを振り向く。更にはボーグやへルマンもメッサーと同様の感覚を味わって動揺してしまう。

 

「な、なんだ?」

 

「何が起こったと言うんだ?」

 

 一方でメッサーは体制を立て直している蒼也を回収しようとするが蒼也は首を横に振りあるジェスチャーをする。

 

「白騎士を倒してこい……」

 

 メッサーは蒼也のやっているジェスチャーを声に出して言うと頷く。

 

「………分かった、蒼也。お前も無事でいろ!」

 

 メッサーは機体を回転させながらガウォークからファイターへ切り替えてフットペダルを踏み込み、機体の出力を上げ加速しながら白騎士の元へ飛んでいく。

 

「さて、蒼也も飛んだ事だしお前も一緒に飛びたいだろ?」

 

 アイテールの貨物用出入口で準備をしていたハリーは空を落ちていく蒼也をモニターで見ながら巨大なコンテナに話し掛ける。そしてパネルを操作して貨物用出入口を開く。

 

「さぁ、お披露目の時間だ!行ってこい!!!」

 

 ハリーはそう言いながら手元にあるレバーを引く。すると射出機が起動して巨大なコンテナを押し出すようにアイテールの貨物用出入口を通って勢い良く外へ放り出す。

 

「何……あれ?」

 

 カナメはアイテールから放り出された巨大なコンテナに目を向ける。

 

「あれって……」

 

「間違いない」

 

 マキナは強制射出された巨大なコンテナに見覚えがあり、レイナもマキナの訴えに何の疑問も抱かずに頷く。

 

 

 

「言葉に、成らない焦燥感~~♪。来たッ!!」

 

 

 

 蒼也は落ちてくる巨大なコンテナに気づいて左手を伸ばす。

 

「来いッ!!!」

 

 蒼也が叫ぶとコンテナは展開していき中から出てきたのは以前のセンチネルダイバーではない物が姿を見せる。

 

 頭には四本の白いアンテナがあり、センチネルダイバーをDESTINY GUNDAMの設計図と掛け合わせ再構築した新たなボディアーマーとレッグアーマー。胸の中心にはクリアグリーンの装甲が付けられ、中から斜めに入った傷が見える。両肩には『スカイドライブユニット』が背中のブースターを通じて取り付けられている。更にはGNソードビットA,Bやロングライフルが両肩のドライブユニットに取り付けており、予め両手にはビームライフルを持っている。更に蒼也はセンチネルへDESTINY GUNDAMの意匠や機動性を組み込み、その力は以前のセンチネルダイバーを遥かに凌駕する。

 

 蒼也はコンテナと切り離され落ちてくるそれに近づき、胸のハッチを開いてコックピットへ乗り込む。

 

 そして操縦席に座った蒼也はパネルを操作して、次々とシステムを立ち上げていく。やがて全てのシステムを立ち上げるとモニターからある文字が浮かび上がり蒼也は静かに目を閉じて、ゆっくりと操縦桿を握り締め深く息を吸い込み、名を叫ぶ。

 

 その名も………

 

「『センチネルスカイ』飛翔する!!!」

 

 蒼也の言葉を合図にセンチネルスカイの二つのカメラアイが緑色に輝き出し起動する。スカイドライブユニットから緑の粒子が放出され背中のブースターの出力を上げて空高く飛翔する。

 

「あれは?!」

 

 空高く飛翔したセンチネルスカイを目にしたへルマンは口角を上げ操縦桿を強く握り締める。

 

「見つけたぞ、地球人!!」

 

 へルマンはそう言って機体の出力を最大限まで上げて大きく上昇した後、センチネルスカイのもとへ向かった。

 

 

 

「弾けるまま……煌めくまま……ハート撃ち抜いて~♪BAN! BAN! BAN!~~♪」

 

 

 

 そしてワルキューレの歌によりシグルバレンスを覆っていた次元断層を応用したバリア、『次元バリア』が消えていく。

 

「次元バリア消失!」

 

「くっ」

 

「ほぉ……」

 

 オペレーターの報告を聞いたグラミアはモニターに映るワルキューレを見て奥歯を噛み締めるがロイドだけは笑みを浮かべ感嘆の声を漏らした。その頃蒼也はセンチネルスカイを巧みに操作して次々とウィンダミア機を撃墜していく。

 

「これで……どうだ!!」

 

 蒼也は合図と共にセンチネルスカイの右手に持つビームライフルから高出力のビームを放つ。それはウィンダミア機の右翼に当り爆発、そのまま撃墜していく。

 

「これで、十八機目………。?!」

 

 蒼也はコックピットに流れた警告音を聞いて顔を上げる。無数の流れ弾がセンチネルスカイの頭上から降ってくるのを確認し、蒼也は咄嗟に操縦桿を操作して機体を後ろへ下げそれを躱していく。そうして一機のドラケンⅢがガウォークモードに変形してセンチネルスカイの前に止まると通信が届き蒼也はそれに出る。

 

『やはり、君はこんな攻撃じゃ落ちないか……地球人』

 

 蒼也は久しく聞いたその声に思わず笑みを溢す。

 

「えぇ、僕もそれなりに戦いへ参加したのでもう慣れっこですよ……ウィンダミア人」

 

 蒼也はそう言いながら目の前のモニターに映るドラケンⅢを見る。

 

「変わったな、その機体」

 

「えぇ、貴方も随分と腕を上げたようで」

 

「ははは、私も騎士だ。剣の修行をするのは当たり前だよ」

 

「えぇ、本当に油断も隙もない。だから手加減なしで行きます!」

 

「あぁ、私も今までの成果を君に見せよう!」

 

 蒼也とへルマンは操縦桿を強く握り笑みを溢しながら互いの機体を見つめ合う。

 

「「勝負!!」」

 

そう言って蒼也とへルマンは空高く上昇し激闘を始めた。

 

 一方、ワルキューレの歌がラグナの空に響いてヴァール化しかけたパイロットや市民たちを鎮静化させて正気に戻していく。

 

「おぉ!!」

 

「ワルキューレの歌が!!」

 

 アイランド船に避難した市民は頭を上げて感嘆の声を漏らしていく。そしてマクロスエリシオンが不時着した海からヘーメラーが突如浮上する。それを知ったシグルバレンスのオペレーターは急いでロイドへ報告する。

 

「敵艦浮上!!」

 

「何?!」

 

 ヘーメラーの浮上と共にマクロス・エリシオンも浮上し姿を現す。

 

「やるな、艦長」

 

 アラドは上空からエリシオンが無事と確認すると安堵した。そしてエリシオンは浮上と共にトランスフォーメーションを開始して強攻型へ姿を変えていく。

 

「行くぜ!グラミア!!!」

 

「邪魔はさせん!アーネスト!!!」

 

 アーネストとグラミアは互いに名を叫び合って右手を大きく振りかぶる。それと同時にグラミアの乗るシグルバレンスは攻撃システムを起動しエリシオンに照準を合わせる。

 

 一方、アーネストの乗るエリシオンは強攻型へ完全変形し、右腕であるヘーメラーを主砲へと切り替えてシグルバレンスに向ける。そして、シグルバレンスはエリシオンに向け高出力のビームを発射する。巨大な光芒は一直線にエリシオンへ伸びていく。

 

「甘いわぁあ!!!!」

 

 アーネストはそう叫びながらエリシオンの体制を低くさせ光芒の直撃を避ける。そしてエリシオンもヘーメラーに貯めた最高出力を誇る『マクロス・キャノン』を放つ。その光芒は雲を突き抜けてシグルバレンスのメインシステムへと伸びていく。

 

「本艦の防御システムが起動を確認!」

 

「!!……急いでメインシステムに防御を回せ!!」

 

 ロイドはオペレーターの報告により慌てて指示する。シグルバレンスはメインシステムにピンポイントバリアを張って守るがマクロス・キャノンはピンポイントバリアを破ってシグルバレンスのメインシステムに直撃する。その際グラミアのいる指令室には強い衝撃と爆煙が巻き起こる。

 

 

 

「一度だけの恋なら~♪君の中で遊ぼう~♪光より早くキスをしよ、待っててね~~♪」

 

 

 

 美雲は蒼也とへルマンの激闘を見ながら体から紫の光を強く放ち歌い続ける。その際美雲の右耳に着けているイヤリングが僅かに光出す。

 

「く、風が!!」

 

 今もへルマンと激闘を繰り広げている蒼也はへルマンの乗るドラケンⅢに後ろを取られ追われている。そしてへルマンは機体から無数の弾を発射したが蒼也は機体を回転しながら弾と弾の間をすり抜けていく。

 

「躱した?!」

 

 これにはへルマンも驚き追撃としてマイクロミサイルを発射する。しかし蒼也は両手に持つビームライフルを使いながら破壊してへルマンの後ろに着く。

 

「この感じ…!!」

 

 蒼也がそう呟くと片耳に着けているイヤリングが光始め、瞳の色が金色から赤色へと変色していく。それと同時にセンチネルスカイは機体を赤く染め上げスカイドライブユニットが上下に展開して赤い粒子が大量に放出される。

 

「ふっ、さらに前へ進んだか……地球人!」

 

 へルマンはルンを最高潮に輝かせ、フットペダルを踏み込んで機体を加速させる。しかし蒼也もへルマンを逃がさないと言わんばかりにセンチネルスカイを加速させその後を追っていく。それを離れて見ていたミラージュは唖然としつつも見てた。

 

「蒼也少尉の動きが一段と変わった……。ワルキューレの……美雲さんの歌があるから」

 

 そう言ってミラージュはアイテールにいる美雲の方を向いた。

 

 

 

 

「君の夢で踊ろう、空より大きく抱き締めて~~♪ぎゅっとして~~♪」

 

 

 

 ワルキューレの歌が響く中で、蒼也とへルマンの攻防戦は死闘を繰り広げ、その激しさを増した。互いの機体がクロスオーバーする事に、二人の潜在能力が高まっていく。へルマンと蒼也は互いが隣に並び立つと急停止する。ガウォークモードに変形したへルマンの乗るドラケンⅢはビームガンボットを構え、蒼也の乗るセンチネルスカイはビームライフルを構えてエネルギーをチャージする。

 

「「うおぉおぉぉぉーーーーーーー!!!!!!!」」

 

 蒼也とへルマンは叫びながら操縦桿の引き金を引いてチャージされた高出力ビームを発射、互いの光芒は其々構えていた武器に当り爆散した。

 

「くっ、うぁああーーー!!」

 

 蒼也は爆発の衝撃を耐えて雄叫びを上げながら操縦桿を操作し、センチネルスカイが左手に持つビームライフルを構えて撃つ。その一撃はドラケンⅢのキャノピーの一部に直撃、爆発してへルマンもその爆発に巻き込まれた。

 

 そうしてへルマンの乗るドラケンⅢはキャノピーから煙を上げながら墜落していった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 へルマンとの戦いに勝利した蒼也は息を切らせていると赤く変色していた瞳が金色に戻った。そしてアラドの撤退の指示を受けて蒼也は機体を上昇させて大気圏を抜けていく。

 

 

 

 アイランド船やその他の空母と共に大気圏を抜けたエリシオンは巨大空母へと変形してその後アイテールとドッキングした。

 

「追撃機、反応ありません」

 

「直掩のΔを除き、航空機の収容完了しました」

 

「宜しい、全軍撤退!緊急フォールド、スタンバイ!!」

 

 アーネストが生き残った防御艦隊に指示を送ると彼らはフォールドする準備を取り掛かる。一方、Δ小隊はアイテールの発進カタパルトを縦一列に並んで収容を行っていた。その際メッサー、ミラージュ、蒼也は顔を後ろに向けて離れていくラグナを見つめる。

 

「ラグナ……」

 

「私たちの青い星……」

 

 ハヤテとミラージュは離れていくラグナを見て悔しさを胸に抱きながら言う。

 

「必ず……戻ってきます」

 

 蒼也はコックピットから、遠ざかっていくラグナを見ながら約束を立てていく。そうしてアイランド船やマクロスエリシオン及び、各空母はフォールドゲートを開き、ラグナを残して何処か遠く離れた宇宙へ避難した。

 

 

 

 

 

 

 

 その数時間後、グラミアの死亡を確認しロイドが変わって指揮をとり絶対制風圏の確立を宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 吹雪が荒れ狂う雪山の小さな洞窟、水が凍って氷柱を作りそこから滴る水の音、そこは誰も立ち入ることのない場所。しかし、そこに一つの足音が鳴り響く。それは雪山に見合わぬ薄手のワンピースを着て白銀の髪をした少女の足音だった。

 

「………時は満ちた」

 

 少女はそう言いながらも歩くのをやめない。少しして開けた場所に出ると少女は足を止め顔を上げて手を目一杯伸ばす。

 

「この時をどれだけ待ったことか………」

 

 

そう言って少女はポケットから()()を出してそれを見るとうっすらと笑みを作り、写真を撫でる。

 

「私は今度こそ……この手で宇宙(せかい)を破壊する……」

 

「……そう、どんなことをしてでも」

 

 少女は静かに笑い出す。その笑い声は氷柱から落ちる雫の音と共に静かにゆっくりと響き渡っていった。

 




これで第一部は終了です。さて、次回は第二部です!!

この少女は一体誰何でしょうかね~(白目)

という訳で次回もお楽しみに!!

次回  No.14-1 漂流エンブレンシング

     ~物語は飛翔し空高く舞い上がる~
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