旋律は風に乗り、翼と共に銀河を翔る   作:新郷遊佐海

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どうも、ビビビビットンです。今回後半、ちょっと書き方を変えてみました。読みにくかったらごめんなさい。それでも楽しんで頂けたら幸いです。


それではどうぞ


No.02-3 覚悟のオーディション

 美雲と同棲を始めて早数日。

 

 カーテンの隙間から差し込んできた日の光に浴びて、蒼也は静かに目を覚ました。

 

 蒼也は、ベッドから立ち上がってクローゼットの方に向かい、取っ手に手を掛けて扉を開ける。するとそこには数着、ハンガーに掛けられたケイオスの制服があった。

 

 寝間着を脱ぎ、ケイオスの制服を着ると、顔を洗うため一階の洗面所に向かう。顔を洗い終わると、袖を巻くって朝食の準備に入った。

 

 今日の朝食は、焼かれたトーストにスクランブルエッグ、ベーコンにサラダと何処にでもある普通の朝食だった。それを次々と調理し皿に盛り付けていく。

 

 それが終わればテーブルの上に、対になるよう並べる。

 

「良しッ!」

 

 蒼也はテーブルに置かれた朝食を見て、今日も良い出来だと喜びに浸っていると、リビングの出入口の開く音が鳴る。蒼也はそちらに顔を向けると、寝間着を着た美雲がいた。

 

「おはよう。蒼也」

 

「おはようございます。美雲さん」

 

 美雲は挨拶すると席に座り、蒼也も反対の席に座った。テーブルの上には、綺麗に置かれた朝食を一緒に朝食をとり始めた。

 

「今日は洋風の朝食にしてみました。召し上がれ」

 

「ええ、頂きます」

 

 美雲はそう言って、フォークを手に持ってスクランブルエッグを掬い上げ、口に運ぶ。ミルクの甘い香りが、柔らかな卵の風味を引き立てて、後から追ってるバターの風味と調合し絶妙なハーモニーを醸し出ていく。

 

「美味しい……」

 

 スクランブルエッグを食べた美雲は口は僅かに緩ませる。蒼也もそれを見て、笑みを浮かべ喜んだ。

 

「お口に合ったようで、何よりです」

 

「ええ。昨日の朝食のワショク(和食)も美味しかったけど、こっちも負けず劣らず美味しいわ」

 

 瞳を輝かせながら喋る美雲に、蒼也は次はどんな料理で彼女を喜ばせようかアイディアを浮かべていくのだった。

 

 そんなこんなで二人は朝食を済ませ、食べ終えた食器を台所に移していく。美雲も手伝おうとするが蒼也がそれを止めた。

 

「時間もありませんし、洗い物は僕がやっておくので、美雲さんは着替えてきて良いですよ」

 

「それもそうね。それじゃあ、お言葉に甘えるわ」

 

 美雲はそう言って部屋へ戻り、蒼也は進言通り汚れた食器を洗い始めた。

 

 食器を洗い終わった蒼也は荷物を纏めるために自室に戻った。重要書類データが入ったタブレットとパソコンを鞄にしまい、それを背負うと、センチネルの待機状態である指輪を左手の中指に嵌める。そのあと机の上に置いていたイヤリングを着けると蒼也は自室を後にした。 

 

 自室を出た蒼也は階段を降りていくと、玄関先に、ケイオスの制服に着替えた美雲が、待っていた。

 

「行きしょう、蒼也」

 

「はい」

 

 このように二人の会話は極めて少ないが、本当に彼らが同棲を始めて数日しか経っていないのかと、疑ってしまうほど親しんでいるのだ。

 

 それはさておき、二人は靴を履き玄関の外に出た。蒼也は後ろに振り返ると扉を閉めると鍵を掛け、側で待っていた美雲と共に歩き出した。

 

 *

 

 エリシオンに向かう道中。蒼也と美雲は二人並んでバレッタシティを歩いていた。蒼也はいつもより周りが騒がしいことに気が付き、美雲に聞いてみた。

 

「美雲さん、今日は何かお祭りがあるんですか?」

 

「今日はワルキューレ新メンバーオーディションがあるのよ。そのせいかしらね」

 

「……なるほど」

 

 美雲がそう答え、蒼也は納得するとあることを思い出す。

 

(確か、フレイア・ヴィオンさんとハヤテ・インメルマンくんがここで加入してくるんだったよね)

 

 蒼也のマクロスΔの知識はほぼ覚えていない。否。覚えていないのではなく。()()()()()()()()()()()。蒼也はアル・シャハルでそんな素振りを見せていなかったが、原作知識は美雲に関しての知識。最初の一、二話の内容。マクロスΔに出てきた全ての曲。そのくらいしか無かったのだ。

 

「美雲さんは気になる子はいたんですか?」

 

「そうね………カナメから聞いたのだけど、貴方と同じくらいの生体フォールド波を持った子がいると聞いているわ。気になるとしたらそれくらいかしらね」

 

 そんな会話をしながらエリシオン行きのモノレールに乗り、やがてモノレールはエリシオンに到着した。

 

「それじゃあ僕はここで失礼します」

 

「ええ、またお昼に食堂で会いましょう」

 

 そう言葉を交わした二人はモノレールを降りて、美雲はレッスンルームへ、蒼也は作業場へ、それぞれ向かった。

 

 *

 

 その頃、バレッタシティでは黄色がかった茶髪のショートボブにピンクのルンを生やした少女が歓喜していた。

 

「ここがラグナ星!…………キラキラした音がいっぱい♪」

 

 茶髪の少女はラグナ星に着いたことを喜ぶと目を閉じ耳に手を当て色んな音を聞いていた。

 

「ぶぇっくしゅん!!」

 

 茶髪の少女は後ろから、突然大きな声でくしぁみをする青髪の青年に驚き、少女は振り向く。

 

「びっくりした……いきなり大きな声出さんでよ、ハヤテ!」

 

 ハヤテと呼ばれている青髪の青年は、茶髪の少女に文句を言われ、理由を説明しようとした。

 

「って言ってもよ、フレイア。ここ猫が多くてくしぁみとまんねーんだよ……ぶぇっくしゅん!!」

 

フレイアと呼ばれている茶髪の少女は「全く……」と呆れていた。 

 

 そもそもフレイアとハヤテの出会いは、フレイアが輸送船で密航し船員に追い詰められた所をハヤテが助けた所から始まったのだ。

 

 追っ手から逃げ延びた二人は、アル・シャハルで起こったヴァール暴動に巻き込まれ、なんとか助かって、窮地に一生を得たのだ。

 

 そしてフレイアは後に、輸送機に乗る美雲たちへワルキューレ新メンバーオーディションを受けることを宣言し、美雲たちの帰る様子を見ていた。そのあとはハヤテが輸送船に伝があると言い、フレイアと共にラグナまで飛んできて、今の状況に至るのだ。

 

「もー、ちんたらしとったら、オーディション受けられんかも知れないんよ!早く早くー!!」

 

「お、おい!待てよフレイアー!」

 

 いつの間にか遠い所にいたフレイアは手を振りながら呼び掛け、ハヤテは急いでフレイアの元に走っていった。フレイアはその道中、ハヤテからラグナ星の説明を受けながら、バレッタシティを観光しつつエリシオンに向かっていった。

 

 *

 

 エリシオンでは仕事を終え、昼休憩に入った蒼也と美雲は食堂に行き、二人で昼食をとりながら休息をとっていた。

 

「お疲れさまです、美雲さん。オーディションの準備は整ってますか?」

 

「そうね、あとはオーディション参加者に生体フォールド波を検査する腕輪を二つずつ渡せば完璧よ」

 

「順調なら良かった。何かあれば僕に言ってください。お手伝いしますから。それで話は変わりますけど美雲さん。夕飯飯は何がいいですか?」

 

 蒼也は美雲に晩御飯は何がいいか尋ね、美雲は少し考えると答えた。

 

「そうね………パスタ、かしら」

 

「パスタですか。ん~……そうですね……。ラグナは魚介類が豊富なので、魚介パスタ何てどうでしょう」

 

「いいわね、それにしましょう」

 

 それから蒼也は美雲との会話が弾み、しばらく話は続いた。その光景を見ていた周りの反応は、

 

((((((夫婦か!!!))))))

 

 と全員心の中で突っ込まずにはいられなかったのであった。

 

 昼食を食べ終え、蒼也と美雲はそれぞれの持ち場に戻り、仕事を始めた。

 

 蒼也の仕事はアイテールでセンチネルの整備と新装備の設計と開発をしていた。センチネルの整備を終わらせると指輪に戻し、続いてパソコンを開き、センチネルに合う新装備の設計を始めた。

 

 

蒼也が新兵器の設計を始めた同時刻、フレイアとハヤテはエリシオンに到着しオーディション受付に来ていた。

 

「ホゥエーーーーーーオーディション受けられんて、どう言うこったね!!!!」

 

 広場中に響くフレイアの声。

 

「ですから、今日は最終選考でして」

 

「予選を通過した方でないと」

 

 フレイアの質問に二人の受付嬢が答える。

 

「予選?………!?はぅあ~~~~」

 

 フレイアは受付嬢にそう言われ手に持っているチラシを見ると膝から崩れそうになっていた。それを隣で見ていたハヤテは「マジかよ……」と呆れながら突っ込んでいた。

 

「貴方たちは……」

 

「へ~、こいつが例のダンスしてたって言う?」

 

 フレイアの声を聞き付けたミラージュとチャックがやって来た。

 

「まさか、私に苦情を言うために?」

 

「はっ、自意識過剰」

 

 ミラージュは、ハヤテにそう言われて怒りを露にしたが、泣きわめくフレイアに抱きつかれ、オーディションを受けさせてくれとせがまれてどういう状況か理解できず、困惑し始めた。その様子を監視室のモニターから見ていたアラドとカナメは呆れながら見ていた。

 

「オーディション規定ラインは?」

 

「十分なくらい届いています」

 

「はぁ………ったく」

 

アラドは、フレイアのオーディション参加を認めるよう伝えると、カナメは苦笑いしながらもう一人の受付嬢に伝えた。

 

「はい、はい、分かりました。あっ、あの~オーディション参加が特別に許可がおりました。参加してもいいとのことです。」

 

「ほっ、本当かね~……」

 

フレイアは安心のあまり膝から崩れ落ちミラージュがそれを支えた。

 

「それと、ハヤテ・インメルマンさん?Δ小隊隊長アラド・メルダースさんがお呼びだそうです」

 

「隊長が?」

 

「俺に?」

 

 ミラージュとハヤテが続けて言い放った。

 

 そのあとフレイアは会場へ、ハヤテは受付嬢とアラドの元に向かっていった

 

 フレイアはオーディション会場に着き、動きやすい服に着替え説明を受けてから個室に入りマイクに向かって歌った。

 

「♪~~」

 

 フレイアの歌声は生体フォールド波は異様なまでに高く美雲や蒼也に匹敵するとまで言われていた。

 

 オーディションで信じられないほどの生体フォールド波を出したフレイアはカナメとアーネストの面接を受けていた。

 

「貴方はウィンダミア人ですね」

 

「はっ、はい」

 

「ウィンダミアは独立戦争以降、人の出入りに厳しくなっている。それに地球文化にも厳しい」

 

「ワルキューレに入ったら、故郷に帰れなくなるかもしれませんよ?」

 

「それでも!私はワルキューレになりたいんです!」

 

フレイアは覚悟を示し、面接は終わった。しばらくしてオーディション参加者が全員集められカナメから合格発表を言い渡された。

 

「第3回ワルキューレオーディション合格者は……フレイア・ヴィオン!」

 

「!?」

 

 フレイアは嬉しさの余りにその場で立ち上がる。周りからは盛大な拍手が送られている。

 

「おめでとう、フレイア」

 

「あっ、ありがとうございます!」

 

 カナメと泣いているフレイアは互いに握手をしてオーディションは終了した。

 

 

 一方、ワルキューレ新メンバーオーディション結果発表が言い渡された同時刻、蒼也は未だにセンチネルの新装備を設計していた。

 

「ん~~、やっぱり新しく装備を作るとなるともう少し実戦データがほし「ピピピピッ」……?誰だろう」

 

 蒼也のウミネコ型テレフォンが鳴り、確認するとアラドからの連絡であった。

 

「アラドさんからだ何だろう?………はい、蒼也です」

 

「おぉ、蒼也。すまんがそっちにハヤテ・インメルマンって奴が来ると思うから、足止めしてもらっていいか?」

 

「分かりました。ハヤテ・インメルマンですね。きた「俺を呼んだか?」…丁度良い所に彼が来ましたよ、急いで来てください」

 

 蒼也はそう言ってテレフォンの通話を切断し後ろを向いた。

 

「こんにちは、ハヤテ・インメルマンくん。アラドさんから足止めをするように言われました。Δ小隊メンバー・コールサインは『ガーディアン』。階級は准尉。音波 蒼也と言います」

 

「そえかよ。別に逃げてる訳じゃないから、俺はここにいるよ」

 

「そうですか。ここじゃあ狭いでしょう。一緒に発進カタパルトに行きませんか?」

 

 蒼也がそう言うと、ハヤテは無言で頷いて二人は甲板に出た。

 

「気持ちいいでしょ?僕、ここの風。結構好きなんですよ」

 

「確かにな。……なぁ、あんた飛んだことあるのか?」

 

「えぇ、ありますよアル・シャハルの空で」

 

「そうか、あんたは空を……飛んでどうだった?」

 

「最高でした。自分の愛機に乗れて。憧れの人と一緒に歌えて。そして、この自由な空で飛べて」

 

 蒼也は左手を天高く上げ目を輝かせて言った。

 

「自由な空……」

 

 ハヤテはそう言って歩き出し、甲板のギリギリまで近づき、端を歩いていた。

 

「や~、すまん。蒼也足止めさせちまって…………おいおい、なにやってやがる」

 

 漸く到着したアラドは、ハヤテを見てやめさせようとしたが蒼也がそれを止めた。ハヤテは立ち止まり絶壁に背を向けた。少しすると風が強くなりハヤテはジャンプする

 

「こいつ!?」

 

「へぇ……」

 

 アラドは驚いていたが、蒼也はニヤリと笑っていた。ハヤテは風に乗り、そのまま背中を押されながら、立ち止まっていた場所に戻った。

 

「アラドさん、飛ぶことは好きですか?」

 

 アラドは蒼也の言葉に笑みを浮かべて答えた。

 

「ああ」

 

 アラドがそう答えると、蒼也はハヤテの隣に立って下を眺める。

 

「見てください、ハヤテくん」

 

 

 蒼也に言われて、ハヤテは振り返ると同じように下を眺める。

 

「落ちれば死ぬ、命がけです。それでも、飛び立つ.......それが、風を感じた者の宿命です。後は君次第。飛ぶか、飛ばないか。命を懸ける、覚悟があるか」

 

「……」

 

 蒼也はそう言って一機のVF-31が上昇していくのを眺めていた。ハヤテも蒼也の言葉に背を押されて決意する。

 

 そしてハヤテは後ろに向くとVF-31Cに近づき、機体の一部に手を添える。

 

「軍隊は嫌いだ」

 

「…俺もだ」

 

 ハヤテは軍隊が嫌いと言い、アラドは同意する。

 

「人に指図されるもの………。だから、好きにやらせてもらう」

 

「ご自由に」

 

 ハヤテの言い分にアラドは目を閉じて、腕を組んで了承した。蒼也も呆れているのか薄ら笑いを浮かべている。そんなことはお構い無しにハヤテはVF-31Cを眺めていた。

 

「俺はこいつで空を──」

 

 ハヤテがその続きの言葉を言おうとした瞬間。

 

「離れろ!!」

 

 いつの間にかVF-31Cの後ろにいたミラージュが怒鳴りながら、ハヤテを睨んでいた。

 

「私の機体に………触るなッ!!」




はい、と言うわけで以上で覚悟のオーディションは終わりです。まだまだ続きますのでよろしくお願いします。



次回  No.03-1 光のドックファイト
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