『もしも私があの空に飛びたてたなら』   作:黑羽焔

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番外編という事で少しばかり未来の話を……

2020/2/28 誤字などを一部修正
2020/2/29 地の文等のの修正および追加


番外編
番外編1話『ある日の都内某所のカフェにて』


―――― 西暦2026年4月18日

 

「「「「「「それがレンとフカ次郎との出会いなんですね!」」」」」」

 

「そ、そうなのよ…」

「「あはは……」」

 

 世間では土日の休みに入った頃。台東区御徒町の裏通りにあるカフェ【DiceyCafe】、その日は【本日貸切】という木札が掛けられ、店には10代の主に女子が集まっていた。

 

 この店で現在開催されているのはVRMMOをプレイし、ゲーム内で知り合ったフレンドがリアルで集まって会話などを楽しむ。俗にいうオフ会である。ここの集まった一同はゲーム毎に異なるが全員プレイヤーの立場だ。

 

 そのオフ会の参加者であるALOプレイヤーである桐ケ谷直葉(リーファ)綾野珪子(シリカ)篠崎里香(リズベット)は自分たちよりも小さな女子学生6人が一斉に食らいついていた。

 

「SJ1でプロの自衛隊チーム相手に」

「瞬殺という凄技を見せたレンも」

「VRMMOを始めたころは初々しかったんですね」

 

「その無双も、SJ2でグレネード無双を見せた」

「フカお姉さまの」

「導きの賜物だったんですね」

 

「お、お姉さま!?」

 

 ALOデビュー当初のレンとフカ次郎のを聞く小さな女子学生6人、こう見えてもお嬢様学校へと通う直葉たちと同じ女子高生なのである。6人の盛り上がりに直葉たちはたじたじとなるしかなかった。

 

「なんともまあ、女子が集まれば姦しいと言うか」

「くぅ~眼福眼福」

 

「……若いっていいわねぇ……」

「ですなぁ、アスナさんや」

「……あなたたちもそう歳変わらんでしょ」

『そうですよ。パパやママも十分若いですよ』

 

 そんなやり取りをカウンター側の席にいた一同がそれぞれ呟く。壷井遼太郎(クライン)が感慨にふけっている間にカウンター側の内側いるこの店の店主であるエギルが空になったグラスを下げ、桐ヶ谷和人(キリト)結城明日奈(アスナ)とのやり取りに朝田詩乃(シノン)がツッコミを入れる。

 

 カウンターの上には端末が置かれており人工知能でありながらキリトとアスナの娘のような存在である『ユイ』が画面に映っている。

 

「スグには悪いけど当事者じゃなくて良かったと思えるよ」

 

「コミュ障のキリトじゃあ、あの子たちの相手は無理ね」

 

「シノンのおっしゃる通りで」

 

 和人は頭が上がらない様子で項垂れカウンターに突っ伏した。

 

「あの子たちもシノのんと同じGGOプレイヤーなんだね」

 

 詩乃と女子学生6人は『GunGale online(ガンゲイル・オンライン)』といわれるVRMMORPGをメインに活動しているプレイヤーで、詩乃は和人がある事情で参加した大会にて知り合い、女子学生6人はスコードロンというチームを組んで活動しているが今はここにいないプレイヤーに知り合って、本日初顔合わせのためにこのオフ会に参加した。

 

「そうね。実際に顔を合わせたのはレンとフカ次郎がコンビを組んで参加したSJ2の少し前だけど。教えてくれなきゃあのアバターと同じ子とは思えないわね」

 

『どういうことなのでしょうか?』

 

「こういうことよ」

 

 詩乃は明日奈とユイにスマートフォンの画像を見せる。その画像には6人の女性と思わしきアバターが映っており、三つ編みの女子プロレスラーのようなゴツい体躯をもった大女・ファンタジー世界でいうドワーフのようないかつい出で立ち・緑のニットキャップを被った軍人風・強そうなお母さん・海外の女優のような見た目・狐のような切れ目の銀髪、等々一言で言えば『怖くて強そう』と思える特徴を6人はもっていた。

 

「シノのん、このアバターってもしかして?」

 

「明日奈のお察しの通り、あの子たちのよ」

 

『え、えぇー! このアバターがあの子たちなんですか!』

 

「こういうのよくあるんだよ」

 

『……現実世界は奥が深いんですね』

 

 驚きの声をあげるユイ。和人からMMOではよくある事と教えられるも、電子の海に生きてきた彼女は未だに信じれない様子でアバターの画像とリアルの彼女たちの姿を何度も見て気になった事を和人に訊ねる。

 

「そういや、あのJK組と会うことになっていたレンちゃんとフカ次郎ちゃん。あの子たちも俺たちのオフ会に参加するの今回からだろ。少し遅くないか?」

 

「レンから時間ギリギリの到着になりそうって来てた。もう少しじゃないか?」

 

 一方で、蚊帳の外になっていた遼太郎がカウンターでグラスを拭いているエギルがそうぼやいていた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「と~ちゃく! この店のようだね"コヒー"」

 

 オフ会のメンバー一同がレンとフカ次郎の話題へ移った頃、ダイシーカフェがある路地通りに2人の女性が現れた。1人目は茶のセミロングに、赤いフレームの眼鏡、身長は165センチと中々の体躯をもっている。本人は気分でちょくちょく髪型を変えるが、今はこのウェーブのかかったセミロングがお気に入りのようだ。

 

「そうだね"美優"。……美優が盛大に寝坊しなければもっと余裕もって着いたけど……」

 

 2人目は黒のショートに、"美優"と呼んだ女性よりもさらに大きな身長183センチの巨躯。しかし、モデルのような理想的な体系で、本人はあまり着飾ざることはしないが、着飾ってしまえば男性なら思わず振り向いてしまいそうな容姿を持っているのを本人は知らない。

 

 2人は親友の間柄であるが現在【DiceyCafe】にて行われているVRMMOのオフ会の参加者で、店内のメンバーが話していた"レン"と"フカ次郎"のリアルの姿である。

 

 これまでALOというゲームを親友"フカ次郎"と一緒にプレイしている"レン"であったが、ゲームと経ての数奇な出会いと紆余曲折を経てGGOというゲームをプレイすることになり、同ゲームで開催されている大会にも参加することになった。

 

 その第2回目大会にて"フカ次郎"と共に、曰くあるプレイヤーの生死を賭けるような戦いを繰り広げ、その発端となった対戦相手側のプレイヤー達からの申し出によりリアルで会う事となった。

 

 しかし、日時と待ち合わせ場所だけ伝えられた"レン"は少し心配になり"フカ次郎"へと相談。彼女は「可愛いグレネーダーがついて行ってやる。東京までの足代を出してくれてもいいのよ」と先方に伝えたところ、あっさりとOKが出て往復チケットの引き換え番号がメールで送られてきたことによって、"フカ次郎"の上京が決定。昨日の夜東京へとやってきた。

 

 お誘いしてくれた死闘を演じたGGOプレイヤーとの約束は日曜日だが、申し出のあった同日にALOにて一緒に遊んでいる子からもこんなメールが来た。

 

『4月18日の土曜日みんなで集まるんだけど、よければレンも来ませんか?』

 

 内容はオフ会の誘いで、先方との約束は日曜日で被ることはありません。二人はどうしようかと考えましたが、

 

『こういう機会はそうそうないんだし、せっかくだし行っちゃおうか』

 

 "フカ次郎"のちょっとばかり軽い?は置いといて、長らく画面の向こう側で遊ぶ子たちの事に少しばかり興味をもった"レン"も"フカ次郎"に押される形で参加する方向に決めました。そうしたら、

 

『……あ、あの子たちのおもてなしどうしよう』

『う~ん…、せっかくだし。あの子たちも誘うっちゃおう』

『えっと、さすがに迷惑じゃないかしら』

 

 "レン"はGGOにて1回目の大会で死闘を演じ、2回目は目的のため協力関係となったプレイヤー達のことを思い出しました。実はリアルにて、"レン"が通う都内某女子大学の敷地内でそのプレイヤー達とばったり出会い、今では交流する間柄となった彼女たちを土曜日におもてなしをする予定でした。

 

 その対案として出したフカ次郎の少し図々しいアイデアに、レンもこれは遠慮されるんだろうなあっと、ALOメンバーにメールで聞いてみたところ

 

『SJ1のラストで死闘演じた相手だよね。レンの知り合いだったんだね』

 

 少しばかりリアルの事もかいつまんで話すこととなりましたが、

 

『会場予定のマスターさんに聞いたらいいって』

 

 まさかのOKが出てしまい、

 

『お茶会がオフ会ですか。わぁ! 迷惑じゃなければ私たちも参加したいです』

 

 とお誘いの相手からもまさかの快諾でトントン拍子と事が運んでしまったのである。

 

「ほいじゃ、あの子たちも先に着いているようだし入っちゃおうか。コヒー、初のオフ会だけど」

 

「わかってる。基本はキャラネームで呼び合うんだよね」

 

 二人は一緒に店のドアを押し開いた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 店内に響くベル音に店内にいた一同の話は静まり、一同の視線が店の入り口であるドア方面に集まる。そこに黒髪の長身女性と茶髪の女性がいた。

 

「いらっしゃい! お客様、本日は貸切なんですが」

 

「あ……、ここでVRMMOの集まりがあって」

「私達はその参加者なんです」

 

 この店のマスターであるエギルの浅黒い肌の長身に少し驚きつつも参加者であると伝えた黒髪の女性はテーブルにいた女子学生の姿に気づく。女子学生6人組もこちら側に気づき微笑み小さく手を振ってくれた。

 

「そうでしたか。それじゃ確認と自己紹介のためにキャラネームを……」

 

「あ、待ってエギル。残り2人だし、私たちが当ててみるから」

 

 エギルという人物を制して里香が代表して立ち上がる。里香は二人を一瞥すると茶髪の女性に声をかけた。

 

「もしかして……あなたが"フカ次郎"?」

 

「イエース! 私が"フカ次郎"こと『篠原 美優』。北海道に通う大学生で~す」

 

「あぁ、やっぱり」

 

 ポーズを決める美優。VRMMOの世界では"フカ次郎"と呼ばれる彼女に店内にいたみんなは「あー、やっぱりか」などと感想を漏らす。フカ次郎のALOでのアバターはリアルの姿に近く、髪型を金のロングのストレートにしたくらいで、その容姿からすぐに見抜かれたようだ。

 

「で、こっちの方は」

 

 来訪した女性の一人が"フカ次郎"で、残る参加者は"レン"だけだが彼女のアバターは150cmも満たない小柄で華奢な体系の少女。

 

 里香の目の前には長身の女性が立っている。

 

「で……残りの参加者は1人だけなんだけど。あなたは?」

 

「え…えっと」

 

 一同の視線が黒髪の女性に注がれる。しどろもどろする黒髪の女性であったが、

 

「大丈夫。私がフォローするからさ、それにあの子たちもいるんでしょ」

 

 美優に促され、「うん」と擦れたような声で答える黒髪の女性は里香に携帯端末を差し出した。

 

「"レン"!? だけどこれって」

 

 携帯端末にはゲーム内で取ったと思われるスクリーンショットが2枚あった。そのスクショには共に150センチに満たない華奢な少女が映っており、1枚目はくすんだグリーンアッシュの髪色で弓矢を携えた妖精のような風貌、2枚目やや濃いボーイッシュカットの茶髪に長さが50センチほどの長方形の箱をえぐったような銃を携えた少年兵のような風貌でした。

 

「こっちはALOで、こっちのはGGOでのレンのアバターだよ」

 

 里香の動揺に思わず立ち上がり、一緒に携帯端末の画像を見る直葉と珪子。スクショの撮り方的に遠くや隠れて撮ったものではなく、自撮りで撮ったような視点であると思われる。

 

 長身の女性は一同に深々と頭を下げると、意を決して声をあげる。

 

「……初めまして。私、『小比類巻 香蓮』と言います。その…こんななりでイメージとかけ離れているかもですが、ALOとGGOというゲームで"レン"というアバターでプレイしているプレイヤーです。美優、フカ次郎とはVRゲームの師匠で私の親友です!

 

……って、あれ?」

 

 緊張しながらも自己紹介をし頭を下げる香蓮。しかし、静まり返ったのに気づき、自己紹介を打ち止めた。困惑した表情で店内の一同を一瞥すると、

 

「「「え、え。えええぇぇぇぇぇーーーー!!!」」」

 

 目が点となっていた直葉・珪子・里香であったが、数瞬の後に、我を取り戻すと驚きの声をあげ、

 

「あ、あの子が噂のレンちゃん!!!」

「落ち着け!」

「グボァ!」

 

 遼太郎は明らかに取り乱したような様子だったのをエギルが物理的にシャットダウンし、

 

『パパ、ママ。これもMMOあるあるなのでしょうか?』

「えっと…それは」

「……あるあるだけど、ここまでのを見るのは俺も初めてだわ……」

 

 ユイの純粋な疑問に和人と明日奈はただ苦笑いを浮かべるしかなく、

 

「やれやれね……」

「ですね」

 

 そんな惨状の中、詩乃はやれやれという感じで見ていた。こうなるのをまるで知っていたかのように振舞えるのは、GGO内にて"SHINC"というスコードロンを組む子たちからレンのリアルの情報を障りだけ聞いていたのだ。

 

「あ、え? えっと…、やらかした?」

「やらかしたね。鮮烈なレンのリアルデビューって意味でさ」

 

 ぼやくレンに決まったねとびしっと親指を立てるフカ次郎。香蓮の顔はみるみるうちに真っ赤になり、恥ずかしさのあまり顔を抑えた。

 

「……せっかく勇気を振り絞ったのに、恥ずかしいよぉ……」




ある意味、スピンオフと原作を繋げてしまった話でもある。女子学生ですが、お察しの通りSHINCのあの子たちです

以下、構成内容の変更
3話にてフカ次郎の過去話を入れる…とありましたが、いざ構成してみたところ章単位になるほどの長さになってしまったので本編のために分けようかと考えている次第です。

続編用アンケート:ユウキに関して

  • 原作筋語りのみ
  • 原作+フカ次郎→レンとのガチデュエル
  • ゲーム版設定入りでもいいから本作品参加
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