「フィーネの狙いが分かり、私こと風鳴翼と立花響は現場へと向かった!」
「街にはたくさんのノイズが現れて大パニック。でも翼さんとの連携で次々とノイズを撃破し遂にリディアン音楽院に辿り着いたんだけど…そこで観たものは…」
「おいおい、オレが主人公なのに出番は無いのか?」
「「「どうなる第10話!?」」」
私立リディアン音楽院。
立花響と風鳴翼が駆けつけた時には校舎があった筈のソコに禍々しい塔が聳え立っていた。
カ・ディンギル
フィーネが櫻井了子という人物を隠れ蓑に密かに建造した人類をバラルの呪詛より解き放つ為の荷電粒子砲。
デュランダルを炉心としその高出力なエネルギーで月を穿つという末恐ろしい建造物。
そしてシンフォギアを纏った2人とフィーネ、カ・ディンギルを遮るようにノイズの大群とスマッシュ複数体が蠢いている現状は最終決戦という言葉が似つかわしい光景に至る。
「エボルトめ。何のつもりだ?スマッシュを差し向けてくるとは…まぁいい、せいぜい使わせてもらうっ」
鞭で地面を打つ音と共にノイズとスマッシュの波がシンフォギア装者へ押し寄せるが今更ノイズに遅れを取る2人ではない。
響が飛び込み拳を突き出すと全開まで引き上げたアームパーツが煙を上げながら一気に拳へと戻り大砲を打ったかのような轟音と共に衝撃波が放たれノイズはアリの子を散らすが如く吹き飛び、そのカラダは炭化して風に乗り消えていく。
ノイズの波が一つの拳によって割かれ、まるで十戒のように現れた道を風鳴翼は疾風怒涛、その身を走らせフィーネとの間に立ち塞がるスマッシュ目掛けていく。
ここで一つ、嬉しい誤算があった。
忍者! コミック!
ベストマッチ!
Are you ready?
忍びのエンターテイナー!
ニンニンコミック!
イェーイ!
「勝利の法則は…決まった! なんてなっ」
黄色と紫のボディを持つビルドがスマッシュを横から突き飛ばし、フィーネと翼を遮る者が一つとして無くなった。
「感謝する、ビルド…!!!」
「気にするな翼…ゴホン…気にするな翼ちゃん。俺もやらなきゃいけない事をやりに来たまでだから…なっ」
声色が普段の石動殿よりも一瞬違った気がした。 違和感を覚えつつも雑念を切り捨てフィーネへと挑む。
千ノ落涙がフィーネの頭上に展開され、刃の雨が降り注ぐが鞭を回転させ難なく全てを弾いていく…分かりきっていた、だからこその攻撃。
頭上に注意を払っていた彼女の身体へ神速一線。
剣を振るってきた今日までの中で最速の一撃はネフシュタンの鎧にくい込み、彼女の肌を傷つけたのだが剣は引き抜けずそのままフィーネに剣を掴まれてしまう。
「驚いたよ…まさかここまで強くなってるなんて。 反応も許さない、いい斬撃だった。だが、これで終わりだ」
「…驚いた…か。 ならばこれから更に驚くぞ? 防人の意地で…なっ」
剣を手放した翼は、その手を握り拳がフィーネの頬に刺さる。 不意の一撃に上半身が揺らぎ、足払いを行うとフィーネは背から地に転がり天を、彼女にとって忌々しい月が美しく輝いている。
膝を付きながら立ち上がるフィーネに対して、左手を上段に構えて彼女の動きを見据える翼。
自ら、剣を手放す事をフィーネは予測する事が出来なかった。 風鳴翼の中で何かが変わったのか…
「何、至って簡単な事。 剣だけが武器ではない…己を防人の剣として鍛え上げてきたのだからこの身もまた、一振りの剣として使うだけ…それだけの事!」
螺旋を描き蛇のように執拗に迫る鞭は、翼の軽く構えられた左手で軌道を逸らされあらぬ方向へ飛んでいき、二撃目は叩き落とされ地面に突き刺さる。
焦りを浮かべながらも鞭を分裂させ、数を増やし攻めきろうと考えるが風鳴翼の動きに無駄はなく最低限の挙動で弾き、躱し、その距離を着実に詰めていく。
再び懐まで入り込まれたフィーネはネフシュタンの鎧と完全な融合を果たした肉体で耐え切ろうと考えるが、彼女は失念してしまっていた戦っているのは風鳴翼だけでは無いと。
「立花ァ!!」
「一緒に…ぃ!!」
正面と背面の挟撃。
ノイズを蹴散らした響はフィーネに悟られないよう背後へと周り機をただ待っていた。
正面からは翼が身を落とし、低空から全体重を勢いに乗せた肩からの突進…所謂、靠撃。
背面からは腰を落とし背中のブースターを全開にして勢いが乗ったガングニールの正拳突き。
前後からの一撃は並の人間ならば真っ二つ。 臓物をまき散らし骨を顕にしているであろうが、そこはネフシュタンの鎧と言うべきか。凄まじい再生速度が破壊を上回り外見上ではダメージがないように見える。しかし、その痛みはフィーネの精神を蝕んでいる。
「つけあがるなよ…小娘共ォ……!!!!」
フィーネの咆哮に呼応し、ネフシュタンの鎧が黄金の輝きを発すると地面がめくれ2人をその身から引き剥がし距離を置かせた。 精神的消耗からか息を切らせながらも、その顔は満面の笑み。
風向きが変わり、突風がフィーネの背から吹き荒れ翼と響を襲う。
アンカーを刺して耐える響。
剣をアンカー代わりに耐える翼。
両者の瞳に写った光景はカ・ディンギルの頂上に光が凝縮されているそんな瞬間だった。
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「さて…と。 ヒーロー気取りで出て来たはいいが、楽しくないな」
4コマ忍法刀を肩に担ぎ、迫り来るスマッシュ4体を片手間に斬り伏せる。
起き上がろうとした瞬間、生み出された分身がスマッシュを叩き潰し完膚無きまでに圧倒している光景だった。
「ちっ、弱すぎるか…素体が良くてもタダのスマッシュじゃあダメってことだな」
ウチ1体から成分を引き抜くと、スマッシュの姿は第2課の緒川 慎次へと姿を戻す。 騙し討ち気味に気絶させネビュラガスを注入してみたものの程度の低いスマッシュになってしまった。
残る3人はシンフォギアを本国から追ってきた『FIS』のエージェント。 以前、クリスを襲ったオウルスマッシュもエージェントの1人だった。こちらも同じくタダのスマッシュ。 立花響を怒髪天つかせる迄ブチ切れさせるには、彼女の御学友をロストスマッシュにでもするしかないだろう。
友人を助けられずにキレるか。
はたまた、友人を手にかけてしまい絶望し破壊神となるか。 計画は持ち越しだな。
「さて、あちらさんは上手くやってるか…上手く行けば第1フェーズは完全完了だ」
そう呟くと同時にカ・ディンギルはその機能を発揮する為、発射段階へとシフトした。
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赤い綺羅星が月を背に立ちはだかっていた。
半分は
だから、その1歩として…今日ここに来た。
命を賭す時が来た。
「クリスちゃん!?」
「あぁ、バカが伸ばした手を気が付いたら掴んじまった大バカの雪音クリスだ…カ・ディンギルは任せろ。 お前達はフィーネを……悪いなフィーネ、やっぱりあたしは、あたしがやりたい様にするのが好きみたいだ」
カ・ディンギルの光が増幅し、いよいよ発射なのだろう。
月を砕かせるものか…!
Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el baral zizzl
Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el zizzl
歌と共にシンフォギアの総数301,655,722種類のリミッター・ロックが順々に解放され、その容姿を変形させ、スカート状リアアーマー内部に格納された多数のエネルギーリフレクタービットが射出され周囲に展開していく。
歌によって発せられたエネルギーはリフレクタービットに何度も反射され徐々に加速。
膨大なエネルギーがカ・ディンギルから放たれ光の波が襲いかかってくるが、あたしは逃げない…ここが踏ん張りどころなのだから…っ!
増幅したエネルギーを連結したライフルに注ぎ込み行った一点収束砲撃はカ・ディンギルが放つ荷電粒子砲に真っ向からぶつかり爆発的な余波を広げる。
反動により口から血を流しながらも耐えるが流石は完全聖遺物相手…ということか。 イチイバルの絶唱の威力を超えている。
「クソ…っ、押されてやがる…っ!!」
ジリジリと確実に迫ってくる光に恐怖がないわけじゃない。だけどここで下がれば月は壊れ平和なんて言っている暇もないのだ…だから食いしばらなければならなかった。
「雪音クリス!気張れよっ!」
その声は、あの胡散臭いビルドとかいう奴の声だった。 蒼い粒子…いや、ドラゴンがクリスの背面で大きな口を開けバクリと丸呑みする。
熱く脈打つ、ドクンドクンと心臓が破裂しそうな程に激しく動き、脳内に暴走の文字が過ぎるのだが…ドラゴンの記録とはまた別に誰か違う人間の記憶が入り込んできた。
その男は愚直なまでに馬鹿だった。
その男は誰かの為に立ち上がった。
その男は何度でも友の為に戦った。
あたしも、そんな風になれるだろうか。 馬鹿みたいに真っ直ぐに、歌で平和を作りたい…だったら暴走なんてしてる場合じゃねぇ…!!!!!
『Wake up burning! Get DRAGON Power!』
シンフォギアから鳴り響く電子音と共に蒼炎が身を包み込むのだが身体を焼かれる様な痛みは無く、シンフォギアのカラーも以前のファイヤーパターンから紅と蒼のツートンカラーに変わっていた。溢れ出るエネルギーに馬鹿は馬鹿らしく叫んでみることにしよう…
「この力…今のあたしは負ける気がしねぇ!!」
押され始めていた砲撃は遂に拮抗する…が、釣り合ってるぐらいじゃダメだ。 無尽蔵のエネルギーを吐く完全聖遺物とエネルギーの上限があるシンフォギアだったら結果は明白なのだから。
「だった…らァ!!!」
「「雪音ッ(クリスちゃん)!?」」
ライフルを投げ捨てた。
2人の絶叫が聞こえる。
まったく、お人好し共め…あたしを誰だと思ってやがる。
『 BEAT CLOSER 』
突き出した手に握られた一本の剣はイコライザーが剣身に付いている一風変わった剣。
迫り来る破壊の光を目の前に、誰にも聞こえない独り言をぶちまけてやった。
「もっと、あたしに歌わせやがれぇぇええええ!!!」
歌声が響く。
あぁ、やっぱりあたしは音楽が歌が…大好きなんだ。
パパとママが残してくれた歌が…!
ビートクローザーのイコライザーが歌に呼応し全開まで振り切れる。 最大出力となった剣のグリップエンドを三度引き伸ばし剣を構えながら、その身を光の中へ落としていく。
『MEGA SLASH』
紫電一閃。
破壊の光は剣に切り開かれソラへ二つに分かれて消えていく。
分かれた片方は月の側面を掠り砕くが直撃をたった1人の小娘に防がれたフィーネの心象はとてもじゃないが穏やかじゃないだろう。
何にせよ力を使い過ぎた、絶唱に加えてドラゴンの力は精神的にも中々堪えるものがあった。
宙でカラダが揺らいだ時、脇腹に鈍い痛みと暖かさを感じ瞳を動かすとフィーネの鞭が自分のカラダを貫通していた。
グラりと、意識が遠のき…その身は急速に地へ向かって落ちていくのであった。
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「雪音ッ!!!」
たった1人であの一撃を妨げた少女が凶刃に倒れ地へと落下した。
放ったのは言わずもがなフィーネだ。
「クリス…拾ってやった恩を仇で返すとはな。 だが、カ・ディンギルは未だ健在! たかだか一撃を防いだからどうした? 二撃目を撃てばいいだけ。 奴は無駄死にをしたな!!」
「無駄…死に…?」
「あぁ、そうさ無駄死にだとも!」
ザワりと、肌に凄まじい殺気を感じ取った。 フィーネが我々に向けていた敵意なんて可愛いと思えるぐらいの殺意。 それを発していたのは他でもない立花響…指先から徐々に黒く染まりその身を獣へと落とした彼女の姿があった。
「た、立花…! 落ち着け、雪音が死んだとは限らない。 気を保て暴そ……!??!」
「Gaaaaaaaaaaaaaッッッ!!!!!!」
最早、意識まで黒く染まってしまった彼女には声が届かず私諸共フィーネに攻撃をし始める。
腕の一振りの余波が地を抉り、空振った蹴りが大気を揺らす…シンフォギアがここまでの力を引き出せるのか。 それとも聖遺物と融合を果たした人間である彼女だけがこなせる技なのか。
地に捨てられていたアームドギアを拾い上げ、そのまま柄で立花の背へ叩き込もうとしたのだが片手で防がれ、逆に強烈なフックをくらい地面を転がり飛び崩れ去った校舎へと突っ込んだ。
このままでは立花の身体が壊れてしまう。 立ち上がろうとしたその時、片手で制された。
「少し休んでろ」
ビルド、彼が片手に持っていた赤い小型のデバイスをベルトに差し込み音声が鳴る。
『ハザードオン!』
『ラビット! タンク! スーパー!ベストマッチ!』
『ドンテンカン! ドンテンカン!』
『ガタガタゴットン! ズッタンズタン!』
『Are you ready?』
『アンコントロールスイッチ! ブラックハザード! ヤベーイ!』
「ふぅぅぅぅ………さぁ、時間が無いさっさとやらせてもらう!」
黒一色のボディに変化したビルドは驚異的なジャンプ力を見せ一気に距離を詰めると真正面から暴走した立花と殴り合いを始める。 一撃一撃が凄まじい重い音を響かせ、その威力を物語っている。
「…暴走しながらハザードレベルを上げているのか、こいつ…!!」
その身から引き伸ばした黒い影がビルドを縛り上げ動きを止めようとするのだが、ビルドはそれすら引きちぎり立花の顔面を殴りつけ大きく吹っ飛ばした。
宙を舞う立花を追走し、落下地点に構え回し蹴りを放つのだが立花は両手でガッシリとその脚を掴み、脚を引き散らんがばかりに力を加えていきビルドの装甲も火花を上げるが、気にせず壁に何度も立花を叩き付け腕の力が弱まった瞬間に振りほどく。
二度、三度と異形に成りかけている立花の拳がビルドを狙うが腕を弾き、ガラ空きになった鳩尾にカウンターを決めようと拳を振るう。
翼は見逃さなかった立花の邪悪な笑みに
「ダメだ、ビルド!!」
振りかぶった拳を急停止し身体を仰け反らせると黒い影が立花の腹部から伸びビルドの腕を喰らおうと口を開いていた。
「フィーネ、あれは貴様の設計か!?」
「まさか、私が開発したFG式回天特機装束はブラックボックスの様な所が多い。 私自身、解明できてない事も多い…アレはその一種だ」
暴れに暴れる立花とそれを抑えようとするビルドを呆然と見つめる翼は息を整え立ち上がる。 カ・ディンギルを止める、出なければ月が壊されてしまう…
「ふっ、今更やる気を出しても遅い。 カ・ディンギルは既にチャージを終え二発目が放たれる…!!」
大仰に腕を広げ笑うフィーネ。
しかし、何時まで経ってもカ・ディンギルから破壊の光が放たれることはなかった。
【Guten Abend シンフォギア一同にフィーネ。 それと今まさに崩れた校舎から脱出をしようとしている第2課、立花響の御学友達。 オレはブラッドスターク…いや、エボルトと呼んでもらおうか】
校庭のスピーカーから聴こえるその声は忌々しく忘れるはずのない、あの声だった。
「あたしの大活躍回だったな? ま、とーぜんだけど」
「あぁ、そうだな。 クリス…オマエさんも万丈のようにバカになるなよ?」
「エボルト…って馬鹿になるのか!? あのドラゴンの力はバカになっちまう作用でもあるのか!?」
「世の中には不思議がいっぱいだな。フゥハハハハハハ!!!!!」
「どうなっちまうんだあたしぃ!???」
戦姫絶唱シンフォギアEVOL 次回もお楽しみに!