「ネフィリムを撃破するため世界の歌を束ねた私達!」
「だけど案の定あの野郎が現れやがった!」
「何を考えている…エボルト…!!」
「さぁ、第2ステージの閉幕と行こうじゃないか」
「「「「どうなる、第19話!」」」」
「この瞬間を待っていたァ!!」
七色の尾を引く光の矢を妨げたのはブラッドボディに緑のバイザー、コブラの印象を与える
突き出すように全面へ出した石片でシンフォギア達の一撃を受け止め、身にまとわりつく嫌な笑いをあげている。
「なっ!?」
70億の絶唱を吸収するように光が石片に吸い込まれると、石片の内が輝き砕け散る。 中から現れたのはビルドが使用しているドライバーに酷似した物が現れる。
「それ…は」
「立花、避けろ!!!」
「え…っ」
スキにして一瞬。されどその一瞬を見逃すほどエボルトは甘く無い。
回し蹴りを喰らわせれば立花響の身体はフロンティアの大地から吹き飛ばされ重力に引かれるように地球へと落ちて行く。
「開け」
落ちて行く立花響を飲み込む如く、ソロモンの杖によってバビロニアの宝物庫が開かれる。
ネフィリムも彼女を追いその身をバビロニアの宝物庫へと落とした。
「コイツはもう要らないな。閉じろ」
何が起きたか、それを把握するよりも早くエボルトはソロモンの杖をバビロニアの宝物庫へと投げ込み唯一開かれたその入口閉鎖した。
「立花ぁぁぁぁぁ!」
「あのバカ…!! エボルト、テメェ!!」
「フハハハハハハハハハ!!! こうも上手くいくとはなぁ…感謝してるぞシンフォギア達。 オレは先に地上へ帰るとするか」
蒸気に巻かれその姿はフロンティアから消える。
『エボルト、捕捉中! 座標送ります!!』
「行くぞ、雪音! ヤツを打倒し立花を救わねば!」
「分かってる!! 先輩、飛ばすからしっかり掴まっておけよ!!」
限定解除に際して現れた大型化したギアを全力で噴かしクリスと翼は地上へと高速移動を開始した。
「マリア、私達も!」
『マリア、行きなさい。 彼女達と一緒ならば……貴女達はきっと大丈夫だわ』
「マム…でも、私達が行ったらマムはどうするつもり」
『私はこのまま月に行き、貴女達のフォニックゲインの力でもう1度バラルの呪詛を…』
「…マム」
『貴女達を救いあげたのは彼女達。 恩を仇で返すように育てたつもりはないわ』
「…わかったわ。 必ず迎えに来るから」
マリア、調、切歌も2人の背を追う為、その身を宙へと投げ出した。
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「ここは…!?」
異質な空間。そして見渡す限りのノイズがひしめき合っている。
ここが何処かなんて考えている間もくれず、容赦なく襲い掛かってくるノイズ達をその拳圧で吹き飛ばしながらネフィリムの攻撃をすり抜ける。
みんなと合流する為には…コイツを倒さなきゃ!!
辺りに漂う瓦礫を踏み台にして脚のバンカーをフル稼働し縦横無尽に跳ね、ノイズを撃滅しながら巨大化したネフィリムのボディに重撃を叩き込む。
硬質化した身体はそんな一撃を軽々受け止め、めり込んだ拳を離さずに締め付けてきた。
「がっ!? ぅうう……らァッ!!!」
羽根を逆に羽ばたかせ一気に引き抜くと大きく開いた顎を下から蹴り上げ距離を置く。仕切り直そうと拳を構えたとき、背後からノイズが襲い掛かってきた。
如何に限定解除と言えど攻撃を受け続けたら身が持たない。 振り返り身を捻りながら飛び込んでくるノイズを叩き落とし、掴みぶん投げる。
ネフィリムの炎弾を交わし、ノイズを蹴散らしながらも消費していく大量に焦りが生まれていく。 思い返せばいつも近くで仲間に助けられていた。 今はたった1人、その状況も自分の負担になっている事に気が付かなかった。
両腕を鞭状に伸ばし左右から響を押しつぶす為に振るわれ、なんとか防ぐがシンフォギアは至る所から火花を上げ煙が噴き出してくる。
「ま、だまだぁ!!」
ブースターが唸り、突き出した拳にアームドギアが展開、腕部のパーツが組み合わさってスピア状になると風を斬り、ネフィリムのボディを完全に貫き大穴を開ける。
「やった…!?」
上下に分断されたネフィリム身体は崩れ落ちボトリ、と生々しい音を鳴らす。
周囲のノイズ達も動きを止め響から少しずつ距離を置き始めたのを好機とばかりに辺りを見渡せばソロモンの杖が転がり落ちている。
これを使えば…ゲートは開く?
ゆっくりとソロモンの杖へ歩み寄るが強烈な違和感を感じ飛び上がった。 刹那、ソロモンの杖は大きな口の中へと消え分断されたはずのネフィリムがそこに現れると身体からレーザーを照射し、直撃した響の身体は瓦礫の上に転がり落ちる。追撃とばかりにネフィリムの剛腕が響の身体を叩き潰す。
痛みで身体が動かせず、その瞳には開かれたネフィリムの顎が映る。
これは喰われる。
痛い。
怖い。
翼さん…クリスちゃん……未来………
目を瞑り身体に襲い掛かってくるであろう痛みに覚悟を決めた。 だが何時まで経ってもこないことに気がつき、ゆっくりと目を開けば赤と青のヒーローが彼女の前に立ち、ネフィリムの口を両手で押さえ込んでいた。
『正義のヒーロー参上…ってね』
「マスター……?」
『マスター? 何のことか分からないけど、俺はラブアンドピースを信条にする天才物理学者、桐生戦兎だ』
「桐生さん…? あの、桐生さん?」
『んー、キミの知っている桐生戦兎とは違う桐生戦兎だなきっと。 俺がなんでこうして居るかも分からない。けど、分からないことってワクワクするだろ? 大丈夫、キミがまた立ち上がれるようになるまで…俺が何とかしてやる!!』
ネフィリムを押し返すと鋭い蹴りを何度も繰り出し、ネフィリムの身体を凹ましていく。 負けじとネフィリムも身体を光らせレーザーを放つのだがラビットハーフボディの特徴であるセンサーと高速移動を駆使してこれを全て躱すとお次はタンクハーフボディの装甲でガングニール並の重い連撃を叩き込む。
立ち上がるまで、そう言われたのだが身体は震えて動かない。 仲間がいたから恐怖が薄れていたのか、それとも何処か楽観視していたのか。 観たじゃないか、『天羽奏』が生命を賭して自分を助けてくれた瞬間を。
覚悟を決めたつもりだった。 それでも彼女らともう会えないのは嫌だ。 どうすれば…どうすればいいの?
ネフィリムを押しているビルドの背後に巨大な影が現れる。それは2体目のネフィリム
「桐生さん危ない!!」
『危ない? って2体相手はご遠慮願いたいんだけど…』
突然現れた2体目の攻撃をくらいながら何とか耐え凌いでいる。
私が、私が立ち上がらなきゃ…!!
2体目のネフィリムがこちらに狙いを付ける。 迫ってくる。
震える脚を拳で殴りなんとか立とうとする。桐生さんも戦っている、翼さんもクリスちゃんもマリアさんも調ちゃんに切歌ちゃんだってきっと何処かで戦っている。怖がっている場合なんてない!
恐怖なんてどこかに吹き飛ばしてしまえば…!!
『そいつぁ、いけないな。 恐怖ってのは大事な心さ…死を恐れない心はそりゃ凄いかもしれないけど。 響、アンタが死んだらあたしの片翼は今度こそだめになっちゃう。 怖い時は怖いでいいんだ。 それに立ち向かう勇気が必要なだけ』
声…?
迫り来るネフィリムの脳天に一振りの槍が突き刺さり、この一撃にネフィリムは絶叫しのたうち回った。
その姿は夢か幻か、ビルドと同じく霞がかっているが私にはハッキリとその人物が誰かわかった。
『響、アンタは持っているはずだ。その勇気を、何たってあたしのガングニールを受け継いでるんだからさ!!』
「奏…さん………?」
『いくよ、あたし達が揃えば敵なんか居ないさ!!』
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浜辺に腰を据え追ってくるであろう連中を待っていると意外にも早く来てくれた。 もう少し遅ければ特機部二を潰しにいく手間が増えたが良かった良かった。
「逃がさないぞエボルト!!」
「テメェをぶっ倒して、アイツを救いに行く!!」
「そう心配なさんな。立花響ならどのみちあの空間から脱出してくるだろうよ」
殺気立った2人に嗤いながらも確信を持ってそう告げる。
「ンだと!?」
「どういう事だ…!」
「どういうもこういうも立花響の実力、能力を加味して、贔屓目無しのオレの予想だ。アイツなら必ず戻ってくる」
そう告げながら宙から続いて現れるシンフォギア3名を観れば腰を上げわざとらしいモーションをしながら話す。
「おぉ、マリア。 やっと来たか…どうだ? 本当に信じられる仲間を得た感じは…中々イイもんだろう?」
「えぇ、そうね。 エボルト…アナタは何を企んでいるのかしら」
「ゲームだよ。 オレはゲームマスターだ…ま、ゲームマスターでありラスボスってな感じか? オマエさんたちというキャラを育て上げオレと戦う為の舞台を整えている途中だ」
「ゲームマスター…人を殺し嗤う事がゲームだって言うんデスか!?」
「人殺しは単なる趣味だよ。ここで第2ステージの終幕とするゲームをしよう。 内容は簡単、立花響がここに戻ってくるまでにオマエさんたちが戦闘不能にならない事が勝利条件だ」
簡単だろ? と告げながら完全に復活したエボルドライバーを構える。
「限定解除したアタシ達5人を同時に相手するって? 舐められたもんだな…!」
「…スグに倒して、ガングニールを助けに行く。」
「それじゃ、ゲームスタートだ!」
エボルドライバー!!
懐かしき起動音と共に2本のボトルを装填。
コブラ!!/ライダーシステム!!
エボリューション!!
『Are you ready?』
「変身」
レバーを回すと「交響曲第9番第4楽章・歓喜の歌」に酷似した音楽が壮大に響き渡る。
コブラ! コブラ! エボルコブラ!!
フッハッハッハッハッハ!
「エボル、フェーズ1。 準備運動には丁度いい…!」
装甲が展開され、ブラッドスタークの姿は大きく変える。
マスクは口を開け牙を剥くコブラ、赤い複眼は口を開いて舌を出したヘビを真横から見た姿を思わせる形状となり不気味に輝く。肩や胸の装甲にもコブラの意匠が存在する不気味な姿。
「新しい姿か…!」
「違うな、これが俺の本来の力に近い姿だ。 ま、全力の2%しか出せないがな…」
軽くベルトを撫で、臨戦態勢を取ったシンフォギア達を見て笑うとマリアの背後へワープ移動し、ただのパンチを打つ。
ただのパンチと言えど最大出力58tの重撃がマリアのシンフォギアを砕き、彼女の身体は水平線まで吹き飛んでいった。
「「マリア!?」」
突然の出来事に取り乱す連中。その中で翼だけはすぐ様、剣を構え縦一線の一撃を放ってきた。 だが、半歩動くだけで彼女の一撃は躱すことが出来る。
「いい気合だ。そういう感情が成長に繋がるんだ」
「たった一撃、躱しただけで勝ったつもりか?」
振り下ろした一撃に身を任せ、そのまま身体を伏せる翼の背後から無数の弾丸が襲いかかってきた。
軽く舌打ちをし上空へ跳び上がると待っていたと言わんばかりに調、切歌が電ノコと鎌を振り回しながら飛んでくる。 虚空から取り出したトランスチームガンで迫る切歌を迎撃し、片手で電ノコを受け止め地面へ向けて引き摺り落とすが調を受け止める為にマリアが滑り込み追撃をさせないよう、クリスが下から弾幕を張ってきやがった。
「おーおー、さっきまで敵対していたってのに随分と仲が良いじゃないか」
着地と同時に翼へ迫るとその腹へ膝を打ち入れ地に伏せさせる。
限定解除で大幅に戦力が上がっているがやはりまだ届かないか。
ゾクリと、感じたことの無い
この攻撃だけは避けなければいけないと本能が感じ取った。
「死んでも俺の責任じゃあないからな」
背後から迫り来る巨大な鎌を手で受け止め、強引にその使い手である暁切歌を引き寄せ、空いた手でレバーを数度回す。
星座早見盤を模したフィールドが足元に展開し、生み出したエネルギーが右脚に収束していく。
「切ちゃん!!」
『エボルテックフィニッシュ!!!』
「はぁ…翼たん…今日も可愛い」
「カシラ、翼ちゃんが可愛いの分かりますけど俺らの稼ぎを全部グッズにぶち込むの止めません?」
「あ、そういやこの前、翼ちゃんが喫茶店に入ってくの観たっすよ」
「ホントか勝!! いや、でもファンとして超えちゃいけねぇ一線てのがな…」
「そこのnascitaって喫茶店っすね」
「あー!! 喉乾いたな、お、喫茶店だ!! 行くぞオマエら!!」
「「「カシラ…」」」