「この本によれば…
”普通の高校生、立花響。
彼女はガングニールの装者として立ちはだかるノイズ、そして暗躍するエボルトと戦う戦姫となった。」
「え、誰!?」
「彼女はその身を知らずのうちに酷使したせいで今や戦える状態にあらず。 新たに増えた仲間達が代わりに前線へと立ち上がる。」
「不審者か!?」
「そして戦いの果てに待っていたのは獰猛な笑みを浮かべた緋色の……おっと、これは遥か先の話でしたね」
「いやいやいや、オマエさん俺や立花のあらすじを取らないでもらえるか?」
「なに、我が魔王の物語を紡ぐのはまた先の話になりそうだったのでこちらで暇つぶしをさせてもらっただけさ」
「「「どうなる第21話!」」」
歌は響き渡り、天にヒビが入っていく。揶揄や例えではなく本当に鏡が割れるような時のヒビがソラに現れる。
「ようやく来たか…」
どうやら、無事にマリアと奏のガングニールの力を手にしてネフィリムを撃破したようだな。 目の前には肩で息をしているシンフォギア装者達は歌を紡ぐことを止めずに尚も此方の隙を伺っては攻撃を仕掛けてくる。
彼女たちにとっては立花響がそれ程までに大切なのだ。
ソラが割れ、爆発的なフォニックゲインがバビロニアの宝物庫から溢れ出てくる。
「いっけぇぇぇぇぇええええ!!!」
絶叫と共に天から降り注ぐ一筋の槍を意気揚々と受け止めるのだが…
(コイツは……予想以上だァ!!)
立花響の拳を止めるどころか徐々に押され、遂にはエボルとなったオレの胸部へと突き刺さりノーバウンドで砂を巻き上げ吹き飛ばされてしまった。
2%の力とはいえ、こうも軽々とオレにダメージを与えるか…立花響!!
「ようやく帰ってきたかバカ!」
「よくぞ無事に戻ってきた立花…!」
地上へと辿り着いた立花響を囲むようにシンフォギア共が集まるが臨戦態勢は解かないままこちらを見据えていた。 全く…面白いぐらいに成長してくれる奴等だ。
「Congratulazioni シンフォギア。 第2ステージクリアだ…まぁ、途中に少々想定外な事が起きたが結果として立花響が戻ってくるまでお前達は耐えてみせた…実にいいことだ」
「あら、不利になったというのに随分と大物ぶるのね…?」
「ガングニールが来た以上、エボルトをここでやっつけるのも可能デス!」
「言っただろう? 第2ステージだと。オレが倒されるとしたら最終ステージって相場が決まっているんだよ。フェーズ1のオレをここまで押し込めるガングニールには驚いたが…」
白と黒のツートンに橙色をあしらったシンフォギアを身に纏う彼女の姿に素直な感想を告げ笑う。
「第3ステージはそうだな…攫われたお姫様を救う…なんてのはどうだ?」
「何を……まさか!?」
ぞわりと嫌な予感が巡る。それだけは違っていてほしいという考えだけが先行するが…
「フハハハ! なに、まだ何も起きちゃいないさ…まだな?」
「やはりエボルト、ここが最後だと思ってもらおうか!」
「完璧に吹き飛ばしてやらァ!」
仕留めにかかるとばかりに放たれた弾丸を追うように風鳴翼が駆け出している。 挑発したのはいいがオレはまだ動けそうにないな…一手読み違えたかこりゃ?
しかし、イチイバルが打ち出した弾丸を撃ち落とすように降り注ぐコイン。 そしてオレを狩るために振るわれた天羽々斬を一振の大剣が妨げ砕いてみせる。
「なっ━━?!」
「剣と定義されるものであれば、 硬度も強度も問わずに噛み砕く哲学兵装…私のソードブレイカーはいかがでしょうか?」
「随分と派手に動いたな。エボルト」
それぞれ緑と黄色を基調とする衣服を纏った人形がシンフォギア達の前へ立ち塞がった。
「ふん、これぐらい動かなければ面白味がないだろう?」
「計画に支障もない、ワタシも地味は嫌いだ」
「マスターでもないアナタの援護とは思いもよりませんでしたが」
キャロルの嬢ちゃんが気を回したのか? ま、奴の計画にはオレの協力なくして成就は叶わないから仕方がないか。なんせやつの居城であるチフォージュ・シャトーのコアは…。
「新手デスか!」
「数的有利は依然としてこちら…っ」
「言っただろう? 第2ステージはお前達の勝利だってな。 敗戦したオレは優秀な仲間達に連れられて大人しく逃げるだけだ。最近の若者は気が荒くて怖いもんだァ」
よろけながら立ち上がりファラとレイアに立ち並んだエボルトは立花響に視線を移し軽く笑うとそのまま言葉を続ける。
「立花響、ガングニールの装者、融合症例第一号」
「それがなに…! 私は私だよ!」
「ステージクリアの報酬としていいこと教えてやるよ。
何故、オマエがガングニールの適合者になれたのか。 何故、お前一人が暴走してしまうのか…何故、一人の身で3つものガングニールをその身に宿せたか!!」
「それは奏さんのガングニールが……私の気持ちに応えてくれたからじゃ…!」
「そんななまっちょろい感情論でシンフォギアの装者になれるのなら天羽奏はLiNKERなんざ使わなくてもなれただろうよォ?」
要領を得ない、何を言いたいのか分からない。そんな表情を浮かべる立花響に向かって言葉は止まらない。
「オマエがシンフォギアを扱える理由はたった一つ。 それは、オマエがこの
「ネビュラ…ガス……?」
……そういえばシュルシャガナとイガリマには説明してたが他のメンツには言ってなかったな。
「人体が取り込むと特殊な細胞分裂を引き起こす効果があって人間が摂取することで細胞変質が起こる特殊なガスでな。 イガリマ、シュルシャガナに注入したのは濃度を低くしたもんだが…立花響、オマエには最高濃度のネビュラガスの成分を徐々に取り込ませていったんだよ」
「どうやって…」
「立花のバイタルチェックでは何の異常も見られないぞ!」
「エボルトの言うことだ。デマカセ言いやがって…」
「まぁ、なんとでも捉えろ。 オマエは最早人間なんかじゃない…改造人間、悪く言えば化け物なんだよッ!!」
化け物という言葉に完全に表情を消し感情に左右されてからかシンフォギアが自然と消失する。
「さてシンフォギア、そう遠くない先で会おうじゃないか。お次はもう少しオレも強くなっているからなァ…精々、仮初の平和を味わっておけ。 Ciao」
小瓶を砕き、自動人形達と共に姿を消す。
そこに残るのは後味の悪い一時の勝利だけと知っていて。
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「エボルト、それがお前が求めていたものか?」
「よう、キャロルの嬢ちゃん。
「よく言う、近くにローグもミソラも居ただろうに。 まぁ、いい…お前が居なくなれば此方の計画にも支障が出るからな。暫くは静かに働いてもらうぞ」
キャロル。
キャロル・マールス・ディーンハイム。
欧州の深淵より来たる四大元素を初めとする様々な力を扱うことが出来る錬金術師。 幼い姿ながら現状のハザードレベルで言うのならオレよりも遥に上回っている。 フェーズ1のオレでは四肢を引きちぎられて棄てられるのが関の山だろう。
「了解了解…ミカを起動させるためだけのメモリーボトルの改修に算段が着いている。 シンフォギア達にも釘は刺しておいたからな。暫くは小日向未来の護衛に気を使っているだろうしコチラに回せる戦力は無いだろうよ」
「なんだ、ブラフだったのか?」
「まさか。 小日向未来にはちゃんとした利用価値があるからなァ…しっかりと丁重に扱わせてもらうさ。 それまではオマエサンの手となり足とならせてもらう」
チフォージュ・シャトー内部の一部を間借りして現在のファウストは活動させてもらっているしな。と、なんとも居候地味たことをしているのだがそれに文句を言うのはミソラぐらいだ。
「エボルト…どういうつもり?」
「なんだローグ。聴いていたのか? 立ち聞きはダメだぞぉ?」
「あの子は巻き込まないって契約だったよね…?」
石動の姿に戻った俺の胸ぐらを掴みかかって来るが軽く手を掴み離す。
「心配するな。悪いようにはしないし俺は危害を加えないからな…加えるとするなら…シンフォギア達だろうよ」
「……約束は違えないで。 絶対に」
そう言いながら自室へと戻ったローグの背中を見送り苦笑する。熱い嬢ちゃんだこと…
さぁてと、アイツらを強化するには誰を使おうかね…アダム……は、まだ先だな余計な事しかしなさそうだし。よってサンジェルマン達もバツ…と。
エルフナインが居たな。よし、アイツを使うか!
「さぁさぁ、第3ステージ。スタートは近いぞ…ドライバーも作っておかなきゃならないな」
「アナザーディケイド如きに呼び出されるなんて不服だったが…何だありゃ? どう考えてもオレやゴルドドライブと並んでダークライダーって名乗った方がいい主人公は。 面白いねぇ、人間ってのは」
「いやぁ、後輩ライダーながらなかなか凄いやつだったでしょ? まっ、てぇんっさい物理学者にはちょっとイケメンの部分で劣ってるかもしれないけどライダーとしては正に最強の貫禄を見せたんじゃない?」
「戦兎、ありゃラブアンドピースじゃなくてサーチアンドデストロイって感じじゃないか?」
「ま、その辺は彼らに任せようじゃありませんの」
次回 戦姫絶唱シンフォギア GX EVOL お楽しみに