タイトルから分かる通りあの子が出ます。
喫茶店 nascita
店内には少ないながらも客が居て、その客っていうのはリディアンの制服を身に纏う立花響と小日向未来の二人。
まぁ、ここからが話の冒頭って訳だ。
「今度のこと座流星群楽しみだね」
「うんうん、今回のスッゴイらしいからね!! あ、マスターも観た方がいいですよっ」
ケーキを頬張り口の周りに生クリームを大量に付けながら呑気な事を言う響に石動は笑いながらティッシュを渡してやる。
「流星群ねぇ…こんなオッサン一人で見たところで虚しいだけだよ」
「石動さんはご家族は…?」
「娘が一人居る。 まぁ、今は離れて暮らしてるけどな? キミ達より少し大きいくらいか、もう成人したし手のかからないイイ娘さ」
「へぇー、会ってみたいなー!」
そのうち会えると思うぞ、こっちに来るみたいだからな? そんな事を言いながら空になったコップにオレンジジュースを注いでやり、またしても小日向は頭を下げる彼女からして石動の姿はどこからどう見ても気前のいい喫茶店のマスターだろう。 日も暮れ始めカラスが鳴く時間帯になった平和だねぇ…
「あっ、もうこんな時間…マスターご馳走様でしたっ。 響、帰って課題やらないと」
「うへぇ、忘れてたぁ…」
「おっと、立花。 ちょっと」
鞄を持って帰ろうとする彼女を一人手招きし呼び戻すと顔を近づけ耳打ちする。
「色々大変だと思うが無理はすんなよ? お前はまだ子供なんだから」
「…ありがとうございます。 私はへいきへっちゃらですよっ」
またご馳走してくださいねー! と言いながら店を出ていく2人を笑顔で見送る。
「流星群ねぇ…なるほど」
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未来と約束した流星群。
そんな約束も狙い済ましたかのようなノイズの出現によって守れなくなってしまった。 未来に謝らなきゃ、ノイズさえいなければ…!! 鬱憤を晴らすように立花響は千切り、投げ捨て、叩きつけ。 その両手で、あらゆる方法で、ノイズ達を次々と撃破し逃げ惑うセルノイズを追撃する。
追いかけてくる獣の如き動きをする少女に対してセルノイズは自らに付いているブドウの様な実をばら撒き爆裂させていく。 崩れ行くトンネルの中を疾走し天井に空いた大穴から地上に出てしまった。
「しまった…!?」
一般市民に被害が出てしまうかもしれない、泡を食って地上に飛び出た際に見たものは巨大な剣がノイズを貫き霧散させている瞬間だった。 風鳴翼、響が憧れている人であり響の持つガングニールの前装者である天羽奏のパートナー。
「つ、翼さん…」
「貴女には覚悟はあるのか。無いのならばこれ以上ノイズの件には首を突っ込まないことだ」
剣を向けられ体が凍りついたみたいに動けなくなるがここ数日、彼女に認められるために、そして日常の為に頑張ってきたつもりだった。 自分なりに戦ってみたりもした。
「わ、私は……っ 」
拳を握りしめ言葉を続けようとした所で一人の女の子が歩いて来た。 確かに此処は公園だし流星群が良く見える場所だ。が、周囲には避難勧告が出ている事に加えて何よりその少女の格好は翼と響に似ていたのだ。
突然の登場に翼すら惚けた。
「邪魔したんだったらわりーな? さっさとそこに居るガングニールの女を回収して帰るからどいてくんねーかな」
白銀の鎧を纏った少女は響を指さし退屈そうにそう言うが、翼は剣を振るい言葉よりも先に斬り掛かる。
流れるような剣撃は鋭く、ノイズであるならば一刀両断され消滅しているところだ。
ノイズであるならば
「ちょせぇ!!」
腕部から伸びた鞭によって剣は弾かれ、空いた脇腹に勢いが乗ったもう一つの鞭が直撃し林の中へと翼のカラダが吹き飛ぶ。 木々に直撃する前にギリギリ響が飛び込んで受け止めダメージはそこまでなかったのだが翼自身は響の手を振り払いあくまでも1人で立ち向かおうとした。
「貴様が身につけているそれはシンフォギアではない……一体なんだ?」
【翼、落ち着いて聞くんだ。今、お前が交戦している相手は……ネフシュタンの鎧だ。二年前に行方知れずになった聖遺物の…!】
「レポートは読ませてもらったぜ? お前と天羽奏が起動したコイツはあたしが使ってやってるんだよ。 有り難く思え」
「貴様…私を目の前によくもいけしゃあしゃあと言えたものだな…!」
ギリッ…と歯を食いしばりながら隙を伺う翼に余裕の笑みを見せるネフシュタンの鎧。 そんな2人を見てか響は声を張り上げる。
「2人とも…折角…折角言葉が通じるんだから話そうよ!!」
「はぁ? バカかお前。 話が通じなさそうだからあたしはそいつを吹っ飛ばしたし、そいつも斬りかかってきたんだろうがっ」
「申し訳ない、その子は
「はっ、ノーテンキなお花畑ってわけか? だが違いねぇ!!」
響の意見を一蹴し、再び剣と鞭を交える。 先程の一撃は効いたが立てなくなるようなモノではないと翼は脚のブレードを含めた剣技で鞭を弾きながら着実に距離を詰め始め、逆に少女は近づけさせまいと上下、左右と挟み込むように両腕の鞭を巧みに操り剣の隙間を縫った連撃で翼のカラダに細かな傷をつけていく。
足払いの為に低空で迫った鞭をバックステップで避けた翼はそのまま天から千の刃を雨の如く降り注がせる。
『千ノ落涙』
光の剣が降り注ぎ土埃を上げ響がいる場所からは状況は一度見えなくなるがすぐ様土埃は晴れることになる。
少女は刃を防ぐため鞭を高速で回転させ全てを防ぎきってみせていた。
「甘ェ甘ェ! そんなもんであたしが倒せるかよ……って何処に行きやがった!?」
目の前に居たはずの翼が消え失せ、自分を照らしていた月明かりが雲に陰ったのか暗くなる。
「上かっ!?」
空に舞い上がったアームドギアは巨大な剣となり風鳴翼は脚を添える。
「遅いっ、奥義にて決めさせてもらうっ」
『天ノ逆鱗』
剣を蹴り、少女の堅牢な防御を破る為に加速したソレは仕留めるには十分過ぎる威力を持つ一撃だった。
白銀の少女も耐えるため歯を食いしばり身を固める。
Diamond...!
巨大な一撃は彼女に届くこと無く突如目の前に現れた透明な盾に防がれてしまい翼は弾かれるように着地した。
「これは……まさか…」
「遅ェんだよ、ブラッドスターク。 何処で道草喰ってた」
「ネフシュタンちゃんがピンチになる所を遠くから見ていた…おいおい、そんなに怖い顔するなよ。助けてやっただろ?」
血を連想するような赤いボディに緑のバイザー、蛇を思わせる印象を持ち飄々とした態度をとる男の声、忘れる事がない。
立花響にとっては逃げようとした自分に向かって銃弾を撃ち込んできた人物。
風鳴翼にとっては天羽奏の仇。
「Guten Abend 。
天羽々斬にガングニール。 わかってるとは思うがこっちの目的はガングニールの回収だ。天羽々斬にゃ用がない」
シッシッ…と手で払うが風鳴翼の心中は穏やかではない…どころか凄まじい殺気を露わにしそれに当てられた立花響は腰を抜かし、白銀…ネフシュタンの鎧を纏った少女ですらほんの少しながら身を硬直させてしまう程だった。
「貴様は……貴様は、奏だけじゃ飽き足らず立花にまで手を掛けるというのか!? 何故、何故あの日…奏が死ななければならなかった!!」
「何だっていいだろう? ビジネスなんだ今回は。 俺自身もガングニールを手に入れたい所だが…」
「御託はいい、ブラッドスターク。 テメェがガングニールを回収しろ。 アイツはあたしがやる」
鞭を振り、先端に光球を創り出すと勢い良く放ち再び戦いの火蓋が切って落とされる。
ネフシュタンの鎧の少女は中距離からの連撃、光球を何発も打ち込み、空気を抉り、地面を穿つ猛攻で翼を一切近付けさせずに一方的な嬲りを始める。
斯く言う翼は怒りのあまりに動きに繊細さを欠き先程まで躱せていた攻撃までくらってしまう。
スタークの方はあちらと比べ戦いと言えるほどの内容ではない。 お遊び程度だ。 彼女なりに必死なのだろうが如何せん動きがトロすぎ避けるのも余裕だった。
右の突きを打てば外側に回り込み相手の勢いを利用して投げ飛ばし、下段の蹴り払いがくればその脚を全力で踏みつけ身動きをとれなくし、決死のタックルをしてくれば真横から回し蹴りを叩き込んで何度も土の味を味わわせてやる。
「動きがなっちゃいないな。 相手の動きを良く見ろよ? オマエは猪突猛進過ぎるんだ」
「…このっ!」
左フック気味に外から来たパンチを頭を引いて躱す…が、痛烈な一撃が緩んだ鳩尾に刺し込まれた。
「ぐぅ………!? 山突き…とは、中々粋な技知ってるじゃないか…」
上段に気を取られた瞬間に同時に迫っていた中段の突きが的確にスタークの鳩尾を抉った。 蹌踉めきながらも呼吸を整えスグに体勢を立て直す。
「山突き…?」
「知らないで打ったのか? だとしたらセンスは秘めてるようだな。 だが、力の入れ方が甘い。 パンチってーのは…こうやって撃つんだよ」
滑らかな動きから腰を落とし響の懐へ入り込むと脇の下に構えた拳が回転を加えられながら腹部を叩き、響の体は一度宙に浮いて、そのまま倒れ込む。
「ガハッ!?」
「っと、悪ぃ悪ぃ。 シロート相手につい力を入れすぎた。 大丈夫か嬢ちゃん」
腹に受けた衝撃により胃の中身を吐き出し呼吸が荒くなる。
「だがまぁ…ガングニールと天羽奏が泣いちまうなァ? こんなに弱っちぃ奴が自分の後釜と知ったら」
スタークはグリグリと腹を踏みつけ嘲笑い、響は悔しさに涙を流す。
私では奏さんが残してくれたこの力は誰かの為に使えないのか、やっぱり私はただの鈍臭い子なのかもしれない…
「はぁ…つまらない。 まっ回収が楽で助かるか……おい、ネフシュタンちゃん。 連れて行くぞ」
「ちっ、しゃーねぇな。 お前とのお遊びもしまいだってよ」
スタークに踏みつけられている立花響を見て片膝を着き息が上がっている風鳴翼はアームドギアをネフシュタンの鎧に向かって投擲を行うが鞭の一振りで叩き落とされてしまう。
「自暴自棄って奴か? 無駄無……」
「果たしてそれはどうかな?」
『影縫い』
アームドギアと同時に放った本命の一投はネフシュタンの鎧の影に突き刺さり彼女の動きを縛り上げていた。
「立花響、私は貴女を……いえ、そこで防人の生き様と覚悟を見ていなさい」
Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el baral zizzl
Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el zizzl
身動きの取れなくなった少女に対して覚悟を決め歌を紡ぐ少女は自嘲的な笑みを浮かべ、その身から爆破的なエネルギーを放出させ一帯が光に飲まれる。
呆然と光景を見つめている立花響は叫ぶ事も泣くことも出来ずにいる。
「絶唱…やっぱりとんでもないエネルギーだ。 だが、これ程でもアレの復活を目指すにはエネルギーが足りない…か。 面倒だな」
ブラッドスタークと言えば逆に他人事のように何かを呟きながら掌でボトルを転がしため息をついた。
光が止むと全身から流血しながらも立っている風鳴翼が見えるがその様は狂気すら覚える姿。 剣として鍛え抜いた精神が彼女自身の生命すら脅かしている言わば呪いだった。
モロに喰らったネフシュタンの鎧は砕け散り鎧よりも美しい白銀の髪を露わにしながら倒れている。
「ガングニールの回収に加えてネフシュタンちゃんの保護…コイツは報酬を弾んでもらわないと割に合わないか」
「残念ながら、響くんから離れて貰おうか」
「ぁん?」
振り向くよりも早くボキボキ…と、骨が折れる音が聞こえ、その後にズドンと大砲でも撃ったかのような重い音が響きスタークはくの字に身体をひしゃげさせノーバウンドで10m程吹っ飛ぶ。
「がっ…は!? オマエ…は!」
「この子達の司令、風鳴弦十郎たぁ俺の事だ!!」
戦闘描写苦手すぎ悲しみが深いな