オルガイツカは勇者である   作:村田殿(ハーメルン版)

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第一話 鉄と血と花

「と言うわけでお前さんは死んでしまった。」

「ああ、分かってる・・・」

ここに来たのはもう何度目か数えるのもやめた。俺オルガ・イツカは隕石に押しつぶされるとかマシンガンにヅタヅタに撃たれる様な、命を落とす様な攻撃にも、とある呪文を唱えることによってこの場所に来て生き返ることができる。

今俺が話している爺さんは世界トップの神様らしい。

今この場には俺と相棒のミカ、そして神様の三人だ。

 

「しかしまあよくあんな子供のイタズラ程度で死ぬもんじゃ(笑)」

「ああ、された瞬間分かったんだ。俺は死ぬなって。・・・なぁ爺さん。どうにか死なない世界ってのはないのか?」

「ふーむ、一応ある事にはあるのじゃが、ゾンビ達の住まう世界なら最初から死んでるから死なんぞ」

「おい、俺は真面目に聞いてるんだ。あんまりふざけるようなら・・・

そう言い放ち隣にいたミカが拳銃を向ける。

「ままま待て、まともな世界で死なない世界じゃな、調べよう・・・おや、あったようじゃ」

「本当か!?」

もしそんな世界があるのなら行ってみたい。生き返れるとはいえ何度も何度も死ぬハメになりたくはねぇからな。

「この世界には精霊と呼ばれる守り神がいてな、どんな攻撃からもその身を守ってくれる優れた神の使いじゃな」

「精霊・・・いいじゃねぇか」

「文明のレベルはお主が最初にいた所より少し低いくらいじゃな。不便はないと思うぞ」

「なるほどなぁ。早速送ってくれ」

「しかしのぉこの世界は・・・

「いいから送れ!少なくともあの鈍感なスマホ野郎がいる場所よりはマシだろ!?」

「オルガ、少しうるさい」

「すまねぇミカ・・・」

ミカの注意に俺は少し落ち着く事にする。

「まあ、そこまで言うなら儂も別の世界に君を送ろう・・・ムムム、アレハレユウシワヌインリエバ・・・放ァ!」

神様の爺さんの謎の呪文の後俺たちは新世界で目覚めた。

 

 

 

昔々あるところに勇者がいました。

勇者は、人々に嫌がらせを続ける魔王を説得するために、旅を続けています。

そしてついに、勇者は魔王の城にたどりついたのです。

 

「やっとここまで着いたぞ魔王!もう悪いことはやめるんだ!」

「私を怖がって悪者扱いを始めたのはお前達ではないか〜!」

 

 

 

・・・なんだこの演劇は?今俺たちがいるのは5歳くらいの沢山の園児達がいる幼稚園ってやつか?

園児達は集まって目の前の人形劇に夢中だ。ちょうど俺たちが座ってるところから舞台裏が見える。

赤髪のセミロングの少女が勇者役、やや黄色かかった茶髪のツインテールの少女が魔王役を演じている。

俺たちの向かいには二人の少女がナレーターを務めている。車椅子に座る黒髪の少女と黄色髪のおとなしそうな小柄の少女だ。

再び劇の様子を確認する。

勇者役が魔王に対して

「話し合えば分かり合えるよ!君を悪者になんかしない!」

と決め台詞を決めたのはいいが少し興奮したのか舞台裏を隠す壁を叩いてしまい倒れ、劇としての体をなさなくなった。

「何や、むぐぅ!?」

俺は思わず突っ込みを入れようとしたがミカに口を押さえられズルズルと廊下に運び出された。

「うるさいなぁ、劇の音が聞こえないでしょ」

俺はいつものやり取りのように胸倉を掴まれ脅された。

「す、すいませんでした」

俺は思わずミカに敬語で謝った。

 

 

 

「勇者キック!」

劇を廊下から覗いてみるとヤケクソ気味になっていた。手で操っていた勇者が魔王を蹴り?かかっている。

話し合えば分かり合えるとは何だったんだ?

「ちょ、ちょっと、それキックじゃないし、話しあおうっていったところじゃないの!」

その後少しごたついた後ナレーションの起点でいかにも魔王との戦いをするようなBGMが流される。

「ふっはっは、ここが貴様の墓場だあ!」

その場の勢いでストーリー変更し話し合いは平行線の彼方に消えていった。

「みんな、勇者を応援して。一緒にグーで勇者にパワーを送ろう!」

ナレーションの車椅子少女が園児達を先導し、園児達が声援を送る。

「ぐわあぁ、皆の声援が私を弱らせるぅ」

「勇者パンチ!」

「ぐわぁ」

「こうして祖国は護られました。めでたしめでたし」

・・・こいつはまあ何というか平和なやり取りだな。それより誰なんだよこいつらは?

 

 

 

「いやぁ一時はどうなることかと思ったけど何とかなったわね」

「ああ、思わず突っ込みそうになったぜ」

俺が置かれた状況を少し聞いてみたが、どうやら俺はこの勇者部っていう人のためになることを率先してやる、いわゆる何でも屋的な部活の顧問らしい。

部長の犬吠埼風、さっきの劇で魔王役の子だ。

勇者役の結城友奈、ナレーションの車椅子の子が東郷美森、もう一人が犬吠埼樹だ。

風と樹は姉妹らしく仲は良さそうだ。しかしそれよりも仲良さそうに見えるのは友奈と美森だ。

少しベタつきすぎじゃないかとも思える。まぁ俺とミカみたいな関係なのだろう。

「オルガ?」

ミカは俺の顔を少し不振そうに見つめる。何だよ俺の笑い顔が変に見えるのか?

「あ、そーだ先生、帰りにうどん食べに行かない?勿論奢りで」

「勘弁してくれよ・・・」

こっちはまだこの世界に慣れ親しんでないんだ。少しくらい考える時間をくれねぇかなどと考えてた矢先、ミカが無慈悲な一言を言い放つ。

「オルガ、連れてってくれるんだろう?」

「・・・ハァ、ああ分かったよ!連れてってやるよ!連れてきゃ良いんだろ!」

「ナイスミカ!さっすが先生をその気にさせるのが上手いわ〜」

しまった、ついついミカに乗せられてしまった。こんなんだから死ぬのも多いんだろうな、俺は・・・

渋々俺はうどん屋へと足を運んだ。

 

 

 

「あれ風先輩?今日はいつものところじゃないんですか?」

「ふっふっふ、私の女子力ともなれば新しいうどんへの探究心も角上なのだ。そろそろね」

そう言ってかれこれ30分程度歩いている。

山道のような上り坂を登った先にその店はポツンと立っていた。

「ここよ。最近リニューアルされた老舗モンタークよ」

モンターク?どこかで聞いたことがあるような名前だな。そんな疑問は店に入った瞬間すぐに消え失せた。

「マクギリスじゃねえか」

「ようこそ、私の店へ」

 




(投稿)止まるんじゃねぇぞ
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