オルガイツカは勇者である   作:村田殿(ハーメルン版)

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前回までのあらすじ
火星で発見されたパンドラボックスが引き起こした「スカイウォールの惨劇」から10年。
我が国は、東都、西都、北都の3つに分かれ、混沌を極めていた。
そして今地球を滅ぼす程のエネルギーが眠るパンドラボックスがついに開かれた!
その力を操る地球外生命体・バーテックスの前に勇者達が立ちはだかる!
(注意、上記のあらすじはほぼ関係ありません)

本当のあらすじ
マクギリスファリド事件と呼ばれなかったあの事件から数日後、平和となった勇者部の前に文化祭の準備という名の壁が立ちはだかる。
いつものようにモンターク店で少し変わった日常を楽しむ勇者達。
そんな彼女達の前にモビルアーマーが立ちはだかる!
そしてモンターク新店長を名乗る謎の青年万丈士、彼の目的は一体何なのか!?


ガンダムサブナック

マクギリスファリド事件と呼ばれなかったあの騒動から二日後、夏休みも終え日常へ戻ったオルガ達はある問題を抱え混んでいた。

 

「やっぱ今から作るのは無理か?」

 

「無理ね、残念だけど」

 

勇者部の本来の目的であるバーテックスとの戦いは終わった。だが勇者部は終わらない。

11月に控える文化祭に向けて一同は集まっていた。前はミカの提案である自分達が作った小麦でうどん作りを考えていたが、バーテックスとの戦いで時間がとられ栽培期間は実質なかった。

 

「言い出してすぐにやれれば今頃収穫できてたんだけどね」

 

「場合が場合だ、仕方ねぇ」

 

「まあ過ぎた事は仕方ないわよ、今からやって来年の文化祭にやりましょう」

 

「いいんじゃねぇの?」

 

「え?でも来年って事は風先輩は卒業・・・

 

「なーに言ってるの友奈、私は勇者部名誉部長として居座るつもりだからね」

 

「そっか、じゃあ今年の文化祭どうっすか?」

 

一同は悩んだ顔をして考え込む。そしてふと東郷が言い出す

 

「では私の家の秘蔵のコレクションを発表するのはどうでしょう?」

 

「何それ?」

 

「かつて国を守り戦った英霊たちの活動記録まとめです」

 

「おっと今アグニカ・カイエルの話をしなかったか?」

 

「は?」 ブンッ!

 

何処からともなく現れた大赦で謹慎中のはずのマクギリスをオルガは一発ぶん殴る。

 

「アンタどのツラ下げて来た?」

 

「その件についてはすまなかった。ところで先程アグニカカイエルの話をしなかったか?」

 

「してません。私の言った英霊達は厄祭戦よりも前の英霊です」

 

「つまりはアグニカカイエルの先祖の話という訳か」

 

「アンタ何言ってんの?」

 

「残念ですがアグニカさんとは関係ありません

 

「そうか、残念だ」

 

と残念がるマクギリスに対し村田と春信が追って来た。

 

「私達の監視を掻い潜ってこんな所まで来ますか、貴方は」

 

「大人しく大赦に帰ってくれれば今回の件は不問にするっすよ?」

 

「すまなかった、アグニカカイエルの話と思い、つい抜け出してしまったよ」

 

「さ、戻るっすよ」

 

マクギリスはアグニカの話ではなかった為か素直に二人の言うことを・・・聞かなかった。

 

「だがせっかく手に入れた自由を手放す気はない」

 

「あくまでも抵抗する気ですか?」

 

「君達こそバエルを持つ私に逆らうか?」

 

「貴方は謹慎中の身です。これ以上罪を重ねないでください」

 

「バエルを持つ私はそのような些末事で断罪される身ではないよ。さらばだ」

 

マクギリスはバエルの力を見せつけてこの場を逃れようとしていた。窓から身を投げ出しマクギリスはバエルに乗り込む。

それから空を飛び、その後を村田と春信は追いかけていった。

隣の部屋からは「バエルだ!」「アグニカカイエルの魂!」などの生徒の歓声声が上がっていた。

アグニカカイエルの布教活動は確実に進んでいるようだった。

しかしそんな事などオルガ達には些細な問題であり文化祭の話は続く。

 

「と、とにかくその英雄譚ってのは候補の一つだ。ほかにないか?」

 

「じゃあ分かりやすくアニメとかになってる方がいいな〜」

 

「成る程な世間に見せつけるなら分かりやすい方がいいか。けどそれだけじゃあ俺達は王にはなれねぇ」

 

「何言ってるのオルガ?」

 

「俺は文化祭を通じて学園の王にもなる。そうすりゃ地位も名誉も全部手に入れられるんだ。

コイツはコレ以上ないくらいの一勝負だ。もっとインパクトあるものを考えねぇとな」

 

「インパクト・・・ですか?」

 

「ああ、何かないか?」

 

オルガが行う文化祭はただの文化祭ではいけない。更に上を目指す為には学園で最も良い評判を集める必要がある。

 

「だったら俺達がやってきた事を劇としてやれば良いと思う」

 

「勇者部の活動記録まとめってこと?」

 

「いや、違うな。ミカが言いたいのはバーテックスとの戦いのほうだろ。俺たちの戦いはその英霊とか言う奴らと負けずと劣らねぇだろ。

そのまま世間に見せつけるのは禁止されてるが、劇として扱うなとは言われてねぇ。

この案は勇者部としても鉄華団としてもコレ以上ないくらいの名案じゃねぇのか?」

 

「確かに良い案ね。やるじゃないミカ」

 

「別に、普通でしょ、それよりオルガ、腹減った」

 

キュピ(オルガの胸ぐらを掴む音

ダン!(振りほどく音)

 

「ああわかってるよ!飯連れてってやるよ!途中にどんな事が待っていようとお前らを連れてってやるよ!」

 

「ああそうだよオルガ、連れて行ってくれ。次は何を食べれば良い?何を味わえば良い?オルガが奢ってくれるならなんだって食ってやる」

 

 

 

 

その後なし崩しでオルガ達はモンタークへと足を運んだ。

しかし・・・

 

「なんだよ、開いてねぇじゃねぇかよ」

 

気合い入れてモンタークへとたどり着いた一行だったがマクギリス不在の今、モンタークは休日日となっていた。

しかしミカはそんな事など御構い無しにオルガに言い放つ。

 

「オルガ、食べさせてくれるんだろ?」

 

「勘弁してくれよミカ・・・」

 

ミカは止まる事をしようとしない。だがこの状況下ではモンタークでうどんを食べる事は不可能だと思われていた。

彼が来るまでは。

 

「前髪が特徴的な銀髪で褐色の肌をしてワインレッドのスーツを着た背高めの男・・・見つけたって、あれ若い・・・?」

 

後ろからオルガと同年代と見られる青年がオルガを指差して話しかけてきた。全体的にサバサバした雰囲気だが彼の目はオルガに敵意を向けてるようだ。

 

「誰なんだよアンタは?」

 

その問いに対し男は腕を上げ、指を空へと向け高らかに宣言する。

 

「俺は天の道を行き、全ての頂点に立つ男。

万丈士だ!」

 

「アンタ何言ってるの?」

 

「うわぁ・・・あそこまでのナルシスト初めて見たわ〜」

 

ミカや風の辛辣かつ呆れた態度に彼は気にすることもなく自分の言いたい事を言い放つ。

 

「なんでアンタがそんなんでいるのかはこの際どうでもいい。奪った金は耳を揃えて返してもらうぜ」

 

「は?」

 

オルガは彼の行っていることが理解できなかった。

意味の分からない自己紹介や、お金を泥棒した覚えはこれっぽっちもない。

が、初対面の奴に泥棒呼ばわりされ、オルガはこの状況に困惑する

 

「しら切る気かぁ!」

 

挙句彼はこちらに殴りかかってきた。しかしそんな真っ直ぐに敵意をミカは先手を打ち銃を一発放つ。

威嚇射撃で肩を狙った一発を彼は間一髪のところでかわして見せる。

 

「あれ?外れ?」

 

「っ、チャカまで持ってるとはどうやら泥棒に間違いなさそうだな」

 

「待ってくれ!俺は泥棒なんて真似はした覚えがねぇ!」

 

「そうだよ、先生はそんなことしないよ!」

 

オルガと友奈は必死に彼の言葉を否定する。見に覚えのないことで殴られるなんてたまったものではない。

 

「本当か?」

 

「ああ。俺は強くてクールで度胸もあって、最高に粋がってカッコいい王様、オルガイツカだぞ。

盗みなんて卑怯な真似はしねぇ」

 

「何言ってるのよ?盗みなんて真似はしてないけど強くはないでしょ」

 

「え!?」

 

「クールとかって柄でもないでしょ」

 

「カッコいいって自分で言うのか?正直カッコ悪いぜ。

・・・だがお前の事は大体わかった。俺が知ってるオルガイツカじゃねぇみてえだな」

 

といい去りそうになったがオルガは青年を止める。

 

「待てよ、人のこと泥棒呼ばわりして去る気か?この落とし前アンタどうつけるつもりだ?」

 

「・・・めんどくせぇな」

 

「あ、お前状況分かってんのか?俺は・・・

 

「オルガ、俺腹減ったんだけどさっさと食わせて」

 

オルガと青年の話が長くなりそうなの見込み、ミカはオルガの腕を掴み力を込める。

 

「痛い痛い痛い!離しやがれ!」

 

オルガの必死の抵抗でミカは掴んでいた手を離す。

 

「なんだ少年、腹減ってるのか?なら詫びとして一杯作ってやるよ。

俺は・・・モンターク店長代理だからな」

 

 

 

青年は閉まっていたモンタークの扉を開けカウンター側につく。その後手際良くうどん調理の準備をする。

 

「さてさて、調理を始めようか」

 

包丁捌きや麺の茹で方等に無駄が一切見られず、一人で常人の三倍分ほど働いていた。

その流れは演舞を披露するかのようだった。

 

「ゾクゾクするねぇ」

 

鼻歌を歌いながら万丈は仕上げの茹でに入る。

 

「ねぇ、まだなの?」

 

ミカは不機嫌そうにうどんの到着を待っていた。今にも厨房に入り込み調理途中のうどんにかぶりつきそうな眼光で見つめるが、彼は臆せずミカをなだめる

 

「待ってろよ。美味しい物を食べるのは楽しいが、一番楽しいのはそれを待っている間だろ?」

 

「そういうもんか?」

 

厨房からは出汁のいい匂いが漂ってきている。その匂いこそが彼が言いたいことだった。

 

「いい匂いだ。友奈もそう思うだろ?」

 

「え?私?」

 

唐突に友奈は彼に呼ばれ驚いた顔をする。友奈には料理をしている彼との面識はないはずだが、彼は何故か友奈を知っているようだった。

 

「友奈?・・・ああそっか。君は俺の知ってる友奈じゃなかったな」

 

「どういうことです?友奈ちゃんのお知り合いなのですか?」

 

「私は・・・分かんないかな。多分初めて会ったと思うよ」

 

勇者部一同にも鉄華団にも彼を知る者はいなかった。

 

「大した話じゃないよ、車椅子のお嬢さん。

まぁ言ってしまえば俺の同志によく似た子の名前も友奈だったってこと」

 

「似てる奴に間違えたって事か?」

 

「そゆこと」

 

「友奈ちゃんによく似た友奈ちゃん・・・まさか生き別れの姉妹とか!?」

 

「えー?そんな覚えないげどな〜。でもそんなに似てるって言われると気になるな〜」

 

「会えるよ。会おうと思えばいつでもな」

 

「ふぅ〜ん」

 

友奈や東郷は彼の言葉を軽く流したがミカだけは彼の言葉の意味をちゃんと理解していた。

彼が知っている友奈はもうこの世にいないという事を。

ミカはどこか重い顔をしていた。

 

「・・・しゃあ!出来たぜ」

 

そんなミカの感傷を消すかのように七人分のうどんが運ばれてくる。

漂ってくる匂いが近づいてくるにつれてミカは無意識に舌なめずりをする。

 

「あれ?なんか花の匂いがするような・・・

 

「そう、山桜。その意味は純潔。

おばあちゃんが言っていた。花は全ての女性を輝かせる。そして美味しい料理とはさりげなく粋なものってね」

 

アサガオ、オキザリス、鳴子百合、ヤマツツジと花の香り通わせるうどんに彼女達は普段と違う楽しさを感じていた。

 

「俺はモンタークをあの金髪さんから受け継いで新生モンタークとしてのスタートを切る。その為の新しいうどんなんだが気に入ってもらえたかな?」

 

「良いんじゃねぇの?なぁミカ?」

 

「おかわり」

 

各々が香りを楽しみながら食べている中、ミカは特に香りを気にする様子もなくおかわりを要求してきた。

 

「はっはっは、良いじゃないの。食べるという字は人に良いと書く。

よく食べる子はそれだけで良い子だって分かる」

 

万丈はミカの食べっぷりに満足気に笑いを浮かべおかわりを取りに行く。

更に腹を満たそうと楽しみにしていたがその小さな夢はあの音によって消える

 

テレレンテレレン

テレレンテレレン

と彼女達のスマホからはもう聞くはずもないであろう樹海化警報のアラーム音が部屋へと鳴り響く。

その音に対し全員が困惑した顔を浮かべる。

しかし樹海化はそんな彼女達の事など知る由もなく世界へと広がっていった。

 

「おかわりおまた・・・あれ、どこ行ったんだ?」

 

そして樹海化の中何故か万丈は平然とうどんのおかわりを持ってきていた。

万丈は辺りを見回し、店の外にも目を配ったが特に樹海化された事に気にもせず部屋へと戻り一人うどんを食べていた。

 

「んんー!うめー!やっぱ俺の作ったうどんは最高だ!

・・・あれ?おかしいな?俺金取られた覚えないのになんであんな発言したんだっけ?

んん〜?大きな星がついたり

消えたりしてる。あはは、大きい!彗星かな?いや違う、違うな。

彗星はもっとバァーって動くもんな

じゃああれは何だ?あれはバエル・・・

っ!いかんいかんまたあの症状か。こんなもんを体に入れてるから精神がおかしくなって幻覚なんか見るんだ」

 

 

彼が見ていたのは厄祭戦の記憶。それはおばあちゃん達から聞いただけの言伝の記録だった。

だが彼は体感している。大赦が腐敗していく様を体感している。

それでも彼は大赦を変えようとはしなかった。彼自身もまた大赦が作り出した腐敗の象徴なのだから。

 

少し落ち着いた表情でうどんを完食し終えた後、万丈は村田へと連絡を取った。

 

「もしもし、村ちゃん?バーテックスが攻めてくるには早すぎるんじゃないの?

ん、例のモビルアーマーが起動した?そ、大体分かった。人が起こした災厄なら俺が動いても問題ないよな?ないよね」

 

強引に決めつけた万丈は奥にしまいこんであった未使用冷蔵庫の扉を開けた。その中はなんと地下へと続く隠し階段だった。

先へ進んでいくと現れたのは青を基調とし砲撃戦仕様のガンダムフレームだった。

 

「ガンダムサブナック、いやカラミティ。まさかまたお前を使うことになるとはな。

まぁ人が起こしてしまった災厄は大赦の穢れである俺が鎮圧しないとな。

そうだろ、蓮ちゃん・・・

ガンダムサブナック、万丈士!行くぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




新キャラ紹介
万丈士
以前マクギリスにチョコの青年と比喩されていた人物。
自分を天才だと思い込んでいる天才
およそ二ヶ月前にモンタークに入社し天才的な料理センスで店の副店長にまで登りつめていた。
石動が現在病院送りの中一人モンターク店を切り盛りしている
本編ではまだ明かしてないけどアグニカ大好きマン

ミカの銃を初見で避ける
友奈という名前と何かしらの繋がりがある
樹海化の中普通に動き自らを大赦の穢れと称する
精神が不安定であり日常的に幻覚や記憶障害を起こしている
おばあちゃんっ子
名前からして某世界の破壊者と関係してるかもしれない
ついでに火星からの侵略者で地球を滅ぼそうとしている奴の遺伝子とか持ってるかもしれない
ガンダムフレーム(カラミティ)を所持しており以前使った発言がある
蓮ちゃんという名前とどこか親しげな雰囲気である

といったことから彼の正体は・・・一体何者なんだ
てかオルガ機をこんなよく分からないオリキャラに乗せるとか正気の沙汰じゃねぇぞ!
一つヒントを出すなら彼は人間ではありません

次回予告 「真実の入り口」

「愚かにも程がある」
「撃っちゃうんだよなぁ!これが!」
「ぶるるああああ!!!」
「デスティニーならこういう戦いも出来る」
「モビルアーマーとはバーテックスが対勇者様に作り上げた機械仕掛けの天使だ」
「これいらないからあげる」
「なんか似てない?台所の黒い奴に?」
「借りるよ」
「私だけ新たな精霊なしって…どういうことなのよ」
「行ってビット!」
「会いたかったよ〜わっしー」
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