勇者
それは勇気のある者
英雄と同一視され、誰もが恐れる困難に立ち向かい偉業を成し遂げた者、
または成し遂げようとしている者に対する敬意として使われる。
私はそんな風になれたらいいなって思うんだ。
五月の長い休みも終わり新しい週が始まった。
「おはよう友奈ちゃん」
「おはよー東郷さん」
私は隣に住んでいる東郷さんと一緒に学校に行く。
東郷さんは一昨年私の家の隣に引っ越してきた女の子。
私の親友なんだ。
引っ越してくる前に事故で足が不自由になって、車椅子に乗ってる子。
初めて会った時はその事故のせいで塞ぎ込んでいたけど、一緒に過ごしてるうちに色々と東郷さんの凄い所を知って仲良くなれたんだ。
そして私達は讃州中学勇者部。
勇者部は人のためになることを率先してやる部活
具体的には幼稚園でレクリエーションしたり
地域のゴミ拾い
お店の手伝い
他の部活動の助っ人
とにかく色んな事をやっているんだ。
学校の皆んなと元気よく挨拶をした後、朝礼をする。
「起立!礼!お祈り!」
クラス一同が学級長の声に従う。
「神樹様のお陰で今日も私達はここにいます」
外の窓の方に向き、神樹様にお祈りを捧げる。
神樹様はこの世界の守り神。
神樹様は作物とかお魚とかうどんを恵んでくれたりする神様。
私達は神樹様のお陰で皆んなと一緒に過ごしてるんだ。
授業も終わり私達はいつものように勇者部の部室に足を運ぶ。
部室内には部長の風先輩と妹の樹ちゃん、それと三年生の男の子、ミカと顧問のオルガ先生がいた。
「こんにちはー、友奈、東郷、入りまーす」
「お疲れ様です」
「おう、来たか」
出迎えてくれたのは一つ後輩の樹ちゃんとオルガ先生だ。
ミカは・・・チョコレートを頬張っていた。
「来たわね友奈、東郷、
今日は捨て猫の飼い主探しをするわよ」
言いながら風先輩がボードに子猫の写真を何枚か貼り付ける。
みんな可愛いな〜。
「まだこんなにあるんですね」
「学校巻き込んで飼い猫を探すわ!まずはホームページの強化準備ね」
「学校を巻き込む政治的発想。流石一年先輩です」
「あ、ありがと」
風先輩はちょっと困った様に東郷さんにお礼を述べる。
「と、言うわけで東郷任せた」
「了解しました!」
東郷さんがビシッと敬礼をした後、机の上にあるパソコンを器用に操作し勇者部のホームページを編集する。
まるで自分の手足を操るように操作し、あっという間に完成させた。
「ホームページ完了です!」
やっぱり東郷さんは凄いな。
みんなが驚きと喜びの声を上げている中一人だけ不満げな顔をしている人がいた。
オルガ先生だ。
「なかなかいいじゃねぇか。
でも鉄華団のマークが足りねぇな」
先生は見よう見まねでホームページを編集し、目立つ様にシクラメンの形をした赤いマークをつける。
シクラメンは日に向かって身体ごと伸びていく植物で私達にピッタリだと思った。
・・・そもそもてっかだんって何?
「あのお姉ちゃん私達はどうしよう?」
「え?まずは今までどおりだけど、今まで以上に頑張る!」
風先輩のガッツポーズに樹ちゃんはちょっと呆れ気味だ。
「それだったら河原の掃除をやろうよ」
「あ、良いですねそれ!」
私達は私達に出来ることをするの。
それが勇者部だから。
場面は変わり河原へと場所を移す。
「何だよ、結構汚ねえじゃねぇか」
オルガ先生の言う通り河原にはペットボトル等のゴミの類が散らばっていた。
「まともな仕事ってのは地味だなもんだな」
先生が文句を垂れ流しつつも作業を頑張ってくれている。
しかし走り回って作業をしていた先生が河原の石に躓き、盛大に回り回った。
その勢いのまま川の中に入り
その時希望の花が咲いた。
そしてどこからともなく女性の歌がその時聞こえた。
俺は止まんねぇからよ、お前らが止まんねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!
だからよ、止まるんじゃねぇぞ・・・
「せ、先生大丈夫!?」
「こんくらいなんて事はねえ・・・」
大した怪我はしてなかったみたいでみんな安心した顔になる。
でもどうしてだろう?
先生の服は全く濡れてなかった。
そんな事もありながらも私達はいつものようにうどん屋へと足を運ぶ。
今日は昨日と違って馴染みのあるうどん屋だ。
食事に手をつけつつ風先輩が話を始める。これで三杯目だ。
「いやー労働の後のうどんは美味いわね。うどんは女子力を上げるのよ」
「ああ、目の前のもんをひたすら片付けて行かねえと先に進めねぇからな」
先生がなんか良い事言った!
「あ、そうだ。文化祭の出し物の相談なんだけど・・・」
私達の文化祭は10月の初めに行われる。
ちなみに今は五月に入ったばかりだ。
「去年は準備が間に合わなくて何も出来なかったんですよね」
「そうよ、夏休みに入る前に色々と決めちゃいたいのよね
今年は猫の手も借りられるし」
猫の手と言いながら樹ちゃんの頭をを風先輩は撫でる。
「私!?」
「何それ?」
ミカがまるで知らなかったかの様に聞いてくる。
「ちょっとちょっと、ミカ?そんな事も知らないの?
文化祭はねこうババーン!と騒ぐお祭りよ!」
「正直ピンと来ねえな。ミカ?お前は分かったか?」
「当たり前じゃん」
「えっ?・・・すげえょミカは・・・」
「うーん、先生にも分かるように教えるには女子力が足らなかったか?
すみませーん、おかわりくださーい」
「勘弁してくれよ・・・」
オルガの懐には昨日村田から貰った金がそれなりはあった。しかしそれでも限りがあるものだった。
四杯目もペロリと平らげた後話は持ち越しになってしまった。
「それじゃあ皆んな、こうババーン!と行ける勇者部らしい文化祭のお題を考えるのよ。
これ宿題ね」
風先輩からの宿題を私達は出された。ババーンと行ける勇者部らしいお題かあ〜
どんなのが良いかな〜
明日までに考えないと!
風先輩や樹ちゃんは帰る方向が違うので私達は車椅子専用の車に乗って家まで帰る。
離れていてもスマホのアプリ「ナルコ」を使って休日の過ごし方をどうするかなんていう、たわいもない会話を楽しむ。
だらだらするって風先輩に送ったらトドですかってツッコミを東郷さんが送ってきた。
そのツッコミに私達は軽く笑顔を浮かべる。
・・・その頃風と樹は自転車を押しながら橋の上を通っていた。
「さて、夕飯何作ろっか?」
「まだ食べるの?お姉ちゃん食べすぎだよ〜」
そんなたわいもない会話をしていた時風のスマホから一通のメールが来る。
中身を確認するとそれは大赦からのものだった。
それは勇者部が勇者としての適正値が高いことを示すメールだった。
そのメールを見て風は一瞬険しい表情を浮かべる。
それを気にしたのか樹が心配そうに声をかける。
「お姉ちゃんどうしたの?」
「ううん、何でもない」
その場は何でもないと言ってしまったが少し考えた後例え話をするように風は口を開く。
「ねえ樹、もしお姉ちゃんに隠し事があったらどうする?
「えっと・・・よく分からないけど」
「例えばね甲州勝沼の戦いで援軍が来ないのに戦えって言われたら?」
「えっと・・・いきなりどうしたの?」
「ううん。やっぱり何でもない」
我ながら例え話が下手だと思った。しかし勇者適正が高いと言っても実際に勇者になる可能性は低い。
全国には自分達以外にも勇者部が数多く存在する。
もしかしたら別の誰かが知らずのうちに勇者になるかもしれない。
それはそれでみんなを危険に晒さなくて良いと風は考えていた。
「・・・ついて行くよ?何があっても」
「え?」
「お姉ちゃんは唯一の家族だもん」
「樹・・・ありがと」
犬吠埼姉妹の両親は昔、不慮の事故でこの世を去っている。
なので今はマンションで二人暮らしである。
風だけはその不慮の事故の原因はバーテックスである事を知っている。
風はバーテックスに復讐する為大赦の命令で勇者適性のある友奈や東郷、そして樹を集める為の部活。
勇者部を作った。
しかしいざ戦うかもしれないという現実に苦悩していた。
もし勇者になったら自分がしっかり先導してみんなを守ると決意を新たにした。
日はまた登り、
神世紀三百年(西暦2318年)
5月7日火曜日
勇者部の面々はいつものように部室に集まっていた。
「皆んな!昨日の宿題、ちゃんと考えておいた?」
「まだです」
「私も・・・」
「うん。農業をやってみたい」
友奈や東郷が考えがまとまらない中、ミカは一つ発言をした。
「農業?」
「今は無理だけどいろいろな本を読んで、野菜のこととか勉強したいんだ。
それにうどんの材料も自分達で作ればもっとおいしくなると思うんだ」
「なるほどね〜。
勇者部といえばうどん。
うどんといえば勇者部。
切っても切れない関係、運命の赤い糸で結ばれてる関係ね。
いいじゃないミカ!」
ミカの提案に風先輩も賛成した。
何故か先生も自慢げな顔を浮かべている。
「よーしお前ら!文化祭は勇者部の大仕事だ!気ぃ引き締めていくぞおっ!」
「「おおー」」
勇者部の面子はまずうどん作りの知識を得る為図書館へと行こうとしていた。
「先生!車の用意出来ました!」
「おう、じゃあ行くぞぉ!」
先生が車の近くに来たその時だった。
その場にあったそよ風が急に止み、葉っぱが何と空中で静止した。
それだけじゃない、部活をしている人もこれから帰宅しようと準備している人も止まっている。
まるで時間が止まったかの様な感覚に包まれる。
そして私達のスマホが聞いたことない音を鳴らした。
見ると画面には赤い文字で
「樹海化警報」
と書かれていた。
「えっ?なに?なに?」
「友奈ちゃん・・・これは?」
「まさか!?・・・皆んなよく聞いて!
・・・私達が当たりだった・・・」
風先輩が言い終えると同時くらいに海の向こう側がまるで切り裂かれ一瞬漆黒に染まり、そこから七色の空間が広がっていった。
そして七色の花弁が当たりいっぱいに広がる。
空間が近づくにつれ周りの空気が振動し、私達は強烈な光に包まれた。
その時希望の花が咲いた。
俺は止まんねぇからよ、お前らが止まんねぇかぎり、その先に俺はいるぞ!
だからよ、止まるんじゃねぇぞ・・・
目を覚ますとそこはカラフルな空間だった。
カラフルな木の根っこがまるで道路のように連なり、細かい模様が入っている。
空を見上げ見ると風鈴のような青く輝いたものや、遠くには薄っすらと巨大な鳥居が並んでいるのが見えた。
「これ・・・なにが、起きたの?」
この日、私達の日常は一旦終わりました
投稿ペースを出来るだけ早める為にaパート、bパートに区切って投稿する予定です
余談
ガンダムビルドダイバーズにはミカ(ミカミ・リク)と優奈(の声優)が主人公とヒロインやってるからよ
見逃すんじゃねーぞ・・・