[大丈夫ですか?]
死を覚悟した咲の前に現れたのは黒いコートを羽織った少年だった。
[その手···]
彼の手は真っ黒な大きなクローに変わっていた。
(まさかこの人もサイキック?でもクロー系の武器に変形するサイキックなんて聞いたこともないわ···)
実際、サイキックが変形するのは剣、銃、斧、槍、盾の五種類しかなく、クローという武器に変形するサイキックは本部のデータベースにも載っていなかった。
[あなたもサイキックなの?]
[その話は後でもいいですか?]
少年は目の前の高速で動く敵を見ながら言った。
[とりあえずコイツを倒さないと]
[なら、私も加勢するわ!]
[いや、大丈夫です もう、]
少年がクローを構えた瞬間、
[終わりました。]
そのクローは敵を貫いていた。
[リスクA"ガーゴイル"···]
貫かれたモンスターの名前はガーゴイル。このダンジョンの主と思われるモンスターだった。
[じゃあ、あなたが何者か聞いていいかな?]
そう聞かれた少年はさも当たり前のように、
[分からない]
[どういうこと?]
[自分の事で分かっているのは自分の名前がレイらしいことくらいです。]
[じゃ、じゃあ自分が何処から来たか、何処の部隊の人間かも分からないっていうの?]
[部隊ってなんですか?]
[嘘、そんなことまで覚えてないの?]
普通サイキックは様々な部隊に別れて戦い、何処の部隊にも所属していないサイキックは居ないはずだった。
[えっと、まずサイキックっていうものが分からないんですが···]
[じゃあ、何も分からないまま手を変形して私を助けたの?]
[はい、ほぼ感覚だったので]
咲からすると感覚だけであのガーゴイルを倒すのはかなり凄い事なのだが、レイは嘘偽りの無いような顔で言った。
[はぁ。あなた何もかもイレギュラーね。]
[すいません···]
[まぁいいわ、でもこんなに謎を秘めているあなたをほっておけないし、それに仲間の死体をこのままにしておけないし。]
咲は仲間の死体を見て言った。
[では、行きましょうか?]
[何処に?]
レイは不安そうな声で言った。
[サイキックの総司令部"スカイタワー"よ!]
[スカイタワー?]
[分かったもう驚かないわよ]
"スカイタワー"それは世界各地にある支部に司令をおくる本部である。
[そこに行ったら僕が何者か分かるんですか!?]
[ご、ごめんなさい。それは分からないわ···]
[そうですか···]
[そんなに肩を落とさないで?もしかしたら何か分かるかも知れないし、ね?]
[そうですね]
[じゃ、行きましょう?]
[はい!]
こうして、レイと咲はスカイタワーに向かって歩き出した。
もう少し上手く書けるようになりたい。
捕捉ーリスクとはモンスターの危険度の事。上から順にSS,S,A,B,C,CCとなっている。またまれに、スペリオルという規格外のモンスターが現れたという記録も残っている。そのモンスターが現れたダンジョンの周りの国は例外なく滅んでいる。