また来て三角   作:参号館

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シカマルは、サスケ奪還任務の後、サクヤの実力を見誤っていたと、反省していた。

 

 

「あ、そう言えばあの団子屋の看板娘、今度結婚するらしい。」

 

「ああ?!嘘だろ!!まだ6歳だぞ?!」

 

「王手。」

 

 

何度か暇を見つけてはサクヤと打ってサクヤの実力を測ろうとしていたシカマルだったが、

サクヤとの盤上での勝負は、一朝一夕では結論を出せない物だった。

何故か、今回は勝てても次回は確実に負ける。

必ず5分に持っていく勝率に、シカマルはコントロールされているとしか思えなかった。

 

 

「あ゛っまてまてまて!! 6歳で結婚とかおやっさん泣くぜ?!」

 

「ホント。

隣の八百屋のオヤジと仲直りして、ゆーこーの印に婚約結んだんだと。」

 

「なんだよ…八百屋の倅とかよ…」

 

「後でまた大ゲンカしようと、それによって婚約が破棄されようと、今の段階では本当だ。」

 

「殆どガセじゃねーか…王手」

 

「げっ」

 

シカマルは今迄、『シカク』と『サクヤ』の勝負を何度も見てきた。

サクヤは、全敗のシカマルと違って、何度かシカクに勝ってはいた

が、それは結構ギリギリな勝利で、シカマルはその薄氷の上を滑る姿が、好きでは無かった。

それに、シカクとサクヤの勝負はどうでもいい話が多すぎるのだ。

最低でも3回は行う勝負の途中に、次お茶を持ってくるのは誰だとか、鳥の名前でしりとりだとか一見してどうでもいい勝負や話しを二人でもちかけている姿に呆れていた。

 

しかし、サクヤ達の勝負はそこに在った。

 

 

「んぐぐぐぅ…あっ!!UFO!!」

 

「その手は何度も乗ってやったろ。飽きたわ。するなら早く降参しろ。」

 

 

ここまでアホな会話ではないが、気を逸らす、集中力を切らす、視線を逸らせる…

それは明確なルールの無い野良試合では

シカクとサクヤの勝負には、不可欠であった。

 

 

残念ながらサクヤが、普通にやって勝率がゼロに近い相手に勝つには、場外乱闘しかない。

そして、あくまで場外の乱闘、将棋盤に触れもしない乱闘には、サクヤに分があった。

 

シカクが考えている横で、庭にある手裏剣の的に向かって、わざわざ中心から外れて苦無を打ったり

お茶を持ってきたヨシノさんに無駄に絡んだり

鼻歌歌ったり、意味深な事を言ったり

あえて打てる手を打たずに相手の混乱を誘った事もあった。

 

それはシカクの集中力を欠き、視線を誘導され、油断を作らせた。

実はシカクも、作間相手に使った事がある手である。

しかし、『その手』では作間やサクヤの方が一枚上手だった

引っかかったように見せて、乗せられ、乗せられたように見せて降りて…

 

シカクとサクヤの場合、余りにも負けが越してイラついたサクヤから始めた事だったが、

シカクはノッてきた

場外乱闘が『あり』だと、認めたのだ。

 

 

シカマルは盤上の勝負ばかりに目が行っていた

しかし、薄氷の上を滑るような盤上の勝負は、場外乱闘まで視野に入れると

 

 

「よっしゃ勝った!勝った!」

 

「あっ?!

嘘だろくそっ!!もう一回だ!!もう一回!!」

 

「…いや、勝ち逃げさせろよ。我年下ぞ?ぞ?」

 

「奈良家の男が勝ち逃げさせんのは、嫁さんだけだ。」

 

「真顔でのろけんな」

 

 

 

「(何やってんだ…この人達…)」

 

 

しょうもない意地の張り合いにしか見えなかった。

 

 

シカマルは中忍になって知った、どうでもいい真実に、半ば呆れてものも言えなかった。

しかし、シカマルが場外乱闘ありでも、勝てない相手であるシカクに、サクヤが勝利しているのは紛れもない事実である。

そしてそれは、囲碁に限り5分まで持って行ける『確実』な手であった。

 

 

―――

――

 

シカマルがサクヤの帰還を祈っている頃、木の葉の中枢部である火影邸屋上――…

 

からズレて情報部は、てんやわんやしていた。

 

伝令に走る人員が足りないのである。

そこかしこで起こる爆発と崩壊に、逃げ足の遅い一般人の足では追いつかず、被害は広がり、それを助けるのに忍びが必要で、その中枢にいるのは暁を相手にする中忍ばかりで、暁を足止めするどころか、一般人や怪我人に気を取られ、捕えられ情報を取られる。

完全な悪循環。

 

それに気付かない火影では無く、綱手は里が機能していない事をカツユから察知、原因を探るよう手を打ったが、その答えはあやふやな物だった。

 

「前は、もう少しわかりやすい伝令だった。」

 

「指令内容があやふやすぎてかみ砕くのに時間が掛かる。」

 

「俺たちは指示通りに動いているはずだ。」

 

不満をまとめると「以前より指令内容の説明が劣る」と言うのに限った。

 

これだけで?

たったこれだけで、この有事に里の情報網が機能しなくなるのか?

 

綱手は思考をめぐらすが、どうもピンとこない。

しかし、確実にここに問題があるのは確かだ。

何故木の葉崩しでは問題が無くて、今なのか…

何故以前からこの問題が注視されてこなかったのか…

 

「あのっ」

 

 

屋上でカツユから集められる情報をまとめる綱手に声をかけたのは、医療班の中忍であった。

綱手も病院を束ねた事のある身、その顔には見覚えがあった。

持ち場である病院を離れて何をやっているのかと鋭く視線を向けるとその忍びは委縮する

 

「以前、から…えっと…」

 

「なんだ、もっとハッキリ!!結論から喋ってくれ!」

 

委縮させるのが良くないとは分かるが、しかし今は余裕が無い。

もそもそと喋る医療忍者に結論から言うよう綱手はせかす。

 

「以前から!!サクヤさんが会議終わりに手を貸してくださっていて!!」

 

「…サクヤ?」

 

「あっはい…。

真の目上忍が会議の後、一人一人にアドバイスや、多分役に立つかもと情報を足してくれていて…今回サクヤさんが里に居ないので、皆手探りの状態でして…現場は自分の情報を精査するのが精一杯で指揮まで…その…気が行っていないのだと…」

 

「そんなことで…いや、…なんでサクヤに頼っていた!!」

 

医療班の彼女を責める必要は無く、彼女のせいでは全くないが、綱手は責められずにはいられなかった。

この問題は、サクヤが里に居れば、すべて解決していた、問題にもならなかったはずの事で

サクヤが忍びを辞めなければ機能していたと言う事だ。

悔しい事に里側は、サクヤが何故忍びを辞めてまで里を抜けたかったのか、皆目見当がついていなかった。

こういう驚きのプレゼントはいらない。

 

 

「あっその…すみません…。でもどこから情報を出したらいいのか分からなくて…一応自分たちで補完し合ったりはもちろんしていたのですが、サクヤさんの情報には遠く及ばず…申し訳ありません…。」

 

 

「(今ここに居たら一 発 は 絶 対 入 れ て や る の に …!!)」

 

サクヤは知らぬところで命拾いしていた。

 

 

額を片手で隠し

はぁぁぁぁああああ

と大きなため息を吐くと綱手は指示を出す。

 

「これから全指揮は私が全てだす。とりあえずそれにしたがって動いてくれ。」

 

応急処置でしかない。

 

綱手は、こんな所で、サクヤの名前を聞くとは思っていなかった。

会議に出ず、何時も何かしら忙しそうにしてはいたが、そんな馬鹿みたいな事をしていたとは…

一体下忍中忍特別上忍上忍何人いると思っているんだ…

あの詰め込んだ任務の間、何に首を突っ込んでいたんだ…

どれだけの情報をあいつは持っていたんだ…

暗号ならサクヤと言って呼ばれていたのも、術に詳しい3代目の代わりにそこら中から声をかけられていたのも分かっていたが、どれだけ多くの問題に首を突っ込んでいた…?

里も機能しなくなるわけである。

 

偏頭痛が綱手を襲うが、今それを悔やんでも意味が無い。

サクヤを呼んでも帰っては来ない…

 

この結構大きな穴を誰かに委任できればいいが

綱手は、応急処置で自身が指示を出す方法しか思いつかなかった。

事前の予定では『襲撃の犯人、人数、目的が判明するまで上忍中忍は敵索。下忍は一般人の護衛、保護、避難。』と決めていた。

まさか、あれだけの数がいる下忍がいて避難が間に合わないとは思わなかった。

 

これは計算ミスである。

前回の木の葉崩しより、万全に事に入る時間は合ったし、準備は出来ていた。

そのはずであった。

 

 

サクヤの穴の大きさを考えてはいなかった。

 

痛恨のミスである。

 




後日修正する
取りあえずストレスを発散させてくれ…(死)
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