また来て三角   作:参号館

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五影会談開催の地、鉄の国、三狼の中

それぞれの垂れ幕に気配を纏わせ、影たちが向かい合う。

風の文字が揺れると同時に、赤髪の青年が口を開いた。

 

 

「オレから話す。聞け。」

 

主導権を握るには、第一声がインパクトのあるモノでないとならない。

人は、印象に残らなければ見向きもしない。

 

 

「随分と五影も様変わりしたのォ」

 

このように、インパクトを手に入れられなかったものが後から何を言ったってガヤになるだけである。

 

完全に出遅れた土影は、今回の五影会談ではガヤになる気満々であった。

何故ならこの五影会談に参加する気は無かったからだ。

元々人柱力を奪われても問題ない国富を有する国であったし、それ以上に、今回の五影会談の中心である、"暁"の事に関して突っ込まれなくなかったからだ。

しかし、雷影が腰を上げたせいで、初めから五影会談を呼びかけていた砂はもちろん、そこに迎合する様に火影、水影が五影会談に参加する事になり、ここで拒否しても何か勘繰られると考え、なし崩しに参加するしかなかったのだ。

 

ここで何か大きな口を叩くと、これ幸いに突っ込まれ、土影の立場というか、尊厳が危うかった。

いかにしても、この会談を乗り切らねばならない。

 

いっそここに隕石でも落ちて来てくれたら、日が悪かっただのなんだの言ってのらりくらり躱せるのに…と考えてしまうのも無理はないだろう。

 

「土影様、チャチャを入れないでください。」

 

にべもなく、水影にガヤを詰られたのでいったん黙る事にした土影をしり目に、風影は、淡々と身の上を話し出す。

しかし息づきに開いた間に、また土影がガヤを入れ、このままグダグダと続くのかと辟易する雰囲気の中

一瞬で、大きなチャクラが錬られ、机に叩き付けられた。

 

 

「グダグダといいかげんに しろ!!!」

 

ドゴッ

という音と共に雷影の拳が机を破壊し、天幕から影を守らんと残像達が動く。

 

一触即発

 

揃い踏みの中、獲物が動くかと思われたその一瞬に

鉄の国大将 ミフネが口を挟んだ。

 

 

 

「ここは話し合いの場でござる。

礼を欠いた行動は慎んでいただきたい。」

 

 

冷静な言葉に、火影を初めとした影達は、己をさえぎる部下を下がらせた。

この場でそれを抜くのは『恥』であると、開催地である鉄の国大将ミフネに言われてしまっては、里を背負う物である影は下げざる負えない。

 

そもそも、影と相対するに当たって、部下は肉壁位にしかならないものである。

それ程『影』と言う者は抜きんでていた。

 

今は、それ(部下)の使い所では無かった。

 

 

―――

――

 

「木の葉! 岩! 砂! 霧!

お前らの里の抜け忍で、構成されとるのが”暁”だ!」

 

各々の場所に戻り、落ち着きを取り戻した空間に雷影の声が響いた。

お前は言葉の端に『!』が無いと話せんのかと、岩影は呆れた目を向けるが

ここで、一番突っ込んでほしくない所に話しを持っていかれた。

 

「それだけでは無いぞ!

前任者の影も含めたお前らの中には、暁を利用してきた者がおることも、調べは付いとる!!」

 

大変に痛い所を突かれたが、ここで顔に出さないだけ岩影は賢く、強かだった。

 

戦争は金を喰う。

軍備、兵器、そして何より『人件費』がかかる。

人件費と一言に言ってもその中には『衣食住』も含めば『教育費』『生産ライン』など人が生きる為のライフラインまで含んでいる。

それは戦争に勝っても負けても付きまとう物だ。

 

この、必要経費と言うべきものまで削らないとならない程に、今『里』と言う物は軍縮を迫られている。

 

平和が続いているからとか、しょぼい任務しか無いからだとか色々あるであろうが

その大きな要因は元に帰れば『忍界大戦』に在った。

 

第3次まで続いてしまった忍界大戦は、『国』を消耗させるには十分であった。

 

国だって

民の声を無視していいように金を絞り出せば――

必要経費を別に回せば――

他の国から奪えば――

手段をいとわないのであれば、出せるだろう。

だが、そんな国に人が住めるかと言えば、無理である。

簡単に資金を繰り出せるかと言ったら、そうでは無いのが常だ。

 

しかし、軍縮に当たってあるリスクが浮上してしまう。

もし、軍縮により戦力が落ちている状態で、『戦争』が起きてしまったら?

 

他国から攻撃されてしまったら?

 

「そのリスクを回避する一つの方法が……、”暁”だったということか。」

 

どの国にもそのリスクはあった。

だから岩同様に、砂も、霧も、木の葉だって、軍縮の憂き目に会っている。

『雷』が軍事開発を辞めなかったことは、それも一端にある。

 

雷影が声を荒げ、糾弾するも、どの里一つに絞れるはずもなかったのだ。

それが暁の、『長門』の狙いだったのだから。

()()で戦争が無くなる予定だったのだから。

 

長門の野望のおかげもあって、各里は疲弊しているに等しかった。

それだけ長門の考えた『戦争をなくす方法』は革新的で

暴力的な物だったのだ。

 

逆上する雷影に、だんまりを決め込んでいた火影が声をかける。

やんやと前置きが続くが、その後の言葉に、名前に、驚きを隠せなくなる。

 

「”暁”のリーダーはおそらく、『うちはマダラ』だ。」

 

 

死んだはずの名前が挙がった。

死んでなかったとしても、もう現役では無い年齢の名前が挙がった。

 

しかし

いくら有りえない理由を上げようとも、それを如何にかしてしまえるほどの、名前が挙がってしまった。

 

その名前にミフネは意を決して声を上げた。

 

「中立国の長の立場から言わせていただこう。

“暁”のリーダーは次代の流れを読んでいた…

国々の安定…そして国々の不信感の隙を突き力の拡大を謀った。

このままでは鉄の国も…」

 

かつての『侍』の世界から『忍び』のはびこる世に変わって、鉄の国が未だ残っていられることこそが奇跡だった。

そこには様々な苦節苦難があっただろう。

たとえミフネ以前の世代の話であろうとも、ミフネ達、鉄の国の侍にとっては無視できる問題では無かった。

 

「しかし、災い転じて福となす。

五影が全員そろう事も、滅多にあることではない。

どうであろう……

”暁”を処理するまでの間、世界初の五大隠れ里…

 

『忍連合軍』をつくってみては 」

 

 

ミフネの言葉にそれぞれの思惑が交差する。

連合軍と成れば、指揮系統は統一するのが望ましく、混乱が少ない。

そしてこの中で、決定権が唯一あるのは

 

「あなた方だけでは揉め事になる……

それゆえ中立国の拙者の立場を尊重して頂いたうえで、拙者が提案したい。

この五影の中で誰が適任なのか。」

 

火の国、火影のダンゾウは確信を得た。

これで5代目の時代は終わり、6代目である己の基盤は安泰であると。

 

 

「火影に、忍び連合軍の大権を任せてみては如何か?」

 

 

粛々と受け入れる火影に待ったを掛けるのは雷影だが、先程の一撃で粉砕された机を指差されては、どうしようもなく

風影は若く頼りなく

岩影は逆に年を取り過ぎた

水影は暁発祥の地であるとして信頼がおけない。

そして、消去法で残ったのが『火影』だったと言う事だ。

 

しかし消去法で、忍の行方を担う『大将』を、決めてもいい物なのだろうか?

 

―――

――

 

どうにも違和感をぬぐえない者が居た。

唯一、この中で『白眼』を持つ霧隠れの『青』は、白眼を発動すると同時に、後輩である長十郎に声をかける。

青にはその決定が、思慮深い侍の長である『ミフネ』の言葉とは思えなかった。

 

 

「火影殿

その包帯の下の右目を見せていただこう!!」

 

注意深く、白眼を発動したまま水影の後ろで事を見つめる青の言葉に影達は何事かと疑問符を投げかけた。

 

「その右目……うちはシスイの目を奪って移植したようですな。」

 

先の戦争で、青は『うちはシスイ』という天才のチャクラを見ている。

そしてその瞳術のすさまじさも

 

シスイの瞳術は幻術の中でも稀な、『認識の齟齬』を『隠す』事に特化している

『隠す』事に特化しすぎて、幻術をかけられた者は操られている事にすら気づかない

 

 

「――瞳術でも最高クラス!!」

 

 

青の言葉に視線がダンゾウに向かう。

『闇の忍び』と言われたダンゾウに、言い訳はできない。

それだけの実績がある。

更に青は『白眼』を持っている。今更言い逃れは出来ない。

不正が明らかになり、このまま連合軍の話がとん挫する事になるかと思われたがそこに

 

邪魔が入った。

 

 

「ハロー~~~~~~ぐぼはっ」

「はい、お疲れさん。」

 

 

それも2度

 

白い棘を持つ生き物が床から生えたかと思えば、上から白い装飾の忍びがクリーンヒットし、一瞬で燃やし尽くした。

まったく、忍べよ。とばかりに潰して燃やしつくした跡を眺め呆れたため息を晒す忍びが、三狼に集まっている忍び達の視線に気付いた。

 

 

「あ、ども。

そこの……うちはシスイから奪った別天神使って、印象操作なんてみみっちい事したけど、白眼なんていう身から出た錆に種を暴かれて、己の信頼どころか、中立国である侍の株まで落とした『志村ダンゾウ』をサクッと殺しに来ました、真の目サクヤです。

よろぴく☆」

 

各里の影達を前にしての殺害予告、完全に舐めてる口上、そして仮にも火影であるダンゾウに中指を立て、煽ってる姿は、聞きしに勝る

紛れようもない『真の目 サクヤ』そのものだった。

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