また来て三角   作:参号館

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聡明なる読者諸君に対して失礼かとは思うが、今回は少し長い文章にて説いておかねばならない事がある。
我らが愛するダンゾウ様の頭脳に、誤解を招くような文言が、下記にて筆述されているからだ。

英明なる頭脳をお持ちの読者は、『何を今更』と、思ってしまわれる内容かとは思うが
こと、ダンゾウ様とサクヤを語る上では外せないものとなる故、お付き合いいただけたらありがたい。


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ダンゾウはイザナギを使って飛び出た三狼の檻を顧みず、只々距離と時間を稼いでいた。

道中襲われた時点で救援の指示を木の葉の根に送ってはいるが、自分たちで歩いた通り時間がかかる。

それまで、持ちこたえなければならない。

時間的にも体力的にも、ダンゾウにとって厳しいものとなるが、

 

しかしこれはチャンスでもあった。

 

 

 

 

あの『真の目サクヤ』を土産に五影会談に帰れば、次こそ五影の代表に成れる。

もし代表に成れずとも――最悪参謀には就ける。

 

取らぬ狸の皮算用の様に聞こえるが、それ程に()()()()()()()()()()()()()を無力化する事に意味が有る。

なんなら、あわよくばサクヤを傀儡(かいらい)にできれば、マダラ一人どうとでもなるし、木の葉の勝利は確実となる。

その戦果を木の葉に持って帰れば、里の忍びも『志村ダンゾウ』を火影と認めざる負えない。

 

よって、()()()を手なずける事、曰く、『火影に成る』ことに等しい。

 

 

――ダンゾウが、いくら私利私欲にまみれていようとも、邪知暴虐であろうとも、卵と鶏のような頭の悪い水掛け論を持ち出そうとも、目先の欲だけでそう判断したわけではない。

暁、うちはサスケの台頭、軍縮、そして今回の五影会談……今後変化するであろう忍界にとって、『真の目サクヤ』という駒が、忍界や木の葉の里に必要不可欠であったから、総じてその思考、判断に行き付いただけである。

 

 

―――

――

 

3回の大戦を経た忍界を見てきて、

忍びが国の戦力の要となってから、地域に限らず里に属する大多数の忍びは『兵士』に近くなったとダンゾウは感じていた。

兵站業務延いては戦争に向けた財政、任務管理、次代を育てるなどの環境の整備

戦う以外の機能を持った者に額当てを……いや『忍』と育てた者に、その業務を負わせるのは、ダンゾウが見ているだけでも門外漢が過ぎた。

 

その場所にいるべき人員は、『忍』である必要はない。

そこに『忍』を割くならば、そこまでの知識と、経験と、専門性を求めるならばもっと別の人材が必要で、それ(別の人材)は現代で言う正しく『兵站』で

『兵』を運営するならば、その長たる『影』が見極めるべきは『兵法』だ。

 

 

―――

――

ダンゾウにとって、『兵法』と言われれば真っ先に思い当たるのが

師匠の属する『千手』ではなく

忍び最強を謳う『うちは』でもなく

飛類なき頭脳を持つ『奈良』でもなく

 

常に戦から逃げ続けてきた『真の目』だった。

 

 

 

誤解を恐れず言うならば、『兵法』とは

どれだけコストを掛けずに勝利するかを極めた、方法論だ。

 

そして、古今東西どんな兵法にも共通する事は、一番コストがかからないのは『外交により平和が続く状態を維持する』という事。

――そう言う意味では『兵法』に一番造詣が深いのは『真の目』とも言えるだろう。

何せ、平和あるところに真の目あり。

真の目の戦嫌いは、昔から有名であるからだ。

 

しかしどうやって

戦う力を持たない真の目が、この幾度と続いた忍界大戦を生き残ったのか。

 

 

・戦ったから?

ある一点ならばそうだろう。

しかし、いくら真の目の体術が一般的に有名で、どれだけ強かろうと真の目の人間が全てそう言う訓練を受けて、強いわけでは無いので、忍び一族の様な戦闘など無理である。

(なんなら真の目には戦時中捨て置かれる確率の高い老人、女、子供、障がい者が多い。)

 

 

・逃げたから?

それもあるだろう。

しかし理由の1つでしかない。

 

 

 

ダンゾウは、そのすべては()()()()()()()()に集約すると見ている。

 

 

 

 

―――

――

 

過去、『真の目』自身が戦争を起こしたことは無いが、吹っかけられたり、巻き込まれた戦争はいくつかある。

真の目が巻き込まれる戦争の内容は、基本的に『市場』を独占する為に起きる物が多い。

その理由は大きく分けて2つの視点から発生する。

 

 

一つ目は侵略される側、『市場』の視点である。

 

経済はある程度の安全が確保されていなければ、発展のしようが無い。

看板を立てた端から壊されるような情勢では健全な商売は生まれない。

 

真の目が血を、戦を嫌う限り、真の目在る所に安全が有り、その安全を担保された状態で経済活動が行える―――

必然と市場に出入りする商人の目が、真の目を追うのも致し方ない。

『真の目が居る=安全』の方程式ほど確かな物はないからだ。

 

よって真の目が介在する市場は総じて発展が早く、大きくなりやすい。

 

 

 

二つ目の視点は侵略側の視点となる。

 

戦争は常に起こる物では無いが、戦争が起こる可能性が一粒でもある限り、それを無視できないのが『世界情勢』である。

最低でも防衛のための軍備は常に最新鋭でないと、仮想敵国に蹂躙されるのが関の山だ。

その軍備には膨大な金が必要で、兵器の研究費や材料費が、人件費より嵩張るのは常である。

 

そんな金欠財政のお国が

もし『真の目』が介在する市場を手に入れたのなら

 

『真の目一族』自体数が多い為、市場が大きく多少重い税を課しても、発展した市場は早々につぶれない、いい金蔓を手に入れることになる。

 

さらには、徴兵制を導入すれば人数が馬鹿みたいに多いので、いくらでも人材は出てくる。

 

なんなら相手は真の目だ。

只の一市民たる真の目に戦闘など到底無理。

内戦や紛争は有りえない。

市場を手に入れる=良い奴隷制度を手に入れたに等しい。

 

 

 

上記2つの視点から過去、この膨大な市場を巡って、幾度か戦争が起き

そして、上記理由から真の目のいる組織との戦争は、殲滅、亡国などの終わり方では無く、必ず吸収や合併など『組織』がある程度残った状態で完結し、その後速やかに原状回復が行われ市場が再開する。

 

 

 

しかし、真の目の交易、貿易は、そのまま取り込むには自然発生が過ぎる物であった。

 

戦後、官軍に有利な貿易や交易が敷かれるが

真の目の真骨頂は、国や組織に関わらず、世界各地に広がった伝手による()()貿()()である。

その自由貿易を失った市場の顛末など想像に容易いだろう。

高い関税という貿易の門により自由貿易の旨味である勢いは失せ、さらには今後また生活を脅かされる可能性があるという、安全が保障されない場に真の目が居つくはずもなく……

真の目と言うブランドを失った市場が崩壊するのは致し方がない事だ。

 

それに気付く政府ならば、真の目の出入りを制限するなどするだろうが、

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

真の目にとって、一端の組織に対してどれだけ有利に立とうと、それは本当に一端でしかなく

一端の発したSOSに対して、真の目のコネからなるネットワークは正しく作動する。

 

真の目のネットワークにより成り立つはずの国の交易や貿易は

いつの間にか敷かれた周辺国の経済的制裁により閉じていき

外交が立ち行かなくなり

きな臭さから更に周辺国や商人は手を引き

最後、仮想敵国は物資、人員困窮により組織が、国が

 

 

内側から瓦解する。

 

 

 

真の目が『うちは』や『千手』などの一族程度のモノであれば、どれだけ話が簡単だったろうか。

こと世界各国に散り、日々数を増やしていき、一国単位まで膨れ上がってしまった『真の目』を相手にするに当たっては、よっぽど自給率が高く、自国で完結できる資源、工業力、科学力があり、永年続いて行けるほどの国力が無ければ

真の目という()()を敵に回して生き残るのは難しい。

 

まだ『国』としてなら、ギリギリ時間稼ぎ位は出来ただろう。

しかし、こと村社会が長かった忍びは、忍経済のシルクロードたる真の目が居なければ、外交もままならない状況に陥るのは目に見えていた。

 

 

 

よっぽど時の指導者が優秀なのかと思いきや、どの時代の戦争でも、真の目の動きは一律として変わらず、真っ向から武力行使を避けて世界を渡り歩いてきている。

記録の数は少ないが、ダンゾウが知るこれまでの『真の目』の戦い方は『外交から成る兵法』を綺麗に踏襲しており、

普段の仮想敵国への交易の細りから始まり、外部からの圧力、新たな敵による疲弊、施政の振わなさによる民の疑心暗鬼、内部崩壊等々、外交により可能な手法全てを用い

『数の多さ』と言う兵法に最も重要な部分を使って緩やかに、しかして確実に滅亡へと追いやる。

 

追いつめられた仮想敵国の、起死回生、ジャイアントキリング、大番狂わせ、針の先程の希望を

武力をもたないからこそ、全て端から丁寧に、確実に潰していく様は、もはや狂っていると言っていいだろう。

 

須く『兵法』である。

 

 

 

 

 

『真の目が、そう大人しく言う事を聞くはずがない。』

真の目が浸透した今、その言葉を皆が語るだろう。

だが、戦国、忍界大戦、幾つもの()を経ての『真の目が大人しく言う事を聞くはずがない。』である。

 

嘗て血涙を絞り、泥水をすすりながら、『真の目』を護り、時代を活きてきた先達の称号ともいえる言葉。

『嘗て』を知る者は多くはないが、その言葉は『真の目の誉れ』と言って、過言では無い。

 

 

――

―――

 

 

閑話休題

 

王道あってこその、邪道とも言うが、古から忍びは邪道をいく者。

真の目の様な戦闘を避ける方法ならまだしも、真っ向勝負などもっての外

忍びたる者、正道たる兵法の裏をついてこそである。

例え里がどの立場(平和主義)にいたとしても『忍』びである限り、『兵法の裏を突く』ことを他でもない、『忍』が解かっておくべきで―――

 

相反する『兵法』も知らねば、裏も突けない。

 

 

『火の国』は幸いにも木の葉の里各位の奮闘により、第3次忍界大戦では戦勝国になった。

しかし戦後、忍界大戦にて疲弊した里は、戦争を回避し、平和を解き、争い自体を避けるようになってしまった。

それ自体は何一つ問題はない。

 

()()()()()()()のであれば。

 

 

ずっとこの平和が続くならば、そのような事を考えなくても何一つ問題ない。

それにダンゾウは現在の平和主義の木の葉が全て悪いとは流石に思っていない。(それはそれで使いようがある。)

ただ今後、

 

大規模な戦闘が()()に起きないとは、世界情勢を相手取る立場の人間として、正気では言えない。

 

さらにはダンゾウの見立てでは、火影の言う『平和』は薄氷の上だった。

各里が第3次に及ぶ戦争に疲弊しており、各国もまた、ここらで手を打たないと民草の蜂起が起こっても可笑しくない状態だったから『和平』に及んだにすぎず、いつ戦闘が、戦が起こっても可笑しくない状態を、お互いに引き延ばしているにすぎなかった。

 

 

国から仕事を請け負うにしたって、木の葉の為にしたって、忍びの仕事である間諜や戦闘はいずれ戦争となり

『忍』として里に所属している限り、己の意思に限らずその戦火に必ず関わることになる。

 

 

 

 

もし、先の大戦を知らない世代がトップに立った時、

『戦争を準備してきた仮想敵国』に会敵した時、

 

いったい何が出来るのであろうか。

 

 

戦争の正当化を済ませた相手に、平和を説くのだろうか?

馬鹿正直に相手の挑発に乗って戦争をして、着々と戦闘準備してきた仮想敵国から里を守れるのだろうか?

己より多くの時間を兵法に費やしてきた相手に、付け焼刃でうまく立ち回れのるだろうか?

 

ダンゾウとて無闇矢鱈に戦争を推しているいるわけではない。

戦争には犠牲が付き物で、精神面、コスト面から言っても避けるべきであることは重々承知だ。

しかし、今後大戦が起こってしまったとして

今の木の葉が、各国それぞれの『兵法』に相対したとして、その兵法の裏を突ける人材が育っているかと聞かれたら、首を横に振るしかないだろう。

 

 

だからこそ、兵法の王道たる『真の目』を横に据え、『忍』として判断をする『火影』が必要だった。

だからこそ『()連合軍』には『真の目』の視点たる『真の目サクヤ』が必要で、持って帰ればリーダに返り咲ける可能性があり、

 

他の影からの信用と、里の信頼を失った今でさえ、()()参謀だ。

 

 

―――

――

 

以上がダンゾウの建前であり、ダンゾウから見た『真の目サクヤ』の要点である。

各里が『真の目サクヤ』を重要視する点とも言えるだろう。

 

本音を言うならば、散々おちょくってくれたサクヤの苦い顔を見ながら、猿さえ成し得なかった更なる高みたる『忍び連合軍の大隊長』を冠したい。である。

過去、金角銀角部隊の接敵前、師である二代目火影が残したダンゾウへの言葉を思うに、人間そうそう変わらない物である。




戦争を題に語るに当たって、どうしても昨今の情勢とかする部分もあり、このような稚拙な文章を投稿するか悩んだのだが、こうなる前に大筋が書き終わっていたので、今更変えようがなく、致し方なく衆目に晒すことになった。
この話は100%フィクションであり、筆者の独断と偏見により作成されている。

敢えて明記するが
筆者は戦争に反対であるし、平和だからこそ、このような戦争を題に筆述することができ、コンテンツとして楽しめると考えている故、現在の某国の状況には誠に遺憾であることをご留意頂きたい。
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